ヒドロキシクロロキンが奏効した著明な眼瞼浮腫をきたした lupus erythematosus tumidus の 1 例

松田 杏奈, 安野 秀一郎, 須田 孝博, 白水 舞, 小泉 明子, 下村 裕

doi:10.2336/nishinihonhifu.86.22

<p>75 歳さい，男性だんせい。初診しょしん 4 カ月がつ前まえより顔面がんめんに紅べに斑まだらが出現しゅつげんした。次第しだいに背部はいぶや前ぜん胸部きょうぶにも皮かわ疹が拡大かくだいし，初診しょしん 1 カ月がつ前まえより両りょう眼瞼がんけんに紅べに斑まだらを伴ともなう浮腫ふしゅが出現しゅつげんした。ステロイド軟膏なんこう，メトロニダゾール軟膏なんこうやタクロリムス軟膏なんこうの外用がいようを行おこなうも難治なんじだったため当とう科かを受診じゅしんした。初診しょしん時じ，淡あわい紅べに斑まだらを伴ともなう両りょう上下じょうげ眼瞼がんけんの浮腫ふしゅと前ぜん胸部きょうぶ，上背うわぜい部ぶに浮腫ふしゅ性せいの紅べに斑まだらを認みとめた。紅べに斑まだらはいずれも鱗屑りんせつを伴ともなっていなかった。また，瘙痒や関節かんせつ痛つう，筋力きんりょく低下ていかもなかった。血液けつえき検査けんさ，尿にょう検査けんさと造影ぞうえい CT 検査けんさで特記とっき所見しょけんを認みとめなかった。病理びょうり組織そしき学がく的てき所見しょけんでは表皮ひょうひ基底きてい膜まく部ぶの軽度けいどの液状えきじょう変性へんせいや血管けっかん，付属ふぞく器き周囲しゅういのリンパ球だまの浸潤しんじゅんに加くわえ，真皮しんぴ全ぜん層そうにかけてムチンの著しる明あきらな沈着ちんちゃくを認みとめた。蛍光けいこう抗体こうたい直接ちょくせつ法ほうでは IgG が表皮ひょうひ基底きてい膜まくに線せん状じょうに付着ふちゃくしていた。Lupus erythematosus tumidus（LE tumidus）と診断しんだんし，ヒドロキシクロロキン内服ないふくで治療ちりょうした。開始かいし約やく 6 週間しゅうかんで眼瞼がんけん浮腫ふしゅは著ちょ明あかりに改善かいぜんした。エリテマトーデスに関連かんれんする眼瞼がんけん浮腫ふしゅは比較的ひかくてき稀まれであり，広ひろく認識にんしきされていない。LE tumidus は，露光ろこう部ぶに好こう発はっする滑なめらかな結節けっせつや蕁麻疹じんましん様さまの局面きょくめんで，鱗屑りんせつや萎縮いしゅくがないのが特徴とくちょうである。病理びょうり組織そしき学的がくてきには，表皮ひょうひの変化へんかはほとんどなく，血管けっかん周囲しゅういや付属ふぞく器き周囲しゅういの著しる明あきらなリンパ球だまの浸潤しんじゅんと真皮しんぴのムチンの沈着ちんちゃくを特徴とくちょうとする。一般いっぱん的てきに予よ後ごは良好りょうこうである。紅べに斑まだらを伴ともなう眼瞼がんけん浮腫ふしゅが持続じぞくする患者かんじゃを診察しんさつする際さいには，エリテマトーデスを鑑別かんべつすべき疾患しっかんにあげる必要ひつようがあることを自じ験けん例れいは示唆しさしている。</p>

ヒドロキシクロロキンが奏効そうこうした著ちょ明あかりな眼瞼がんけん浮腫ふしゅをきたした lupus erythematosus tumidus の 1 例れい

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