部長以上の女性管理職を増やすために、幹部候補の女性社員はどのようなスキルを磨くべきか。人的資源管理論、ダイバーシティー経営を専門とする東京大学の佐藤博樹名誉教授に語ってもらった。
仕事をする上で求められるスキルは、役職段階ごとに異なります。
1950年代に米国の経済学者、ロバート・L・カッツが提唱した「カッツモデル」で説明します(下図)。カッツは、仕事をする上で求められる能力を「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つに分けています。
カッツモデルの概要
米国の経済学者カッツが提唱した「カッツモデル」。役職段階ごとに必要とされるスキルの比重が変わってくる
どの階層でもこの3つのスキルが必要ですが、それぞれの階層で求められるスキルの比重が異なります。担当職(一般社員)は業務遂行能力の割合が多く、課長になると対人関係能力が、部長では概念化能力の割合が多くなります。
仕事ができても部下は動かせない
課長登用の基準を見ると、多くの企業では担当職として業績を上げたこと、つまり業務遂行能力が高い人の中から課長が登用されることが通常です。
ただし、課長に登用されると役割が変わり、部下に仕事をしてもらう立場になります。営業であれば、競合他社の情報や市場の動向を見て、どのような営業活動をすれば、ミッションが達成できるかを考え、営業戦略を立案し、営業計画を立て、部下に仕事を割り振る。
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