夢ゆめオチ単語たんご

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ユメオチ

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夢ゆめオチ（夢ゆめ落おち、ゆめおち）とは、物語ものがたりの幕まく引びきの一ひとつ、今いままでの話はなしが夢ゆめだったという落おち（終おわり方かた）のこと。

夢ゆめオチであることを示しめす「なんだ夢ゆめか」もこの記事きじにリダイレクトされている。

概要がいよう

古代こだいから存在そんざいしている物語ものがたりの終おわり方かたの一種いっしゅであり、古今ここん東西とうざい様々さまざまな作品さくひんで使つかわれている展開てんかい手法しゅほうの１ひとつである。

今いままでの話はなしを全部ぜんぶ夢ゆめだったことにすれば、どんなに物語ものがたりの収拾しゅうしゅうがつかなくなっても話はなしに幕まくを引ひくことができる。そのため、昔むかしから非常ひじょうに様々さまざまな夢ゆめオチの展開てんかいを用もちいた作品さくひんが存在そんざいしている。しかし、これをすると今いままでの話はなしが綺麗きれいさっぱり無むかったことになってしまうので、安易あんいに使つかいすぎると非難ひなんを浴あびやすい。

しかし最近さいきんではそれを逆手さかてにとって「夢ゆめだけど夢ゆめじゃなかった」という、予知よち夢ゆめオチも多おおくなってきている。

古代こだい中国ちゅうごくの夢ゆめオチ

紀元前きげんぜん400年ねん頃ごろの中国ちゅうごくの説話せつわ「胡蝶こちょうの夢ゆめ」という作品さくひんは有名ゆうめいな夢ゆめにまつわる話はなしである。
これは、荘そう周しゅうという人間にんげんが蝶ちょうになる夢ゆめを見みて「果はたして荘そう周しゅうが夢ゆめを見みて蝶ちょうになったのか、蝶ちょうが夢ゆめを見みて荘そう周しゅうになっているのか。」という疑問ぎもんを投なげかける作品さくひんである。

一方いっぽう、8世紀せいき後半こうはんの唐とうで書かかれた小説しょうせつ「枕まくら中ちゅう記き」には以下いかの様ような話はなしがある。これは、廬いおり生なまという若者わかものが仙人せんにんから夢ゆめがかなうという枕まくらを貰もらい、その後ご波乱万丈はらんばんじょうながら充実じゅうじつした人生じんせいを送おくり、大だい往生おうじょうした、と思おもったらそれは全すべて茶ちゃ屋やで栗ぐり粥かゆが煮にえるまでのわずかな時間じかんの夢ゆめの出来事できごとだった、という作品さくひんで、まさに夢ゆめオチの展開てんかいを用もちいた作品さくひんである。この話はなしは故事こじ成語せいごとして「邯鄲の枕まくら」「黄き粱の一いち炊」「一いち炊の夢ゆめ」等とうと呼よばれる。

また、上記じょうきに近ちかい９世紀せいき前半ぜんはんに唐とうで成立せいりつした小説しょうせつ「南みなみ柯太守もり伝でん」も夢ゆめオチの話はなしとして有名ゆうめいである。この話はなしは、淳あつし于ふん（じゅんうふん）という主人公しゅじんこうが酒さけに酔よって木この下したで寝ねていると、槐えんじゅ安やす国くに（かいあんこく）という国くにから来きた使者ししゃが訪おとずれる、使者ししゃに招まねかれるままに木きの洞ほらを通とおるとそこは槐えんじゅ安やす国くにであった、槐えんじゅ安やす国くにの王女おうじょと結婚けっこんし太守たいしゅにまで上のぼり詰つめた主人公しゅじんこうは３０年間ねんかんを栄さかえ華はなのうちに過すごす、しかし気きがつくと元もとの木この下したで全すべては夢ゆめ、その木きには蟻ありの巣すがあり槐えんじゅ安やす国くには実じつは蟻ありの国くにだったのだ、というオチでおわる。この話はなしも故事こじ成語せいごとして「槐えんじゅ安やすの夢ゆめ」「南みなみ柯の夢ゆめ」と呼よばれる。

ヨーロッパの夢ゆめオチ

童話どうわ「不思議ふしぎの国くにのアリス」もそれまでが夢ゆめだったという夢ゆめオチで終おわる。

日本にっぽんの夢ゆめオチ

日本にっぽんでも非常ひじょうに古ふるくから夢ゆめオチ作品さくひんは数多かずおおく作つくられている。

落語らくご「まんじゅうこわい」では、「お前まえは何なにが怖こわい？」という問といかけに夢ゆめの怪談かいだん話はなしをして「なんだ夢ゆめか、おどかしやがって」となる。

また落語らくご「天狗てんぐ裁さばき」では、怖こわい夢ゆめを見みたけど思おもい出でせなくて「どんな夢ゆめを見みたの？」と複数ふくすうの人ひとから聞きかれる。実じつはそれ自体じたいが夢ゆめで、また複数ふくすうの人間にんげんから「どんな夢ゆめを見みたの？」と聞きかれる。またそれ自体じたいが夢ゆめで複数ふくすうの人間にんげんから・・・と無限むげんに続つづく話はなしになっている。

さらには落語らくご「引越ひっこしの夢ゆめ」では、他たの夢ゆめオチと違ちがい「夢ゆめじゃないけど夢ゆめだったと嘘うそをつこう」と言いう作品さくひんである。この話はなしは、男性だんせい達いたるが女性じょせいがいる二に階かいへいかがわしい目め的てきでに忍にんび込こもうとする話はなし。しかし、忍にんび込こむために複数ふくすうで戸棚とだなを担かついでいたところを見みつかってしまう。誤魔化ごまかすために寝ねたふりをして「さっきまで引越ひっこしの夢ゆめを見みていました」というもの。

落語らくご「心眼しんがん」では、目めが見みえない男性だんせいが目めが見みえるようになるという話はなし。男性だんせいは目めが見みえるようになって自分じぶんが美び男子だんしであることに気付きづき浮気うわきをしたり謳歌おうかする。しかし実じつは全部ぜんぶ夢ゆめであり、男性だんせいは今いままでと同おなじように目めが見みえないまま。最後さいごに男性だんせいは「盲目もうもく（めくら）とは不思議ふしぎなものだな・・・・・・寝ねている時ときだけはよぉぉく見みえる・・・・・・」と呟くという悲かなしい夢ゆめオチ。

その他た、日本にっぽん古来こらいから工夫くふうを凝こらした夢ゆめオチ作品さくひんは多おおい。

漫画まんが・アニメ・映画えいが等とうの夢ゆめオチ

漫画まんがやアニメにおける夢ゆめオチも非常ひじょうに多おおい。

1980年代ねんだいに人気にんきだった漫画まんが「ハイスクール奇き面めん組ぐみ」では今いままでが全部ぜんぶ、前作ぜんさくである「3年ねん奇き面めん組ぐみ」の第だい一いち話わのヒロインが見みていた夢ゆめだったという最終さいしゅう回かいであった。これは「最終さいしゅう回かい→第だい一いち話わ→最終さいしゅう回かい→第だい一いち話わ→・・・」と作品さくひん自体じたいが無限むげんに続つづくようになっている。そのため繰くり返かえし読よめる。

1990年ねんのTVアニメ「NG騎士きしラムネ＆40」で最終さいしゅう回かいでは今いままで非ひ現実げんじつ的てきな冒険ぼうけんは夢ゆめだったというのうな展開てんかいになる。どうしても夢ゆめだとは思おもえない主人公しゅじんこうのポケットにはそれまでの冒険ぼうけんの証あかし拠よりどころである一いち枚まいのコインが入はいっており「あれは夢ゆめでは無むかったんだ」という終おわり方かた。