賃上げの嘘！本当の給料と出世＃4Photo by Yoshihisa Wada

金利きんり上昇じょうしょうで業績ぎょうせきが絶好調ぜっこうちょうのメガバンクは、賃上ちんあげにも積極せっきょく的てきだ。中なかでも三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうは上あげ幅はばが最もっとも大おおきい。今年度こんねんど、行員こういんにはどの程度ていどの恩恵おんけいがあるのか。また2024年度ねんどから順次じゅんじ導入どうにゅうされる新しん人事じんじ制度せいどは、銀行ぎんこう界かいでは根強ねづよく残のこる年次ねんじによる管理かんりがいよいよ薄うすまり、出世しゅっせの法則ほうそくが大おおきく変かわるきっかけになりそうだ。特集とくしゅう『賃上ちんあげの嘘うそ！本当ほんとうの給料きゅうりょうと出世しゅっせ』の＃4では、実み額がくや役職やくしょく名めいと共ともに、その中身なかみをレポートする。（ダイヤモンド編集へんしゅう部ぶ副ふく編集へんしゅう長ちょう　片田かただ江こう康男やすお）

3メガそろって最大さいだい規模きぼの賃上ちんあげ
三菱みつびしUFJは常識じょうしき覆くつがえす新しん人事じんじ制度せいど導入どうにゅう

　メガバンクには今いま、強烈きょうれつな追おい風かぜが吹ふいている。2023年ねん7月がつに行おこなわれたイールドカーブ・コントロール（YCC、長短ちょうたん金利きんり操作そうさ）の運用うんよう柔軟じゅうなん化かをきっかけに本格ほんかく的てきな金利きんり上昇じょうしょう局面きょくめんが訪おとずれ、銀行ぎんこうの本業ほんぎょうである預あずか貸金かしきんビジネスが復活ふっかつしているのだ。

　その影響えいきょうは23年度ねんど（24年ねん3月がつ期き）の好こう決算けっさんにつながった。三菱みつびしUFJフィナンシャル・グループ（FG）の純じゅん利益りえきは1兆ちょう4907億おく円えん、三井みつい住友すみともフィナンシャルグループ（FG）は同どう9629億おく円えんで過去かこ最高さいこう益えきを更新こうしん。みずほフィナンシャルグループ（FG）は6789億おく円えんと過去かこ2番目ばんめの利益りえきを出だした。

　今後こんごもこの勢いきおいが持続じぞくすることは間違まちがいない。24年ねん3月がつ下旬げじゅんにYCCとともに16年ねんから続つづいたマイナス金利きんり政策せいさくが撤廃てっぱいされたが、この影響えいきょうは24年度ねんど（25年ねん3月がつ期き）の業績ぎょうせきに反映はんえいされる上うえに、今年ことし秋あきには追加ついかの利上りあげが予想よそうされているのだ。

　24年度ねんど、三井みつい住友すみともFGは三菱みつびしUFJ FGに続つづき純じゅん利益りえきを大台おおだいの1兆ちょう円えんに乗のせる計画けいかくで、3メガバンクはそろって最高さいこう益えきを更新こうしんする予想よそうをぶち上あげている。

　そんな好こう業績ぎょうせきを背景はいけいに、24年度ねんどのベースアップはまさしく大盤振おおばんぶる舞まい。中なかでも三菱みつびしUFJ FG傘下さんかの三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうは同行どうこう発足ほっそく以来いらい最大さいだいとなる8.5％超ちょうの実質じっしつ賃上ちんあげとなり、三井住友銀行みついすみともぎんこうやみずほ銀行ぎんこうを上回うわまわる水準すいじゅんだ。

　三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうではそれに加くわえ、19年ねん以来いらいの人事じんじ制度せいど改定かいていも行おこなう。その中身なかみは、入行にゅうこう年次ねんじと年功序列ねんこうじょれつによって厳格げんかくに人材じんざい管理かんりを行おこなう“銀行ぎんこう人事じんじ”の常識じょうしきを覆くつがえすものだ。背景はいけいには経営けいえいの課題かだいと結むすび付ついたある事情じじょうが垣間見かいまみえる。

　なんと改定かいていでは年齢ねんれい不問ふもんで年収ねんしゅう2000万まん円えん台だい半なかばに達たっするケースすら登場とうじょうしそうだ。同時どうじに実力じつりょく主義しゅぎがより強つよまり、出世しゅっせの力学りきがくも大おおきく変かわる。次つぎページでは3メガバンクのベースアップの詳細しょうさいと共ともに、三菱みつびしUFJ FGの人事じんじ制度せいど改定かいていの内容ないようを、実際じっさいの役職やくしょく名めいや年収ねんしゅう実み額がくと併あわせて詳くわしくレポートする。