ついにマイナス金利解除。住宅ローン金利が上がる時に注意すべき「変動型」ローンに内包されたリスクとはファイナンシャルプランナー（CFP）、生活せいかつ設計せっけい塾じゅくクルー取締役とりしまりやく　深田ふかた晶あきら恵めぐみ氏し

日本銀行にっぽんぎんこう（日銀にちぎん）がマイナス金利きんり政策せいさくを解除かいじょし、日本にっぽんは17年ねんぶりに『金利きんりのある世界せかい』に戻もどった。預金よきん金利きんりが上あがるのはいいが、気きになるのは住宅じゅうたくローン金利きんりの上昇じょうしょうである。変動へんどう型がたのローンを返済へんさい中ちゅうの人ひと、そして住宅じゅうたく購入こうにゅうを予定よていしている人ひとは、金利きんり上昇じょうしょうにどのような影響えいきょうがあり、どう対応たいおうすべきだろうか。住宅じゅうたくローンに詳くわしい深田ふかた晶あきら恵めぐみ氏しに聞きいた。

変動へんどう型がた住宅じゅうたくローンの多おおくが5年ねんルールを採用さいよう。
金利きんりは変かわっても返済へんさい額がくの見直みなおしは5年ねんごと

　日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくは、変動へんどう型がたの住宅じゅうたくローンを借かりている人ひと、借かりようとしている人ひとに大おおきく影響えいきょうする。日銀にちぎんが政策せいさく金利きんりを引ひき上あげれば、変動へんどう型がたの金利きんりが上あがるからだ。そして、固定こてい型がたの金利きんりは長期ちょうき金利きんり（10年ねん国債こくさいの利回りまわり）の影響えいきょうを受うけ、変動へんどう型がたより先さきに上昇じょうしょうする。

　低てい金利きんりが長ながく続つづいたため変動へんどう型がたを利用りようしている人ひとが多おおく、返済へんさい額がくが急激きゅうげきに増ふえるのではないかと、ややあおり気味ぎみの報道ほうどうも多おおい。

　1990年代ねんだいから住宅じゅうたくローンを見みてきたファイナンシャルプランナーの深田ふかた晶あきら恵めぐみ氏しは、変動へんどう型がたの金利きんり上昇じょうしょうやその対応たいおう策さくについてこう話はなす。

「これまでにも金利きんりが上あがりそうな局面きょくめんはありましたが、実際じっさいには長ながい間あいだ、金利きんりは低ひくいままでした。今回こんかいは物価高ぶっかだかや賃上ちんあげが伴ともない、いよいよ、金利きんりの上昇じょうしょう、住宅じゅうたくローンへの影響えいきょうについて真剣しんけんに考かんがえるべき時ときが来きています。ただし半年はんとしや1年ねんで１～2％といった急激きゅうげきな金利きんり上昇じょうしょうは考かんがえにくい。焦あせって行動こうどうするのではなく、返済へんさい額がくや住宅じゅうたく購入こうにゅうについて落おち着ついて考かんがえたいところです」

　気きになるのは、返済へんさい額がくがどの程度ていど増ふえるかだが、返済へんさい中ちゅうのローンについては、多おおくの場合ばあい、金利きんりが上あがってもすぐに返済へんさい額がくが増ふえることはない。なぜなら、多おおくの金融きんゆう機関きかんでは、変動へんどう型がたに「5年ねんルール」を適用てきようしているからである。

「5年ねんルール」とは、金利きんりが上昇じょうしょうしても5年間ねんかんは返済へんさい額がくを変更へんこうしないルールである。

　既すんで契約けいやく者しゃの金利きんり（適用てきよう金利きんり）は通常つうじょう、半年はんとしに1度ど、見直みなおされる。その見直みなおし時期じきに適用てきよう金利きんりが上あがったとしても、返済へんさい額がくは前まえに返済へんさい額がくを見直みなおしてから5年間ねんかんは変更へんこうされず、返済へんさい額がくが見直みなおされるのは5年ねん後ごだ。適用てきよう金利きんりが上あがっても、返済へんさい額がくは当面とうめんそのままである。

「それなら安心あんしん」と思おもいがちだが、そうだろうか。実じつはそうではない。5年ねんルールにもデメリットがあり、思おもわぬリスクが潜ひそんでいる。