ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁＃1Photo:AFP=JIJI

トヨタ自動車とよたじどうしゃからの受注じゅちゅうが多おおいため「トヨタ3社しゃ」と呼よばれる大手おおてゼネコンのうちの1社しゃ、大林組おおばやしぐみが「人脈じんみゃく・カネ・技術ぎじゅつ」を駆使くしして攻勢こうせいを強つよめている。昔むかしからの縁えんだけで次つぎの仕事しごとにつながるような時代じだいはとうに過すぎ去さった。特集とくしゅう『ゼネコン 地縁ちえん・血縁けつえん・腐くされ縁えん』（全ぜん15回かい）の＃1では、ゼネコンと自動車じどうしゃ・電機でんきメーカーとの関係かんけいに迫せまる。（ダイヤモンド編集へんしゅう部ぶ　松野まつの友美ゆみ）

トヨタ社長しゃちょうと大林組おおばやしぐみ会長かいちょう
共ともに慶應義塾けいおうぎじゅくで交友こうゆう関係かんけい

　大手おおてゼネコンの大林おおばやし組ぐみで社長しゃちょうに就ついた者ものは毎年まいとし、静岡しずおか県けん湖西こせい市しにある豊田とよだ佐吉さきち記念きねん館かんを訪おとずれる。

　豊田とよだ佐吉さきち氏しはトヨタ自動車とよたじどうしゃを核かくとするトヨタグループの創始そうし者しゃであり、その志こころざしを伝つたえる記念きねん館かんを大林組おおばやしぐみが施工しこうした。大林組おおばやしぐみにとって超ちょうが付つく重要じゅうよう顧客こきゃくであるトヨタへの敬意けいいを込こめ、記念きねん館かん詣もうでが恒例こうれい行事ぎょうじとなっているのだ。

　トヨタと大林おおばやし組ぐみは、創業そうぎょう家かの間あいだでつながっている。トヨタの豊田とよだ章男あきお社長しゃちょうと大林おおばやし組ぐみの大林おおばやし剛つよし郎ろう会長かいちょうは2歳さい差さで共ともに慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出身しゅっしん、かねて交友こうゆう関係かんけいを持もつ。彼かれらの父親ちちおやたち、トヨタ第だい6代だい社長しゃちょうを務つとめた豊田とよだ章一郎しょういちろう氏しと大林おおばやし組ぐみの第だい3代だい社長しゃちょうだった大林おおばやし芳郎よしお氏しの良好りょうこうな関係かんけいが息子むすこたちにも受うけ継つがれた。

　ゼネコン業界ぎょうかいはいかに顧客こきゃくから受注じゅちゅうできるかが勝負しょうぶであり、人脈じんみゃくや縁えんの深ふかさが鍵かぎを握にぎる。大林組おおばやしぐみは長年ながねん、トヨタから受注じゅちゅうを重かさねてきた。

　といっても大林おおばやし組ぐみ一いち社しゃがトヨタを囲かこい込こんでいるわけではない。

　トヨタとの関係かんけいが深ふかいゼネコン3社しゃを、業界ぎょうかいでは「トヨタ3社しゃ」と呼よんでいる。大林組おおばやしぐみは頭あたま一ひとつ抜ぬけたポジションではあるが、他たの2社しゃも縁えんが深ふかい。また、縁えんがあれば仕事しごとを取とれるほど、世界せかいで戦たたかうトヨタは甘あまくなかった。