3メガバンク日銀利上げで最高益ペースが加速、上方修正期待に冷や水浴びせる“混乱”の予兆
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3メガバンクの2024年度第1四半期決算は、3月にマイナス金利が解除されたことで、従前の予想通り好調な決算となった。7月の利上げによって、好調ぶりがさらに加速することは間違いないが、足元では秋に予想される“混乱”の予兆も表れている。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
通期目標進捗率40%間近
絶好調の3メガバンク1Q決算
本格的な金利上昇局面を迎え、「我が世の春」を謳歌(おうか)しているメガバンク。8月2日に出そろった2024年度第1四半期決算は、23年度決算の好調ぶりをそのまま維持しており、24年度通期業績予想の上方修正期待が高まっている。
日本銀行は2024年3月のマイナス金利解除に続き、7月31日に無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を、現在の0~0.1%から0.25%へ引き上げた。1999年にゼロ金利政策が導入されてから四半世紀続いた低金利時代から、本格的な金利上昇時代へ突入した。
本業の収益力を示す業務純益は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループそろって過去最高を更新。純利益は、みずほフィナンシャルグループを加えた3メガバンク合計で約1兆2165億円に達した。通期目標に対する進捗率はMUFGが37%、SMFGは35%、みずほFGは38%というハイペースだ(上グラフ参照)。
もっとも、このハイペースは驚くような結果ではない。そもそも3月のマイナス金利解除の増収効果は、5月に公表された24年度の業績予想には織り込まれていない。そこへ7月の利上げが行われ、最高益更新へ向けて、今後のペースがさらに加速することは確実視されている。
大手証券アナリストは、「通期業績予想を上回り、最高益を更新することは間違いない」と口をそろえる。実際、今後の金利上昇による増益の端緒は、決算数値の随所に表れている。次ページでその端緒を詳しく見ていくとともに、首をもたげ始めた今秋のリスクによって、“春”は意外と短くなる可能性について解説する。