成金なりきん単語たんご

ナリキン

2.3千せん文字もじの記事きじ

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成金なりきんとは、

将棋しょうぎの「歩ふ」が「と金きむ」に成なった状態じょうたい。
最さい弱じゃくの駒こま「歩ふ」が、強つよ力ちからな駒こま「金きむ」と同等どうとうの動うごきができるようになる。
転てんじて、急きゅう激げきに大だい金きむ持もちになること、又またはなった人ひと。本稿ほんこうで解説かいせつ。

概要がいよう

「成金なりきん」はもともと将棋しょうぎ用よう語かたり（俗語ぞくごという指ゆび摘つまもある）であったが、「急きゅう激げきに金きむ持もちになった者もの」の意味いみで使つかわれるようになった。この語かたりが特とくに広ひろまったのは大正たいしょう時代じだいの第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん時どきの「船ふね成金なりきん」の存在そんざい以降いこうである。

上記じょうきのAA「どうだ明あかるくなったろう」の元もとになっているのは、和田わだ邦くに坊ぼうによって大正たいしょう時代じだいに描えがかれたもので、日本にっぽん史しの教科書きょうかしょには必かならずと言いっていいほど載のっている成金なりきん風刺ふうし画がである。当時とうじの百ひゃく円えん札さつは現代げんだいの約やく25万まん円えんほどと言いわれている（大正たいしょう7年ねん当時とうじの大学だいがく卒そつ初任しょにん給きゅうは70円えん程度ていど）。なお元もとの風刺ふうし画がでの台詞せりふは「暗くらくてお靴くつが分わからないわ」「どうだ明あくなったろう」だが、分わかりやすくするために送おくり仮名がなを補おぎなった「分わからない」「明あかるく」と表記ひょうきされたり、ひらがな表記ひょうき「わからない」「あかるく」と表記ひょうきされたりする事ことも多おおい。

戦中せんちゅう・戦後せんごも「成金なりきん」の存在そんざいは続つづいており、、土地とち転ころがしによる成金なりきん、オイルマネーによる成金なりきん、マネーゲームによる成金なりきんなど、対たい象ぞう物ものが移うつっているだけで、バブルに付随ふずいする成金なりきんという構造こうぞうはさほど変かわっていない。

成金なりきんが揶揄やゆされる理由りゆう

「成金なりきん」の語かたりは、しばしば揶揄やゆの意味いみもこめられて使つかわれる。その理由りゆうは以下いかの通とおりであると考かんがえられる。

成なりあがり･拝はい金きむ主あるじ義ぎへの反発はんぱつ: 日本にっぽんでは欧おう米べいなどよりも、成なり上あがり、及および拝はい金きむ主あるじ義ぎは嫌きらわれる傾向けいこうにある。よって両者りょうしゃを兼かね備そなえた「成金なりきん」は余計よけいに嫌きらわれやすい。ただし近年きんねんは必かならずしもそうではない。
クローズアップされる散財さんざい: いわゆる「金きむ持もち」には（例たとえばカーネギーのような）相応そうおうの高たかい倫理りんり観かんを持もつことが一般人いっぱんじんには期待きたいされている。しかし、「成金なりきん」の者もの達たちがそういった倫理りんり観かんを示しめすケースは稀まれ、もしくはクローズアップされることはほとんど無むい。取とり上あげられるのは彼かれらの豪ごう勢いきおいな生活せいかつであり、一般人いっぱんじんには散財さんざいと見みえる行為こういである（上うえの絵えのような）。しかし同おなじような感情かんじょうを、後進こうしん国こくの人々ひとびとは欧おう米べい人ひとや日本人にっぽんじんに対たいして感かんじていることであろう。金きむ持もち側がわからすれば迷惑めいわくな倫理りんりの押おし付つけなのかもしれない。
オリジナリティ、又または生産せいさん性せいの無むさ: 誰だれもが認みとめる製品せいひん・サービス・技術ぎじゅつを開発かいはつしたものが急きゅう激げきに富裕ふゆうになったとしても、「成金なりきん」と呼よばれることはほとんど無むい。ところが「成金なりきん」が「成金なりきん」と成なるために使つかう手法しゅほうは、およそオリジナリティ・生産せいさん性せいの無むい物ものであることがほとんどである。（例れい：土地とち転ころがし、マネーゲームなど。）ゆえに彼かれらは妬ねたまれる事ことはあれど感謝かんしゃされることは無むいのである。ああ妬ねたましい。

どうだ明あかるくなったろう

先述せんじゅつの「どうだ明あかるくなったろう」は、21世紀せいきに入はいり匿名とくめい掲示板けいじばん等とうで多数たすうの改あらため変へんAAが作成さくせいされるに到いたり、成金なりきんの風刺ふうしという元もとネタを離はなれて一いち種しゅのネタとして定着ていちゃくしている。

もととなる人物じんぶつは山本やまもと唯ただ三郎さぶろう（1873年ねん-1927年ねん）と呼よばれる人物じんぶつで、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん時ときに造みやつこ船ふね業ごうで成金なりきんとなったものである。朝鮮ちょうせんで大だい規模きぼな虎刈とらがりをしたり、貸切かしきり列車れっしゃに多数たすうの芸げい姑しゅうとを載のせて遊行ゆぎょうに繰くり出だすなど奇行きこうが多おおく、しばしば当時とうじから新聞しんぶん等とうで取とり上あげられていた。

この逸話いつわとなったのは函館はこだての料亭りょうていでの話はなしで、風刺ふうし画がでは百ひゃく円えん札さつ1枚まいで靴くつを探さがしているように描えがかれているが、現実げんじつには百ひゃく円えん札さつの「札束さつたば」を燃もやして探さがさせたと言いわれている。また同時どうじに、同おなじ紙幣しへいで鼻はなをかんだという逸話いつわもある。