《卷まき第だい三さん　察形色しょく治ち病びょう第だい九きゅう》[View] [Edit] [History]

1	辨わきまえ五髒受驚積冷熱形証圖圖　肝かん髒受驚おどろき候こう：起おこり發はつ際さい，其色淺あさ白しろ，若わか至いたり丞相じょうしょう，即そく變へん驚風きょうふう，渾身こんしん發熱はつねつ，夜間やかん多た啼，宜むべ下しも驚風きょうふう藥やく。若わか退すさ即そく可か調ちょう治ち，若わか其色不ふ退すさ，下しも至いたり東嶽あずまだけ即そく有ゆう死し候こう。耳みみ前ぜん穴あな黑くろ，金きむ克かつ於木。若わか是ぜ外がい候こう，鼻はな乾燥かんそう，眼睛がんせい吊つるし上じょう。肝きも主筋しゅうすじ，筋すじ縮ちぢみ則そく睛無光こう，即そく是ぜ腎じん絕ぜっ。瞳子どうし不ふ轉てん即そく是ぜ肝きも絕ぜっ，爪つま甲かぶと黑くろ也。
2	肝かん髒受積せき候こう：起おこり食しょく倉くら，其色微ほろ黃き，下した侵おかせ襯眉即そく是ぜ受積。黑くろ睛黃赤あか，早晚そうばん發熱はつねつ則そく多た愛あい睡ねむ，乃有死し候こう，啼哭無む淚なみだ是也これや。
3	肝かん髒受冷ひや候こう：面めん青あお淡白たんぱく，眼中がんちゅう淚なみだ出で，齒齦しぎん淡白たんぱく，口中くちじゅう清水しみず，大便だいべん酸さん氣き，日にち中ちゅう多た睡ねむ，夜間やかん煎せんじ迫せり者しゃ是也これや。
4	肝かん髒受熱ねつ候こう：起おこり正せい眉まゆ薄薄うすうす赤あか氣き，即そく衝丞相しょう。心こころ裹於肝きも，兩りょう眼め亦また赤あか，多た有ゆう眼め脂あぶら，小者こもの吐奶，大だい者しゃ吐食。有ゆう痰たん生せい風ふう，早晚そうばん發熱はつねつ，多た啼少睡ねむ。
5	圖ず　心こころ髒受驚おどろき候こう：起おこり印しるし堂どう，其色微ほろ黑くろ，下しも至いたり眉まゆ心しん，赤あか則そく生せい風ふう，若わか至いたり鼻柱はなばしら，即そく有ゆう死し候こう。皮かわ無血むけつ色しょく，更生こうせい黑くろ ，水みず克かつ於火，惡あく即そく雨う日び，亥子いのこ難なん過か。兼有けんゆう外がい候こう，即そく多た焦こげ渴，吃ども乳にゅう不ふ收おさむ，舌した退場たいじょう門外もんがい是也これや。
6	心こころ髒受積せき候こう：起おこり額がく角かく，太陽たいよう穴あな虛むなし，兩りょう眼め白しろ赤あか，小便しょうべん如泔，面めん合ごう地ち臥が，大だい極きょく即そく吐熱氣ねっき，此惡候こう也。
7	心こころ髒受冷ひや候こう：起おこり太陽たいよう，黑くろ筋すじ脈みゃく子來こらい侵おかせ印しるし堂どう，面めん色しょく淡あわ赤あか，目もく即そく無む光ひかり，要よう轉てん奶食，口くち吐清水しみず，日にち多た煩はん渴也。
8	心こころ髒受熱ねつ候こう：起おこり面めん頰，更さら加か赤色あかいろ，多た驚おどろき少しょう睡ねむ，發はつ干ひ頻しき渴，鼻はな下か赤あか爛ただれ，口氣こうき衝人，牙きば床ゆか惡臭あくしゅう，睡ねむ臥が開口かいこう，多た有ゆう煩はん躁，外そと候こう則そく吐蟲也。
9	圖ず　脾髒受驚候こう：起おこり發はつ際さい，其色微ほろ青あお，即そく傳つて於肝。
10	若わか至いたり眉まゆ心しん，其色漸やや赤あか，即そく傳つて於心；若わか至いたり鼻柱はなばしら，其色必白。若わか分ぶん兩りょう耳みみ，黑くろ氣き連れん之の即そく生なま驚風きょうふう。如此不ふ退すさ，一周いっしゅう時じ必死ひっし。其候主ぬし唇くちびる不ふ蓋ぶた齒ぱ，口くち無む津つ液えき，此是脾絕。四肢しし垂たれ冷ひえ，胃い主ぬし四肢しし，即そく是ぜ脾絕，不ふ中ちゅう理り也，五ご日にち後ご寅とら卯う時じ死し。其外候こう則そく瀉黑血くろち也。
11	脾髒受積候こう：口唇こうしん黃色おうしょく，兩りょう眼め沉腫，早晚そうばん面めん浮，太陽たいよう穴あな調ちょう。外そと候こう頭あたま疼，腹はら脹，大便だいべん飲食いんしょく不消化ふしょうか，頻頻ひんぴん夜よる起おこり，傷きず冷ひや則そく瀉白糞くそ。若わか髒熱則そく赤あか；若わか冷熱れいねつ不調ふちょう則そく赤あか白しろ痢。
12	脾髒受冷候こう：起おこり眉まゆ心中しんちゅうの嶽だけ，其色淡白たんぱく來らい侵おかせ鼻柱はなばしら，又また及元珠たま即そく是ぜ。外そと候こう糞くそ白しろ，食しょく不消化ふしょうか，洩も瀉無時じ，下しも應おう唇くちびる白しろ，乃嘔逆ぎゃく，面めん色しょく黃き赤あか也。
13	脾髒受熱，起おこり太陽たいよう穴あな，白しろ薄皮うすかわ起おこり如竹托たく，口唇こうしん乾燥かんそう，兼有けんゆう口氣こうき。外そと候こう若わか起おこり，大便だいべん亦また赤あか，夜間やかん煩はん躁顛叫さけべ是也これや。
14	圖ず　肺はい髒受驚おどろき候こう：起おこり發はつ鬢びん，其色微ほろ赤あか，傳つて於司空そら則そく生せい驚風きょうふう。外そと候こう氣き喘無力りょく，多た啼叫。若わか至いたり印しるし堂どう即そく主おも死し候こう，作さく邪よこしま聲ごえ，喉のど中ちゅう響ひびき，哭無淚なみだ，鼻はな乾いぬい黑くろ燥者是也これや。肺はい髒受積せき候こう：起おこり發はつ際さい，其色微ほろ赤あか，下しも至いたり眉まゆ心しん，腹はら脹惡心しん。若わか至いたり鼻梁びりょう，更さら到いた准じゅん頭あたま，即そく是ぜ死し候こう。若氣わかげ喘急不ふ回者まわしもの，只ただ三日午未時難過。
15	肺はい髒受傷寒しょうかん候こう：起おこり人中ひとなか，下しも至いたり承うけたまわ漿，亦また到いた下しも頤，其色若わか春はる即そく青あお，夏なつ即そく赤あか，秋あき即そく白しろ，冬ふゆ即そく黑くろ。外そと候こう鼻はな涕流，兩りょう眼め赤あか昏，面めん頰赤，喘氣喉のど響ひびき。其惡候こう則のり面黑おもくろ，咬人，鼻はな黑くろ，身み熱ねつ，氣き喘不定ふてい是也これや。
16	肺はい髒受熱ねつ候こう：起おこり面めん頰，其色青白あおじろ，到いた衝承漿。
17	若わか是ぜ外がい候こう，鼻はな中ちゅう出血しゅっけつ，夜間やかん多た啼，人にん即そく煩はん渴甚，此為疳かん也。
18	圖ず　驚おどろき人じん腎じん髒候，起おこり耳みみ前ぜん穴あな，其色微ほろ黃き，下した侵おかせ潮しお口こう。若わか起おこり外がい候こう，夢ゆめ里さと切きり牙きば，乃侵下か閣かく則そく生せい惡あく候こう。面黑おもくろ惡あく叫さけべ，汗あせ出で如膠HT ，其耳前ぜん穴あな黑くろ也。積せき入にゅう腎じん髒候：起おこり兩りょう眼め深ふか沉，其色微ほろ黑くろ，眼睛がんせい微ほろ赤あか。外そと候こう 耳みみ兼けん耳みみ聾ろう，頭上ずじょう囟門生せい瘡かさ，較後再發さいはつ是也これや。冷ひや入にゅう腎じん髒候：起おこり額がく上じょう，色いろ紫むらさき而微青あお，下した侵おかせ中嶽なかだけ，滿面まんめん青白あおじろ，多た 頑涎， ，吐也。乎典切きり。亦また多た睡ねむ少しょう精せい光也みつや。熱ねつ入にゅう腎じん髒候：起おこり食しょく倉くら，其色微ほろ赤あか，下した到いた准じゅん頭あたま而還，日にち久ひさし兩りょう眼め延のべ爛ただれ。外そと候こう耳みみ重じゅう，多た有ゆう眼め脂あぶら，小便しょうべん赤色あかいろ是也これや。
19	茅かや先生せんせい辯べん小兒しょうに五ご髒各受色：小兒しょうに心こころ髒色：左ひだり顴應赤あか色丹しこたん系けい，心しん屬ぞく南方なんぽう火ひ下か離はなれ。心こころ亂心らんしん中有ちゅうう餘熱よねつ。或ある言げん風ふう擁よう莫憂疑うたぐ。
20	小兒しょうに肺はい髒色：右みぎ顴白應おう在ざい秋あき庚かのえ，肺はい屬ぞく西方せいほう金位きんい行ぎょう。若見わかみ顴中如馬尾ばび，此名氣き盛もり氣き相しょう騰あが。
21	小兒しょうに肝きも髒色：兩りょう眼め青あお時じ旺甲春はる，在ざい肝屬きもつき木き象ぞう東ひがし君くん。忽ゆるがせ青あお胞目如藍靛，即そく是ぜ驚おどろき癇かん風ふう欲ほっ 。
22	小兒しょうに脾髒色しょく：脾胃四季しき屬ぞく中央ちゅうおう，戊つちのえ乙おつ相乘そうじょう土色つちいろ黃き。外そと繞にょう四よん唇くちびる如橘水すい，須因積せき滯とどこお熱あつ相當そうとう。
23	小兒しょうに腎じん髒色：北方ほっぽう壬みずのえ癸みずのと腎じん黑色こくしょく，濃こ水すい隨ずい歸き兩りょう耳みみ流りゅう。若わか在ざい耳みみ邊べ垂たれ黑くろ發はつ，腎じん家か有ゆう病びょう是ぜ因由いんゆ。
24	茅かや先生せんせい辯べん小兒しょうに四季しき受色吉凶きっきょう：春はる青あお夏なつ赤あか秋あき白しろ平ひらめ，冬ふゆ黑くろ四季しき亦また同名どうめい。此為四季しき以上いじょう色いろ，平ひら也。春はる黃き夏なつ白秋はくしゅう青色あおいろ，冬ふゆ赤あか四季しき黑くろ為ため寧やすし。
25	春はる赤あか夏なつ黃き秋色しゅうしょく黑くろ，冬ふゆ青あお四季しき白しろ災わざわい輕かる子こ。春はる黑くろ夏なつ青あお秋色しゅうしょく黃き，冬ふゆ白しろ四季しき赤あか同どう評ひょう母はは。春はる白しろ夏なつ黑くろ秋色しゅうしょく赤あか，冬ふゆ黃き四季しき青あお不ふ羸。此為賊ぞく邪よこしま。茅かや先生せんせい辯べん小兒しょうに面部めんぶ五ご色しょく：小兒しょうに面めん帶たい赤色あかいろ心しん病びょう。或ある驚おどろき，或ある壯たけし熱ねつ，或ある傷きず。小兒しょうに面めん帶たい黃色おうしょく脾病。或ある肚膨，或ある肚痛，或ある不ふ進すすむ食しょく，或ある脾寒，或ある嘔逆。小兒しょうに面めん帶たい白色はくしょく肺病はいびょう。或ある咳嗽がいそう，或ある氣き喘。小兒しょうに面めん帶たい黑色こくしょく腎じん病びょう。夜よる有ゆう虛きょ汗あせ，或ある夜よる有ゆう虛きょ熱ねつ，小便しょうべん先さき帶たい紅色こうしょく後ご帶たい白色はくしょく。小兒しょうに面めん帶たい青色あおいろ肝きも病びょう。身上しんじょう須發大だい瘡かさ。
26	茅かや先生せんせい小兒しょうに雜ざつ病びょう色しょく：白しろ在ざい右みぎ顴肺氣き盛もり，左ひだり顴微白しろ邪よこしま干ひ心しん。繞にょう唇くちびる白色はくしょく氣き不順ふじゅん，左右さゆう人中ひとなか脾積深ふか。胃い氣き不和ふわ黃色おうしょく淡あわ，睛胞青色あおいろ只ただ因よし驚おどろき。心こころ多た驚おどろき悸言顴左，右みぎ肺はい青あお風ふう喘嗽聲ごえ。滿面まんめん黑くろ時じ腎じん家か冷ひえ，常つね拋黑糞くそ不ふ曾停。
27	茅かや先生せんせい小兒しょうに五ご髒受赤色あかいろ：左ひだり顴右顴心肺しんぱい熱ねつ，兩りょう眼め連れん箱ばこ肝きも候こう同どう。唯ただ有ゆう四よん唇くちびる耳みみ前後ぜんこう，腎じん脾受熱ねつ本ほん同どう宗むね。
28	茅かや先生せんせい小兒しょうに面部めんぶ雜色ざっしょく：面めん黃金おうごん色しょく有ゆう積せき餘あまり，西方せいほう青色あおいろ號ごう驚おどろき呼よび。面めん紅べに身み熱ねつ傷寒しょうかん候こう，耳みみ冷ひや瘡かさ瘍是一いち徒と。此言疹痘，赤あか言げん渾身こんしん熱ねつ，面めん青色あおいろ，耳みみ尖とんが冷ひえ，手足てあし冷つめた即そく是也これや。客きゃく忤黑青あお翻こぼし白しろ沫あわ，眼睛がんせい黃色おうしょく積せき難なん除じょ。非時ひじ面黑おもくろ多た驚おどろき叫さけべ，啼哭聲ごえ頻しき氣き不ふ蘇そ。面めん黃き臉赤驚おどろき疳かん積せき，分ふん明解めいかい得とく病びょう當とう除じょ。面めん青あお面めん黃き鼻ばな亦また癢，目もく暗くら風ふう疳かん是ぜ本源ほんげん。面黑おもくろ面めん青あお及紅熱ねつ，啼呼中ちゅう水みず患由偏へん。
29	錢ぜに乙おつ面めん上じょう証しょう與あずか茅ちがや先生せんせい五ご部位ぶい不同ふどう左ひだり腮為肝きも，右みぎ腮為肺はい，額がく上じょう為心いしん，鼻はな為ため脾，頦為腎じん。
30	赤あか者しゃ熱ねつ也，隨ずい証しょう治之はるゆき。
31	錢ぜに乙おつ目め內証：赤あか者しゃ心しん熱ねつ，導しるべ赤あか散ち主しゅ之これ。方かた見み實じつ熱ねつ門もん中ちゅう。淡紅あわべに者しゃ心こころ虛きょ熱ねつ，生なま犀さい散ち主しゅ之これ。方かた見み虛きょ熱ねつ門もん中ちゅう。青あお者しゃ肝きも熱ねつ，瀉青丸まる主ぬし之の。
32	方かた見み驚おどろき熱ねつ門もん中ちゅう。淡あわ淺あさ者しゃ，補ほ之の。黃き者しゃ脾熱，瀉黃散ち主しゅ之これ。方かた見み胃い熱ねつ門もん中ちゅう。無精ぶしょう光こう者しゃ腎虛じんきょ，地黃じおう丸まる主ぬし之の。方かた見み虛きょ寒かん門もん中ちゅう。《嬰童寶たから鑒》》論ろん形かたち色しょく：凡小ぼんしょう兒じ自じ期き歲とし以前いぜん，猶なお有ゆう變へん蒸ふけ，未み及診脈みゃく，唯ただ以形候こう而知其病矣。看み形がた候こう之の際さい，醫い工こう可か安神あんしん定てい思おもえ，勿令情意じょうい惑亂わくらん。其孩子こ又また忌き方かた睡ねむ起おこり，哭聲始はじめ斷だん，如此則そく色しょく候こう不正ふせい矣。凡形候こう在ざい辰たつ後ご巳み前者ぜんしゃ，為ため夏未なつみ酷熱こくねつ，冬ふゆ乃微和わ，即そく外そと色しょく不ふ盈みつる於面耳みみ，可か以向明あかり觀かん也。
33	《嬰童寶たから鑒》觀かん五ご髒各部ぶ色しょく與あずか茅ちがや先生せんせい部位ぶい同どう，與あずか錢ぜに乙おつ不同ふどう：心しん屬ぞく火ひ，其色赤あか。南方なんぽう之の應おう。王おう在ざい夏なつ，外そと應おう於面之の左ひだり顴，故こ左ひだり顴上赤色あかいろ如丹絲いと之の亂みだれ理り者しゃ，心こころ有餘ゆうよ熱ねつ，亦また言げん有風ゆうふう熱ねつ。肺はい屬ぞく金きん，其色白しろ。西方せいほう之の應おう。王おう在ざい秋あき，外そと應おう於面之の右みぎ顴，故こ右みぎ顴上白色はくしょく如馬尾ばび者しゃ，為ため肺はい之の盛もり氣き。肝屬きもつき木き，其色青あお。東方とうほう之の應おう。王おう在ざい春はる，外そと應おう兩目りょうめ，故こ目め內青色しょく如綻者しゃ，謂いい肝きも有風ゆうふう，或ある雲くも驚おどろき癇かん欲ほっ發はつ。脾屬土ど，其色黃き。中央ちゅうおう之の應おう。王おう在ざい四季しき，外そと應おう於合，故こ口くち四よん畔ほとり黃色おうしょく如橘者しゃ，脾之有ゆう積せき熱ねつ。腎じん屬ぞく水すい，其色黑くろ。北方ほっぽう之の應おう。王おう在ざい冬ふゆ，應おう於兩耳みみ前まえ，流轉るてん不定ふてい，水性すいせい也，故こ耳みみ前ぜん黑色こくしょく如鳥絲いと垂たれ於水中すいちゅう者しゃ，腎じん之の有ゆう疾やまし也。
34	凡色赤あか在ざい左ひだり顴者，心しん熱ねつ。在ざい右みぎ顴者，肺はい熱ねつ。在ざい兩目りょうめ者しゃ，肝きも熱ねつ。其色在ざい於兩目め，眼め周しゅう遭也。在ざい口くち四よん畔ほとり者しゃ，脾熱。在ざい兩りょう耳みみ前後ぜんご者しゃ，腎じん熱ねつ。凡白色しょく在ざい右みぎ顴者，肺はい氣き盛もり。左ひだり顴者，微ほろ邪よこしま干ひ心しん；口こう四よん畔ほとり者しゃ，氣き不順ふじゅん。凡黃色しょく在ざい口くち及人中ちゅう，並なみ左右さゆう兩邊りょうへん黃き者しゃ，脾有疾やまし。黃色おうしょく微ほろ者しゃ，胃い氣き不和ふわ。凡青色しょく在ざい兩りょう眼め，目め中ちゅう白人はくじん也。又また在ざい目め坑あな者しゃ，亦また同どう也。是ぜ驚おどろき欲よく發はつ。在ざい左ひだり顴上，心こころ多た驚おどろき悸。右みぎ顴上者しゃ，風ふう入にゅう肺はい為ため咳嗽がいそう而喘。凡黑色しょく滿面まんめん者しゃ，腎じん冷ひえ，必下黑くろ糞くそ。此者辨べん五ご髒病色しょく，更さら識春夏秋冬しゅんかしゅうとう四季しき，斷だん其病狀じょう，須在審しん詳しょう，勿令誤あやま矣。
35	面めん黃白こうはく色しょく，有ゆう積せき。面めん青あお白色はくしょく，有ゆう驚おどろき。面めん色しょく赤あか，身み熱ねつ者しゃ，傷寒しょうかん。面めん色しょく赤あか，耳みみ尖とんが冷ひえ，身み熱ねつ者しゃ，疹痘。面めん色しょく青黑あおぐろ，或ある時とき吐白沫あわ者しゃ，客きゃく忤。非時ひじ面めん上じょう紅べに赤あか變へん易やす不定ふてい者しゃ，驚おどろき。眼睛がんせい黃き者しゃ，有ゆう積せき。面めん黃き，兩りょう顴小赤あか者しゃ，驚おどろき疳かん。面めん青あお黃き，鼻はな癢，目もく昏者，風ふう疳かん。面めん青黑あおぐろ，色しょく夭糾，啼呼者しゃ，中ちゅう寒かん之の患。初生しょせい，面目めんぼく上じょう、鼻はな口こう左右さゆう悉黃為ため血ち 。人中ひとなか鼻はな下か青あお，乳ちち不ふ消けし。痢下青あお者しゃ，衣ころも薄うす中ちゅう寒かん。諸しょ陽ひ皆みな會かい於面，陽ひ衰おとろえ本有ほんゆう風邪かぜ，夾冷者しゃ面めん青あお。鼻はな下か兩邊りょうへん赤あか者しゃ，名めい赤鼻あかばな。
36	面めん青白あおじろ，軀身哭者，胎中受邪。面めん青あお者しゃ，肝かん癇かん。面めん赤あか者しゃ，心こころ癇かん。面白おもしろ者しゃ，肺はい癇かん。面めん黃き者しゃ，脾癇。面黑おもくろ者しゃ，腎じん癇かん。
37	心しん風ふう：唇くちびる赤あか，汗あせ流りゅう，面めん赤あか。肝きも風ふう：兩目りょうめ連れん額がく並なみ唇くちびる青あお面めん黃き。脾風：腹はら滿まん，通つう身み黃き。腎じん風ふう：脅おびえ有ゆうHT KT ，面黑おもくろ。肺はい風ふう：胸むね滿まん，鼻はな下目しため下か色白いろじろ。
38	面めん赤あか或ある壯たけし熱ねつ，四肢しし煩はん，手足てあし心しん熱ねつ，為ため心腹しんぷく熱ねつ痛つう。面めん色しょく或ある青あお或ある白しろ，甚者至いたり面黑おもくろ，唇くちびる、口くち、爪つま皆みな青あお，是ぜ心腹しんぷく冷ひや發はつ痛つう。鼻はな上じょう赤色あかいろ是ぜ風ふう疳かん。
39	小兒しょうに傷寒しょうかん，鼻はな燥喘息いき，鼻はな氣き有ゆう聲ごえ者しゃ，必衄候こう。
40	凡色者しゃ，應おう其春青あお，夏なつ紅くれない，秋あき白しろ，冬ふゆ黑くろ，在ざい四季しき而黃，此五ご色しょく為平ためひら也。
41	凡春得とく黃色おうしょく，夏なつ得とく白色はくしょく，秋あき得とく青色あおいろ，冬ふゆ得とく赤色あかいろ為ため微ほろ邪よこしま。雖有病びょう，不治ふち而自愈いよいよ，亦また為ため欲よく瘥之候こう。
42	凡春得とく白色はくしょく，夏なつ黑くろ，秋あき赤あか，冬ふゆ黃き，四季しき青あお，此五色しょく為ため惡あく色しょく，見みる之の雖不患亦大凶だいきょう。
43	《嬰童寶たから鑒》面部めんぶ異色いしょく：青色あおいろ如橫針はり眼下がんか，死し。鼻はな上うえ色しょく青あお，腹中ふくちゅう痛つう，死し。面めん青あお目黑めぐろ是ただし肝かん氣き所しょ傷きず，榮さかえ衛まもる不通ふつう，難なん瘥。青色あおいろ連れん目め入にゅう耳みみ，死し。赤色あかいろ入口いりくち三さん日にち死し，赤色あかいろ入にゅう眉まゆ上じょう，入目いりめ，死し。黑色こくしょく從したがえ眉まゆ繞にょう目め者しゃ七なな日にち死し。黑色こくしょく入口いりくち二に日にち死し。黑色こくしょく繞にょう口こう者しゃ死し。鼻はな上じょう黑色こくしょく患水腫しゅ，人中ひとなか黑色こくしょく者しゃ死し。鼻はな色白いろじろ為ため吐血とけつ死し，亦また破やぶ傷きず出血しゅっけつ後ご死し。白色はくしょく繞にょう眉まゆ，患肺疾やまし。黃色おうしょく，鼻はな上じょう臍ほぞ中ちゅう寒さむ極ごく。
44	《嬰童寶たから鑒》年上としうえ色しょく謂いい鼻はな准じゅん上じょう，中ちゅう為ため年上としうえ，上うえ為ため壽ことぶき上じょう：鼻はな准じゅん頭上ずじょう微微びび高だか處しょ名めい曰年上じょう。看み年ねん凶きょう吉きち。更さら上じょう一いち位い，亦また有ゆう微ほろ起おこり處しょ名めい曰壽上じょう。看み夭壽也。上うえ得とく青色あおいろ，白色はくしょく，黑色こくしょく，赤色あかいろ，並なみ不可ふか治ち。雌めす黃色おうしょく如金者しゃ平たいら。
45	又また曰：春色しゅんしょく白しろ，秋あき凶きょう。夏なつ色白いろじろ，冬ふゆ凶きょう。
46	《嬰童寶たから鑒》四よん墓はか色しょく從したがえ兩りょう眉間みけん直上ちょくじょう至いたり髮際かみぎわ，左ひだり為ため父ちち墓ぼ，上うえ為ため母はは墓ぼ，口吻こうふん直下ちょっか為ため男女だんじょ墓ぼ：四墓上有四季正色者平。
47	春はる得とく青あお平ひらめ，白しろ在ざい四よん墓はか七なな日にち死し。夏なつ得とく赤平あかびら，黑くろ在ざい四よん墓はか四よん日にち死し。秋あき得とく白しろ平ひらめ，赤あか在ざい四よん墓はか四よん日にち死し。冬ふゆ得とく黑平くろべら，黃き在ざい四よん墓はか者しゃ死し。
48	四季しき黃き平たいら。青あお在ざい四よん墓はか者しゃ死し。
49	《秘ひ要よう指ゆび迷》形かたち証しょう圖ず圖ず　圖ず　圖ず　圖ず　圖ず　圖ず　圖ず　圖ず　秘ひ要よう指ゆび迷形証しょう圖ず　《惠めぐみ眼め觀かん証しょう》云うん：虛實きょじつ之の狀じょう，不ふ拘かかわ肥こえ瘠やせ，系けい乎氣色しょく。有ゆう肥こえ而氣怯おびえ，瘠やせ而氣壯たけし。怯おびえ則のり色しょく軟，壯たけし則のり色しょく盛もり。由よし此觀之の，五髒之色皆見於面。肝きも青あお，心こころ赤あか，肺はい白しろ，脾黃，腎じん黑くろ。雖然肝きも王おう於春，心しん王おう於夏，肺はい王おう於秋，脾王於四季しき，腎じん王おう於冬。設しつらえ或ある不ふ春はる，不ふ冬ふゆ，有ゆう時じ而變面めん青黑あおぐろ，又また非ひ系けい乎肝腎かんじん也。時とき非ひ四季しき，有ゆう時じ而變面めん黃き赤あか，亦また非ひ系けい乎心脾也。時とき非ひ在ざい秋あき有ゆう時じ而變面めん色白いろじろ，亦また非ひ系けい乎在肺はい也。忽ゆるがせ然しか青黑あおぐろ者しゃ，主しゅ乎痛。忽ゆるがせ然しか黃き赤あか者しゃ，主しゅ乎熱。忽ゆるがせ然しか白色はくしょく者しゃ，主しゅ乎冷。
50	此由氣き有ゆう閉滯，非ひ系けい乎時也。泛常而色見しきみ於本部ほんぶ者しゃ，又また非ひ此論也。
51	心肺しんぱい系けい乎兩臉，脾則見み乎唇之の四よん際さい，肝きも則そく見み乎眼之の四よん傍はた，腎じん則そく見み乎兩鬢びん之の際さい。始はじめ見み於本部ほんぶ，又また形かたち於他位い，前まえ所謂いわゆる不可ふか一いち端はし而取也。
52	至いたり如脾主ぬし唇くちびる之の四よん際さい，其色白しろ則そく主しゅ吐瀉としゃ。或ある痢病之の日にち久ひさ，忽ゆるがせ然しか紫むらさき黑くろ，此心腎じん之の氣き傳でん之の於脾，主しゅ乎敗絕ぜっ，不ふ三さん日にち而死也。眼め之の四よん傍はた，其色青あお則そく主ぬし驚おどろき涎よだれ閉結，微微びび白色はくしょく交侵則そく肺はい之の克かつ肝きも，亦また死し候こう也。由よし是ぜ推夫五髒之氣遍行於面，不可ふか執と一いち而視也。
53	《惠めぐみ眼め觀かん証しょう》云うん：小兒しょうに之の病やめ，其實者しゃ面めん色しょく紅べに赤あか，風ふう之の欲ほっ生せい則そく或ある先さき搖ゆら頭あたま，或ある自じ扎眼。虛きょ者しゃ面めん色しょく淡あわ黃き夾白，氣き之の怯おびえ則そく頭あたま軟弱なんじゃく，眼目がんもく昏昏。又また有ゆう實じつ而氣血ち閉者，面めん色しょく青あお黃き，夜よる睡ねむ多た汗あせ，加か之の唇くちびる乾いぬい氣き粗あら，脅おびえ下か刺とげ痛つう，晚ばん或ある躁悶。又また有ゆう虛きょ而大小便しょうべん澀滯，眼め遲おそ息いき緩なる者しゃ，此脾有ゆう滑すべり積せき，其形候こう如此。由よし目め力りょく觀かん之の，切きり忌き小兒しょうに睡ねむ起おこり與あずか夫おっと啼聲方かた斷だん，此古人じん深ふか戒也。凡有重病じゅうびょう，氣色けしき未み定則ていそく先さき將はた手て候こう太ふとし衝，兼けん掐腳心しん，或ある不知ふち病びょう，乃一絕ぜっ也。又また看み眼め色しょく如何いか，果はて混濁こんだく而不名譽めいよ則そく死し矣。
54	《惠めぐみ眼め觀かん証しょう》又また云うん：小兒しょうに生せい下か三さん朝あさ七なな日にち，面めん蔥白色しょく者しゃ，為ため胎氣不足ふそく，近きん不可ふか過か六ろく十じゅう日にち，遠とお不ふ過か 。
55	壽ことぶき上じょう一いち點てん青色あおいろ，驚おどろき著ちょ胎氣。凡因驚おどろき後ご，兩りょう眼め皮がわ上じょう筋すじ起おこり，赤あか則そく驚おどろき積せき，青あお則そく疳かん積せき，紅べに則そく風ふう積せき。鼻はな心こころ紅色こうしょく直上ちょくじょう此心熱ねつ，主おも發はつ癰よう瘡かさ，或ある夜啼よなき，睡ねむ臥が不穩ふおん，或ある熱ねつ，或ある痢病。兩りょう眉まゆ心こころ青あお氣き起おこり，主著しゅちょ僕ぼく，不ふ然しか被ひ打だ驚おどろき著ちょ。眼め坑あな下か紅色こうしょく起おこり，主しゅ心しん驚おどろき，因いん人じん叫喚きょうかん，或ある雞犬驚おどろき著ちょ萬まん一いち，胸むね膈煩，夜よる或ある熱ねつ。兩りょう眼め尾お青筋あおすじ直上ちょくじょう髮際かみぎわ，主しゅ肝きも氣き怯おびえ弱じゃく。如有疾病しっぺい，其筋愈いよいよ青あお，面めん色しょく愈いよいよ白しろ，主しゅ慢驚搐搦候こう，大腸だいちょう亦また冷ひや。唇くちびる紅べに面めん赤あか，主しゅ有ゆう傷きず壯たけし熱ねつ，又また更さら啼哭，必傷寒しょうかん頭痛ずつう外がい候こう，用よう手しゅ按太陽たいよう穴あな，見み動どう來らい抵手是也これや。臉青唇くちびる黑くろ，若わか元もと有ゆう驚おどろき候こう則そく主ぬし驚おどろき氣き結ゆい痛つう，須發驚おどろき也。如本無む驚おどろき，忽ゆるがせ然しか青あお者しゃ，唇くちびる反はん乾燥かんそう，其聲直ちょく叫さけべ，此因冷ひや物ぶつ傷きず脾。唇くちびる之の四よん外がい淡白たんぱく色しょく，主しゅ脾虛吐瀉としゃ及患痢。如已吐瀉としゃ，有ゆう黑色こくしょく繞にょう上唇うわくちびる者しゃ，必死ひっし。若わか患痢重じゅう，則のり唇くちびる上じょう一路いちろ干ひ白しろ。唇くちびる之の四よん外がい黃き，主しゅ食傷しょくしょう脾。唇くちびる之の四よん際さい青色あおいろ淡淡たんたん起おこり者しゃ，主しゅ脾胃有ゆう涎よだれ，即發そくはつ傷寒しょうかん，脾虛引起潮しお熱ねつ。唇くちびる之の四よん外がい赤色あかいろ，主しゅ心しん脾受熱ねつ，氣き血ち壅滯，或ある發はつ口こう瘡かさ。兩りょう臉上有ゆう絲いと紋もん淡紅あわべに夾赤，此因肺はい受熱，主しゅ嗽うがい或ある血ち不ふ潮しお心しん，夢ゆめ多た驚おどろき叫さけべ，睡ねむ臥が不安ふあん。眼め坑あな下か青あお黑色こくしょく繞にょう轉てん，主しゅ肝きも氣き敗はい絕ぜっ涎よだれ生せい。又また面めん臉上有ゆう紅べに絲いと，從したがえ下か直上ちょくじょう眼め尾お，此心肺しんぱい極熱ごくねつ生せい丹に瘡かさ。眼睛がんせい黃色おうしょく，主しゅ肺はい有ゆう粘ねば積せき。眼睛がんせい青色あおいろ，主しゅ肺はい有ゆう風氣かざけ並なみ脾氣。又また白しろ，即そく主しゅ渴候，遍へん身み黃き腫しゅ如熟李り。或ある因いん瀉痢，手足てあし浮腫ふしゅ。若わか面めん色しょく變動へんどう，或ある青あお或ある赤あか，耳みみ葉は冷ひえ，腹はら內痛，好こう吃ども冷水れいすい，主しゅ發疹はっしん痘。兩りょう耳みみ畔ほとり青黑あおぐろ，筋すじ橫よこ過か發はつ際ぎわ，主しゅ臍ほぞ下か痛つう及疝氣き腎じん吊つるし也。生なま下した一いち月がつ或ある二に月がつ，面めん色しょく忽ゆるがせ微微びび青白あおじろ，偃身哭者，主しゅ胎中受邪氣き。非時ひじ面めん赤あか，或ある壯たけし熱ねつ。
56	四肢しし煩はん，手足てあし心しん熱ねつ，主しゅ心腹しんぷく熱ねつ痛つう，遍へん身み虛きょ腫しゅ。面めん色しょく青あお黃き，頭皮とうひ光こう腫しゅ者しゃ，主おも熱ねつ疳かん候こう。氣き入いれ，四肢しし皮がわ上じょう粟あわ瘡かさ。唇くちびる口こう微微びび青あお黃き，主しゅ肝きも髒風熱ねつ，及脾有ゆう滑すべり積せき，或ある腹痛はらいた瀉。生なま下した頭あたま腫しゅ，胎氣不足ふそく。眼め澀睛赤あか，揉もめ眼め揩眼，面めん青あお黃き多た淚なみだ，主しゅ風ふう疳かん在ざい肝きも髒。
57	《惠めぐみ眼め觀かん証しょう》：小兒しょうに氣色けしき言ごと之の難なん矣。在ざい視し之の精しらげ熟じゅく，方ほう知子ともこ細ほそ。全ぜん黃色おうしょく中有ちゅうう黃き而色似に乎黯者しゃ，唇くちびる似に微ほろ白しろ，主しゅ乎疳氣き。或ある淡淡たんたん黃き而青者しゃ，主しゅ肝きも脾皆虛むなし，或ある有ゆう潮しお熱ねつ，或ある患瀉痢。小兒しょうに疾患しっかん須先看み脾氣，此一髒生病びょう最多さいた，何なに哉？吃ども物もの無な度たび，冷熱れいねつ無む節ふし，因いん而傷損そん。或ある瀉，或ある滯とどこお，或ある痢，以致肌はだ肉にく羸瘦，往往おうおう傳つて變へん於丁奚、哺露。雖二に候こう一同いちどう，肚高腳細，頭とう發はつ干ひ枯。但ただし丁ひのと奚者，有ゆう蟲ちゅう。哺露者しゃ，腹はら高だか青筋あおすじ，吃ども物もの不變ふへん是也これや。
58	《惠めぐみ眼め觀かん証しょう》辯べん形がた色しょく：大抵たいてい氣色けしき各かく隨ずい其時而言之の，至いたり如淡淡たんたん青あお黃き，脾胃虛きょ怯おびえ而致。此在春はる與あずか冬ふゆ末まつ看み之これ，多た患傷寒しょうかん、疹痘。在ざい秋あき於夏末まつ觀かん之の，多た患吐瀉としゃ、瘧おこり痢。蓋ぶた病びょう有ゆう陰陽いんよう，各かく以時候じこう擊げき觸さわ而成。此則言げん其大概がい無む所出しょしゅつ也，宜むべ常つね記き之の。
59	又また唇くちびる之の上うえ一路かずみち白しろ，主しゅ吐。唇くちびる棱上一道いちどう白しろ，及唇尖とんが微ほろ騫，主しゅ痢。唇くちびる四よん際さい青あお，主しゅ瀉。唇くちびる下か一いち抹黃，主しゅ傷きず。唇くちびる上じょう黑色こくしょく者しゃ，胃い氣絕きぜつ，必死ひっし。眼下がんか臉赤，主おも睡ねむ不穩ふおん，多た啼叫。眼め白しろ芨青，主しゅ驚おどろき。
60	《保生やすお論ろん》辯べん小兒しょうに生死せいし形がた色しょく法ほう：兩りょう眉まゆ屬ぞく木き──青色あおいろ吉よし，黃色おうしょく主しゅ霍亂。兩りょう眼め左ひだり太陽たいよう，右みぎ太陰たいいん──黑くろ睛黃主しゅ傷寒しょうかん，白しろ睛黃有ゆう積せき。
61	兩りょう風ふう池ち氣き池ち──青色あおいろ主しゅ風ふう候こう，紅色こうしょく主しゅ發熱はつねつ，紫色むらさきいろ主しゅ吐逆とぎゃく。印しるし堂どう──紅色こうしょく主しゅ夜啼よなき，青色あおいろ主しゅ溺おぼれ瀉。壽ことぶき上じょう、年上としうえ──青色あおいろ主しゅ第だい二に次じ受驚，赤色あかいろ主しゅ瀉後發はつ躁。微ほろ黃き平ひらた。山根やまね──青色あおいろ主しゅ發熱はつねつ生せい驚おどろき，黑色こくしょく及黃色しょく甚者主おも死し。
62	人中ひとなか──黑色こくしょく主しゅ蛔蟲かいちゅう咬心，患久，人中ひとなか縮ちぢみ者しゃ主おも死し。承うけたまわ漿地閣かく──黃色おうしょく主しゅ霍亂，黑色こくしょく主しゅ風雨ふうう驚おどろき，赤色あかいろ主しゅ痢血。止とめ口こう──紅べに黃色おうしょく平ひらた，白色はくしょく脾絕，黑色こくしょく繞にょう口こう主おも死し。兩りょう頤──黑色こくしょく主おも滯とどこお頤疾，赤色あかいろ主しゅ斑まだら瘡かさ眼め。兩りょう頰──赤色あかいろ主しゅ傷寒しょうかん，右みぎ赤色あかいろ肺はい髒熱，主しゅ生なま喘，左ひだり赤色あかいろ心こころ髒熱，口くち生せい瘡かさ。兩りょう金かね匱──青色あおいろ第だい三さん次じ驚おどろき，主おも生せい風ふう候こう。
63	兩りょう耳みみ前まえ──青色あおいろ主しゅ驚おどろき。兩りょう太陽たいよう穴あな──青色あおいろ第だい一いち次じ驚おどろき。紅色こうしょく主しゅ血ち淋。兩りょう顴──赤色あかいろ主しゅ五ご髒皆有ゆう熱ねつ，赤色あかいろ連れん耳みみ入目いりめ，七なな日にち亡ほろび。
64	黑色こくしょく繞にょう口こう者しゃ，二に日にち亡ほろび。黑色こくしょく從したがえ眉まゆ入目いりめ者しゃ，當日とうじつ亡ほろび。鼻はな乾いぬい黑色こくしょく者しゃ，二に日にち亡ほろび。眉まゆ青あお目め黃き者しゃ，必亡。面黑おもくろ唇くちびる紅べに者しゃ，必亡。眉まゆ青あお唇くちびる黑くろ不ふ食しょく者しゃ，必亡。
65	《莊そう氏し家傳かでん》察小兒しょうに氣色けしき候こう：凡察小兒しょうに氣色けしき，先さき安定あんてい自己じこ神色しんしょく，勿令散亂さんらん，兼けん忌き孩兒がいじ初はつ睡ねむ起おこり及啼哭聲未み絕ぜっ，並なみ未み可か察視。
66	面めん青あお，肝きも病びょう。赤色あかいろ，心しん病びょう。白色はくしょく，肺病はいびょう。黃色おうしょく，脾病。黑色こくしょく，腎じん病びょう。兩目りょうめ青色あおいろ，主しゅ肝きも風ふう驚おどろき癇かん。兩りょう耳みみ前後ぜんこう黑くろ，主しゅ腎じん熱ねつ，風ふう虛むなし多た啼，不ふ得え睡ねむ。兩目りょうめ赤色あかいろ，主しゅ肝きも髒積熱ねつ。左ひだり額がく上じょう有ゆう丹に絲いと紅べに紋もん，心こころ積せき熱ねつ。右みぎ額がく上白じょうはく色しょく，肺はい邪よこしま干ひ心しん。
67	右みぎ額がく上白じょうはく色しょく，肺はい髒邪熱ねつ。左ひだり頰上赤あか者しゃ，肝きも熱ねつ。右みぎ頰赤者しゃ，腎じん積せき熱ねつ。口くち四よん畔ほとり黃き如橘，脾積熱ねつ。口くち四よん畔ほとり青色あおいろ，兼有けんゆう青筋あおすじ，主しゅ驚おどろき。口くち四よん畔ほとり白色はくしょく，榮さかえ衛まもる氣き滯とどこお。兩目りょうめ黃き，主しゅ積せき食しょく不ふ化か、疳かん、蛔。人中ひとなか左右さゆう兩りょう傍はた黃き，主しゅ胃い逆ぎゃく。面めん青あお，愁思しゅうし客きゃく忤覺驚おどろき。人中ひとなか青あお者しゃ，主しゅ下痢げり。面めん赤あか紅べに，主しゅ傷寒しょうかん。面めん赤あか頭あたま熱ねつ清きよし涕，傷寒しょうかん疹痘瘡かさ。面めん青あお，兩りょう鼻はな下か赤あか，主しゅ盜汗とうかん，伏ふく冷ひえ，陰かげ証しょう。面めん非時ひじ紅べに，或ある紅べに，或ある赤あか變移へんい者しゃ，主おも時じ中ちゅう受邪驚おどろき。面めん黃き，兩りょう額がく微ほろ赤あか，主しゅ驚おどろき疳かん。面めん青あお黃き，鼻はな癢，目もく昏者，風ふう疳かん。眼め上じょう赤色あかいろ，啼叫用よう力りょく，吐乳とにゅう不ふ受，手足てあし冷ひや者しゃ，死し。眼下がんか青色あおいろ，如橫針はり者しゃ，死し。黑色こくしょく從したがえ眉まゆ繞にょう目め者しゃ，七日なのか死し。
68	長ちょう沙すな醫者いしゃ毛もう彬あきら傳でん面部めんぶ察色：黑色こくしょく發はつ於年壽ことぶき，驚おどろき氣き伏ふく脾。或ある射い風ふう池ち，肝きも生せい風ふう逆ぎゃく。或ある連れん氣き池ち，大腸だいちょう冷ひや滑すべり。印しるし堂どう黑くろ，耳みみ花はな黑くろ，皆みな死し候こう也。餘部あまるべ皆みな心しん不調ふちょう，但ただし順じゅん榮さかえ衛まもる，別べつ觀かん所定しょてい處しょ。
69	赤色あかいろ發はつ於顴上じょう，心こころ髒伏熱ねつ。或ある連れん氣き池ち，傷寒しょうかん之の候こう。風ふう池ち上作じょうさく輪わ，急きゅう驚おどろき將しょう起おこり。或ある於年壽ことぶき上見うわみ赤あか，是ぜ心こころ脾極熱ねつ，口くち內生瘡かさ。或ある臉上赤あか，胃い熱ねつ，或ある生なま干ひ逆ぎゃく，或ある吐蛔蟲ちゅう。或ある上うえ衝印堂どう，下達かたつ頤門，皆みな不ふ好こう也。
70	青色あおいろ發はつ於風池ち者しゃ，肝きも虛むなし風ふう候こう。下した繞にょう氣き池ち，吐痢日び久ひさ。或ある當年とうねん壽ことぶき，上うえ衝印堂どう上下じょうげ，傷寒しょうかん夾驚之の候こう。當とう文武ぶんぶ之の台たい入にゅう眼め，慢驚風ふう起おこり。頤門久見くみ者しゃ，皆みな久積ひさづみ痞氣。
71	黃色おうしょく發はつ於頤門もん，脾虛疳かん積せき。年とし壽ことぶき上じょう黃き，大腸だいちょう冷ひや。有ゆう黃き到いた准じゅん頭あたま，脫肛だっこう。風ふう池ち黃き，脾風將はた起おこり。氣き池ち黃き，胃弱いじゃく困こま重生しぎょう蛔。臉堂上下じょうげ黃き，脾困之の候こう。或ある年とし壽ことぶき、印しるし堂どう黃き，皆みな吐瀉としゃ脾虛也。黃き繞にょう金きん匱、承うけたまわ漿，脾毒積せき痢候。
72	白色はくしょく發はつ人中ひとなか，或ある如縑素之もとゆき垂たれ雪ゆき，當人とうにん中止ちゅうし者しゃ，初はつ變へん蒸ふけ也。當とう風氣かざけ二に池いけ，皆みな肺はい壅咳嗽がいそう。或ある文武ぶんぶ二に台だい上氣じょうき滯とどこお，多た成なり積せき瀉。或ある人中ひとなか直上ちょくじょう到いた壽ことぶき上じょう，肺はい疳かん將はた甚也。
73	面部めんぶ皆みな青あお，肝きも絕ぜっ。皆みな赤あか，心しん絕ぜっ。皆みな黃き，脾絕。皆みな白しろ，肺はい絕ぜっ。皆みな黑くろ，腎じん絕ぜっ。
74	心しん絕ぜっ，舌した縮ちぢみ，魚さかな口こう。腎じん絕ぜっ，筋すじ拘かかわ，逆ぎゃく冷ひや。脾絕，胃い逆ぎゃく，穀こく不ふ化か。肺はい絕ぜっ，喘促，脫肛だっこう。肝きも絕ぜっ，搐搦，生なま涎よだれ。
75	並なみ死し候こう也。