ドラマ「僕ぼくらのミクロな終末しゅうまつ」主演しゅえん・瀬戸せと利樹としきさん＆中田なかた圭けい祐ゆうさんインタビュー　地球ちきゅう滅亡めつぼう前まえの愛あいを描えがいたBL人気にんき作さく

ワクワクドキドキしながら原作げんさくを読よんだ

――BLとSFの要素ようそを持もち合あわせた本ほん作さくですが、原作げんさくを読よんでみていかがでしたか。

瀬戸せと利樹としきさん（以下いか、瀬戸せと）：「地球ちきゅう滅亡めつぼう」というだれもが興味きょうみを抱いだく題材だいざいの中なかで、一番いちばん会あいたくなかった人ひとと再会さいかいし、10日とおか間あいだで1つの愛あいの形かたちを描えがいていくというストーリーは、僕ぼくの中なかで好すきな要素ようそしかなかったです。官能かんのう的てきなラブシーンもありながら、若者わかものたちの青春せいしゅん群ぐん像ぞう劇げきというのが楽たのしくて、ワクワクしながら原作げんさくを読よみました。

中田なかた圭けい祐ゆうさん（以下いか、中田なかた）：「あと何なん日にちで地球ちきゅうが滅亡めつぼうするか」という題材だいざいはよくあると思おもうんですけど、丸まる木戸きど先生せんせいの描えがく「地球ちきゅう滅亡めつぼう」とはどういうことなのかと、ハラハラドキドキしながら読よむ手てが止とまりませんでした。限かぎられた時間じかんと世界せかいの中なかで、だれのためにどう動うごくかといったことが繊細せんさいに描えがかれているなと感かんじたので、演えんじる上じょうでもそこを大事だいじにしたいなと思おもいました。

――死しにたがっていた高校生こうこうせい・遊馬あすまらとの珍めずらし道中どうちゅうといったコメディー的てきな部分ぶぶんもありながら、不意ふいに核心かくしんを突つくような言葉ことばやセリフがあったなと思おもったのですが、お二に人にんが特とくに印象いんしょうに残のこっているセリフを教おしえてください。

瀬戸せと：僕ぼくは遊馬あすまたちとの旅たびの途中とちゅうで泊とまることになったログハウスで、薬くすりを飲のんで死しのうとした律りつに対たいして「お前まえなんか死しんじまえ！！」と、ちょっと汚きたない言葉ことばを使つかってしまうシーンですね。大切たいせつな人ひとだからこそ、失うしないたくないからこそ、そういう言葉ことばを言いってしまうのは深ふかいなと思おもったし、真澄ますみなりの独特どくとくな愛あいを表現ひょうげんした言葉ことばだと感かんじて、すごく印象いんしょうに残のこっているセリフでした。

中田なかた：「（地球ちきゅう滅亡めつぼうまでの間あいだなら）真澄ますみ以外いがいとは絶対ぜったいヤらないって約束やくそくできるけど、それならいい？」といったセリフがあるのですが、それを真剣しんけんに言いう律りつの、ある意味いみ素直すなおな一いち面めんが見みられたというか。律りつはだれとでも関係かんけいを持もつクズな男おとこだけど、あと何なん日にちかで地球ちきゅうが滅ほろびるという時ときにそれを言いうのって結構けっこうすごいなと思おもいます。あとは、2人ふたりが打うちとけていく中なかで律りつがこぼした本音ほんねみたいなのものもちょいちょい出でてきて、そういうところも人間味にんげんみがあって好すきですね。

人ひとの数かずだけ愛あいの形かたちがあって、正解せいかいはない

――昨今さっこんは実写じっしゃ化か作品さくひんも含ふくめてBL作品さくひんが豊作ほうさくですが、これまで何なにかご覧らんになった作品さくひんはありますか？

中田なかた：「君きみの名前なまえで僕ぼくを呼よんで」という、1980年代ねんだいのイタリアを舞台ぶたいに、17歳さいと24歳さいの青年せいねんの、ひと夏なつの恋こいを描えがいた映画えいがを見みたことがあります。ティモシー・シャラメと、アーミー・ハマーという俳優はいゆうがカップルを演えんじているんですけど、映像えいぞうがすごくキレイだし、自分じぶんの中なかの価値かち観かんが膨ふくらんで物事ものごとを柔軟じゅうなんに考かんがえられるようになって、BLの見方みかたが変かわるきっかけになった作品さくひんでした。

瀬戸せと：「僕ぼくミク」原作げんさく者しゃの丸まる木戸きどマキ先生せんせいの「ポルノグラファー」と、「チェリまほ」（「30歳さいまで童貞どうていだと魔法使まほうつかいになれるらしい」）、「おっさんずラブ」を見みたことがあります。「ポルノグラファー」は、今いま作さくの監督かんとくでもある三木みき（康かん一郎いちろう）さんの世界せかい観かんを感かんじておいた方ほうがいいと思おもったので、この作品さくひんの撮影さつえいに入はいる前まえに拝見はいけんしました。

――「BL」というジャンルの作品さくひんに、どんな印象いんしょうやイメージを持もたれましたか？　また、男性だんせいに恋愛れんあい感情かんじょうを持もつ役やくを演えんじるうえで何なにか心こころがけたことがあれば教おしえてください。

中田なかた：性別せいべつにこだわらず、ただ愛あいした人ひとが同性どうせいか異性いせいかというだけのことなんだと思おもいます。人ひとの数かずだけ愛あいの形かたちがあってよくて、それに正解せいかいはないし、さまざまな解釈かいしゃくがあると思おもいました。今回こんかいの作品さくひんでも感かんじましたが「大切たいせつな人ひとを思おもい返かえしてみたらあなただった」という感覚かんかくを自分じぶんの中なかでも養やしなえたらいいなと思おもいました。僕ぼくらは同おない年どしなのでお互たがいの意見いけんを言いいやすかったり、プライベートの話はなしも弾はずんだりして、自然しぜんとその関係かんけい性せいが演技えんぎにもつながったんじゃないかなと思おもいます。

瀬戸せと：僕ぼくはBL作品さくひんに出演しゅつえんするのは今回こんかいが2作さく目めなんですけど、中田なかたくんが言いっていたように好すきになった相手あいての性別せいべつは関係かんけいなくて、役やくを演えんじる上うえでは恋愛れんあい感情かんじょうや表現ひょうげんは一緒いっしょなんだと思おもいます。なので、今いま作さくもBLだからといって「こうしよう」と特別とくべつに意識いしきしたことはなかったですね。一ひとつの恋愛れんあい青春せいしゅんドラマであり、群像ぐんぞう劇げきと捉とらえて作品さくひんに取とり組くみました。

あと10日とおかで地球ちきゅう滅亡めつぼう…誰だれと過すごす？

――真澄ますみにとって律りつは忘わすれられない「初恋はつこいの人ひと」ですが、瀬戸せとさんは真澄ますみを演えんじていて、律りつに惹ひかれる理由りゆうはどんなところにあると感かんじましたか？

瀬戸せと：やっぱり顔かおじゃないですかね。見みためが自分じぶんのストライクゾーンに入はいっている人ひとじゃないと「この人ひとをもっと知しりたい」という気持きもちにならないじゃないですか。第だい１話わで律りつと再会さいかいするシーンがあるんですけど、そこでも一目惚ひとめぼれのような感覚かんかくをすごく感かんじました。あとは言葉ことばの含ふくみというか、どっちに捉とらえていいのかわからないような感かんじも律りつの魅力みりょくなんじゃないかな。

――中田なかたさんは律りつを演えんじていて、真澄ますみはどんな存在そんざいでしたか？

中田なかた：律りつは今いままで男女だんじょ問とわず、いろいろな人ひととも体からだを交まじえてきたけど、真澄ますみはその人ひとたちとは何なにもかもが違ちがった唯一ゆいいつの存在そんざいなのかなと思おもいます。律りつは一見いっけん、地位ちいもお金かねも持もっていて華はなやかなイメージがあるけど、実じつはすごく孤独こどくで、愛あいされることや愛あいするということがよく分わかっていない。それが家庭かてい環境かんきょうのせいなのか、自分じぶんの性格せいかくなのかは定さだかじゃないけれど、そういう中なかで真澄ますみと学生がくせいの時代じだいに出会であって、傷きずつけてしまったことを何なん年ねん経たっても思おもい返かえすぐらいの人ひとだったんですよね。

なので、きっと律りつ的てきには隕石いんせきが落おちても落おちなくてもハッピーエンドだったのかなって思おもうんです。真澄ますみは自分じぶんに持もってないものを持もっていて、それを守まもっている。そういうところを律りつはすごく尊敬そんけいしていたと思おもうし、物語ものがたりが進すすんでいく中なかで「自分じぶんにはこいつしかいなかった」という律りつの思おもいに説得せっとく力りょくを感かんじたし、最後さいごは真澄ますみに思おもいを伝つたえることができたので、悔くいはないのかなと思おもいました。

――本ほん作さくのように、もし10日とおか後ごに地球ちきゅうが滅亡めつぼうすることになったら、お二に人にんはどう過すごしたいですか？

瀬戸せと：僕ぼくはウユニ塩しお湖みずうみに行いきたいです。辺あたり一いち面めん、水みずに囲かこまれた中なかで最期さいごを迎むかえたいかな。みんなでいるより、一人ひとりでいたいんですよ。もし残のこされた日数にっすうが10日とおかなら、4、５日にち前まえに会あいたい人ひとには全員ぜんいん会あっておいて、後ごの3日間にちかんくらいは自分じぶん一人ひとりで 好すきに 過すごしたい。

中田なかた：僕ぼくだったら一人ひとりは怖こわくて耐たえられないな。

瀬戸せと：例たとえば愛あいしている人ひとと一緒いっしょにいたとして、最後さいごの瞬間しゅんかんはきっと見みつめ合あっているとしたら、 一瞬いっしゅんでも相手あいてが苦くるしむ顔かおは見みたくないもん。そのときの苦くるしい声こえや顔かおがその人ひとの最後さいごの思おもい出でにしたくないから、いい思おもい出でのままで終おわりたいんだよね。

中田なかた：なるほどね。僕ぼくはまだ行いったことない海外かいがいとか行いきたいですね。家族かぞくや友達ともだち、 好すきな人ひとみんな誘さそって車くるまでアメリカ横断おうだんとかいいかも。途中とちゅうで各々おのおの別わかれてもいいんですよ。みんな好すき勝手かってしていいから、ギリギリまでなるべく一人ひとりでいたくない。

瀬戸せと：そのアメリカ横断おうだんに好すきな人ひとも家族かぞくもついてきてくれたとして、両方りょうほうから「最後さいごは抱だきしめあって死しにたい」って言いわれたらどうするの？

中田なかた：……円陣えんじんを組くむとか？（笑）

読書どくしょは台本だいほんを読よみ解とく勉強べんきょうになる

――本ほん作さくは漫画まんがが原作げんさくでしたが、お二に人にんは普段ふだん、どんな本ほんを読よみますか？

瀬戸せと：最近さいきん買かったのは「アーモンド」（祥伝社しょうでんしゃ）という作品さくひんです。感情かんじょうが分わからない少年しょうねんが、祖母そぼが通とおり魔まに殺ころされ母親ははおやも殺ころされかけて、いう内容ないように惹ひかれたのですが、そこからどうなっていくのかが今いま、気きになっています。

中田なかた：おもしろそうなストーリーだね。たしかに気きになるかも。僕ぼくは最近さいきん気きになって買かったのが、片岡かたおか義男よしおさんの『スローなブギにしてくれ』（角川書店かどかわしょてん）という短編たんぺん青春せいしゅん小説しょうせつです。ラッパーの人ひとが紹介しょうかいしていた本ほんで「この人ひとが読よむ本ほんってどういう内容ないようなんだろう」と気きになって買かってみました。セリフのい回いまわしがエモいというかすてきな言葉ことばが多おおくて、今こん読よみ始はじめているところです。

ジャンルは特とくに問とわず、『コーヒーが冷さめないうちに』（サンマーク出版しゅっぱん）とか人間にんげんドラマが描えがかれている作品さくひんも読よみます。あとはSF映画えいがが好すきなので『アンドロイドは電気でんき羊ひつじの夢ゆめを見みるか？』（早川書房はやかわしょぼう）といった海外かいがいの作品さくひんも読よんでみたんですけど、日本語にほんご訳やくだとちょっと難むずかしくて（笑）。

――読書どくしょが俳優はいゆう業ぎょうに活いかされているなと思おもうところはありますか？

中田なかた：小説しょうせつだとセリフの間あいだに「なんでそのセリフを喋しゃべったのか」という理由りゆうが書かいてあるけど、台本だいほんって基本きほん的てきにト書とがきは少すこしで、あとはセリフがバーッと書かいてあるから、そこを読よみ解とく基礎きそ的てきな勉強べんきょうになるって言いうよね。それもあって、僕ぼくは事務所じむしょの人ひとから「本ほんを読よめ」とよく言いわれてきました。あとは活字かつじに慣なれるってことですかね。

瀬戸せと：それに、句読点くとうてんの勉強べんきょうになるよね。作者さくしゃによって句読点くとうてんをつける場所ばしょが違ちがうじゃないですか。「あ、そこでつけるんだ」っていう発見はっけんは、今いまのこの仕事しごとをやっていて一番いちばん勉強べんきょうになっていることかなと思おもいます。例たとえば「僕ぼくは君きみを愛あいしている」という一文いちぶんを、「 僕ぼくは」できってもいいし、「僕ぼくは君きみを」でもいいわけですよね。そういう固定こてい概念がいねんをなくしてくれるし、いろいろな作者さくしゃの方ほうの作品さくひんを読よんで「こういう感性かんせいもあって、すべてが一ひとつの通とおりじゃないんだな」ということを、僕ぼくは本ほんから学まなばせてもらっています。