NHK「国くにが教員きょういんを定額ていがく働はたらかせ放題ほうだい」に文科ぶんか省しょうが抗議こうぎ→教員きょういんから文科ぶんか省しょうに批判ひはん続出ぞくしゅつ

　公立こうりつ校こう教員きょういんに残業ざんぎょう代だいは支給しきゅうされないが、その代かわりに月給げっきゅうの4％相当そうとうを上乗うわのせして支給しきゅうする制度せいど「教職きょうしょく調整ちょうせい額がく」。これをめぐり13日にち放送ほうそうのNHKのニュース番組ばんぐみが「定額ていがく働はたらかせ放題ほうだい、どれだけ残業ざんぎょうしても一定いっていの上乗うわのせ分ぶんしか支払しはらわれない」と報道ほうどうしたことについて、文部もんぶ科学かがく省しょうは17日にち付づけで「中教審ちゅうきょうしんの議論ぎろんの内容ないように触ふれない一いち面めん的てきな報道ほうどう」とする抗議こうぎ文ぶんをHP上じょうに掲載けいさい。現場げんばの教員きょういんからは文科ぶんか省しょうの見解けんかいに対たいし「そもそも文科ぶんか省しょうは現場げんばの教員きょういんの労働ろうどう実態じったいを把握はあくしていない」「事実じじつとして教師きょうしは働はたらかされ放題ほうだいになっている」などと批判ひはんの声こえが寄よせられている。

　教員きょういん給与きゅうよ特別とくべつ措置そち法ほう（給きゅう特とく法ほう）では、公立こうりつ校こう教員きょういんの給与きゅうよについて月給げっきゅうの4％相当そうとうの「教職きょうしょく調整ちょうせい額がく」を上乗うわのせして支給しきゅうすること、残業ざんぎょう時間じかんの上限じょうげんについて月つき45時じ間あいだ、年とし360時じ間あいだとすることが定さだめられている。30代だいの公立こうりつ中学校ちゅうがっこう教員きょういんはいう。

「毎週まいしゅう土日どにちに部ぶ活動かつどうの指導しどうを1日にち3～4時じ間あいだずつやると、それだけで少すくなくみてもひと月がつに24時じ間あいだ。平日へいじつは朝あさ7時じ30分ふんには勤務きんむを開始かいしして、部ぶ活動かつどうの指導しどうと校こう務つとむ分掌ぶんしょう（教師きょうし間あいだで分担ぶんたんする校内こうないの各種かくしゅ業務ぎょうむ）、クラス担任たんにん業務ぎょうむ、校内こうない行事ぎょうじの準備じゅんびなどをこなして夜よる8時じにいったん学校がっこうを出でるので、朝あさと夕方ゆうがた以降いこうを合あわせて一いち日にちあたり約やく4時じ間あいだの残業ざんぎょう、月間げっかんで計けい80時じ間あいだ。さらに帰宅きたく後ごに取とり組くむ授業じゅぎょうの準備じゅんびの時間じかんが加くわわる。なので実質じっしつ的てきな月つきの残業ざんぎょう時間じかんは100時じ間あいだを超こえます。

　土日どにちの部ぶ活動かつどう指導しどうについては、わずかな日当にっとうが出でるものの事実じじつ上じょうのタダ働はたらきで、地区ちくや学校がっこうによっては日当にっとうを請求せいきゅうしないようにしているところもある。勤務きんむ時間じかんについても超過ちょうかが目立めだつと教育きょういく委員いいん会かいから問題もんだい視しされて報告ほうこく書しょを提出ていしゅつしなければならなくなるので、過少かしょう報告ほうこくするという行為こういは広ひろく行おこなわれています。その結果けっか、表面ひょうめん上じょうは『教員きょういんは長時間ちょうじかん残業ざんぎょうをしていない』ことにされてしまうため、文科ぶんか省しょうは実態じったいを把握はあくできていません。自治体じちたいは給きゅう特とく法ほうがあるおかげで教員きょういんをいくら働はたらかせても残業ざんぎょう代だいを払はらう必要ひつようがないので、教員きょういんは働はたらかされ放題ほうだいになっているのです」

低下ていかする公立こうりつ学校がっこう教員きょういん採用さいよう選考せんこう試験しけんの採用さいよう倍率ばいりつ

　公立こうりつ小学校しょうがっこう・中学校ちゅうがっこうの教員きょういんの長時間ちょうじかん労働ろうどうは深刻しんこくだ。2021年ねんに名古屋大学なごやだいがくの内田うちだ良りょう教授きょうじゅらが全国ぜんこくの公立こうりつ小学校しょうがっこうの教員きょういん466名めい、公立こうりつ中学校ちゅうがっこうの教員きょういん458名めいを対象たいしょうに行いった調査ちょうさによれば、1カ月かげつの平均へいきん残業ざんぎょう時間じかんは100時間じかん以上いじょうにおよぶという。また連合れんごう総研そうけんが22年ねんに発表はっぴょうした報告ほうこくによれば、教員きょういんの勤務きんむ日びの労働ろうどう時間じかんは平均へいきん12時じ間あいだ7分ふんで、週休しゅうきゅう日びの労働ろうどう時間じかんを合あわせると1カ月かげつの労働ろうどう時間じかんは293時じ間あいだ46分ふんであり、時間じかん外がい勤務きんむは上限じょうげん時間じかんの月つき45時じ間あいだを上回うわまわり、さらに過労かろう死しラインを超こえているとしている。

　こうした実態じったいは教員きょういん志望しぼう者しゃ、なり手ての減少げんしょうを招まねいている。23年度ねんどの公立こうりつ学校がっこう教員きょういん採用さいよう選考せんこう試験しけんでは小学校しょうがっこう教員きょういんの競争きょうそう率りつ（採用さいよう倍率ばいりつ）は2.3倍ばいと過去かこ最低さいていを更新こうしん、中学校ちゅうがっこうは4.3倍ばいで1991年度ねんどの過去かこ最低さいてい倍率ばいりつと0.1ポイントの差さとなった。採用さいよう倍率ばいりつには地域ちいき差さもみられるが、東京とうきょう都と教育きょういく委員いいん会かいが実施じっしした24年度ねんどの小学校しょうがっこうの教員きょういん採用さいよう選考せんこうは1.1倍ばいと過去かこ最低さいてい。受験じゅけん者しゃ数すうは10年ねん前まえより半減はんげんしており、教員きょういんを志望しぼうする人ひとの減少げんしょうは顕著けんちょだ。

　昨年さくねんには東京とうきょう都内とないの公立こうりつ小学校しょうがっこうで教員きょういんが育休いくきゅうを取得しゅとくすることになり、副ふく校長こうちょうが代かわりの教員きょういんを探さがすために教員きょういん免許めんきょを持もつ人ひとなど400人にん以上いじょうに電話でんわをかけ続つづけたが、代かわりの教員きょういんを確保かくほできず、結局けっきょく、非ひ正規せいきの教員きょういんにお願ねがいして契約けいやくを延長えんちょうしてもらったものの、その直後ちょくごに別べつの教員きょういんが体調たいちょう不良ふりょうで休職きゅうしょくになったという出来事できごとがニュースにも取とり上あげられ注目ちゅうもくされた（5月がつ6日にち付づけ読売新聞よみうりしんぶん記事きじより）。

教員きょういん「非常ひじょうに絶望ぜつぼう的てきな気分きぶん」

　深刻しんこくな教員きょういん不足ふそくを受うけ処遇しょぐう改善かいぜん策さくや残業ざんぎょう削減さくげん策さくなどを検討けんとうしていた文科ぶんか省しょうの中央ちゅうおう教育きょういく審議しんぎ会かいは13日にち、教職きょうしょく調整ちょうせい額がくを現行げんこうの4％から10％以上いじょうに引ひき上あげることや、11時じ間あいだ程度ていどの勤務きんむ間あいだインターバル（終業しゅうぎょうから次つぎの勤務きんむ開始かいしまで一定いっていの時間じかんを空あける制度せいど）の導入どうにゅうなどを盛もり込こんだ提言ていげんをまとめ、盛さかり山さん正せい仁じん文科ぶんか相しょうに提出ていしゅつ。文科ぶんか省しょうは来年らいねんの通常つうじょう国会こっかいに給きゅう特とく法ほう改正かいせい案あんを提出ていしゅつする方針ほうしんだが、NHK番組ばんぐみは一連いちれんの動うごきをめぐる報道ほうどうのなかで公立こうりつ校こう教員きょういんの給与きゅうよ体系たいけいについて「定額ていがく働はたらかせ放題ほうだい」だと表現ひょうげん。これに文科ぶんか省しょうが抗議こうぎするという事態じたいが生しょうじている。

　この文科ぶんか省しょうの抗議こうぎに対たいし、SNS上じょうでは“抗議こうぎ”の声こえが続出ぞくしゅつしているが30代だい・公立こうりつ中学校ちゅうがっこう教師きょうしはいう。

「もし仮かりに日本にっぽん中ちゅうの学校がっこうが教員きょういんの勤務きんむ時間じかんを正確せいかくに報告ほうこくしたら大変たいへんなことになるでしょうが、各かく自治体じちたいの公立こうりつ校こう教員きょういんの世界せかいは教育きょういく委員いいん会かいをトップとする狭せまい村社そんしゃ会かい。校長こうちょう以下いか、現場げんばの教師きょうしたちは混乱こんらんを招まねいたり問題もんだいを起おこして教育きょういく委員いいん会かいから目めをつけられたりするとやっていけなくなるので、多おおくの学校がっこうが横並よこならびの精神せいしんで教員きょういんの残業ざんぎょう時間じかんを過少かしょう報告ほうこくしています。その“公式こうしき”データだけに基もとづけば『働はたらかせ放題ほうだいではない』ということになるので、文科ぶんか省しょうはそう言いっているのでしょうが、非常ひじょうに絶望ぜつぼう的てきな気分きぶんにさせられます。この文科ぶんか省しょうの基本きほん的てきな姿勢しせいこそが教育きょういく現場げんばの疲弊ひへいと深刻しんこくな教員きょういん不足ふそくを招まねいています」

　40代だい・公立こうりつ中学校ちゅうがっこう教師きょうしはいう。

「教職きょうしょく調整ちょうせい額がくが10％ということは、これを残業ざんぎょう代だいとみなすと一いち日にち8時じ間あいだ勤務きんむで月つき20日にち、計けい160時じ間あいだのうちの10％なので単純たんじゅん計算けいさんで16時じ間あいだ分ぶんということになりますが、これでは土日どにちの部活ぶかつ指導しどう分ぶんを除のぞいた1週間しゅうかん分ぶんの残業ざんぎょう代だいにも及およびません。また、事実じじつ上じょう、残業ざんぎょう代だいが定額ていがく制せいのままであれば、実際じっさいの残業ざんぎょう時間じかんが給与きゅうよに反映はんえいされず、その一方いっぽうで、やらならければならない業務ぎょうむ量りょうが減へるわけでもないので従来じゅうらいどおり長時間ちょうじかんの残業ざんぎょうをせざるを得えず、まったく意味いみがありません。現場げんばの感覚かんかくからすると、文科ぶんか省しょうは現在げんざいの教師きょうしの過酷かこくな労働ろうどう環境かんきょうという問題もんだいに対たいして何なにもしていない、というのが実態じったいです。

　業務ぎょうむ量りょうが変かわらないなか、かつて大量たいりょうに採用さいようされた教員きょういんが毎年まいとし、大量たいりょうに定年ていねん退職たいしょくし、さらに心身しんしん不調ふちょうによる休職きゅうしょく者しゃや退職たいしょく者しゃが相次あいつぐ一方いっぽう、新あらたな教員きょういんの志望しぼう者しゃは減へっているわけなので、いつかは火ひを噴ふくでしょう。いきつくところまでいきついて大おおきな問題もんだいが続出ぞくしゅつするような事態じたいにならない限かぎり、文科ぶんか省しょうが本気ほんきになって動うごくことはないかもしれません。教師きょうしが授業じゅぎょうもやり、各種かくしゅ行事ぎょうじの準備じゅんびや校内こうないの細々こまごまとした業務ぎょうむもやり、生徒せいと同士どうしのトラブル対応たいおうや保護ほご者しゃ対応たいおうもやり、部ぶ活動かつどう指導しどうもやり、さらに教育きょういく委員いいん会かいへの報告ほうこく書類しょるいも作成さくせいするというのは無理むりがあります。国くにが法律ほうりつで教師きょうしの仕事しごと内容ないようを限定げんていして、部ぶ活動かつどう指導しどうなどをはじめとする授業じゅぎょう以外いがいの業務ぎょうむを極力きょくりょく、他たの担当たんとう者しゃがやるように業務ぎょうむ分担ぶんたんを進すすめるという抜本ばっぽん的てきな改革かいかくをしない限かぎり、労働ろうどう環境かんきょうの改善かいぜんは無理むりだと思おもいます」

修学旅行しゅうがくりょこうに際さいし事前じぜんに教員きょういんが7～8万まん円えんを徴収ちょうしゅうされる

　教育きょういく現場げんばの独特どくとくな慣習かんしゅうも教員きょういんの負荷ふかを増長ぞうちょうさせている。少すこし前まえにはある学校がっこう教師きょうしがSNS上じょうに「1年ねん目めで担任たんにんってやっぱしんどすぎる…大学だいがく卒業そつぎょうして何なにもわからないのに、生徒せいと指導しどう、電話でんわ対応たいおう、事務じむ作業さぎょう、教材きょうざい研究けんきゅう、会議かいぎ、保護ほご者しゃ対応たいおうともうすることがたくさんすぎる」と投稿とうこうし、大おおきな反響はんきょうを呼よんだ。

　このほか、修学旅行しゅうがくりょこうに際さいし事前じぜんに教員きょういんが7～8万まん円えんを徴収ちょうしゅうされるケースもある。当とうサイトは23年ねん6月がつ10日にち付づけ記事きじでその実態じったいを報ほうじていたが、以下いかに再さい掲載けいさいする。

――以下いか、再さい掲載けいさい――

　中学校ちゅうがっこうの修学旅行しゅうがくりょこうに随行ずいこうする教員きょういんが個人こじんで一人ひとり当あたり8万まん円えんもの支払しはらいを余儀よぎなくされる――。そんなTwitter投稿とうこうが議論ぎろんを呼よんでいる。業務ぎょうむとしての出張しゅっちょう、しかも修学旅行しゅうがくりょこうの随行ずいこうともなれば早朝そうちょうから深夜しんやの対応たいおうに至いたるまで、教員きょういんは連日れんじつにわたり事実じじつ上じょう24時じ間あいだ勤務きんむが強しいられるといっても過言かごんではないが、果はたして個人こじんの費用ひよう負担ふたんとなっているというのは事実じじつなのか――。関係かんけい者しゃに取材しゅざいした。

　一般いっぱん的てきには小学校しょうがっこうでは6年生ねんせい時じ、中学校ちゅうがっこうでは3年生ねんせい時じに行おこなわれる修学旅行しゅうがくりょこう。生徒せいとにとっては学校がっこう生活せいかつの思おもい出での1ページに残のこる一大いちだい行事ぎょうじだが、教員きょういんにとっては大変たいへんな労力ろうりょくを強しいられる「過酷かこくな業務ぎょうむ」でもある。

「数すう十じゅう人にんから100人にん規模きぼの子こどもの集団しゅうだんを一切いっさいのトラブルなく遠方えんぽうへ旅行りょこうさせなければならないというのが、どれだけ大変たいへんなことか、想像そうぞうを超こえるものがある。修学旅行しゅうがくりょこう中ちゅうは普段ふだん温和おんわな先生せんせいでも険悪けんあくになるなんてことも珍めずらしくないが、基本きほん的てきには連日れんじつ睡眠すいみんがとれない状況じょうきょうが続つづき、少すこしでもトラブルが起おきれば全体ぜんたいのスケジュールに支障ししょうが生しょうじかねないので、そのピリつきぶりは半端はんぱではない。加くわえて、旅行りょこう中ちゅうに限かぎらず、事前じぜんの準備じゅんびや事後じごの処理しょりなど、やらなければならない業務ぎょうむが膨大ぼうだいで、それを日々ひびの授業じゅぎょうの準備じゅんびや部ぶ活動かつどう指導しどうの合間あいまにこなさなければならず、そうしたことが重かさなった結果けっか、旅行りょこう中ちゅうに何気なにげない行動こうどうをした生徒せいとにブチぎれしてしまう羽目はめになる。

　今いまの時代じだい、国内こくないに限かぎらず海外かいがいへの旅行りょこう経験けいけんが豊富ほうふな子こも珍めずらしくなく、また家庭かていにのしかかる出費しゅっぴもバカにならないので、はっきりいって、もう修学旅行しゅうがくりょこうはなくしてもよいと思おもう。

　ちなみに土日どにちに部活ぶかつの試合しあいや大会たいかいなどで遠征えんせいする場合ばあい、さすがに交通こうつう費ひは支給しきゅうされるが、食事しょくじ代だいは自腹じばらどころか、わずかながらの日当にっとうは出でるものの休日きゅうじつ出勤しゅっきん分ぶんの残業ざんぎょう代だいはしっかりとは出でず、タダ働はたらきとなる」（中学校ちゅうがっこう教員きょういん）

＜教員きょういんの立たて替かえで、「来週らいしゅう7万まん円えん徴収ちょうしゅう」といわれ、驚おどろいた＞

　そんな修学旅行しゅうがくりょこうだが、教員きょういんはあくまで業務ぎょうむとして随行ずいこうするため、交通こうつう費ひや食費しょくひ、宿泊しゅくはく費ひなどの旅費りょひは経費けいひとして公立こうりつ校こうであれば自治体じちたいなどから支出ししゅつされるのが当然とうぜんと思おもわれるが、前述ぜんじゅつのとおり教員きょういん個人こじんが負担ふたんを強しいられるという情報じょうほうが投稿とうこうされ、注目ちゅうもくされているのだ。中学校ちゅうがっこう教員きょういんであるこの投稿とうこう者しゃの話はなしによれば、いったん学校がっこう側がわから8万まん円えんを徴収ちょうしゅうされ、後日ごじつ、全額ぜんがくではないものの払はらい戻もどしがなされるというが、このツイートを受うけてSNS上じょうでは以下いかのような声こえが寄よせられている。

＜小学校しょうがっこう教諭きょうゆですが、全額ぜんがくは返かえってきません　ホテル代だいや交通こうつう費ひはでますが、食事しょくじ代だい(決きめられた店みせの決きめられたメニューでも)などは実費じっぴなので修学旅行しゅうがくりょこうは行いくとマイナスです　ほんとありえないですよね…朝あさ早はやくから夜よる遅おそくまで時間じかん外はずしてるのに　なんなら深夜しんやでも何なにかあったら対応たいおうするのにマイナスなんて＞

＜教員きょういん1年ねん目めで、修学旅行しゅうがくりょこうが5月にあり、いきなり8万まん持もってきてと言いわれ、かなりキツくて親おやに借かりた＞

＜私わたしも今度こんどありますが、約やく3万まん＞

＜以前いぜん勤務きんむした自治体じちたいは、事務じむ（教委きょうい？）が教員きょういん分ぶんを支払しはらい、あとから過不足かふそくの精算せいさんがありました。現在げんざい勤務きんむする自治体じちたいは、教員きょういんの立たて替かえで、「来週らいしゅう7万まん円えん徴収ちょうしゅう」といわれ、驚おどろいたことがあります＞

＜ウチの県けんは食費しょくひは戻もどってきません。夜よるはほとんど寝ねれなくて実質じっしつ24時じ間あいだ勤務きんむだけど、時間じかん外がい勤務きんむは、確たしか一いち泊はくで4時じ間あいだで、別べつ日びに休やすんでいいよ～で終おわりです＞

　参考さんこうまでに東京とうきょう都との公立こうりつ学校がっこうではどのようになっているのかを、東京とうきょう都と教育きょういく庁ちょうに聞きいた。

「都内とない公立こうりつ学校がっこうの修学旅行しゅうがくりょこうに係かかる経費けいひのうち交通こうつう費ひ、宿泊しゅくはく料りょうについては、その全額ぜんがくを公費こうひで支給しきゅうしております。都立とりつ学校がっこうの修学旅行しゅうがくりょこうに係かかる交通こうつう費ひ、宿泊しゅくはく料りょうは、事前じぜんに事務じむ手続てつづきを行おこなっており、個人こじんで立たて替かえることはありません。区く市町しちょう村立そんりつ学校がっこうについては、それぞれの区く市町村しちょうそんの事務じむ手続てつづきによって処理しょりされています」

「今いまの時代じだいに修学旅行しゅうがくりょこうが必要ひつようかどうかは疑問ぎもんを感かんじています」

　他たの県けんの実態じったいはどうなっているのか。ある県けんの中学校ちゅうがっこう教員きょういんに話はなしを聞きいた。

「自治体じちたいによって異ことなりますが、私わたしの県けんでは、事前じぜんに教員きょういんがお金かねを徴収ちょうしゅうされるということはなく、後日ごじつ、実質じっしつ上じょう、食費しょくひ代だいのみを請求せいきゅうされるというかたちです。ホテルなどの食事しょくじなので2泊はく・6食分しょくぶんで計けい1万まん円えん以上いじょうになり、『自分じぶんで食たべたのだから仕方しかたない』と思おもう一方いっぽう、ちょっと高たかいなとは感かんじます。生徒せいとたちがおとなしい学校がっこうであれば夜よる10時じくらいには自分じぶんの部屋へやに戻もどれますが、何なにかあればすぐに対応たいおうしなければならず、当然とうぜんながら飲酒いんしゅなどは厳禁げんきんですし、休息きゅうそくというか待機たいきという感かんじです。修学旅行しゅうがくりょこうにトラブルはつきもので、以前いぜん勤つとめていた学校がっこうでは見学けんがく先さきで生徒せいとが別べつの学校がっこうの生徒せいととケンカになり、夜よるに先方せんぽうの学校がっこうに謝罪しゃざい行おこなったこともありました。子こどもたちも多様たよう化かしており、生徒せいとのなかには過去かこに行いったことがある観光かんこう地ちを再ふたたび訪問ほうもんするかたちになる子こもおり、はたして今いまの時代じだいに修学旅行しゅうがくりょこうが必要ひつようかどうかは疑問ぎもんを感かんじています」

　別べつの県けんの公立こうりつ校こう教員きょういんはいう。

「以前いぜん勤つとめていた県けんでは事前じぜん徴収ちょうしゅうはなかったのですが、今いまの県けんの学校がっこうに赴任ふにんして初はじめての修学旅行しゅうがくりょこうの前まえに、学校がっこう側がわから『来週らいしゅう7万まん●千せん円えんを徴収ちょうしゅうするので持もってきてください』と言いわれ、慌あわてて定期ていき預金よきん口座こうざを解約かいやくしたことがあります。もちろん後日ごじつ、各かく教員きょういんの口座こうざにお金かねが戻もどってくるのですが、2～3カ月かげつほどタイムラグあるので、1年ねん目めなどの若わかい先生せんせいは大変たいへんみたいです。交通こうつう費ひや宿泊しゅくはく代だい、施設しせつの入場にゅうじょう料りょうなどベースとなる部分ぶぶんは教員きょういん負担ふたんは発生はっせいしませんが、食費しょくひは一いち日にち当あたりの支給しきゅう額がくに上限じょうげんがあるので、超ちょう過分かぶんは教員きょういんの自腹じばらとなります。一方いっぽう、日当にっとうが支給しきゅうされるのでトータルで見みると大おおきな損そんはないですが、多少たしょうの過か不足ふそくは発生はっせいしているように思おもいます。教員きょういんは業務ぎょうむで行いくにもかかわらず、事前じぜんに数すう万まん円えん単位たんいのお金かねを徴収ちょうしゅうされるという仕組しくみには、やはり疑問ぎもんを感かんじざるを得えません」

　また、別べつの公立こうりつ校こう教員きょういんはいう。

「生徒せいとによっては、夜中よなかに外そとに出でてしまわないように見守みまもったり、寝返ねがえりのサポートが必要ひつようであったり、寝ねるまで付つき添そいが必要ひつようなケースがあります。そうした夜間やかん対応たいおうに費ついやした時間じかんは、たとえば別べつの日ひに『その分ぶん1時間じかん休やすめる』というかたちで調整ちょうせいできる自治体じちたいもありますが、自治体じちたいによってまちまち。また、夜よるに自室じしつに戻もどっても休息きゅうそくというよりも待機たいきというのが実情じつじょうで、日当にっとうは出でるものの事実じじつ上じょう24時じ間あいだ勤務きんむを強しいられます」

　事実じじつ上じょう残業ざんぎょう代だいなしでの長時間ちょうじかん労働ろうどうなど、教員きょういんの労働ろうどう環境かんきょうの悪わるさによる離職りしょく率りつの高たかさや休職きゅうしょく者しゃの増加ぞうかが社会しゃかい問題もんだい化かするなか、修学旅行しゅうがくりょこうをめぐる現状げんじょうにも問題もんだいが顕在けんざい化かしているといえよう。

（文ぶん＝Business Journal編集へんしゅう部ぶ）