黙だま食しょく単語たんご

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記事きじ編集へんしゅう

黙だま食しょく（「もくしょく」または「もくじき」）とは、言葉ことばを発はっさずに食事しょくじをとることである。

概要がいよう

一人ひとりで食事しょくじをとるときは、グルメ漫画まんがや独ひとり言ごとが多おおい人ひとでなければ言葉ことばを発はっしないことがほとんどである。少すくなくとも公共こうきょうの場ばで一人ひとりでしゃべりながら食たべる人ひとはあまりいない。

集団しゅうだんで集あつまっているときは（感染かんせん症しょうの蔓延まんえん期きなどでなければ）会話かいわして食たべることも多おおいが、寺院じいんの修行しゅぎょうでは黙だまって食事しょくじをとることが多おおい。

恵方えほう巻まきは集団しゅうだんで食たべていても黙だまって食たべるのが良よいとされている。Twitter上うえで見みられる「黙だま食しょく」も、初期しょきは恵方えほう巻まきに触ふれたものが多おおい（参考さんこう）。

2010年代ねんだいごろからは学校がっこう給食きゅうしょくに黙だま食しょくが導入どうにゅうされ、「もぐもぐタイム」「かみかみタイム」「ぱくぱくタイム」等とうと呼よばれている。すべての時間じかんで黙だま食しょくを行おこなうというところは少すくなく、「最初さいしょの5分ふん」など時間じかんが定さだめられていることが多おおい。会話かいわが多おおくなってしまい時間じかん内ないに給食きゅうしょくを食たべ終おわらないなどの問題もんだいがあったため、導入どうにゅうされるようになった。一方いっぽうで、「楽たのしくない」「コミュニケーションを制限せいげんしている」などの意見いけんも見みられた。

2020年ねんからはコロナ禍かの影かげ響ひびきで、飛沫しぶきを出ださないように黙だまって食たべることが全ぜん国くに的てきに推奨すいしょうされている。飲食いんしょく店みせの中なかには廃はい業ごうの回避かいひと感染かんせん拡大かくだい防止ぼうしを両立りょうりつするため、黙だま食しょくを推奨すいしょうするところも見みられる。

「黙だま食しょく」の語かたりは、まだ一般いっぱん的てきな辞書じしょには掲載けいさいされていない。

由来ゆらい

仏教ぶっきょうにおける黙だま食しょく（もくじき）

仏教ぶっきょうの僧侶そうりょの方ほうが、2012年ねん2月がつにSNSサービス「Twitter」にて、「修行しゅぎょう中ちゅうの食事しょくじは黙だま食しょく(もくじき)といって黙だまって音おとを立たてずに頂いただく」という情報じょうほうを投稿とうこう（ツイート）している。

ツイートを読よみ込こみ中なかです
 https://twitter.com/76together/status/171999609927892992

また、大阪おおさか府ふ大阪おおさか市しにある、浄土宗じょうどしゅうの仏教ぶっきょう寺院じいん「如意にょい珠たま應おう山やま極楽ごくらく院いん大だい蓮はちす寺てら」が運営うんえいする「パドマ幼稚園ようちえん」では、「仏教ぶっきょう食しょく育いく」の一環いっかんとして「黙だま食しょく（もくじき）」を取とり入いれていたという。

仏教ぶっきょう食しょく育そだて – パドマ幼稚園ようちえん

食材しょくざいとなったいのちへの感謝かんしゃ、調理ちょうり者しゃ・生産せいさん者しゃ・食材しょくざいを育はぐくんだ自然しぜん環境かんきょうなど食事しょくじが口くちに届とどくまでの過程かていで貢献こうけんしてくれた全すべてのものへの感謝かんしゃ、そして共ともに食しょくを分わかち合あう仲間なかまへの感謝かんしゃという「３みっつのおかげ」に感謝かんしゃをいたす時間じかんとして設もうけているとのこと。ちなみにこの幼稚園ようちえんでの「黙だま食しょく（もくじき）」はずっと黙だまっていろと言いうものではなく、感謝かんしゃの祈いのりの時間じかんが数すう分ふん経過けいかした後のちは楽たのしくおしゃべりしながら食たべてよいものだった。

このことは同どう寺院じいんのウェブサイト内ないの一いちページに2015年ねん3月がつ9日にち更新こうしんの文章ぶんしょうとして記しるされているため、少すくなくともそれ以前いぜんからこの「黙だま食しょく（もくじき）」が実施じっしされていたようだ。

以上いじょうの情報じょうほうから、少すくなくとも日本にっぽんの仏教ぶっきょう界さかいの中なかでは、仏教ぶっきょう思想しそう的てきな背景はいけいのもとに黙だまって食事しょくじを頂いただく、「黙だま食しょく（もくじき）」と呼称こしょうされる習慣しゅうかんがあった事ことは確たしかであるようだ。

ただしこれが「仏教ぶっきょう界さかい内ないでどれだけ広ひろまっていたものか」「いつ誕生たんじょうした呼称こしょうなのか、仏ふつ典てんなどに由来ゆらいがある呼称こしょうなのか、それとも自然しぜん発生はっせいした業界ぎょうかい用よう語かたりなのか」などについての詳細しょうさいは不明ふめいである。

教育きょういく界かいでの「黙だま食しょく」

また、学校がっこう教育きょういくの場ばでも「黙だま食しょく」という指ゆび導しるべは広ひろまっていたらしい。

2018年ねんには、この「黙だま食しょく」という指ゆび導しるべについて、「学校がっこうでの不ふ自由じゆう」という文脈ぶんみゃくで否定ひてい的てきに取とり上あげている週刊しゅうかん誌し記事きじが確認かくにんできる。

　昼ひるどきの小学校しょうがっこうは誰だれもいないのかと思おもうくらい静しずかだった。授業じゅぎょう参観さんかんのため学校がっこうを訪おとずれた女性じょせい（45）は、当時とうじ1年生ねんせいだった娘むすめの教室きょうしつの後うしろ扉とびらをそーっと開あけた。すると、目めにとびこんできたのは、全員ぜんいんが前まえを向むいて黙々もくもくと給食きゅうしょくを食たべる姿すがた。

　私わたし語かたりは一切いっさいなし。楽たのしいはずの食事しょくじの時間じかんがなにかの訓練くんれんの場ばのように見みえた。参観さんかんに来きていたほかのママ友ともたちとアイコンタクトで外そとに出でて、首くびを傾かしげた。女性じょせいは言いう。

「『黙だま食しょく』と呼よばれる指ゆび導しるべなんです。子こどもたちがしゃべりながら食たべると時間じかんがかかるかららしいです。娘むすめは入学にゅうがくしたばかりのころ、給食きゅうしょくの時間じかんが怖こわいと泣ないたこともありました」^[1]

コロナ禍かでの新あらたな意味いみ付づけ

だがこういった「黙だま食しょく」は、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうが蔓延まんえんし始はじめた2019年ねんには新あらたな意味いみを持もち始はじめた。「会食かいしょく」の場ばで感染かんせんしたケースの報告ほうこくが多数たすう存在そんざいしたことから、「食事しょくじ時ときにはマスクを外はずさざるを得えないが、その状態じょうたいで向むかい合あって会話かいわすることで飛沫しぶきが飛とび、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうが伝染でんせんしているようだ」という指ゆび摘がなされるようになったためだ。

そのため同どう疾患しっかんのパンデミック、通称つうしょう「コロナ禍か」が大だい規模きぼなものとなった2020年ねん中なかからは小学校しょうがっこうなどで、これまでの目め的てきとは違ちがう「新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの伝染でんせん防止ぼうしの目め的まと」で「黙だま食しょく」を推進すいしんするケースも出で始はじめた^[2]。