看護かんご師しの白衣はくいを見みると高血圧こうけつあつに？病院びょういんで測はかる血圧けつあつは不正ふせい確かくで無意味むいみ？

「Thinkstock」より

　私わたしは持病じびょうがあるので、定期ていき的てきに診察しんさつを受うけている。病院びょういんでは、待合室まちあいしつに血圧けつあつ計けいが置おいてあり、診察しんさつを受うける前まえに血圧けつあつを測はかり、看護かんご師しにデータを渡わたすことになっている。最初さいしょは私わたしも病院びょういんで血圧けつあつを測はかり、看護かんご師しにデータを渡わたしていた。私わたしは血圧けつあつは本来ほんらい自宅じたくで測はかるものと思おもっているので、朝あさと夜よるに血圧けつあつを測はかり、それをきちんと記録きろくしている。自宅じたく近ちかくのかかりつけ医いに持病じびょう以外いがい病気びょうきで診みてもらうときには、血圧けつあつのデータを持もっていき、それを見みせるようにしている。

　持病じびょうを診みてもらっている専門医せんもんいに対たいしても、血圧けつあつのデータは見みせるようにしていた。ほぼ1カ月かげつの間あいだ、血圧けつあつがどのように変化へんかしているか、あまり変化へんかはしていないのだが、それを見みせると、病院びょういんで測はかった血圧けつあつのデータは見みることなく、私わたしの持もっていったデータを主治医しゅじいは見みるようになった。

　これは、当然とうぜんのことである。病院びょういんの待合室まちあいしつは落おち着つくところではない。さまざまな患者かんじゃさんがいる。体調たいちょうが悪わるく横よこになっている人ひともいるし、咳せきをしている人ひともいる。赤あかい顔かおをしている人ひともいる。そんななか、早はやく順番じゅんばんがこないかなと多少たしょうイライラしながら診察しんさつを待まっている。そんな気きぜわしい状態じょうたいで血圧けつあつを測はかっても、平常へいじょうなときと同おなじ数値すうちが出でるとは限かぎらない。「白衣はくい性せい高だか血圧けつあつ」といわれるが、医師いしや看護かんご師しの白衣はくいを見みただけで、緊張きんちょうして血圧けつあつが上あがるといわれている。

　日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいでは、血圧けつあつは自宅じたくで測はかることを提唱ていしょうしている。自宅じたくで落おち着ついた状態じょうたいで血圧けつあつを測はからなければ、正確せいかくな血圧けつあつ値ちがわからないからだ。それなのに、病院びょういんの待合室まちあいしつで血圧けつあつを測はからせるのはなぜだろう。

　少すこし古ふるいが2010年ねんの国民こくみん健康けんこう栄養えいよう調査ちょうさによると、高血圧こうけつあつを指摘してきされて自宅じたくで血圧けつあつを測はかったことがある人ひとを調しらべると、対象たいしょう総数そうすう7877人にんのうち3424人にんの人ひとが自宅じたくで血圧けつあつを測はかったことがあると述のべている。割合わりあいにして43.5％。これは、4割わりの人ひとが自宅じたくに血圧けつあつ計けいを持もっているという証拠しょうこだ。今いまはもっと増ふえているかもしれない。なぜ医師いしは、自宅じたくで毎日まいにち測はかってデータを持もってきてくださいといわないのだろう。

　かつて私わたしの主治医しゅじいは、毎日まいにちの血圧けつあつデータを書かき込こむ簡単かんたんな用紙ようしをくれ、それによって自宅じたくで血圧けつあつの変化へんかを自覚じかくすること、さらに次回じかい診察しんさつのときにデータを持もってくることを伝つたえた。

　その後ご、今いまの主治医しゅじいに替かわり、手術しゅじゅつを受うけるなどいろいろ変化へんかがあり、一時いちじは日々ひびの血圧けつあつデータを持もっていくことを怠おこたっていたが、再ふたたびデータを持もっていくようになると、主治医しゅじいも診察しんさつのときに「血圧けつあつのデータを見みせてください」というようになった。

　私わたしは病院びょういんでは血圧けつあつは測はからない。毎日まいにちのデータのほうがはるかに重要じゅうようなことを知しっているからである。
（文ぶん＝蒲谷かばや茂しげる／医療いりょうジャーナリスト）