断トツの営業成績で「破格の高収入」→起業して「月収9万円生活」に転落した男が見つけた“人生の答え”とは
2012年の創業以来、3度の倒産危機、夫婦で月収9万円という苦境を乗り越えた起業家の瀬川直寛さん。自身がECサイトの在庫管理に七転八倒した経験から、在庫を利益に変える分析クラウドサービス「FULL KAITEN」を生み出した。諦めを知らない起業家の「鋼のメンタル」の正体とは。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
小売を悩ます「在庫の適正化」とは?
「人生の4分の1を在庫問題に捧げてきました」
そう語るのは、瀬川直寛さん。在庫分析クラウドサービス「FULL KAITEN」を開発するフルカイテンの創業者だ。
小売を悩ます永遠の課題、それが「在庫の適正化」だ。欠品による機会損失を防ぐには、ある程度在庫を抱えておく必要がある。しかし、在庫を抱えすぎれば、キャッシュフローの悪化や倉庫費の増大など、経営を圧迫するリスクとなり得る。突破口として、需要予測の精度を上げる必要があるのだが、いまだ多くの小売が、「根性Excel」と呼ばれるExcelの在庫管理から抜け出せていないという。
だいたい1000SKUを超えたあたりから、人力での在庫管理が難しくなっていくそうだ。一般に、コンビニは約3000SKU、スーパーマーケットは約1万SKU、デパートは100万SKUを超えるとも言われ、「いつも立ち寄るあの店も、この店も、在庫管理に悩んでいるのかな」と想像しても、間違いではないかもしれない。
瀬川さんは、「在庫を利益に変えるため、在庫データを売上など他のデータと組み合わせて分析することで最適な販売戦略を打ち出し、粗利を生み、在庫を回転させたい」と語る。なるほど、だから「フルカイテン」。