平出ひらで和也かずやさんと中島なかじま健郎たけおさんが「世界中せかいじゅうの登山とざん家かの憧あこがれだった」理由りゆう 「誰だれもやっていないこと」を何なん度ども成なし遂とげた2人ふたりが挑いどんだ人類じんるい未踏みとうの“最さい難関なんかんルート”とは《K2で遭難そうなん、救助きゅうじょは打うち切きりに…》

　7月がつ27日にち、登山とざん家かの平出ひらで和也かずやさん（45）と中島なかじま健郎たけおさん（39）のふたりが、世界せかいで2番目ばんめの高峰こうほう・K2（8611m）で遭難そうなんした。

　ふたりが目指めざしていたのは、世界せかいに14山やまある8000m峰みねのなかでも登頂とうちょう難易なんい度どの高たかい山やまであるK2の、さらにそのなかでも「最さい難関なんかんルート」と目めされる西にし壁かべ。初はじめて西にし壁かべがトライされたのは1987年ねん。以来いらい、強力きょうりょくクライマーたちによる4回かいに及およぶ挑戦ちょうせんをはねのけ続つづけて、難攻不落なんこうふらくとして知しられる壁かべだ。

この記事きじの画像がぞう（6枚まい）

打うてる手てがないまま3日にちがすぎ、その間あいだふたりはまったく動うごいていなかった

　ふたりが所属しょぞくする石井いしいスポーツによれば、平出ひらでさんと中島なかじまさんは27日にち11時じ30分ふんごろに西にし壁かべの標高ひょうこう7000m地点ちてんで滑落すべりおち。すぐにヘリコプターによる救助きゅうじょが試こころみられ、ふたりの姿すがたも確認かくにんできたというが、現場げんばは自然しぜん条件じょうけんが厳きびしすぎてヘリコプターが接近せっきんできなかった。

　翌日よくじつ以降いこうは、地上ちじょう部隊ぶたいによる救出きゅうしゅつも検討けんとうされたが、なにしろ現場げんばはこれまで誰だれにも登のぼられなかった難所なんしょ中ちゅうの難所なんしょ。そこに行いくことができる人物じんぶつなど、世界せかいでひとにぎりしかいない。そんなひとにぎりの人物じんぶつが都合つごうよく現場げんばにいるわけもない。

　打うてる手てがないまま3日にちがすぎ、その間あいだ、ふたりがまったく動うごいていないことから生存せいぞんは絶望ぜつぼう視しされていた。そして7月がつ30日にち、石井いしいスポーツが救出きゅうしゅつを断念だんねんすることを発表はっぴょうした。

　現在げんざい45歳さいになる平出ひらで和也かずやさんは、21世紀せいきの日本にっぽんの先鋭せんえい登山とざんを牽引けんいんしたひとりだ。東海大学とうかいだいがく山岳さんがく部ぶで登山とざんを始はじめ、2001年ねんには、学生がくせいふたりだけでチョー・オユー（8201m）を登のぼって注目ちゅうもくされる。その後ごは毎年まいとしのようにヒマラヤの高峰こうほうに出でかけ、2008年ねんにカメット（7756m）南東なんとう壁かべを初はつ登攀とうはんして、日本人にっぽんじんとして初はじめてピオレドールを受賞じゅしょうした。

　ピオレドールとは、毎年まいとし、優すぐれた登山とざん家かを表彰ひょうしょうする世界せかい的てきな賞しょうで、しばしば「登山とざん界かいのアカデミー賞しょう」と表現ひょうげんされる。これを受賞じゅしょうすることは、世界せかいのトップクライマーであると認みとめられるに等ひとしい。

　平出ひらでさんはカメット南東なんとう壁かべの初はつ登攀とうはんが認みとめられて2009年ねんに谷口たにぐちけいさん（女性じょせい初はつの受賞じゅしょう者しゃ）と受賞じゅしょうして以来いらい、これまでに通算つうさん3回かい受賞じゅしょうしている。受賞じゅしょう回数かいすうは世界せかいでも屈指くっしで、歴代れきだい3位いとなっている。