日本経済の命運決める 海底ケーブル大戦＃1Photo:da-kuk/gettyimages

岸田きしだ政権せいけんが実現じつげんを目指めざす日本にっぽん列島れっとうを周回しゅうかいする海底かいていケーブル「デジタル田園でんえん都市としスーパーハイウェイ」の整備せいびに、NTTドコモが名乗なのりを上あげる方針ほうしんを固かためたことがダイヤモンド編集へんしゅう部ぶの取材しゅざいで分わかった。日本にっぽんを一周いっしゅうする海底かいていケーブルはかつてKDDIが完成かんせいさせたものの、日本海にほんかい側がわのサービスは終了しゅうりょうしている。なぜドコモは“ミッシングリンク”に手てを伸のばすのか。特集とくしゅう『日本にっぽん経済けいざいの命運めいうん決きめる 海底かいていケーブル大戦たいせん』（全ぜん7回かい）の＃1では、海底かいていケーブル国策こくさくプロジェクトの舞台裏ぶたいうらに迫せまる。（ダイヤモンド編集へんしゅう部ぶ副ふく編集へんしゅう長ちょう　大矢おおや博之ひろゆき）

政府せいふが補助ほじょ金きん300億おく円えんを投とうじて
日本海にほんかい側がわに海底かいていケーブルを整備せいび

「海底かいていケーブルで日本にっぽんを周回しゅうかいする『デジタル田園でんえん都市としスーパーハイウェイ』を3年ねん程度ていどで完成かんせいさせます」――。

　岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうは2021年ねん12月、所信しょしん表明ひょうめい演説えんぜつでこう力説りきせつした。政府せいふが国策こくさくで海底かいていケーブルの整備せいびを始はじめようとしている。

　デジタル技術でじたるぎじゅつで地方ちほうの課題かだいを解決かいけつすることを掲かかげ、政府せいふが22年ねん6月がつに閣議かくぎ決定けっていした「デジタル田園でんえん都市とし国家こっか構想こうそう基本きほん方針ほうしん」では、国内こくないの海底かいていケーブルが主おもに太平洋たいへいよう側がわに敷設ふせつされており、「日本海にほんかい側がわが未み整備せいび（ミッシングリンク）となっている」と指摘してき。デジタルインフラの整備せいびが重点じゅうてん分野ぶんやの一ひとつに盛もり込こまれ、日本にっぽんを周回しゅうかいする海底かいていケーブルの完成かんせい時期じきは「25年度ねんど末まつまで」と明記めいきされた。

　政府せいふがデジタルインフラの整備せいびに付つけた予算よさんは500億おく円えん。このうち300億おく円えんが海底かいていケーブルの整備せいびに充あてられ、事業じぎょう費ひの8割わりを補助ほじょする計画けいかくだ。

　補助ほじょ金きんを利用りようした事業じぎょうの公募こうぼは今秋こんしゅうから始はじまる。そしてNTTドコモが、公募こうぼに申請しんせいする方針ほうしんを固かためたことがダイヤモンド編集へんしゅう部ぶの取材しゅざいで分わかった。

　NTTグループの国内こくないの海底かいていケーブルは、NTT東日本ひがしにっぽんやNTT西日本にしにほん、NTTコミュニケーションズ（NTTコム）が手掛てがけることが多おおかった。しかし今回こんかいは、「ドコモの事業じぎょうとしてやる」とNTTグループの幹部かんぶは明言めいげんする。

　また、基本きほん方針ほうしんでミッシングリンクと評ひょうされた日本海にほんかい側がわの海底かいていケーブルは、実じつはかつてKDDIが整備せいびしたものの、約やく15年ねん前まえにサービスを終了しゅうりょうした過去かこがある。

　次じページでは、KDDIが運用うんようをやめてしまった日本海にほんかい側がわの海底かいていケーブルにドコモが敢あえて手てを上あげ、国策こくさくプロジェクトへの参画さんかくを目指めざす理由りゆうを説明せつめいする。