九曜と竹雀組とは、ブラウザゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場する刀剣男士のうち、歌仙兼定(刀剣乱舞)・小夜左文字(刀剣乱舞)・大倶利伽羅(刀剣乱舞)・燭台切光忠(刀剣乱舞)・鶴丸国永(刀剣乱舞)・太鼓鐘貞宗(刀剣乱舞)を指すグループタグである。
概要
由来は7面「延享の記憶」ステージで発生する回想其の32~43「九曜と竹雀のえにし」シリーズからである。これは2017年5月時点で、ゲーム内で最長の回想シリーズとなっている。
回想タイトルの「九曜」と「竹雀」とは、それぞれ細川家と伊達家の家紋のこと。
細川家所縁の刀剣である歌仙兼定・小夜左文字の2振と、伊達家所縁の刀剣である太鼓鐘貞宗・燭台切光忠・大俱利伽羅・鶴丸国永の4振とで構成される。合計6振なのでちょうど部隊編成にぴったり。
というのも、この回想の発生には所定のメンバーによるボス戦勝利が条件になっているものが多い。
しかし7面は2017年5月時点で最も難易度の高いステージであることもあり、該当する刀剣男士が育っておらず、回想の回収に苦労した審神者も多いと思われる。
特に短刀である太鼓鐘と小夜を、ボスマスまでいかに無傷で生き残らせるかが勝利の鍵となっている。極にして強化すればある程度は楽になるので、無理せず根気よく回収する事が必要。
6面「池田屋の記憶」が「歴史修正主義者(時間遡行軍)」の陽動作戦であったのを受け、刀剣男士たちは新たに歴史改変点の調査をする任務につくのだが......。
ステージの時代背景
舞台は延享4年(1747年)の江戸。
8月15日、江戸城で行われる月例の拝賀式のため、諸大名が登城。肥後熊本藩第五代藩主・細川宗孝が大広間脇の厠に立った所、旗本・板倉勝該に背後から斬りつけられて絶命する、という事件が起きた。
ところが、この犯行はなんと家紋の見間違えによる人違いだった。
実は勝該は日頃から精神不安定で、このときも本家筋にあたる上野安中藩主・板倉勝清が自らを廃するのでないかと勝手に思い込み、逆恨みして狼藉に及んだのだ。
細川家の「九曜」紋が板倉家の「九曜巴」紋とよく似ていたこと、更に厠が薄暗かったことから、宗孝を勝清と勘違いしたのである。宗孝カワイソス。
また、白金台町にあった勝該の屋敷は熊本藩下屋敷の崖の下にあり、雨のたびに汚水が流れて来るのに抗議したが無視された事を恨んでの犯行という説もある。ともあれ事件から8日後、勝該は預かり先の水野忠辰宅で切腹させられた。
しかし宗孝は当時31歳と若かった為、まだ世継ぎがいなかった。その上、殿中での刃傷沙汰は理由を問わず、喧嘩両成敗の原則が適用される。足利以来の名門・細川家は断絶の危機に陥った。
この窮地を救ったのは、たまたまそこに居合わせた陸奥仙台藩第六代藩主・伊達宗村だった。
機転を利かせて「越中守殿(※宗孝)にはまだ息がある、早く屋敷に運んで手当てせよ」と細川家の家臣に命じる。これを受けて家臣たちは既に絶命している宗孝を城中から藩邸に運び込み、宗孝の弟・細川紀雄(のちの細川重賢)を末期養子として幕府に届け出た。
そして翌日になって宗孝は「介抱の甲斐なく死去」と報告。その頃までには刃傷沙汰に至った事情を幕府も把握、細川家には咎なしと認められ、事なきを得たのである。
構成メンバー
細川家所縁
歌仙兼定
声:石川界人 絵:ホームラン・拳
刀帳:89 刀種:打刀 刀派:兼定
彼が大倶利伽羅と一緒に組んで江戸へ調査任務に行くよう言われたのが事の発端。
大俱利伽羅のことは「一匹狼というより、いじけた子犬」「戦も歌も一人でやれるというのが間違いだ」と言いたい放題であったが、小夜の口から実は「ああは言っても物凄い人見知り」なことが判明。
結局小夜の心配は的中し、任務中に喧嘩に発展。通常運転の大倶利伽羅に腹を立て、怒りに任せて「東北の田舎刀め」とい放つが「好きにわめいていろ」と返された。
その後は完全に不機嫌になり「風流じゃない」とか「雅じゃない」とか言って敵を次々手打ちにしていたらしい。どこの忠興だろう
そんな二人の仲直りを画策したみんなの奔走の甲斐あって、相変わらず「東北の田舎刀め」「好きにわめいていろ」と互いに言いつつ雰囲気は穏やかなものに変わっており、敵を前に共闘する。
最終的には小夜に「不愛想な奴と呑んでくる」と告げ、酒を酌み交わす程度の仲に落着した。
また燭台切によると薄味好みで、洋風の味付けは好まない様子。うすたあそおすとか。
小夜左文字
声:村瀬歩 絵:鈴木次郎
刀帳:83 刀種:短刀 刀派:左文字
歌仙と大俱利伽羅の仲直りのために小夜と燭台切が奔走するのがこの一連の回想のメインとなっており、2振は出演数も最多。
同じ細川家所縁の歌仙からは「お小夜」と呼ばれており、小夜も歌仙の事を「うちの歌仙兼定」と言ったり、内番の特殊会話では窘めていたりと、見た目によらず面倒を見る側である。
表情が暗い(といっても通常運転)のを歌仙からは「風流ではないな。もっと明るいほうがいい」と気にかけられ、燭台切からは笑わせてあげたいと気を配られる。それでも自分の本質は復讐にある、と認識しながらも、協力を申し出た鶴丸の唐突な出現に驚かされ、ついに声を上げて笑った。
一連の騒動が終結すると歌仙からは気を使わせた事を詫びられ、小夜はとぼけようとするが「今日は心なしか風流のようで結構だ」と表情が明るくなった事を告げられる。本人も「明日は暗いかも知れないけど……」と言いつつ、悪い気分ではなさそうな様子だった。
伊達家所縁
大俱利伽羅
声:古川慎 絵:小宮国春
刀帳:116 刀種:打刀
任務中に「気を使って」話しかけてきた歌仙にいつも通りすげない対応をしたため、彼の怒りをかって喧嘩が勃発。「東北の田舎刀め」と言われるも「好きにわめいていろ」とスルー。
その後はいつも通りかに見えたが、歌仙の罵倒に対してか、自分が原因で関係がこじれてしまった為か、地味にへこんでいたことが燭台切によって明かされる。
その後も機嫌は直らないまま「馴れ合いはしない」と言って敵を斬りまくったらしい。どこの政宗だろう
最終的には仲直りを画策したみんなの助力の甲斐もあり、燭台切らの心づくしの料理を平らげた後、歌仙との会話で「雅じゃない」と返すなど、自分から歩み寄りを見せた。
燭台切光忠
声:佐藤拓也、絵:藤未都也
刀帳:73 刀種:太刀 刀派:長船
「この体で一番いいのは料理を作れること、次に頭を撫でてあげられること」と小夜に言っており、審神者に与えられた人の体は快く思っている様子。また、斬るだけが刃物じゃないとも。他にも有機野菜作りに拘りを見せたりと刃生をエンジョイしている。
復讐に生を見出し鬱屈した台詞の多い小夜のことを、笑顔にさせてあげたいとよく気にかける。また馴れ合いを嫌う大倶利伽羅にも声掛けしたり、太鼓鐘にはみんなに優しくするように言っていたりと、仲間の和を大事にしている様子が見られる。
伊達の刀剣は仲がよく、小夜からは燭台切は伊達の刀剣のまとめ役と見られている。
歌仙と大俱利伽羅の仲直りのために、出陣の合間にみんなで食材を探し「二人の気分を治す、雅で、一人で食べるには勿体ないくらいの料理」を作る。
鶴丸国永
声:斉藤壮馬 絵:Izumi
刀帳:130 刀種:太刀
例によって突拍子もない所から登場し、驚く燭台切と小夜に、歌仙と大俱利伽羅が大喧嘩したことを報告した。
その後、二振りの仲直りを画策する小夜と燭台切を、自分も手伝うと宣言しつつ、またまた意外な場所から出現する姿に、なんとあの小夜が声を上げて笑った。これには燭台切も「鶴さんには敵わないな」と言う。
太鼓鐘貞宗
声:高橋孝治、絵:⑪
刀帳:69 刀種:短刀 刀派:貞宗
歌仙と大倶利伽羅の仲直りを画策する燭台切と小夜に協力し、一緒に食材の調達をした。
割と強引な所があるようで、出陣先で「狐から油揚げを奪った」と冗談めかして言った時は、流石に光忠にたしなめられた。本丸の大きい狐と小さい狐が泣いてやしまいか
また他での台詞からすると、主の影響か、うまいもの好きで料理が出来るようだ。
後日談
後に事件の顛末はたちまち広がり、口さがない江戸っ子は
九つの星が十五の月に消え
剣先が九曜にあたる十五日
という川柳を詠んだという。
ちなみに剣先は「着物の身頃と襟の重なる部分」、九曜は「供養」にかけている。
またこれ以降、細川家は「九曜」の星を小さめにした「離れ九曜(細川九曜)」に変更した。
更に裃(かみしも)の両胸・両袖表・背中の5ヵ所に家紋をつける礼服「五つ紋」に加え、両袖の裏側にも1つずつ足し、背後からでも一目でわかるようにした。
この細川家独特の裃は「細川の七つ紋」と呼ばれている。
兄の後を継いだ細川重賢は、後に「肥後の鳳凰」と呼ばれるほどの名君となって藩を立て直した。
重賢は宗村の機転を称えてその恩に報いるため、互いの藩祖である忠興と政宗が、文禄の役で半々に分割して持ち帰った「王義之の書写」(※書写であっても国宝級の貴重な文化財)の残り半分を贈り、155年の時を経て書写は1つに戻った。
その後さらに時代は下り、幕末には逆に細川家が伊達家を救っている。
戊辰戦争において奥羽越列藩同盟を結成、賊軍となった伊達家の降伏を、細川家が官軍に仲介したのである。主戦派の家臣らの切腹・処断と引き換えに降伏は認められ、大幅な減封となったものの伊達家の存続は叶い、現在も同家の流れは続いている。
余談
細川忠興と伊達政宗については
など、なんだかんだ似た者同士「悪友」の趣が強い間柄であったことをなんとなく付け加えておく。
ただし、どちらも当代随一の文化人にして戦国の世を生き抜いた武将である。ネタ扱いはほどほどに。
これらの回想を踏まえ、2017年6月の「舞台『刀剣乱舞』~義伝 暁の独眼竜~」において、伊達の刀剣と細川の刀剣が登場した。更に歴史上の人物として、伊達政宗・片倉景綱・細川忠興も出演。
時代の流れに抗えずに秀吉の前に膝を屈しながらも、天下取りの野望を諦めきれず、見果てぬ夢を暁の空に見続ける「独眼竜」政宗。
信義で結ばれた盟友・政宗に、いずれ来たる太平の世を「生き抜く事」を説く細川忠興。
一命を賭して伊達家に忠義を誓う股肱之臣・片倉景綱。
そんな彼らを題材として物語が展開する中、回想を踏まえ、かつての主達に対する想い、己の由来に対する懊悩などを吐露する刀剣男士達が描かれた。
そして終盤、見果てぬ夢を自らの手で終わらせ、忠興との誓いを果たした政宗と、彼らから始まる「九曜と竹雀のえにし」を見届けた刀剣男士らの姿に、多くの観客が涙した。そしてラーメン光忠で速攻で涙をひっこめる羽目になった。
関連動画
関連項目
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