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日本大学学長・酒井健夫さんの本棚 読書を通じて人生の登り道を探す|好書好日
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日本にっぽん大学だいがく学長がくちょう酒井さかい健夫たけおさんの本棚ほんだな 読書どくしょつうじて人生じんせいのぼどうさが

教育きょういく理念りねん自主じしゅ創造そうぞう」とかさねてんだしんしょ

 人生じんせいやまありたにありの連続れんぞくです。しかもあかるいやま尾根おねあるける時間じかんはほんのわずかで、たにそこ黙々もくもくあるつづけることのほうおおいようにおもいます。大切たいせつなのは、たにそこにいても冷静れいせいにルートを検証けんしょうし、のぼりのみちさがすことではないでしょうか。わたしにとって読書どくしょは、たにそこにおけるみちさがしです。まよったり、なやんだり、くじけそうになったりしたとき愛読あいどくしょります。なかでも松下まつした幸之助こうのすけ名著めいちょみちをひらく』はなが愛読あいどくしています。松下まつしたさんはすぐれた事業じぎょうであると同時どうじに、みずからの経験けいけんもとづく人生じんせいくんしみなく後進こうしんさづけた教育きょういくしゃです。本書ほんしょわたしきなのは、冒頭ぼうとうの「どう」という文章ぶんしょう。「自分じぶんには自分じぶんあたえられたみちがある。他人たにんみちしんをうばわれ、思案しあんにくれてちすくんでいても、みちはすこしもひらけない。やすまずあゆ姿すがたからはかならあらたなみちがひらけてくる」といった内容ないようは、「みずかかんがえ、みずかまなび、みずかみちをひらく」人材じんざい育成いくせいむねとする本学ほんがく教育きょういく理念りねん自主じしゅ創造そうぞう」にもかさなります。むたびにまえかりがともるような感覚かんかくおぼえるいちさつです。

 わたし日本にっぽん大学だいがくのうじゅう医学部いがくぶげん生物せいぶつ資源しげん科学かがく)の出身しゅっしんです。入学にゅうがくは1962ねんで、当時とうじ世田谷せたがやさんけん茶屋ちゃや木造もくぞうまながありました。在学ざいがくちゅう東京とうきょうオリンピックが開催かいさいされるなど、日本にっぽんちゅう熱気ねっきにあふれた時代じだいです。学生がくせい紛争ふんそうこる以前いぜんでしたので、学生がくせい教職員きょうしょくいんとの一体いったいかんがあり、意欲いよくのある学生がくせいは1ねんから研究けんきゅうしつれるという、まさに「自主じしゅ創造そうぞう」を環境かんきょうでした。学生がくせい年齢ねんれいそうは18さいから30だいまでと幅広はばひろく、経験けいけん豊富ほうふ年上としうえ同級生どうきゅうせいからおそわることもおおくありました。このとき出会であいや経験けいけんは、わたし研究けんきゅうしゃ教育きょういくしゃ人生じんせい原点げんてんえます。

 わたし研究けんきゅうテーマのひとつが狂犬病きょうけんびょうウイルスにかんするもので、南米なんべい国々くにぐに調査ちょうさしてまわり、現地げんち大学だいがく共同きょうどう研究けんきゅうなどをおこないました。活動かつどうじゅうすうねんにわたり、このあいだおおくの日系にっけい移民いみん方々かたがたい、のち日系にっけいせいや3せい日本にっぽん留学りゅうがく支援しえんするJICAじゃいかのプロジェクトにもたずさわりました。かれらと交流こうりゅうするなかつよかんじたのは、1せいから脈々みゃくみゃくがれてきたアイデンティティーです。日系にっけい移民いみん方々かたがたがどんな戦前せんぜん戦中せんちゅう戦後せんごきてきたのか。いろいろとなかうしなわれた祖国そこく出合であいました。戦時せんじぜん財産ざいさんうばわれ、戦後せんご迫害はくがいつづいた日系にっけいカナダじん苦難くなんみちのりをえがいた自伝じでんてき小説しょうせつです。過酷かこく境遇きょうぐうえてひととしての権利けんりらしをもどしたかれらのかたむねたれました。

日本にっぽんあゆむべきみち示唆しさするしょたち

 わたし自身じしん戦中せんちゅうまれですので、日本にっぽん戦後せんご復興ふっこうとともにき、復興ふっこうあゆみに興味きょうみってきました。読書どくしょではジョン・ダワーの『敗北はいぼくきしめて』(中公ちゅうこう文庫ぶんこ品切しなぎれ)がしんのこっています。アメリカじん歴史れきし学者がくしゃ視点してん天皇てんのうせい東京とうきょう裁判さいばんしん憲法けんぽうなどを検証けんしょうし、占領せんりょう日本にっぽんがGHQの判断はんだんにどう対応たいおうしてきたかをいています。著者ちょしゃあん日本にっぽん無責任むせきにん社会しゃかい指摘してきしていますが、たしかにそうで、平和へいわ民主みんしゅ主義しゅぎくにまれわったようにえて、指摘してきされたてんいまわっていないようにおもいます。国際こくさい社会しゃかいではあるしゅ柔軟じゅうなんせい必要ひつようです。一方いっぽう最終さいしゅうてきもとめられるのは、主体しゅたいてきしんのある決断けつだんです。日本にっぽん学校がっこう教育きょういくでは敗戦はいせん前後ぜんこうおおおしえませんが、わか世代せだいほどこの時代じだいり、謙虚けんきょ歴史れきし直視ちょくしし、リーダーシップをもって時代じだいひらいてほしいとおもいます。
 小説しょうせつ池波いけなみ正太郎しょうたろう作品さくひんきで、『真田さなだ太平たへい』はよるねむれないときにページをひら愛読あいどくしょです。全体ぜんたい主人公しゅじんこう真田さなだ幸村ゆきむらだとおもいますが、わたしさいわいむらちち昌幸まさゆきと、あに信幸のぶゆき共感きょうかんします。時勢じせい変化へんか柔軟じゅうなん対応たいおうしながら強国きょうこくわたい、真田さなだ後世こうせいにつないだかれらのかたは、現代げんだいにも通用つうようするようながしています。

 『成熟せいじゅく日本にっぽんへの進路しんろ成長せいちょうろん」から「分配ぶんぱいろん」へ』は、2010ねん刊行かんこうからなんかえしています。地球ちきゅう温暖おんだん環境かんきょう破壊はかい地域ちいき紛争ふんそうなどが世界せかいてき課題かだいとなるなかで、日本にっぽんはどのようなみちあゆむべきか。本書ほんしょでは、すで下降かこう局面きょくめんはいった日本にっぽんは、明確めいかく国家こっかヴィジョンのもとで経済けいざい政策せいさく転換てんかんし、産業さんぎょう生活せいかつ優先ゆうせん順位じゅんいえないかぎしず一方いっぽうだとき、成長せいちょうから成熟せいじゅくうつったこのくに必要ひつよう改革かいかくしめしています。わたしとく注目ちゅうもくしたのは、成長せいちょう期待きたいできないなか活力かつりょく維持いじするという発想はっそうです。これは日本にっぽん大学だいがくにもてはまることで、少子化しょうしかすすなかでいかに大学だいがく活力かつりょく維持いじするかがわれています。
 本学ほんがくでは、教学きょうがくDXや、データにもとづいて個々ここった学修がくしゅう提案ていあんする「オーダーメイドがたサポート」を推進すいしんしています。世界せかい課題かだい解決かいけつ貢献こうけんする人材じんざい育成いくせいするためにも、学修がくしゅう環境かんきょう持続じぞくてき発展はってんつとめることが学長がくちょうとしての使命しめいだとおもっています。(だん

酒井さかい健夫たけおさんの経営けいえいろん

 2022ねんがつにち日本にっぽん大学だいがく学長がくちょう就任しゅうにんした酒井さかい健夫たけおさん。教育きょういく理念りねんである「自主じしゅ創造そうぞう」の精神せいしんと「教学きょうがく優先ゆうせん」をかくとした「日本にっぽん大学だいがくルネサンス計画けいかく」をかかげ、おなじく理事りじちょう就任しゅうにんした作家さっかはやし真理子まりこ二人三脚ににんさんきゃくで、大学だいがく改革かいかくすすめています。

自主じしゅ創造そうぞう教学きょうがく優先ゆうせんはしら改革かいかく推進すいしん

 「改革かいかく実行じっこうするじょうでコアとなるコンセプトは、教学きょうがくにおける『』の尊重そんちょうと、総合大学そうごうだいがくとしての『あきら』、すなわち一体いったいかん創出そうしゅつです。学生がくせい生徒せいと教職員きょうしょくいん、16のかく学部がくぶ、87のかく学科がっかとうします。学生がくせい生徒せいと自律じりつせい自主じしゅせいおもんじながら、学部がくぶあいだ連携れんけい協力きょうりょくはかり、総合大学そうごうだいがくのスケールメリットをかしていきます。いま社会しゃかいもとめられているのは、自然しぜん科学かがくと、人文じんぶん社会しゃかい科学かがく融合ゆうごうした『総合そうごう』です。多様たよう集合しゅうごうたいである本学ほんがくもっと得意とくいとするところであり、文系ぶんけい理系りけいなど既存きそん枠組わくぐみにとらわれない横断おうだんてき学際がくさいてき教育きょういく研究けんきゅうができる環境かんきょうづくりを徹底てっていしていきます」
 同学どうがくではコロナはじまり対面たいめん授業じゅぎょう困難こんなんになると、学生がくせい学修がくしゅう環境かんきょうへの配慮はいりょ教育きょういく効果こうか向上こうじょうのため、いちはや全学ぜんがく利用りようできるオンラインプラットフォームを用意よういするなど、教学きょうがくDXにもちかられる。

 「現在げんざい対面たいめん授業じゅぎょう再開さいかいしていますが、ぜん学生がくせい対象たいしょう実施じっしした調査ちょうさでは、コロナにおけるオンライン授業じゅぎょうかんする満足まんぞくたかく、それと同時どうじ学生がくせいたちのITリテラシーのたかさを確認かくにんしました。今後こんごは、ICTの導入どうにゅうによって学修がくしゅう成果せいか可視かしはかり、個人こじん特性とくせい潜在せんざい能力のうりょくばす『オーダーメイドがたサポート』を力強ちからづよ推進すいしんしてゆきます」

説明せつめい責任せきにんたし、ひらかれた大学だいがく

 改革かいかくすすめるうえでの課題かだいについて酒井さかい学長がくちょうはこうかたる。
度重たびかさなる不祥事ふしょうじにより失墜しっついした信頼しんらい回復かいふくすることがだいいち課題かだいです。学生がくせい生徒せいと皆様みなさま保護ほごしゃ皆様みなさま卒業生そつぎょうせい皆様みなさま説明せつめい責任せきにんたし、社会しゃかいけて『教学きょうがく優先ゆうせん復興ふっこう』をしめしていく必要ひつようがあります。学長がくちょうとしては、学内がくないかく行事ぎょうじ参加さんかして学生がくせい教職員きょうしょくいん意見いけんき、どんなちいさなこともメモを改革かいかく復興ふっこう参考さんこうにしています。9月からは、わたしおもいや活動かつどうとどけるべく『学長がくちょうブログ』の配信はいしんはじめました。おどろいたのは学生がくせいたちからおおくの反応はんのうがあること。なかには意見いけん要望ようぼうもあるので、必要ひつようであれば改善かいぜんはかり、関係かんけい学部がくぶ学生がくせいとの面談めんだんをおねがいすることもあります」

 学生がくせいたちとの距離きょりちぢめながらひらかれた大学だいがく転換てんかんしていきたいとかた酒井さかい学長がくちょう大学だいがく時代じだいや、卒業そつぎょう実感じっかんした日本にっぽん大学だいがく魅力みりょくについてうかがうと、こんなこたえがかえってきた。
 「大学だいがく時代じだい戦後せんご復興ふっこう開発かいはつ熱気ねっきつつまれたなかで、知的ちてき好奇心こうきしんをかきたてられながら社会しゃかい動向どうこうつめ、わか感性かんせいみがき、知識ちしき技術ぎじゅつ貪欲どんよく吸収きゅうしゅうする日々ひびでした。同時どうじ生涯しょうがいにわたる友人ゆうじん先生せんせいとの出会であいにめぐまれました。卒業そつぎょう校友こうゆうのネットワークが心強こころづよ財産ざいさんです。130ねんえる歴史れきし大学だいがくですので、現時点げんじてんでの卒業生そつぎょうせいかずは123まんにんえます(2022ねん3がつ現在げんざい)。その方々かたがたかく分野ぶんや活躍かつやくされ、同級生どうきゅうせい先輩せんぱい後輩こうはい同士どうしでつながっています。大学だいがくまなびと研究けんきゅうであり、ひととの出会であいのです。有意義ゆういぎまなびと出会であいがまれる環境かんきょう整備せいびつとめていきます」

酒井さかい健夫たけお学長がくちょう経営けいえいろん つづきはこちらから

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