竜巻たつまき単語たんご

タツマキ

1.7千せん文字もじの記事きじ

竜巻たつまきとは、発達はったつした積乱雲せきらんうんの底そこから柱状ちゅうじょうまたは漏斗ろうと状じょうに地上ちじょうに向むかって伸のびる、上昇じょうしょう気流きりゅうを伴ともなう激げきしい空気くうきの渦巻うずまきである。英語えいごでは「トルネード（tornado）」。

概要がいよう

竜巻たつまきは発達はったつした積乱雲せきらんうんや積せき雲くも、スーパーセルで上昇じょうしょう気流きりゅうを伴ともなう高速こうそくの渦巻うずまきが発生はっせいし、それが地上ちじょうまで伸のびたものとされる。渦うずの大おおきさは平ひらた均ひとし的てきには直径ちょっけい数すう十じゅうｍ程度ていど、規模きぼの大おおきなものでは数かず百ひゃく～１kmに達たっすることもある。その渦うずの中なかでは風速ふうそく数すう十じゅうｍの猛たけし烈れつな風ふうが吹ふき荒あれ、時ときには車くるまや住じゅう家いえさえも吹ふき飛とばす。竜巻たつまきの寿命じゅみょうは短みじかいものの、竜巻たつまきの規模きぼによっては進路しんろ上じょうで大おおきな被害ひがいをもたらす。

竜巻たつまきの発生はっせいメカニズムは現在げんざいのところ詳くわしくは解明かいめいされておらず、発生はっせいを正確せいかくに予測よそくすることは難むずかしい。竜巻たつまきが厄介やっかいなのは「小ちいさい」「寿命じゅみょうが短みじかい」という点てんである。台風たいふうなら移動いどう中ちゅうに観測かんそく所しょを通かよったりするため気圧きあつなどのデータが得えられるが、局所きょくしょ的てきに短時間たんじかんで発生はっせいする竜巻たつまきではデータを取とるのが困難こんなんなのである。

スティーブン・スピルバーグの映画えいが「ツイスター」で描えがかれたように、アメリカでは観測かんそく機器ききを車くるまに取とり付つけて近ちかづくなどして竜巻たつまきを観測かんそくする「ストームチェイサー」と呼よばれる研究けんきゅう者ものたちが居いるが、死亡しぼう事故じこも多おおく発生はっせいしている。

竜巻たつまきの強つよさ

竜巻たつまきの強つよさを表あらわすために国くに際きわ的てきに広ひろく用もちいられているのが、1971年ねんに藤田ふじた哲也てつや博士はかせが考案こうあんした「藤田ふじたスケール（Fスケール）」である。Fスケールでは、発生はっせいした被害ひがいの状況じょうきょうによって竜巻たつまきの強度きょうどを分類ぶんるいしている。なおアメリカなど一部いちぶ地域ちいきではFスケールを改あらため良いした「改あらため良りょう藤田ふじたスケール（EFスケール）」が現在げんざいでは用もちいられている。

藤田ふじたスケール

参考さんこう：気象庁きしょうちょう

階級かいきゅう	推定すいてい風速ふうそく	想定そうてい被害ひがい
F0	17～32m/s (約やく15秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	テレビのアンテナなどの弱よわい構造こうぞう物ぶつが倒たおれる。小枝さえが折おれ、根ねの浅あさい木きが傾かたむくことがある。非ひ住じゅう家いえが壊こわれるかもしれない。
F1	33～49m/s (約やく10秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	屋根やね瓦かわらが飛とび、ガラス窓まどが割われる。ビニールハウスの被害ひがい甚大じんだい。根ねの弱よわい木きは倒たおれ、強つよい木きは幹みきが折おれたりする。走はしっている自動車じどうしゃが横よこ風ふうを受うけると、道みちから吹ふき落おとされる。
F2	50～69m/s (約やく7秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	住じゅう家いえの屋根やねがはぎとられ、弱よわい非ひ住じゅう家いえは倒壊とうかいする。大木たいぼくが倒たおれたり、ねじ切きられる。自動車じどうしゃが道みちから吹ふき飛とばされ、汽車きしゃが脱線だっせんすることがある。
F3	70～92m/s (約やく5秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	住じゅう家いえが倒壊とうかいする。非ひ住じゅう家いえはバラバラになって飛散ひさんし、鉄てつ骨ほねづくりでもつぶれる。汽車きしゃは転覆てんぷくし、自動車じどうしゃはもち上あげられて飛とばされる。森林しんりんの大木たいぼくでも、大半たいはん折おれるか倒たおれるかし、引ひき抜ぬかれることもある。
F4	93～116m/s (約やく4秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	住じゅう家いえがバラバラになって辺あたりに飛散ひさんし、弱よわい非ひ住じゅう家いえは跡形あとかたなく吹ふき飛とばされてしまう。鉄てつ骨ほねづくりでもペシャンコ。列車れっしゃが吹ふき飛とばされ、自動車じどうしゃは何なん十じゅうメートルも空そら中ちゅう飛行ひこうする。１トン以上いじょうある物体ぶったいが降ふってきて、危険きけんこの上うえもない。
F5	117～142m/s (約やく3秒びょう間あいだの平ひらた均ひとし)	住じゅう家いえは跡形あとかたもなく吹ふき飛とばされるし、立木たちきの皮かわがはぎとられてしまったりする。自動車じどうしゃ、列車れっしゃなどがもち上あげられて飛行ひこうし、とんでもないところまで飛とばされる。数かずトンもある物体ぶったいがどこからともなく降ふってくる。

上記じょうきの他ほか、非公式ひこうしきではあるが F6 クラスが設定せっていされている(というか地球ちきゅう外そとの想定そうていを含ふくめれば F12 ぐらいまで存在そんざいする)。本来ほんらい地球ちきゅう上うえでは起おこり得えないという認識にんしきが主あるじ流りゅうだったが、1999年ねんのオクラホマのものをはじめ歴史れきし上うえ数すう例れいが143m/s を超ちょう過すごしているので F6 に当あたるのではないかと言いわれている。