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第171回芥川賞・直木賞、選考委員が語る講評 「真っ二つに分かれ」直木賞受賞を逃した作品とは?|好書好日
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だい171かい芥川賞あくたがわしょう直木賞なおきしょう選考せんこう委員いいんかた講評こうひょう 「ぷたつにかれ」直木賞なおきしょう受賞じゅしょうのがした作品さくひんとは?

みぎから)芥川賞あくたがわしょう朝比奈あさひなしゅうさん、松永まつなが三蔵さんぞうさん、直木賞なおきしょういちミチさん

 17にちまっただい171かい芥川賞あくたがわしょう直木賞なおきしょう受賞じゅしょうさくは、それぞれどのようなてん評価ひょうかされたのか。選考せんこう委員いいん講評こうひょうからかえる。

 芥川賞あくたがわしょう朝比奈あさひなしゅうさんの「サンショウウオのよんじゅうきゅうにち」(新潮社しんちょうしゃ)と、松永まつなが三蔵さんぞうさんの「バリ山行さんこう(さんこう)」(講談社こうだんしゃ、25にち発売はつばい予定よてい)にまった。1かい投票とうひょうでは朝比奈あさひなさんがひょうあつめたが「2かい投票とうひょうをした結果けっか最終さいしゅうてきにこの2さくおなじくらいひょうあつめた」と選考せんこう委員いいん代表だいひょうして川上かわかみ映子えいこさんが説明せつめいした。

 「サンショウウオのよんじゅうきゅうにち」は、ひとつのからだ共有きょうゆうする結合けつごう双生児そうせいじ姉妹しまい主人公しゅじんこうみぎ半身はんしんひだり半身はんしん人格じんかくちが姉妹しまい身体しんたい感覚かんかく思考しこうとおして、自己じこ他者たしゃ境界きょうかいせんのあいまいさをえがく。「極端きょくたん条件じょうけん前提ぜんてい小説しょうせつなので、深刻しんこくくこともできる。にもかかわらず、ユーモラスにえがくことに成功せいこうしている」と評価ひょうかされた。

 「バリ山行さんこう」は、社内しゃない登山とざん参加さんかする男性だんせい会社かいしゃいん主人公しゅじんこう。「いくらでもをてらうことのできる小説しょうせつ世界せかいのなかで、くべきものをあしけていている」と賛辞さんじおくられた。

 直木賞なおきしょういちミチさんの「ツミデミック」(光文社こうぶんしゃ)にまった。選考せんこう委員いいん三浦みうらしをんさんによると、投票とうひょう一穂いちほさんと麻布あざぶ競馬けいばじょうさんの「れい元年がんねん人生じんせいゲーム」(文芸春秋ぶんげいしゅんじゅう)の2さくにしぼられ、議論ぎろん結果けっか一穂いちほさんに。「麻布まふ競馬けいばじょうさんはつよひとまったさないひとぷたつにかれた。一穂いちほさんは絶対ぜったいダメというひとがおらず、圧倒的あっとうてきだった」

 「ツミデミック」はコロナによってこわれた日常にちじょうで、市井しせい人々ひとびとおかした「つみ」にまつわる6へんたん編集へんしゅう。「バラエティーにんだ登場とうじょう人物じんぶつ心情しんじょう言動げんどうがリアルで、かれらの生活せいかつしんなか自分じぶん体験たいけんしたような気持きもちになった」とひょうされた。

 「れい元年がんねん人生じんせいゲーム」はれい若者わかものたちの仕事しごと意識いしきをテーマにした連作れんさくたん編集へんしゅう。「Z世代せだい」がつどうシェアハウスなどを舞台ぶたいに、意識いしきたか若者わかものたちと、その行動こうどう戸惑とまど人々ひとびと姿すがたえがいた。

 「小説しょうせつであまりかれてこなかった〈キャ〉のひとたちのあせりやくるしみを解像度かいぞうどたかえがいており、その観察かんさつりょく評価ひょうかするこえがあった」。一方いっぽう、「判断はんだんするにはもう1さくみたい」とのこえもあり、受賞じゅしょうのがしたという。(田中たなか瞳子とうこ野波のなみけんゆう)=朝日新聞あさひしんぶん2024ねん07がつ24にち掲載けいさい

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