多品種少量生産、短納期にこだわり、ワイヤーハーネス産業で成長を遂げる

人間にんげんでいう神経しんけいや血管けっかんのように、電力でんりょくや情報じょうほうを伝つたえる役割やくわりを持もち、家庭かてい用よう電化でんか製品せいひんなど生活せいかつに欠かかせないさまざまな機器きき、装置そうちに使用しようされているワイヤーハーネス。そのワイヤーハーネス加工かこうをはじめ、各種かくしゅケーブルアッセンブリー品ひんの生産せいさんで高こう評価ひょうかを得えているのが福岡ふくおか産業さんぎょうだ。（取材しゅざい・文ぶん／大沢おおさわ玲子れいこ）

多品種少量生産、短納期にこだわり、ワイヤーハーネス産業で成長を遂げる代表だいひょう取締役とりしまりやく・中川なかがわ繁しげる氏し

「1974年ねんの創業そうぎょう以来いらい、弊社へいしゃでは特とくに通信つうしん・情報じょうほう機器ききなどの産業さんぎょう用よう機器ききに特とく化かした、ワイヤーハーネスを軸じくに手てがけてまいりました」。そう語かたるのはIT企業きぎょうを経へて94年ねん、同社どうしゃに入社にゅうしゃし、2018年ねんより代表だいひょう取締役とりしまりやくを務つとめる中川なかがわ繁しげる氏しだ。同社どうしゃの取引とりひき分野ぶんやは防災ぼうさい機器きき、エレベーター、紙幣しへい・硬貨こうか処理しょりなどの金融きんゆう機器きき、産業さんぎょう用よう電源でんげん、衛星えいせい放送ほうそう機器ききなど多岐たきにわたり、業績ぎょうせきも好調こうちょう。コロナ禍かに見舞みまわれた20年度ねんども増収ぞうしゅう増益ぞうえきを達成たっせいしている。

作業さぎょう進捗しんちょく管理かんりシステムで
生産せいさん工程こうていを“見みえる化か”

　海外かいがいを含ふくめ競合きょうごうがひしめく業界ぎょうかいにあって、同社どうしゃの特徴とくちょう、強つよみはどこにあるのか。

多品種少量生産、短納期にこだわり、ワイヤーハーネス産業で成長を遂げる圧着あっちゃく加工かこう、一括いっかつ圧あつ接せっ加工かこう、ハンダ加工かこうなど豊富ほうふなハーネス加工かこう技術ぎじゅつで顧客こきゃくの幅広はばひろいニーズに対応たいおう

　中川なかがわ氏しが第だい1に挙あげるのが多た品種ひんしゅ少量しょうりょう生産せいさん、短たん納期のうきへのこだわり。自動車じどうしゃや民生みんせい機器ききなどで使つかわれる大量たいりょう生産せいさんのワイヤーハーネスは、人件じんけん費ひが安やすい海外かいがい工場こうじょうや大だい企業きぎょうをライバルに価格かかく競争きょうそうに見舞みまわれることとなる。同社どうしゃでは汎用はんよう機器きき市場いちばとは一線いっせんを画かくし、「特注とくちゅうや一いち点てん物ぶつの産業さんぎょう用よう機器ききに対たいし、1本ほんからのご用命ようめいにもお応こたえし、特注とくちゅう・特急とっきゅう品ひんへも短時間たんじかんで納品のうひんすることを使命しめいとしています」と中川なかがわ氏し。

　第だい2に、第だい1に関連かんれんし、03年ねんより導入どうにゅうした、独自どくじ開発かいはつの「工程こうてい進捗しんちょく管理かんりシステム」の存在そんざいが挙あげられる。

「受注じゅちゅう数すうが多おおいため、このシステムの導入どうにゅう以前いぜんは、どこでどの注文ちゅうもんが動うごいているのか、マンパワーで滋賀しがの本社ほんしゃと東京とうきょう事業じぎょう所しょの2拠点きょてん、各かく部門ぶもんを走はしり回まわって確認かくにん、把握はあくする体制たいせいで、生産せいさん工程こうていのボトルネックとなっていました」（中川なかがわ氏し）

　そこで前まえ職しょくで培つちかったITの知見ちけんを生いかし、中川なかがわ氏しを中心ちゅうしんに各かく拠点きょてん、部門ぶもんをつなぐ基幹きかんシステムを構築こうちく。生産せいさん工程こうていの“見みえる化か”を実現じつげんし、月間げっかん8000～1万まんにも及およぶアイテム数すうをこなしている。