デロイト トーマツ コンサルティングが社員しゃいんの士気しきを急上昇きゅうじょうしょうさせた「働はたらき方かた改革かいかく」の中身なかみ

米国べいこくテキサス州しゅうウェストレイクにあるデロイトユニバーシティ（Deloitte University）。日本にっぽんでの建設けんせつも構想こうそう中ちゅうだ

コンサル業界ぎょうかいの働はたらき方かたに課題かだいを感かんじ、社内しゃない改革かいかくに乗のり出だしてわずか数すう年ねんで社員しゃいんの「働はたらきがい」を大おおきく高たかめることに成功せいこうした、デロイト トーマツ コンサルティング合同ごうどう会社かいしゃ。OpenWorkが実施じっしした『社員しゃいんが選えらぶ「働はたらきがいのある企業きぎょうランキング2022」』でも、前年ぜんねん調査ちょうさの18位いから10位いへとランクを急上昇きゅうじょうしょうさせた。同社どうしゃに改革かいかくの経緯けいいと現場げんばでの取とり組くみについて聞きいた。（ダイヤモンド社だいやもんどしゃ ヴァーティカルメディア編集へんしゅう部ぶ 副ふく編集へんしゅう長ちょう　小尾こび拓也たくや）

「働はたらきがい」の高たかい企業きぎょうにヒアリング
自社じしゃの働はたらき方かたをデザインし直なおした

　デロイト トーマツ コンサルティング合同ごうどう会社かいしゃ（以下いか、DTC）は、世界せかい4大会たいかい計けい事務所じむしょであるデロイト トウシュ トーマツ リミテッドの一員いちいんで、世界せかい最大さいだい級きゅうのグローバル経営けいえいコンサルティング会社かいしゃの1つとして知しられる。

　大手おおてコンサルティングファームと聞きけば、洗練せんれんされた働はたらき方かたを思おもい浮うかべる人ひとも多おおいだろう。しかし同社どうしゃトップは、従来じゅうらいの自社じしゃの働はたらき方かたについて強つよい課題かだいを感かんじ、ここ3年ねんほどにわたって、抜本ばっぽん的てきな社内しゃない改革かいかくを進すすめてきたのである。

　コンサルタントの業界ぎょうかいでは「クライアントファースト」の働はたらき方かたが常態じょうたい化かしている。深夜しんや残業ざんぎょうを繰くり返かえしてでも仕事しごとを期限きげんに間あいだに合あわせ、顧客こきゃくの期待きたいに応こたえろというものだ。そんな働はたらき方かたについていけず、入社にゅうしゃから3～4年ねんで辞やめていく社員しゃいんは多おおい。

　DTCでは2019年ねんに佐瀬させ真人まさと氏しが代表だいひょう執行しっこう役やく社長しゃちょうに就任しゅうにんしてから、こうした業界ぎょうかいの特殊とくしゅな環境かんきょうを変かえて行いく原動力げんどうりょくになりたいという機運きうんが盛もり上あがった。そして、メンバーの心身しんしんの健康けんこうやワークライフバランスをサポートするための社内しゃない改革かいかくが始はじまったのだ。

「世よの中なかの『働はたらきがいのあるランキング』などで上位じょういにランクインした企業きぎょうに、『どうしたら社員しゃいんの働はたらきがいを高たかめられるのか』をヒアリングするなどして、働はたらき方かたをデザインし直なおした」と、同社どうしゃ人事じんじ担当たんとうパートナーの長川ながかわ知とも太郎たろう氏しは振ふり返かえる。

　ヒアリングなどの結果けっか、働はたらきがいが高たかい企業きぎょうでは社員しゃいんの「心理しんり的てき安全あんぜん性せい」が強つよいという結論けつろんに至いたった。程度ていどの差さはあれ、組織そしきには「上うえからの評価ひょうかや周囲しゅういの目めを気きにすることなく、自分じぶんがよいと思おもうことをやっていい」という安心あんしん感かんが必要ひつようだ。職場しょくばや仲間なかまを信頼しんらいできず、自分じぶんの生いき残のこりが最さい優先ゆうせん課題かだいになると、上司じょうしや周囲しゅういの顔色かおいろばかりをうかがうようになる。それでは、経営けいえいが現場げんばの状況じょうきょうを正ただしく把握はあくし、適切てきせつな組織そしき運営うんえいを行おこなうことはできない。

「本来ほんらい、我々われわれはクライアントを通つうじて世よの中なかを変かえるために仕事しごとをしている。社員しゃいんが変かわらなければ、今いまより顧客こきゃく満足まんぞくを高たかめることができないということに気きづいた」（長川ながかわ氏し）