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R18ゆうせつないけどたのしい物語ものがたり同級生どうきゅうせい、リーマン、日常にちじょうけいのおはなしです。

オリジナル小説しょうせつ・イラスト・漫画まんがなど なんでもおもうまま創作そうさくちゅう

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2016/01/12

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  • ほどける指先ゆびさき 196

    きしもどってると、テーブルにジュースのはいったコップをいてくれた。「オレはコンビニでったおにぎりべるけど、千晶ちあきくんはおなかいてない?」 テーブルのまえこしろしていてくれる。「食事しょくじませたので大丈夫だいじょうぶです。......黒田くろださんはなんごろかえってるんですか?」「大体だいたい9ごろかな?ファミレスのキッチンにはいってるってってた。アイツ料理りょうりつくるのきだからさ、結構けっこうたのしんでるんじゃない?」 黒田くろだことはなきしは...

  • ほどける指先ゆびさき 195

    「サボっちゃいますか?」 ふいに千晶ちあきくちから言葉ことばに、きし身体しんたいかたまる。けかけたコンビニのふくろをそのままに、千晶ちあきほうをやったが、ふざけているわけでもなさそうで、じっときし視線しせん返事へんじっているようだった。「......いいの?」「ええ、今日きょう勉強べんきょうする気分きぶんじゃなくて、多分たぶんなにあたまはいってないとおもうし。......でも、きしさんは大切たいせつ時間じかんですもんね」「......いやいや、千晶ちあきくんがそううんならオレも。たまには...

  • ほどける指先ゆびさき 194

    学校がっこういて、千晶ちあきがく気付きづいたのは、幼馴染おさななじみ松下まつしただった。「おはよう」「おはよう、.....なんかあった?」と、松下まつしたはさりげなく千晶ちあきよこるといてた。多分たぶん幼稚園ようちえんころから千晶ちあきくせ見抜みぬいていたのだろう。こまったことがあると、よくがくいていたので、松下まつしたきずつく千晶ちあき心配しんぱいしていた。それがいまだにつづいていることに、すこ複雑ふくざつ心境しんきょう。「べつに、.....また今度こんどはなすよ」 それだけった千晶ちあきは、自分じぶん教室きょうしつはいってっ...

  • ほどける指先ゆびさき 193

    千晶ちあき支度したくをしていると、ドアがノックされて「ちあき、はいっていい?」と正美まさみこえ。「いいよ」とこたえると、ドアがそっとひらいて正美まさみはいってる。「おはよ」「おはよう」 千晶ちあきけたままうと、正美まさみちかづいてかおのぞむ。「あ、、、」とこえると、千晶ちあきがくかか前髪まえがみをそっとえがげてためいきをついた。「またやったな。.....きずになるとあとのこっちゃうぞ」 そうってかみろすと千晶ちあきあたまをクシャッとでた...

  • ほどける指先ゆびさき 192

    翌朝よくあさ千晶ちあきはベッドのなかでぼんやりけて、まどのカーテンしからはい陽射ひざしをながめていた。昨夜さくや結局けっきょく夕飯ゆうはんべないまま、はは正美まさみ自分じぶん部屋へやからてはなかったようで、千晶ちあきもベッドにもぐんでいきころようにしていた。 一旦いったん状態じょうたいこしてから、ふたたびうつせになった千晶ちあきは、がくいたみをかんじてゆびはらでそっとでてみる。と、きむしったところがきずになっていて、ヒリヒリといたみをかんじた。「こりゃあひどいな.....」 まくら...

  • ほどける指先ゆびさき 191

    だれからも、京子きょうこ表情ひょうじょう困惑こんわくいがんでいるのがれる。くちなにかをいたげにひらいたままで、でも言葉ことばにはならなくて。眼差まなざしだけがつよ正美まさみとらえているのがかった。「オレがわるいんです、おかあさん。千晶ちあきなにもわからなくて......オレが千晶ちあきを......」 そこまでった正美まさみだったが、「やめて!!」と怒鳴どなった京子きょうこばされてしまい、身体しんたいうしろのかべたってドンとおとをたてた。おどろ千晶ちあきにんほうくと、「ははさ...

  • ほどける指先ゆびさき 190

    学校がっこうなかでは、いつもとおごせていたとおも千晶ちあきだったが、授業じゅぎょうわり帰宅きたくしてじゅく支度したくをしていると、ふいに身体しんたいちからけてくる。っていたのだろうか、一旦いったんこしろしたらがるのが億劫おっくうになってしまった。 あたまなか色々いろいろことがぐるぐるとめぐるが、一向いっこうにまとまりはなくて、かんがえなくてもいいことまでかんではえた。 リビングのソファーに身体しんたいあづけてよこたわれば、そのままがれなくなってしまう。...

  • ほどける指先ゆびさき 189

    ねむれぬよるごし、それでも学校がっこうくためにベッドからがった千晶ちあきは、おも足取あしどりで部屋へやるとしたかいりてった。 キッチンでは、京子きょうこめずらしく朝食ちょうしょく用意よういませていて、テーブルにならんだスクランブルエッグやベーコン、サラダなどがさらられていた。コーヒーをれているははに、千晶ちあきが「おはよう」とこえける。「あ、おはよう。......昨夜さくやはごめんね、突然とつぜんおどろいたよね。いまパンを用意よういするからすわってなさい」...

  • ほどける指先ゆびさき 188

    千晶ちあきかたふるえ、正美まさみはそっと背中せなかからおおいかぶさるようにきしめる。「......ま、さみ......、おれ、どうすれば......」 たどたどしくこえせば、さらきしめるちからつよくなった。そのうでつかんでにぎめると、千晶ちあきからなみだつぶこぼちる。「ごめん、千晶ちあき、......とうさんが......わるいんだ」 正美まさみこえふるえてこえる。「ちが、.........」 ちがうといたかったが、言葉ことばにならなかった。いまはどちらがわるいとか、そんなことは...

  • ほどける指先ゆびさき 187

    ドアをけると、よう部屋へやはいって、ていた制服せいふく乱暴らんぼうてた。この気持きもちをどうあらわせばいいのか、どこかでこんなかんもあった。でも、いまじゃないとおもった。 スウェット上下じょうげ着替きがえると、江本えもとからりた漫画まんがをベッドのまくらしたかくす。それから布団ふとんもぐんで身体しんたいまるめた。 かなしいのかつらいのかからない。なみだなかったが、はらそこからがるものしたくて、まくらつかむとおもこえをあげる。...

  • ほどける指先ゆびさき 186

    夕飯ゆうはんわると、玄関げんかんほうおとがした。「あ、多分たぶん母親ははおやかえってたとおもう」 そううと、江本えもとがってドアのところから廊下ろうかほうかおす。パタパタとスリッパのおとちかづいて、江本えもとが「おかえり」とこえけると、「ただいま、だれてる?」とこえがした。「うん、おなじクラスの藤城ふじしろくん」 その言葉ことばわらないうちに、ドアと江本えもと隙間すきまからのぞかおえる。「あ、お邪魔じゃましてます。カレーもご馳走ちそうになって、すみません」...

  • ほどける指先ゆびさき 185

    「その漫画まんがしてあげるけど」 ふいに背後はいごからこえけられてこげ千晶ちあき片手かたてにコップ、もう片手かたてにコンビニでったものをふくろごとげてっている江本えもとはいってた。 千晶ちあきあせってほんくが、江本えもとつくえうえにコップをいてジュースをそそぐとす。「まだってるんだ?」 コップをっていた千晶ちあきに、江本えもとはうっすらとみをかべて「もちろんだよ。だってさぁ、結構けっこう勉強べんきょうになるじゃん」とう。「勉強べんきょうって、......まつり...

  • ほどける指先ゆびさき 184

    なつのむせるようあつさがすこはじめたころ正美まさみ部活ぶかつ毎晩まいばんのようにおそくなっていた。国体こくたいけてメンバーもまり、岡部おかべつづいてひかえのメンバーにはいこと出来できたので、練習れんしゅう集中しゅうちゅうしていたのもあった。身長しんちょうはあっても体格たいかくけてしまうことおおく、そのため食事しょくじりょうやしたりと試行しこう錯誤さくごしていたが、ようやくこの2ヶ月かげつあいだでリバウンドのさいたりけしなくなってよろこんでいた。 千晶ちあき相変あいかわらず学校がっこうじゅく両方りょうほう勉強べんきょう三昧ざんまい。このころにはゆう...

  • ほどける指先ゆびさき 183

    千晶ちあき受験じゅけん勉強べんきょうは、京子きょうこおもようすすんでいなかった。それがかったのは、じゅくから保護ほごしゃてた試験しけん結果けっか桐島きりしま高校こうこう合格ごうかくするには、じゅくおこなう試験しけんがあって、一定いってい成績せいせきをとらないとむずかしい。昨夜さくや、その封筒ぶうとうはいった結果けっか京子きょうこかたとした。「千晶ちあきはちゃんと勉強べんきょうしているとおもってた。夏休なつやすちゅうやすまずじゅくかよってたし.....」 かいから、みずみにりて千晶ちあき封筒ふうとうせながら京子きょうこった。表情ひょうじょういたって普通ふつうかなし...

  • ほどける指先ゆびさき 182

    千晶ちあき異変いへん気付きづいたのは、夏休なつやすみがわり学期がっきはじまってすぐのこと正美まさみ部屋へやにも時々ときどきことはあり、正美まさみはあのよることがトラウマのようになっていて、千晶ちあきれるとき細心さいしん注意ちゅういはらっていた。でないと、容易よういこわしてしまいそうでこわかった。 そのばんも、千晶ちあき正美まさみのベッドにもぐんでくると、性急せいきゅう身体しんたいもとめてた。そして、いつものようやさしくれる正美まさみたいして、きゅう上体じょうたいこすと「正美まさみおれこと負担ふたんおもってるんだ...

  • ほどける指先ゆびさき 181

    夏休なつやすみもわりにちかづくと、課題かだい仕上しあげるため午前ごぜんちゅう自室じしつこもっている千晶ちあきちち言葉ことばいたつぎに、それとなくあやまようなメッセージをもらい、かえってわずらわせてしまったとおも千晶ちあきだった。あれから夕飯ゆうはん自分じぶん正美まさみぶんしかつくらなくなった。はは京子きょうこいたっては、ちちとのやりりをじゅつもなく、相変あいかわらず仕事しごと没頭ぼっとうする毎日まいにちで、子供こどもとしては両親りょうしんなか心配しんぱいになる。「ねえ、最近さいきんとうさんとかあさん、ちゃんと会話かいわしてるのかな...

  • ほどける指先ゆびさき 180

    どうしても、ちちつぶせしんった言葉ことばらない正美まさみは、部屋へやのドアをノックすると「はいるよ」とってドアをけた。「どうかしたか?」と、風呂ふろ準備じゅんびをしていたつぶせしんが、着替きがえをにして正美まさみたが、その表情ひょうじょうはあからさまに不機嫌ふきげんそうで、すぐにいましがた自分じぶんった言葉ことばのせいだとかる。「とうさんさぁ、千晶ちあきがせっかく料理りょうり頑張がんばってるのに、あんないいかたひどいよ。二人ふたりおそくなるのは承知しょうちで、ちゃんと保存ほぞんできるようにして...

  • ほどける指先ゆびさき 179

    はんべな がらの会話かいわはいつもとわらない。千晶ちあき勉強べんきょうむずかしいところを正美まさみくし、正美まさみはバスケで練習れんしゅう試合しあいをしたことやポジションがわったことはなす。わりえしないはなしでも、べながらのものはそれだけでたのしいとおもえるし、しょくすすんだ。「あらものはオレがするから、千晶ちあきはリビングでゆっくりしな」 がると、正美まさみがそういうので、ありがとう、とって千晶ちあき自分じぶんさらわたすとキッチンからた。 本当ほんとう正美まさみほう...

  • ほどける指先ゆびさき 178

    今夜こんや夕飯ゆうはんは、簡単かんたんやし中華ちゅうかつくってべることにする。キュウリやトマト、ハムに玉子たまごきざんで用意よういしておくと、のちめんでるだけ。冷蔵庫れいぞうこにしまって、正美まさみかえってきたら準備じゅんびすればいい。 えず、さきにシャワーをびるため浴室よくしつかう。身体しんたいあらいながら、最近さいきん正美まさみれられていないせいで、性欲せいよくまりつつあるが、それを自分じぶん処理しょりするにもなれなかった。 簡単かんたんませると、浴室よくしつからかみかわかさないままキ...

  • ほどける指先ゆびさき 177

    あのよるからいち週間しゅうかん正美まさみ千晶ちあきれることはなかった。部活ぶかつはじまると、つかれを理由りゆうにひとりでねむりたいといい、正美まさみ千晶ちあきとおざけた。二人ふたりあいだには、なんとなく共通きょうつうして戸惑とまどいがある。一線いっせんえて、つながりたいという気持きもちとおなじくらい、どうなってしまうんだろうかと、不安ふあんもあった。それを払拭ふっしょくできないまま、えずよるはなれてねむことにしたわけだ。 千晶ちあきは、じゅくかえりにバス停ばすていきし出会であうのではないかと、まずさもかかえなが...

  • ほどける指先ゆびさき 176 *

    ベッドのふちこしけて、見下みおろしたさき千晶ちあきれる頭部とうぶえる。そして時折ときおりかくれする自分じぶんかたしんが、千晶ちあきのくちびるにまれると、こしのあたりがうずいてしまいちからはいった。「ぁあっっ、..........」と、ひくうめいてしまえば、チラッと正美まさみ見上みあげる千晶ちあき眼差まなざしが、むね射貫いぬくようにあつい。正美まさみかんじているのかをたしかめるように、なん見上みあげられて、つい正美まさみ千晶ちあきあたまさえつけた。 かれて、そのたびちから...

  • ほどける指先ゆびさき 175 *

    必死ひっしきついてくる千晶ちあき可愛かわいくて。 正美まさみは、指先ゆびさき丁寧ていねいうごめかせ、出来できるだけいたくないようあな刺激しげきする。本当ほんとうは、自分じぶんたぎったものをそこにみたくて、でも、傷付きずつけてしまうのがこわくて、いきおいにまかせてしはじめたことすこ後悔こうかいした。まえきながらあなはいったゆびすこしづつおくすすめると、きゅう千晶ちあき身体しんたいがビクンとねた。同時どうじに、ひぁぁっ、とへんこえ耳元みみもとこえて、おどろいた。「ど、どうした?」と、千晶ちあきかおのぞむと、...

  • ほどける指先ゆびさき 174 *

    正美まさみにキスをされて、そのままうしろをいじくられて、まえ自分じぶんらそうとしたときには、ゆび一本いっぽんさきっぽがせいぜい。それも異物いぶつかんがハンパなくて、あきらめてしまった。なのに、いまはキスをされているせいか、興奮こうふん状態じょうたいだからなのか、あまり不快ふかいかんかんじなかった。むしろ、ちょっと気持きもかったりして、あたまおくがぼんやりしてくる。「ぁ、.......まさみ、ぃ...............」 息継いきつぎをしたときに、おもわずこえれてしまい、それが正美まさみふるりつ...

  • ほどける指先ゆびさき 173

    ベッドによこたわりながら、正美まさみかえりに出会であったきし姿すがたおもしていた。あの表情ひょうじょうおもすと、むねのあたりがくるしくなり、益々ますます千晶ちあきめておかなくては、とおもってしまった。めるなんて出来できわけがないのに.....。 千晶ちあきに、きしうなとうのは、底意地そこいじわるいとおもわれてしまうかも。でも、わなければ千晶ちあき簡単かんたんきしにかかってしまいそうで。それだけは回避かいひしたかった。 にえ々とおもいをめぐらせていると、ドアがひらき...

  • ほどける指先ゆびさき 172

    そのよる両親りょうしんかえりはいつもとおおそくて、千晶ちあき正美まさみのちにシャワーをびようと、リビングでっていた。 テレビの音声おんせいきながら、視線しせん携帯けいたい画面がめんけられている。まつりで久々ひさびさ出会であった吉村よしむらからメールがていて、それに返信へんしんをするが、内容ないよう今日きょう紹介しょうかいされた年上としうえのカレシの惚気のろけたいしてのもの。ボーイズラブの漫画まんがりてから、なんはあった。そのころは、まだカレと出会であっていなくて、なになら千晶ちあき好意こういせてい...

  • ほどける指先ゆびさき 171

    人通ひとどおりのすくなくなったみちで、うでつかまれたままじっとだまっていると、そのうちいえほうかってある正美まさみられる千晶ちあきひじうえあたりをグッとつかまれて、段々だんだんいたくなってきた。なのに、一向いっこうつかんだはなさないので、千晶ちあきはとうとうこえをあげると、はなしてよ、とった。 フッと千晶ちあきかえり、ようや正美まさみはなす。「いたいんだよ、力任ちからまかせにつかんでさぁ。れるかとおもった」 そううと、うでこすってせる。「.....ごめん...

  • ほどける指先ゆびさき 170

    正美まさみきしあいだ不穏ふおん空気くうきただよい、千晶ちあきはおろおろとするばかり。 自分じぶんたちがつながった兄弟きょうだいでないこときしっている。そのことで、正美まさみ千晶ちあきかおると、「おまえはなしたの?」といた。「あ、......ごめ、......でも、べつかくことじゃないし」 千晶ちあきは、正美まさみするど視線しせんけられて、うわずったこえった。べつに、小学生しょうがくせいときからの友達ともだち同級生どうきゅうせいにはられていることだ。かたくなにかく必要ひつようはないとおもっていた。 きしは、なお正美まさみに...

  • ほどける指先ゆびさき 169

    正美まさみ言葉ことばきずついた千晶ちあきは、ほおふくらませたままどんどんさきあるいてく。「ちょっと、千晶ちあき、、、、」といながらこまがお正美まさみ千晶ちあきのちいてくが、そのうちあきらめてゆっくりあるした。 千晶ちあきおとうとってしまったことわるくしたのはかっている。だが、事実じじつだし、自分じぶんとしてはおとうと千晶ちあききになってしまったので、それはかってしいとおもう。 千晶ちあき背中せなかがどんどんとおざかって、かえりもせずにあるつづける姿すがたる...

  • ほどける指先ゆびさき 168

    雑踏ざっとうもどって、もの屋台やたいさがす。プラスチックの容器ようきはいったいろとりどりのジュースが、南国なんごくおもわせるイラストのだいうえならんでいて、千晶ちあきはじっと物色ぶっしょくしながらあるいた。可愛かわいかたちをしたストローがさっているのは、値段ねだんたかくてちょっとうのをためらう。 すこあるいて屋台やたいさがすが、ほとんどたようなものばかり。かといって、自販機じはんきちかくにはい。仕方しかたなく、もどりながら最初さいしょみせのジュースをおうと、みせまえならんだ...

  • ほどける指先ゆびさき 167

    夏休なつやすちゅう千晶ちあきたちの両親りょうしん何故なぜ仕事しごとてられているようで、相変あいかわらず子供こどもたちだけでの時間じかんごすこととなった。 正美まさみは、ちちははがいいをしているのをいてしまって、それを千晶ちあきえないままいることで、気持きもちはとても複雑ふくざつだった。「まあ、毎年まいとしこんなかんじだよな」と、あきらめたようないいかた千晶ちあきに、正美まさみも「そうだな」と同意どういするしかない。「おばあちゃんのいえってみる?」 正美まさみがそうったが、千晶ちあき祖母そぼからたび...

  • ほどける指先ゆびさき 166

    じゅくかえりにきし出会であことおおかったせいで、千晶ちあきバス停ばすていくとあたりを見回みまわした。前回ぜんかい方向ほうこうには見当みあたらなくて、すこしだけ安堵あんどする。 きしこと別段べつだんきらいではないし、センパイとしてやさしくせっしてくれるので、そこは有難ありがたいとおもう。が、うということとはべつだ。きしが、同性どうせいとのいをしとする人種じんしゅなのがかって親近しんきんかんおぼえたが、自分じぶん矛先ほこさきけられると曖昧あいまい返事へんじ出来できないとおもう。それに、自分じぶん正美まさみ以外いがいおとこ大事だいじ...

  • ほどける指先ゆびさき 165

    あさはやいというのに、セミのこえ目覚めざめた千晶ちあきは、となりでうつせのままねむ正美まさみかたする。「正美まさみきなよ、部活ぶかつくんだろ?」 こえだけけると、自分じぶん正美まさみ身体しんたいまたいでベッドからりた。いでゆかちたままのTてぃーシャツをこうむると、ハーフパンツを穿いてもう一度いちど正美まさみかおる。「おい、おれくから、ちゃんときなよね」「.......う~ん、かったぁ」 寝惚ねぼこすりながら、そうってまくらした正美まさみ。 ...

  • ほどける指先ゆびさき 164

    ちちこと心配しんぱいなのに、ふたりでベッドにはいってしまえば、いたよう千晶ちあき正美まさみたがいにヌきうと、おおきく深呼吸しんこきゅうをして正美まさみがった。「のどかわいたからみずってる」 そうって、Tてぃーシャツをて、部屋へやから正美まさみ背中せなか見送みおくりながら、千晶ちあきあたま片隅かたすみにしまったきし言葉ことばおもす。 階下かいかりてった正美まさみは、リビングから両親りょうしんこえこえたので、こえけようと近寄ちかよってったが、なんだかこえ調しらべ...

  • ほどける指先ゆびさき 163

    正美まさみ体温たいおん背中せなかかんじて、いつもならけるところだが、今夜こんやはなんだか安心あんしんしてまかせられた。一応いちおう両親りょうしんかえってないこと大前提だいぜんていだが、まわされたうで千晶ちあき身体しんたいいじって、はらむねあたりにびてくるとすこしだけ期待きたいしてしまう。あんじょう正美まさみ指先ゆびさき千晶ちあきむね敏感びんかんさきっぽをとらえるとキュッとつまむ。おもわずへんこえれそうになって、あわてて身体しんたいをグッとらせると、後頭部こうとうぶ正美まさみあごたった。「イテッ、、、」とおびえん...

  • ほどける指先ゆびさき 162

    「おまっ、、、そういうこと自分じぶんうから」 きし黒田くろだつかまれたかたをぐるんとまわしてけるとった。そして千晶ちあきかおると「ごめん、時々ときどきへんいうんだ、コイツ」とってれくさそうにわらう。「.....ぁ、いえ、.....」と、言葉ことばまるが、千晶ちあきくついてしまうと「あの、ホントに一人ひとりかえれますから」とって、一礼いちれいして玄関げんかんのドアをけてそとた。きしいてようとしたが、千晶ちあき階段かいだんりてったのでち...

  • ほどける指先ゆびさき 161

    きし黒田くろだ視線しせん自分じぶんそそがれているのをかんじて、千晶ちあきはなんとおうかと戸惑とまどった。くちにしてはいけない事実じじつ正美まさみためにも、ふたりの関係かんけいえない。「正美まさみはいいアニキですよ。ちょっとおれこと子供こどもあつかいするけど、まあ、いいアニキです。おとうととしておれこときなんだとおもいます」 ちゃんと自然しぜんえただろうか。おわると千晶ちあきはホットケーキをくちはこんでゆっくりと嚙みしめた。そのあいだにも心臓しんぞうはドクンと脈打みゃくうつが、コーラでのど...

  • ほどける指先ゆびさき 160

    キッチンからいいにおいがちこめてくると、しばらくしてさらった黒田くろだ千晶ちあききしまえにやってた。「おっ、これはホットケーキじゃん。黒田くろだつくるの美味うまいんだよなー」 きしまえかれたホットケーキをつめるとった。それから千晶ちあきかおると「遠慮えんりょしないでべなよ」と微笑ほほえむ。「おまえうな。つくったのはオレだし、藤城ふじしろおとうとにはオレがう」と、黒田くろだきしあたま小突こづいた。「あ、いただきます」と、黒田くろだうと、千晶ちあきは...

  • ほどける指先ゆびさき 159

    繁華はんかがいからほどちかところにある、スナックのようみせまえまったきしは、入口いりくちゆびさすと「ここににゅうろう」とった。「え?ここって.....」 千晶ちあきみせ看板かんばん見上みあげると、すこ戸惑とまどう。どうても大人おとなひとはいみせようがして、自分じぶんはいってもいいのだろうかと、きしかおた。「あ、ここって友達ともだち母親ははおやがやってるみせなんだ。いまはまだ開店かいてんまえだから、大丈夫だいじょうぶだよ。それに、このうえまいになってて、ちょっとものなにべさせて...

  • ほどける指先ゆびさき 158

    食事しょくじわると、ふたりはゲームセンターにかった。店内てんないおもったとお学生がくせいおおくて、自分じぶんたちとおなじぐらいの中高生ちゅうこうせい目立めだつ。なかにはおや一緒いっしょている小学生しょうがくせいたが、人気にんきのゲームのまえには高校生こうこうせいらしい男子だんしがたむろっていた。「結構けっこうんでますね。なんか、順番じゅんばんちしなきゃいけないみたい」「そうだね、あのあたりはオレとおな高校生こうこうせいだな。ったかおのヤツもるから.....」「あ、そうなんですか?.....どうしよう、おくほうきま...

  • ほどける指先ゆびさき 157

    * * * 正美まさみ怪我けがをしてから2週間しゅうかん千晶ちあき甲斐甲斐かいがいしく世話せわきながら、自分じぶんじゅく宿題しゅくだい片付かたづけるのにいそがしい日々ひびおくっていた。あること携帯けいたいいちつうのメールがとどいた。画面がめんて、千晶ちあきは「あっ」とこえすと一瞬いっしゅんなやむ。メールはきしからのもので、明日あしたあそばないかという内容ないようだった。 明日あしたじゅくで、正美まさみ部活ぶかつくというのでいちにちひまではあった。が、きしことをあまりおもっていない正美まさみには相談そうだん出来できない。...

  • ほどける指先ゆびさき 156

    あさになると、千晶ちあき正美まさみこさないようにベッドからそっとりる。寝返ねがえりがてないせいか、夜中よなかなんめる正美まさみは、朝方あさがたになるとようやつけるみたいで、千晶ちあききるころにはぐっすりと寝息ねいきをたてていた。 ちょっとまえまでは、正美まさみこされていたのに、とおもうと、自分じぶんでも成長せいちょうしたなとおもう。料理りょうりすこしならつくれるようになったし、すこしづつ正美まさみ近付ちかづいているようもする。 鼻歌はなうたじりにいちかいりてくと、京子きょうこ出掛でかけ...

  • ほどける指先ゆびさき 155

    多恵子たえこかえってくと、千晶ちあきはリビングでテレビを正美まさみよここしろした。「ばあちゃん、意外いがい元気げんきそうで安心あんしんしたな」とうと、「そうだな」と正美まさみ微笑ほほえむ。昨年さくねんこともあって、身体しんたい心配しんぱいはしていたが、自分じぶん時間じかんつくれるようになって、祖母そぼたのしんでいるのがかる。「そうだ、.......とうさんは結局けっきょくおそくなるって、さっきメールがてた。設計せっけいほうでゴタゴタしてるらしいよ。オレにはかんないけどさ、おかあさんにわるい...

  • ほどける指先ゆびさき 154

    ひさしぶりに祖母そぼ多恵子たえこまじえての夕食ゆうしょく千晶ちあきうれしかった。昨年さくねん多恵子たえこたおれて入院にゅういんするまでは、正美まさみがこのいえてからずっとさんにん食卓しょくたくかこんでいた。両親りょうしんとのつながりよりも、こうして祖母そぼ正美まさみてくれることなによりの安心あんしんかんあたえてくれる。「おばあちゃんの唐揚からあげ、やっぱり最高さいこう美味おいしい。まえ千晶ちあきつくったときは、あじがイマイチうすくて」 正美まさみはフォークで唐揚からあげをげながらはなす。「唐揚からあげはね、さき味付あじつけしてから...

  • ほどける指先ゆびさき 153

    バスが最寄もよりの停留所ていりゅうじょころには、黒田くろだたいする緊張きんちょうかんくなっていた千晶ちあき。ゆっくりといえまであるいていると、前方ぜんぽうからやって松下まつした姿すがたえた。「あ、アジーひさしぶり。どこおこなってたの?」 松下まつした口角こうかくげると、早足はやあし千晶ちあきまえにくる。日焼ひやけしたかお満面まんめんみで、夏休なつやすみにはいってはじめてかおわせたのでよろこんだようだ。「オッス、ひさしぶり。おれじゅくかえり、おまえはどっかくの?」「えへへー、じつ彼女かのじょ映画えいがかんくんだ。いち...

  • ほどける指先ゆびさき 152

    じゅく時間じかんをみながら仕度したくをした千晶ちあきは、リビングのソファーに寝転ねころんでいる正美まさみところにやってると、こえけた。「じゃあ、おれじゅくくから、かえってきたら夕食ゆうしょく準備じゅんびをするね」 なんとなく正美まさみ一人ひとりにするのは可哀かわいそうだとおもうが、じゅくやすわけにもいかない。ソファーで寝転ねころんだまま、かおだけをあげて千晶ちあき正美まさみは、渋々しぶしぶ笑顔えがおけてくれる。「いってら。........あんまり無理むりしてはやかえらなくてもいいよ。しっかり勉強べんきょう頑張がんばっ...

  • ほどける指先ゆびさき 151

    すこ窮屈きゅうくつ格好かっこうたせいか、目覚めざめた正美まさみはベッドからがるとくびをゴキゴキとらす。「あ、正美まさみ、......よくねむれた?」と、千晶ちあきびをするとたずねた。「ん~、やっぱり寝返ねがえりをたびになって、なんかがしない」「しばらくは仕方しかたないよ。いえるんだし、ねむくなったらソファーでててもいいからさ、身体しんたいやすめなきゃ」 そうってがる千晶ちあき正美まさみうで心配しんぱいそうにながめるが、正美まさみは「ボールれないのもつらい...

  • ほどける指先ゆびさき 150

    ベッドのえん腰掛こしかけた正美まさみは、かわいたかみひだりゆびたしかめると、満足まんぞくそうにまえ千晶ちあき微笑ほほえんだ。「ひとにやってもらうのってらくだな」「うでなおるまでは毎日まいにちおれかわかしてやるよ。あと、風呂ふろも」 そううと、フフフッとふくわらいをした千晶ちあき。ドライヤーのコードをけると、所定しょてい場所ばしょ仕舞しまう。「おれ自分じぶんのベッドでるから。正美まさみはゆっくりして」 正美まさみあたまくと、そうってはなれようとしたが、つかまれてもどさ...

  • ほどける指先ゆびさき 149

    浴室よくしつからてきた京子きょうこがリビングに千晶ちあき正美まさみこえける。「おとうさんは日付ひづけわってからじゃないとかえってないから、ふたりははやめにお風呂ふろはいってやすみなさいね。正美まさみくんの怪我けがことはメールでらせておいたから」 そううと、ニコリと微笑ほほえんで自室じしつもどってった。「相変あいかわらずとうさんは仕事しごとばっかりだな」 正美まさみあきれたようはな姿すがたに、千晶ちあきすこさびしさをかんじた。こんな、やはり父親ちちおやには心配しんぱいしてはたしいと...

  • ほどける指先ゆびさき 148

    千晶ちあき時計とけいはりると、仕方しかたなくつくりかけのやし中華ちゅうか完成かんせいさせてテーブルにならべた。はは京子きょうこかえってるかもしれない。べずにっているのもへん使つかわせてしまうとおもい、えず夕飯ゆうはんべてしまうことにした。 えてしばらくすると、玄関げんかんとびらいきおいよくひらいて「ただいまー、正美まさみくんかえってた?」と京子きょうこおおきなこえ廊下ろうかひびいた。キッチンにかおのぞかせると、千晶ちあきかおて「まだなのね?」と眉根まゆねげる。「コ...

  • ほどける指先ゆびさき 147

    いそいで帰宅きたくすると、玄関げんかん正美まさみくつがないこと確認かくにん。カギはどちらにしてもめることになっているから、ひょっとしてさきかえっている場合ばあいもあった。だが、くつがないということはまだ部活ぶかつからもどっていないということだ。 ゆっくりと自分じぶん部屋へやき、じゅくかばんつくえいた。あせをかいて気持きもわるいので、さきにサッとシャワーをびようと、着替きがえをつとしたかいりてく。夕方ゆうがただというのに、まだ陽射ひざしはつよくて、リビングのエアコンをいれ...

  • ほどける指先ゆびさき 146

    バス停ばすていくと、自販機じはんきった飲料いんりょうすいのキャップをけてゴクッとのどながむ。一気いっき身体しんたいうるおったがするが、がくあせぬぐってもしてきた。あっついな~ と、くちからは自然しぜん愚痴ぐちがこぼれ、バスの方向ほうこうをやったままふたた飲料いんりょうすいんだ。あせきシートをそうと、かばんひらいたときだった。千晶ちあき後方こうほうで「ちあきくん!」と名前なまえばれてビックリする。 名前なまえばれることがほとんどなかったので、近所きんじょひとだろ...

  • ほどける指先ゆびさき 145

    じゅくはいっているビルは、商業しょうぎょう施設しせつなら建物たてものかこまれている。人通ひとどおりもおおく、平日へいじつはサラリーマンやものきゃくにぎわっていた。舗道ほどうひとにぶつからないようあるいてくと、ビルにいてエレベーターにむ。5かい学習がくしゅうじゅくのあるフロア。したかい色々いろいろ会社かいしゃはいっていた。エレベーターにむと、一緒いっしょになった生徒せいとが3にんて、かおるのもずかしくてうつむ千晶ちあきだった。すこ緊張きんちょうはしる。 5かいくと、それぞれ自分じぶん教室きょうしつかっ...

  • ほどける指先ゆびさき 144

    きしことかんがえると、千晶ちあきいだちからはいる。「イ、タイ........」と、こしつかんだ正美まさみ千晶ちあきによってかれると、あわてて「ゴメン」とあやまった。「部活ぶかつつかれてるんじゃないの?........ま、いいけどさ。でも力強ちからづよすぎ」 千晶ちあきはくるりときをえると、正美まさみかお近寄ちかよってくちとがらせる。つめうと、正美まさみ本当ほんとう反省はんせいした。きし言葉ことばさわって、ないことだけど千晶ちあきられるような錯覚さっかくおぼえてしまい、つい自分じぶんの...

  • ほどける指先ゆびさき 143

    千晶ちあきがキッチンで夕飯ゆうはんつくっていると、かえって正美まさみがやってうしろからきついた。「どうかした?........あついんだけど」 にはにんきりなのでおどろきはしないが、正美まさみがこんなごとをしてるのはめずらしいとおもった。自分じぶん部屋へや以外いがいでは極力きょくりょくはなれているし、ふたりの秘密ひみつ両親りょうしんにバレないようをつけていたから。「千晶ちあき料理りょうり上手うまくなったよな。オレのつくれるものはほとん千晶ちあきつくれるようになったし。かえるのおそくてごめんな、手伝てつだえな...

  • ほどける指先ゆびさき 142

    * * * 正美まさみ部活ぶかつ千晶ちあき受験じゅけん勉強べんきょう頑張がんばっていると、やがてなつ陽射ひざしがけるぶしとなった。インターハイ予選よせんのレギュラーはもちろん、ひか選手せんしゅにもなれなかった正美まさみは、相変あいかわらずのきびしい練習れんしゅうつづけている。岡部おかべもまた、ひか選手せんしゅのひとりにはなれたが、いち試合しあいにはことがなかった。「結局けっきょく、インハイの決勝けっしょうまではけなかったな。うえにはうえがいるってことだよな」 部室ぶしつのカギをめながら岡部おかべった。2回戦かいせんま...

  • ほどける指先ゆびさき 141

    正美まさみいえころにはすであたりはくらくなっていて、玄関げんかんのドアをけるとなかからはいいにおいがして、今夜こんやのメニューがビーフシチューだとかった。いそいでくつぐとキッチンへとかう。「ただいまー」とこえをかけると、キッチンに京子きょうこかえって「おかえりなさい」とみをかべた。千晶ちあき姿すがたえなくて、「着替きがえてきます」とうといそいでかいにあがってく。 トントンとかろやかにけあがり部屋へやはいると、かばんいて着替きがえ...

  • ほどける指先ゆびさき 140

    部室ぶしつ着替きがえをませると、正美まさみ岡部おかべとも体育館たいいくかんかう。1年生ねんせいゆかのモップけをして、そのボールをしたりと用意よういをしてからの準備じゅんび体操たいそう。10にんだった1年生ねんせいいまは7にんしかのこっていない。準備じゅんび体操たいそうをしていると、2年生ねんせいや3年生ねんせいがやって一気いっき緊張きんちょうはしる。「おーい、1年生ねんせいあつまれー」 主将しゅしょう富永とみなが入口いりくちからはいってくるなりこえをかける。すると、一斉いっせいにドタドタッという足音あしおとひびいて1年生ねんせいたちは富永とみながまえ整列せいれつした。ピンと...

  • ほどける指先ゆびさき 139

    午前ごぜん授業じゅぎょうわると、食堂しょくどうってバスケ同級生どうきゅうせい昼食ちゅうしょくべる正美まさみ平日へいじつ弁当べんとうってべることもあるが、食堂しょくどうのメニューも色々いろいろあって、土曜日どようびはそこでべるのもたのしみだった。正美まさみ友人ゆうじんで、バスケ部員ぶいん岡部おかべはランチの唐揚からあ定食ていしょく大盛おおもりまえに、まゆげてかないかお。そんなかおつつ、正美まさみはナポリタンをくちれて様子ようすうかがう。「1年生ねんせい部員ぶいん、3にんうつるってさ。となりのクラスのヤツじゃなかったっけ?」 ...

  • ほどける指先ゆびさき 138

    心地ここちよい微睡まどろみのなかました千晶ちあきとなりればそこに正美まさみ姿すがたかった。「あ、そうか.......学校がっこう........」 正美まさみは、今日きょう午前ごぜんちゅう授業じゅぎょうで、午後ごごには部活ぶかつがあるとっていた。千晶ちあきやすみなのでこさずにったのだろう。布団ふとんからると、一応いちおう自分じぶんなりがどうなっているのか確認かくにんした。下着したぎもスウェットの上下じょうげもちゃんとていて安心あんしんする。千晶ちあきなかでは半分はんぶんゆめのような出来事できごとで、自分じぶんのくちびるにゆびえるとはじずか...

  • ほどける指先ゆびさき 137 *

    二人ふたり言葉ことばむと、自然しぜん身体しんたいせられて、ふたりのくちびるがう。すこねつった湿しめのある感触かんしょく正美まさみした千晶ちあきの咥内にはいると、れつをなぞる。「ん、..........ふぅ..............」 徐々じょじょはげしくなるくちづけに、千晶ちあき興奮こうふんおぼえると、身体しんたい自然しぜん正美まさみもとめる。昨日きのうこともあるし、江本えもとほん内容ないようあたまぎると、どこかで期待きたいしている自分じぶんた。 正美まさみむねれると、先端せんたんちいさなつぶねてくる...

  • ほどける指先ゆびさき 136

    布団ふとんはいり、しばらくはたがいに天井てんじょうていたが、ふいに正美まさみとなり千晶ちあきれてにぎると、よこいてかるほおにキスをした。千晶ちあき一瞬いっしゅんだけピクっとなったが、すぐに正美まさみほうなおるとみをかべる。ちかくで体温たいおんかんじることだけでもしあわせだとおもえた。「昨日きのう、ビックリしたよな?ごめんな」と正美まさみわれて、「え、なにが?」とかえすが、すぐにアノごとだとおもった。正美まさみ千晶ちあき性器せいきめたことしか想像そうぞうできない。「............そ、...

  • ほどける指先ゆびさき 135

    浴槽よくそうかりながら、千晶ちあき人差ひとさゆびひざったさきびると、おそれるおそるうしろのすぼまりにれる。ゆびさきすこれようとするが、心臓しんぞうがドキドキしてなかれること出来できなかった。さわった感触かんしょくかたざされていて、江本えもとよう一本いっぽんはいがしない。いや、そもそもオイルもないし、つめたる感触かんしょくこわかった。 千晶ちあきふかいためいきくと、水面すいめんのおをパシャっとたたいた。それからあたまかかえる。------ ダメだ。漫画まんが...

  • ほどける指先ゆびさき 134

    食事しょくじわると、正美まさみはすぐにシャワーをびたくて浴室よくしつってしまった。後片付あとかたづけをする千晶ちあき母親ははおやからのメールがているか確認かくにんするが、ていないのがかると、一応いちおうレトルト食品しょくひん冷凍れいとう食品しょくひんがあるか調しらべておく。-------かあさんもちょっとメールくれたららくなのに つぶやき乍ら、仕方しかたなく自分じぶんからメールをおくると、食材しょくざいくてレトルトかひやしょくしかないとつたえておいた。なにってるように、とっておいたが、母親ははおやことだし外食がいしょく...

  • ほどける指先ゆびさき 133

    いそいでいえもどり、千晶ちあきかばんいて着替きがえをますとキッチンにりてく。正美まさみもどるまでには時間じかんがある。が、今日きょうつくきのおかずがなかったので、パスタをでることにした。明日あした土曜日どようびなので学校がっこう休校きゅうこうはは仕事しごと予定よていからないので、もしやすみなら一緒いっしょものけるはず。スーパーでまとめいをしなければいけないな、とおもう。 冷蔵庫れいぞうこからたまねぎとピーマンをしてきざみ、ベーコンをっていためる。フライパンに...

  • ほどける指先ゆびさき 132

    まえされたほん中身なかみ視線しせんそそぐと、そこには江本えもとったとおりの描写びょうしゃがあって、しろきにはなっているが、たしかにおとこのものがけらしきおとこしりとらえていた。千晶ちあきほんるとじっとつめる。そして、しんなしかほおねつっていること気付きづくと、かえって江本えもとられているのがかった。視線しせんうと、口元くちもとがニヤッとゆるんで千晶ちあきよこ江本えもと。「やっぱ、藤城ふじしろって可愛かわいいな。ほっぺとか、ニキビひとつも出来できてなく...

  • ほどける指先ゆびさき 131

    江本えもとがドアをけてはいってるが、何故なぜ沢山たくさんのコミックほんかかえていた。「えっ、そんなにってちゃって大丈夫だいじょうぶ?!」と、こえをあげる千晶ちあき。いったいなんさつあるんだろう。「大丈夫だいじょうぶ、このなかからさそうなのえらんでいいよ。つづきのはコレだけどさ」 江本えもといちさつさき千晶ちあきわたし、のこりの10さつぐらいはつくえいて自分じぶんほんもそこからいちさつしゅった。「オレ、この作家さっかきなんだ。けのがメッチャ可愛かわいい」「ウケ?」 江本えもとげん...

  • ほどける指先ゆびさき 130

    「オレの部屋へやかいにあがってぐのとこだから、さきはいってて。お菓子かしものってく」 江本えもと階段かいだん手前てまえると千晶ちあきった。江本えもといえ白木しらき使つかわれていて、全体ぜんたいてきしろっぽいかんじ。玄関げんかんがってぐに部屋へやがあるようで、そのおくがリビングとかキッチンになっているんだろう。千晶ちあき階段かいだんがりながらると、おくのドアをけてはいってった。 われたとおかいがると、すぐにとびらがあってドアをけるとはいってみる。友達ともだち...

  • ほどける指先ゆびさき 129

    校舎こうしゃまどからぼーっと運動うんどうじょうながめ、昨夜さくやことおも千晶ちあき途端とたんほぞしたあたりがズクンとうずこげる。___なにおもしてんだ、おれ すぐにあたまると黒板こくばん意識いしきけた。いま授業じゅぎょうちゅうで、英語えいご教師きょうし流暢りゅうちょう教科書きょうかしょんでいる。千晶ちあき窓際まどぎわせきで、半分はんぶんひらいたまどからはいかぜほおかんじながら、くと正美まさみかおかぶのでこまってしまう。そんな千晶ちあきことを2れつまえ廊下ろうかがわせきからながめる江本えもと千晶ちあきかお高揚こうようしたりもともどったりして...

  • ほどける指先ゆびさき 128 *

    正美まさみの咥内はあたたかく、うねるしたにくかべよう千晶ちあきかたしんけると、こえしゅっそうになるのを必死ひっしおさえた。びそうになる意識いしきなかで、ふいに松下まつしたことあたまぎって、こういうの、アイツも経験けいけんしたんだろうか、なんておもってしまった。両手りょうてくちふさぎながらも、中心ちゅうしんあつまる快感かいかんあらしおさえること出来できない。「んんっ、.......ぁ、...............んふっ...............ゔっ..............」 自分じぶんからはっする吐息といきじりのこえあたまの...

  • ほどける指先ゆびさき 127 *

    背中せなかまわされたうでかれると、千晶ちあきほおにフッとくちびるたる。正美まさみ指先ゆびさき首筋くびすじで、反対はんたいほおかるささえるとくちづけをした。あまいくちづけをされると、身体しんたいちゅういてしまうほど心地ここちよくて、千晶ちあき先程さきほどまでの不安ふあんおびえもんでしまいそう。なんもくちびるをように、キスのあめってる。そのたび身体しんたいあつくなるのをかんじると、自然しぜんとへそのしたあたりがムズムズしてきて、あしこまった。「かたくなっちゃったね、ここ」 ...

  • ほどける指先ゆびさき 126

    きゅうむねおくいたくなった。千晶ちあき自分じぶんなかにあるとおもっていた。それが、こんなごといだすだなんて............「カノジョ、ってなに?........どうしてそんなことうの?」 正美まさみ千晶ちあきかたをギュッとつかむといた。多分たぶんいままでで一番いちばんひくいトーンのこえだったとおもう。自分じぶんってちょっとおどろくが、千晶ちあきせたままこたえなかった。「オレが部活ぶかつばっかで、千晶ちあきとの時間じかんすくないのはわるいとおもってる。ごはん手伝てつだえなかったし。...

  • ほどける指先ゆびさき 125

    食事しょくじわると、正美まさみさき風呂ふろはいると千晶ちあきってキッチンからた。様子ようすがおかしいとおもいつつも、それ以上いじょうけない。いったいどうしたっていうんだ?かい自室じしつかいながらあたまねじるが、正美まさみにはからなかった。 相変あいかわらず部活ぶかつ練習れんしゅうはキツクて、正直しょうじきいまはそれについてくのがやっとで。部活ぶかつ学校がっこう勉強べんきょう、それが正美まさみなかでは一番いちばんこなさなければいけない問題もんだいだった。もちろん千晶ちあきこと大事だいじだ。でも、それはこのさきも...

  • ほどける指先ゆびさき 124

    どのくらい時間じかんがたったのか..... ガチャっというおとがして、テーブルからかおげると時計とけいてビックリする千晶ちあき。もう7はとうにぎ、8まえになっていた。キッチンのドアがひらくと、「ただいまー」というこえとも正美まさみはいってる。が、千晶ちあき様子ようす一瞬いっしゅんへんだとさとった。制服せいふくのまま、かばんゆかいて椅子いすこしかけている。正美まさみほういたかおがギョッとした表情ひょうじょうで、こえないといったかんじで。「どうかした?具合ぐあいでもわるいの...

  • ほどける指先ゆびさき 123

    千晶ちあきは、人気にんきのないキッチンの椅子いす腰掛こしかけると、ぼんやり正美まさみかおおもす。最近さいきんつかれてるかおしかていないがした。部活ぶかつ練習れんしゅう本当ほんとうにキツイのだろう。でも、一緒いっしょこといやされるとわれうれしかった。 もし、自分じぶん正美まさみ彼女かのじょだったら、松下まつしたよううれしそうなかおをして友達ともだちはなせるのだろうか。義理ぎりとはいえおとうとの、同性どうせいとエッチなことをしているだなんて、くちけてもえないだろう。自分じぶんだってだれにもえない。 段々だんだん自分じぶん...

  • ほどける指先ゆびさき 122

    ぼんやりしながらいえまでのみちあるくが、となりにいる松下まつした言葉ことばはいってない。童貞どうてい卒業そつぎょうって.......その相手あいてってもちろん彼女かのじょだよな、とおもいながら、あたまなか色々いろいろ妄想もうそうめぐっていた。とはいえ、女子じょし身体しんたいなんてなんとなくでしかことがないし、想像そうぞうしようにも自分じぶん正美まさみ行為こういしからないのであたまなかはぐちゃぐちゃ。「おい、......アジー、........いてる?」「........ぁ、ごめん、なに?」 千晶ちあきなおして松下まつしたほう...

  • ほどける指先ゆびさき 121

    部活ぶかつあいだちゅうも、ずっと江本えもとった言葉ことば脳裏のうりのこってはなれない。千晶ちあきは、一向いっこうすすまないふでをぼんやりながめると、くびのこ絆創膏ばんそうこうれた。今朝けさ正美まさみってくれたので、そのとき仕草しぐさおもしては一人ひとりえつひたる。正美まさみ江本えもとようおもっているのだろうか。どうして自分じぶんえらんでくれたのだろう、とかんがえてしまう。「今日きょう一緒いっしょかえれるからさ」 そうったのは松下まつしたで。画材がざい道具どうぐたな仕舞しまうと、千晶ちあき江本えもともとにやってた。「カノ...

  • ほどける指先ゆびさき 120

    移動いどう教室きょうしつかう生徒せいと見送みおくって、最後さいごまで教室きょうしつのこった千晶ちあき江本えもとじんがいないのを確認かくにんすると、千晶ちあきかばんからほんはいったふくろして江本えもとわたした。「なんだかわるいブツでも取引とりひきしてるようなかんじだね」 ふくろった江本えもとわらいながらう。たしかに、人目ひとめしのんでコソコソとわたすなんて、ひとたらなんの取引とりひきかとおもわれそう。「わるものじゃないけど、漫画まんが自体じたい学校がっこうってちゃいけないんだからさ。それも、内容ないようがこんな.....

  • ほどける指先ゆびさき 119

    江本えもとからりたほんをこっそりと仕舞しまい、通学つうがくかばんをドキドキしながらかかえると教室きょうしつはいって千晶ちあきはるあたたかいふうのせいなのか、それとも緊張きんちょうからか、うっすらとがくあせをかいていた。「おはよう」と、教室きょうしつ生徒せいと挨拶あいさつをしながらせきいたが、視線しせん江本えもとさがした。でも、まだ登校とうこうしていなくて、かばんけるのをつことにする。江本えもとかおたら、速攻そっこうほんかえそうとおもっていたからだ。 ちかくにすわった生徒せいとと、他愛たあいのないはなしをしながら...

  • ほどける指先ゆびさき 118

    ほんじると、千晶ちあき天井てんじょう見上みあげる。しんかせようとしているのだが、目眩めまいがしてベッドのうえなのに身体しんたいささえた。同時どうじに、ほんゆかにトサッとち、表紙ひょうしだけがはなやかにえた。女性じょせいのグラビア写真しゃしんにすることもあるが、この、おとこ同士どうしせい描写びょうしゃはじめてるし、自分じぶん正美まさみがしていることもあったが、そのさきにもっとすごことがあるなんてらなかった。「どうしよ、なんか、.............正美まさみにはせられないな」 おもわ...

  • ほどける指先ゆびさき 117

    キッチンでオムライスをつくっているあいだも、千晶ちあきつくえにしまったほんことになっていた。表紙ひょうししかていないが、江本えもとっていたおとこ同士どうし恋愛れんあい漫画まんがって、どんな内容ないようなんだろう。おんなきそうな作品さくひんは、映画えいがされたりして、コマーシャルだけどことがある。おなじようなかんじなんだろうかと、おもいをせた。 自分じぶん二人ふたりぶん夕食ゆうしょく用意よういすると、両親りょうしんぶん味噌汁みそしるだけっておいた。おかずは冷蔵庫れいぞうこつくきのものがあり、オムライス...

  • ほどける指先ゆびさき 116

    本屋ほんやはいると、新作しんさく小説しょうせつならべられていて、そういえば最近さいきんほんむことがなかったな、と千晶ちあきおもった。江本えもとさきすすんでいくので、仕方しかたなくいてくと参考さんこうしょでもくのだろうとおもっていたが、コミックのコーナーのほうかっている。あれ?とおもいながらも、漫画まんがきらいではないし、かみほん最近さいきんこともなかったので新鮮しんせんだった。目新めあたらしいコミックをると、江本えもとが「藤城ふじしろ、ちょっとて」とぶ。たな反対はんたいがわにいるのか...

  • ほどける指先ゆびさき 115

    部活ぶかつえて帰路きろについた千晶ちあき途中とちゅうまでは松下まつした江本えもと一緒いっしょかえるが、松下まつしたはカノジョと約束やくそくがあるとかで、途中とちゅうわかれた。江本えもとやかされてれながらはしっていく松下まつしたとおていると、江本えもとが「藤城ふじしろかん彼女かのじょそうなのにな。結構けっこう女子じょし人気にんきあるのってる?」といてくる。「まえ自覚じかくあったけど、アレ、おれのアニキのおかげだった」 千晶ちあき足元あしもと小石こいしると、つまらなさそうにった。「いっこじょうの?まえた...

  • ほどける指先ゆびさき 114

    しろ画用紙がようしかっている時間じかんきだった。運動うんどうはそこまできじゃないし、美術びじゅつ案外あんがいゆるくて部活ぶかつやすんでも文句もんくわれることはない。コンクールのときだけちゃんと作品さくひん仕上しあげれば、のちきなイラストや漫画まんがえがいている生徒せいともいる。千晶ちあきはデザインがきで、作品さくひん仕上しあげるよりはデザインのほんんでいる時間じかんほうながかった。それでも、コンクールではいい成績せいせきのここともある。表彰ひょうしょうもされたが、それ自体じたいはあまり関心かんしんがな...

  • ほどける指先ゆびさき 113

    千晶ちあき制服せいふく着替きがえていると、正美まさみはすかさず絆創膏ばんそうこうにやってて、くびのキスマークこんってやった。「もう、ヤダなぁー。絶対ぜったい友達ともだちにつっこまれる。そうでなくても、松下まつしたなんか彼女かのじょとキスしたいとかわめいてるのにさ」 千晶ちあきくちとがらせると正美まさみにらんだ。中学ちゅうがく3ねんにもなると、男子だんし興味きょうみはそんなことばかり。受験じゅけん別枠べつわくようだ。っている相手あいてがいるなら尚更なおさら興味きょうみつ。「わるかったよ。これからはえるとこにはつけない...

  • ほどける指先ゆびさき 112*

    つかれもあってか、正美まさみほうさきててしまうと、ぐったりと千晶ちあきよこたおんでしまう。正美まさみ上下じょうげするむねてて呼吸こきゅうととのえようとするが、身体しんたいがだるくてうごけそうになかった。よこかおけて千晶ちあき表情ひょうじょううかがうのがやっとで。 すると、千晶ちあき正美まさみうえっかって、自身じしんのものをこすりつけながらちいさくあえごえらすと、自分じぶんたかみにのぼりつめていった。はっ、はっ、.............あぁぁ.............んあっ、.................

  • ほどける指先ゆびさき 111*

    準備じゅんびをした千晶ちあきだったが、なんとなく母親ははおやとのことでモヤモヤしたままで、正美まさみはたたくて部屋へやたずねてしまった。ノックをすると、いつもならはいっていいよ、というこえこえるのに、今夜こんや返事へんじがない。になって部屋へやのドアをそっとけてみると、すで布団ふとんはいっている正美まさみえる。部屋へや電気でんきいているので、まだるつもりはなかったのだろう。「まさみ、.......まさみ、電気でんきしていいの?」とってちかくにがおせ...

  • ほどける指先ゆびさき 110

    京子きょうこ風呂ふろからてキッチンにると、千晶ちあき食器しょっきあらっているところだった。うし姿すがたて、随分ずいぶんおおきくなったこと実感じっかんすると、むねおくすこしだけいたんだ。可愛かわいりの3さいごろからはは多恵子たえこあづけっぱなしで、自分じぶん千晶ちあきってこなかったなとおもう。反省はんせいすることばかりで、しんなかではもうわけないとおもいつつも仕事しごと優先ゆうせん順位じゅんいめてしまう。背中せなかつめながら、「千晶ちあき身長しんちょうびたでしょ?」といた。「え?なに突然とつぜん。....

  • ほどける指先ゆびさき 109

    キッチンに千晶ちあきもと絆創膏ばんそうこうって正美まさみ。「これでかくせるから」と、それをはがすとくびのキスマークのあとってやる。「ったくもう、明日あしたひやかされたらいやだなぁ」 千晶ちあき絆創膏ばんそうこうゆびさえるとくちとがらせた。 食事しょくじをとりながら学校がっこうはなしをしていると、しばらくして京子きょうこかえってた。「ただいまー」といながらキッチンにかおすと、書類しょるいはいっているおおきなくろのカバンをゆかき「ふう~」とつかれたかおをして吐息といきらした...

  • ほどける指先ゆびさき 108

    千晶ちあきうしろからきしめた正美まさみは、今日きょう学校がっこうきし出会であったときわれた言葉ことばおもした。が、一瞬いっしゅんのうちにそれをす。きし言葉ことばにイラつきをかくせなくて、つい千晶ちあきにそれをぶつけてしまった。はなしてとわれたのに、なおもギュッとちかられて千晶ちあきのうなじにかおめるとあまみをした。「ちょ、......まさみ、」と、げようとする千晶ちあき。こんなしょでするなんて、とこげる。「おかずつくんなきゃ」と千晶ちあきに、正美まさみかおはなすと今度こんど...

  • ほどける指先ゆびさき 107

    着替きがえをませてリビングにかうと、千晶ちあき松下まつしたわらごえ廊下ろうかひびいていた。なにをそんなにがっているのかと、ドアをけてなかはいるとにんくすぐっているようで、松下まつした千晶ちあきうしろからかかえてわきわせていた。「ぎゃっ、はははっ、やだ!ちょっ、やめ、やめ」と、言葉ことばにならないこえ千晶ちあき。 その姿すがたたりにして、正美まさみはギョッとしてをむく。「ちょっと、なにしてるんだ?!」と、おもわずこえしてしま...

  • ほどける指先ゆびさき 106

    ふくらはぎをパンパンにしながら、部室ぶしつ掃除そうじをこなす1年生ねんせいたち。正美まさみも、ここ半年はんとしあいだ受験じゅけん部活ぶかつやすみだし、運動うんどうという運動うんどうはしていなかったので最近さいきんはしみがやっとれた程度ていど。さすがに今日きょうのような練習れんしゅうあしにクる。無言むごんでロッカーのとびら正美まさみに、となり岡部おかべしずかにいていた。「明日あしたから10ふんか~。しかも4かい?まあ、ちゃんとボールさわらせてくれるんならいいけどさぁ。これで1ねんのスタメンいないとか、えるんだ...

  • ほどける指先ゆびさき 105

    なんとなく違和感いわかんいたまま部室ぶしついた正美まさみ岡部おかべ途中とちゅうまぎらわそうとわらえるはなしをしてくれたが、それも半分はんぶんしかいていなかった。むねおくよどものなになのか、正美まさみにもからないまま気持きもわるいとおもうばかり。 部室ぶしつくと、すでていたいち年生ねんせい神妙しんみょう面持おももちでロッカーのまえっていた。「どうかしたのか?」と、岡部おかべがひとりにたずねると、「いち年生ねんせいそろったら体育館たいいくかんるようにって。掃除そうじはそのしろってわれた」...

  • ほどける指先ゆびさき 104

    その正美まさみどうクラの岡部おかべともにバスケ部室ぶしつかっている途中とちゅうきし出会であった。きしは、以前いぜん千晶ちあきかかわりがあった人物じんぶつで、初詣はつもうでときはじめてかおわせたが、そのときひらけまことかん高校こうこう先輩せんぱいだということった。「やっぱり藤城ふじしろくんだったか。入学にゅうがくしきときかおだとおもったんだよなぁ」 にかかりそうな前髪まえがみゆびではらうと、きしみをかべながらう。「こんにちは」と、一応いちおう挨拶あいさつをしてまるが、正美まさみきしことすこ苦手にがて。...

  • ほどける指先ゆびさき 103

    千晶ちあきやわくちびるにそっとくちづける正美まさみひさしぶりの感触かんしょくに、心拍しんぱくすう一気いっきがる。受験じゅけんわるまではと、うのを我慢がまんしていた。高校こうこう合格ごうかくしたのち一緒いっしょ機会きかいはあったが、意識いしきてきにあのよるよう行為こういけていた。たがいのなかに、きだという気持きもちがつよ芽生めばえ、それをたしかめるよう行為こういであることかっていた。でも、そのさきっているものがからずに、いまはまだすすめずにいる。「バスケはたのしい?」 千晶ちあき正美まさみかたに...

  • ほどける指先ゆびさき 102

    正美まさみ部活ぶかつわるのをって、千晶ちあきばんはん準備じゅんびはじめる。今夜こんやのメニューは生姜しょうがき。サラダは昨日きのうのうちにつくきをしておいてくれたもの。京子きょうこすこしづつづくきをはじめて、冷蔵庫れいぞうこにはタッパーにはいった料理りょうりがある。なので、にく料理りょうりさかな料理りょうりなどのそのべたいもの以外いがいこまことがなくなった。 テーブルにさらならべて用意よういととのうと、かべ時計とけいる。時間じかんは7ぎていた。「そろそろかなぁ」とつぶやくと、自分じぶん茶碗ちゃわんにご...

  • ほどける指先ゆびさき 101

    高校生こうこうせいになった正美まさみは、幾分いくぶん緊張きんちょうした表情ひょうじょうでバスケット練習れんしゅう参加さんかしていた。練習れんしゅうといっても、いち年生ねんせいはひたすらはしみの毎日まいにちで、のち部室ぶしつ掃除そうじ校舎こうしゃ西側にしがわ運動うんどう部室ぶしつがあって、バスケットとバレー野球やきゅう部室ぶしつならんでいる。バレーだけが女子じょし部室ぶしつもあって、バスケと野球やきゅう男子だんし生徒せいとしかいない。おとこクサイ部室ぶしつにはロッカーがならんでいるが、いまのところ入部にゅうぶしたいち年生ねんせいにはあたえられていなかった。 「おれたちいつ...

  • ほどける指先ゆびさき 100

    * * * * ぶしぎて、正美まさみ無事ぶじ高校生こうこうせいになり千晶ちあきは3年生ねんせいとなった。 正美まさみ中学ちゅうがく卒業そつぎょうしきに、千晶ちあきなみだをこぼしたのは秘密ひみつだ。そっと制服せいふくそでなみだぬぐうと、まえいて卒業そつぎょう証書しょうしょ正美まさみつめた。一緒いっしょとおった2ねん月日つきひはあっというあいだだったな、と、過去かこかえってみる。ひとつちがいの正美まさみ距離きょりをとりつつも、どこかになっていた。時折ときおりわす言葉ことばもぎこちなくて、中身なかみ優秀ゆうしゅう義兄ぎけい卑屈ひくつになりな...

  • ほどける指先ゆびさき 99 **

    正美まさみした敏感びんかんになった先端せんたんなんめるので、とうとう千晶ちあき正美まさみかたをグッとしてむねからはなそうとした。「いや?」とかれ、ううん、とこたえたが、じんじんしてたまらなくて.........。自分じぶんでもこんなに気持きもくなるとはおもってもいなかった。おとこ乳首ちくびなんて、プールではかくこともなくさらされている。ひと視線しせんかんじることもなかったし、いままでめたことすらないのに。 「おれ、おかしい?おんなじゃないのに、こんなトコかんじ...

  • ほどける指先ゆびさき 98 *

    はぁはぁ、と呼吸こきゅうあらくなり、たがいの表情ひょうじょうのぞるうちに近付ちかづかお。そのうち口元くちもと視線しせんあつまると、くちびるをめる仕草しぐさ誘惑ゆうわくされるかのように、正美まさみ千晶ちあきのくちびるをおおった。 まえわしたくちづけは、れた感触かんしょくのこるだけのかるいもの。だが、いま千晶ちあきのくちびるをってはい自分じぶんしためられずにいる。ヌメッとした感触かんしょく一瞬いっしゅん戸惑とまどったように硬直こうちょくした千晶ちあき身体しんたい。それをかんじながらも、なん千晶ちあきしたすくった。からみつくたがい...

  • ほどける指先ゆびさき 97 *

    ふいに、背中せなかあたたかいこと気付きづいて、ふかねむりから意識いしきめるとゆっくりまぶたひらいた。背中せなかあたたかさとともに、何故なぜ股間こかん違和感いわかんおぼえて、ハッとくびねじってみるとひとのいるのがかる。 すぐに千晶ちあきだと気付きづいた。正美まさみ背中せなかがくてて、そのまえってくると正美まさみ股間こかんいじくる。かる吐息といきこえてくると、あごをあげて「マジか..........」とつぶやいた。千晶ちあきかたくなったものが正美まさみ臀部でんぶたって、しんなしかこし上下じょうげしている...

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