5月8日、神戸山口組のナンバー2である二代目宅見組組長宅に乗用車が突っ込んだのは記憶に新しい。犯行は六代目山口組系組員によるものだったが、同組織による武力行使の対象は神戸山口組に限ってのものではない。その直前の5月3日には、昨年、神戸山口組から割って出て、現在は独立組織となっている池田組(池田孝志組長・岡山)の関連先に軽貨物車がバックで突入。出頭したのは、六代目山口組傘下である五代目山健組系組員であった。
池田組を率いる池田孝志組長は、神戸山口組で舎弟頭や最高顧問を務めていたが、その後に離脱。同じように神戸山口組から離脱した絆會(織田絆誠会長)と親睦を深めつつも、独立組織として存続している。これについてヤクザ業界に詳しいジャーナリストはこう語る。
「六代目山口組サイドは神戸山口組を組織として認めていませんが、同じく池田組長も六代目山口組から割って出た際に絶縁しているのですから、池田組を認めているとは考えにくい。現に池田組には、今回の車両特攻だけに限らず、さまざまな武力行使が行われています。今後も池田組を解散し、池田組長が渡世から引退しない限り、そうしたことは続くのではないか。それに対して、神戸山口組も池田組も報復に出るようなことはしていません。必然的に組織力が衰退していくのではないでしょうか」
そして、絆會にも不穏な動きが起きた。5月10日、三重県で絆會の直系組長が発砲され、負傷する事件が起きたのだ。出頭してきたのは、やはり六代目山口組の二次団体、三代目一心会系組員だった。
「絆會は結成後しばらくは山口組の菱の代紋を使用し、任侠山口組(発足時は任俠団体山口組)を名乗っていたが、のちに山口組の名称を外し、新たな代紋を掲げ、再出発している。その過程では、解散説や六代目山口組に復帰するのではないかという噂が流れる同時に多くの組員が絆會をあとにした。六代目サイドが、今後も絆會をそのまま認めておくとは考えられないのではないか」(業界関係者)
そうした中でも、神戸山口組井上邦雄組長(73歳)が「80歳までの現役を続ける」と口にしたという噂が業界内を駆け巡り、水面化ではさまざまな波紋を呼んでいるという。
さらに、こうした不穏な空気は伝播すると古くから業界内では言われてきたが、実際に5月13日、六代目山口組系組員が大阪ミナミで遺体で発見されるという事件が起きたのだ。
「殺人事件として扱われているこの事件の被害者は、六代目山口組の中核組織、三代目弘道会系組員で、大阪界隈では知られた人物だった。もともとは別の六代目山口組系組織に在籍しており、事件が発覚した数日前から、携帯電話を置いたまま連絡がつかないと、組織内では安否確認が行われていた」(地元関係者)
その後、この組員の遺体はビルの隙間から発見されるのだが、犯人として噂されているのが、あるポーランド人なのだ。そして、その直後、その報復ではないかと見られる動きも起きていると業界関係者らは話している。犯人は事件後、すぐに出国したのではないかともいわれており、山口組分裂問題との関連は不明だが、捜査当局がさまざまな角度から警戒を強めているというのだ。
山口組周辺では、5月に入り、急速に不穏な動きが拡大化しつつあり、それらが分裂問題に影響を及ぼす可能性が出てくるのではないかとの懸念も生まれている。