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朝日、優れた吉田調書報道取り消しという愚行 記者の声を封殺し、権力にすり寄る | ビジネスジャーナル
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朝日あさひすぐれた吉田よしだ調書ちょうしょ報道ほうどうしという愚行ぐこう 記者きしゃこえ封殺ふうさつし、権力けんりょくにすり

ぶん大石おおいし泰彦やすひこ青山学院大学あおやまがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ

朝日、優れた吉田調書報道取り消しという愚行 記者の声を封殺し、権力にすり寄るの画像1吉田よしだ調書ちょうしょしをほうじる2014ねん9がつ12にちづけ朝日新聞あさひしんぶんデジタル」
慰安いあん報道ほうどう問題もんだい」「吉田よしだ調書ちょうしょ報道ほうどう問題もんだい」「池上いけがみコラム掲載けいさい拒否きょひ問題もんだい」とつづいた一連いちれん朝日新聞あさひしんぶん不祥事ふしょうじは、昨年さくねん11がつ14にち木村きむらりょうぜん社長しゃちょう引責いんせき辞任じにん、さらに今年ことし1がつ6にちの「信頼しんらい回復かいふく再生さいせいのための行動こうどう計画けいかく」の発表はっぴょうによって一応いちおう一区切ひとくぎりをつけたかたちになっている。しかし、このあいだ朝日あさひ紙面しめんには断続だんぞくてき膨大ぼうだいりょうの「ご説明せつめい」「おび」「反省はんせい」が掲載けいさいされているにもかかわらず、なんだか釈然しゃくぜんとしない気持きもちがのこるのはなぜだろうか。

 冒頭ぼうとうげた3つの問題もんだいのうち、池上いけがみコラム問題もんだいはひとまずよこき、のこる2つの問題もんだいとく東京電力とうきょうでんりょく福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょにおける事故じこ調査ちょうさかんする記録きろく、いわゆる吉田よしだ調書ちょうしょ問題もんだいについてかんがえてみたい。この2つはいずれも朝日あさひ誤報ごほう、あるいは捏造ねつぞうとして指弾しだんされたり議論ぎろんされたりしているが、両者りょうしゃ本質ほんしつおおきくことなっている。そして、このことを説明せつめいするのに便利べんり概念がいねん虚報きょほう誤報ごほうである。

 おなじメディアの間違まちがいでも、虚報きょほう誤報ごほうではみずあぶらほどにちがう。虚報きょほうとは、虚偽きょぎ事実じじつ真実しんじつであるといつわってほうじること、あるいは虚偽きょぎ事実じじつものにだまされて、それを真実しんじつとしてほうじてしまうことであり、最近さいきんでは「週刊しゅうかん新潮しんちょう」(新潮社しんちょうしゃ)の「朝日新聞あさひしんぶん襲撃しゅうげきはん手記しゅき事件じけん」(2009ねん)、「読売新聞よみうりしんぶんのiPS移植いしょく報道ほうどう事件じけん」(12ねん)などがこれに該当がいとうする。これにたいして誤報ごほうとは、調査ちょうさ報道ほうどうなどにふくまれる事実じじつ不正ふせいかくせい、あるいは事実じじつたいする解釈かいしゃくあやまりが一定いってい許容きょよう範囲はんい記事きじ誤差ごさについて、読者どくしゃとのあいだみとめられる一種いっしゅの「暗黙あんもく了解りょうかい」)をえる場合ばあいもちいられる用語ようごである。

 メディアが虚報きょほうつたえた場合ばあいには、すみやかな調査ちょうさ記事きじし・削除さくじょ必要ひつようになり、また関係かんけいしゃきびしい処分しょぶんせられるのもやむをない。しかし、誤報ごほう場合ばあいちがう。この場合ばあいにも、適切てきせつ検証けんしょう必要ひつよう範囲はんい訂正ていせい必要ひつようであるが、関係かんけいしゃ処分しょぶんには慎重しんちょうであるべきで、しなどとんでもない。うまでもなく、誤報ごほうは、おかみ発表はっぴょうした情報じょうほうをそのままなが場合ばあいにはほとんどこりえない。メディアが主体しゅたいてき社会しゃかい問題もんだいい、独自どくじ事実じじつこそうとする「調査ちょうさ報道ほうどう」、それも、いんぺいされた権力けんりょく本質ほんしつればせまるほど、誤報ごほう危険きけんもまたすことになるのである。もし、誤報ごほう虚報きょほう同一どういつしてきびしくまることになったら、だれしょくして政治せいじ権力けんりょく社会しゃかい権力けんりょくせまろうとするだろうか。メディアの調査ちょうさ報道ほうどうへの意欲いよくはそがれ、ジャーナリズムは際限さいげんなく萎縮いしゅくし、権力けんりょく御用ごよう機関きかんへのみちあゆむのではないだろうか。

権力けんりょくにすり朝日あさひ

 慰安いあん報道ほうどうのうち、文筆ぶんぴつ吉田よしだ清治きよじ日本にっぽんぐんによる強制きょうせい連行れんこう告白こくはくした「吉田よしだ証言しょうげん報道ほうどうは、虚報きょほうせいたかいとおもう。しかし、吉田よしだ調書ちょうしょ報道ほうどう虚報きょほうでないことは明白めいはくであり、ひゃくゆずってもそれはいさあし誤報ごほうである。むしろそれは、日本にっぽんというくに体制たいせい根幹こんかん存在そんざいする暗部あんぶ肉薄にくはくする、まれにすぐれた調査ちょうさ報道ほうどうであった。しかし、それゆえにこそ――おなじく権力けんりょく核心かくしんせまった、かつての沖縄おきなわ密約みつやく報道ほうどう徹底的てっていてき弾圧だんあつされたように――原発げんぱつさい稼働かどうをもくろむ政治せいじ社会しゃかい権力けんりょくは、これに捏造ねつぞうのレッテルをりつけ、抹殺まっさつしたかったのであろう。それは、このくにでこれまでにもかえされてきたことであり、いまさらおどろかないが、朝日あさひ内部ないぶ何者なにものかがこれに呼応こおうし、味噌みそくそ一緒いっしょにすることで事態じたいをごまかし、同紙どうし権力けんりょくしゃ以外いがいだれのぞまない記事きじしという“自殺じさつ”にいたったことはおどろきであり、本当ほんとう残念ざんねんである。

 14ねん11月9にちづけ日刊にっかんゲンダイの連載れんさい記事きじ『おわら朝日新聞あさひしんぶん まだ炎上えんじょうちゅう井上いのうえ久男ひさおだい7かい前代未聞ぜんだいみもん 誤報ごほうめつけられた記者きしゃ提訴ていそも』では、「『吉田よしだ調書ちょうしょ報道ほうどう中心ちゅうしんとなった記者きしゃ2にん」が、「(朝日あさひの)第三者だいさんしゃ委員いいんかいの『報道ほうどう人権じんけん委員いいんかい』にたいして、誤報ごほうめつけられてしまったことにより、人権じんけん名誉めいよきずつけられたとして審理しんりもうてて」いるとつたえている。しかし、11月13にちづけ朝日新聞あさひしんぶん紙面しめん発表はっぴょうされた『朝日新聞社あさひしんぶんしゃ吉田よしだ調書ちょうしょ報道ほうどう 報道ほうどう人権じんけん委員いいんかい(PRC)の見解けんかい全文ぜんぶん』をても、このもうてについてはれられていないし、またそれだけではなく、筆者ひっしゃ範囲はんいでは、朝日あさひ紙面しめんでは一切いっさいこの現場げんば記者きしゃ主張しゅちょう言及げんきゅうしていない(新聞しんぶんでもかけない)。また、「吉田よしだ調書ちょうしょ誤報ごほうではなく、事故じこ当時とうじ状況じょうきょうはまぎれもない『撤退てったい』であった」とする、原発げんぱつ問題もんだい調査ちょうさする弁護士べんごしグループの主張しゅちょうについても、朝日あさひ一顧いっこだにしていない。

 みずからを擁護ようごするこえ無視むしして、朝日あさひなににすりろうとしているのか。

 15ねん1がつ朝日あさひは「信頼しんらい回復かいふく再生さいせいのための行動こうどう計画けいかく」を発表はっぴょうし、そのなかで「調査ちょうさ報道ほうどう充実じゅうじつ」「多様たよう言論げんろん尊重そんちょう」などの方針ほうしんしている。しかし、そのまえ上層じょうそうと「何者なにものか」によって仕組しくまれた「吉田よしだ調書ちょうしょ事件じけん」の全貌ぜんぼうあきらかにされなければ、「行動こうどう計画けいかく」にまれた美辞びじのすべてがむなしくうつる。
ぶん大石おおいし泰彦やすひこ青山学院大学あおやまがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ

大石泰彦/青山学院大学法学部教授

大石おおいし泰彦やすひこ青山学院大学あおやまがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ

青山学院大学あおやまがくいんだいがく法学部ほうがくぶ教授きょうじゅ経済けいざい学者がくしゃせんもん近代きんだい経済けいざいがく東京とうきょう大学だいがく名誉めいよ教授きょうじゅもと東京大学とうきょうだいがく経済学部けいざいがくぶちょう日本にっぽん会議かいぎ代表だいひょう委員いいんくんとう瑞宝章ずいほうしょう受章じゅしょうしゃ

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