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指定価格制度とは (シテイカカクセイドとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

指定してい価格かかく制度せいど 単語たんご

シテイカカクセイド

5.1せん文字もじ記事きじ
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指定してい価格かかく制度せいどとは、家電かでんメーカー自社じしゃ製品せいひん取扱とりあつかい条件じょうけん制定せいていし、その条件じょうけんたす特定とくてい販売はんばい業者ぎょうしゃにのみ取扱とりあつかい許容きょようするという制度せいど

その条件じょうけんなかに「価格かかくゆびじょうし、それ以上いじょう値引ねびきもポイント還元かんげんもしない」というものがあるため、こうばれることがおおい。

概要がいよう

自社じしゃ製品せいひん価格かかくめんふくめた取扱とりあつかい条件じょうけん制定せいていし、その条件じょうけんたす特定とくてい販売はんばい業者ぎょうしゃにのみ許容きょようするという制度せいど2020ねんパナソニックナノケアドライヤードラムしき洗濯せんたくいぬい燥機の一部いちぶ試験しけんてき運用うんようをはじめ、その2022ねんにはたいぞう商品しょうひん拡大かくだいしている。2023ねんには日立ひたちグロバルライフソリューションズ (日立ひたちGLS) がドラムしき洗濯せんたくいぬい燥機でおなじく指定してい価格かかく制度せいど導入どうにゅうし、同社どうしゃだい1ごうとなった。

これらの製品せいひんパナソニック日立ひたちGLSともに「正規せいき販売はんばいてん正規せいき取扱とりあつかいてん」というようにさだめた事業じぎょうしゃでのみ販売はんばいし、EC事業じぎょうしゃ自社じしゃ取扱とりあつかいページにおいてかならずそのあかしあかりとしてメーカー用意よういしたマーク掲出けいしゅつする。逆説ぎゃくせつてきえば、このマークページ掲出けいしゅつされていない事業じぎょうしゃあつかうことは本来ほんらいなく、それらの事業じぎょうしゃ指定してい価格かかく制度せいど該当がいとうする商品しょうひんを、他社たしゃよりやす販売はんばいしていた場合ばあい正規せいき流通りゅうつう経路けいろではないというあかしあかりにもなる。

指定してい価格かかく制度せいどまれた理由りゆう

基本きほんてき家電かでん製品せいひんというものは、メーカー希望きぼう小売こうり価格かかく実際じっさい販売はんばいてんでの販売はんばい価格かかく乖離かいりするものであり、メーカーサイトでは希望きぼう小売こうり価格かかく1まんえんかれていても、実際じっさい販売はんばいてんでは4-5せんえんということはたりまえである。こうした希望きぼう小売こうり価格かかくとの乖離かいりきらってメーカーサイドが「販売はんばいてん自由じゆうってね」という意味合いみあいのオープン価格かかく採用さいようすることもある。

そして販売はんばいてん販売はんばいする商品しょうひんをいくらでろうと自由じゆうである。ろん利益りえきなければならないものの、シーズンぎた商品しょうひん在庫ざいこをなくすために処分しょぶん特価とっかをつけたりすることもある。そしてなにより家電かでんといえば値引ねびきの慣行かんこう根強ねづよく、対抗たいこうしているほか法人ほうじんけないように、「こちらはもっとおやすくしますよ」などと店舗てんぽにおいて相対そうたい値引ねびきをすることはザラである。

しかし一度いちどげた価格かかくなおすというのは容易よういではない。「あのときはあの価格かかくっていたじゃないか」となるからである。きゃくにとっては通常つうじょう価格かかく下落げらく処分しょぶん特価とっかセールも「みせ都合つごう」でしかなく、やすえないならほか法人ほうじんくとわれるとその値段ねだん販売はんばいしてしまったりする。

そうするとメーカーサイドにはしわせがる。メーカーサイド販売はんばいてん商品しょうひんってもらう、あるいは店舗てんぽにおいてつくって商品しょうひん認知にんちげている。店舗てんぽにない、れない商品しょうひんネットでもってもらえない。そうすると自社じしゃ製品せいひんつねあつかってもらえるように、あるいは他社たしゃ製品せいひんよりもたせてもらえるように販売はんばいてん値引ねびきを補填ほてんしたり、場合ばあいによってはさきに「台数だいすうったらリベートを約束やくそくする」などするしかなくなる。

となると、がったままの商品しょうひんつくメリットはまったくない。そこでメーカー価格かかくもどすためだけにしん製品せいひん投入とうにゅうする必要ひつようがある。しかししん製品せいひんというからには、当然とうぜんどこかあらためぜんてんがないと奇妙きみょうである。これがPCなどのように日進にっしんつき世界せかい商品しょうひんならいいが、洗濯せんたく冷蔵庫れいぞうこエアコン掃除そうじ……人々ひとびと生活せいかつには不可欠ふかけつではあるが、その進化しんかをどれだけ人々ひとびとかたりれようか?その結果けっかメーカーも「たいして使つかわれないのう」をさざるをなくなった、というのはメーカーサイドゆび摘している。

 「業界ぎょうかい全体ぜんたいで、下落げらくした価格かかくもどすために、お客様きゃくさまのぞんでいないようなのう付加ふかして、モデルナンバーえて、毎年まいとしのようにしん製品せいひんしていた。100も、200のうをつけても、そのなかで使つかわれてるのは、せいぜい10ぐらいというのが現実げんじつである。他社たしゃよりもたくさんののう搭載とうさいすれば、たかれるはずというかんがかたでは、お客様きゃくさまからはよろこばれない」(パナソニックくらしアプライアンしゃ松下まつした社長しゃちょう


値下ねさげしない家電かでん」にメーカーが前向まえむきなのは値崩ねくず防止ぼうしだけではない--指定してい価格かかく制度せいど導入どうにゅうしない理由りゆうも - CNET Japanexit

実際じっさい日本にっぽん家電かでんシーンでは海外かいがい家電かでんや、くにうちでもアイリスオーヤマやツインバードなどの『ジェネリック家電かでん』が存在そんざいかん2010年代ねんだいにはたかめつつあるのだが、その理由りゆうたんやすいからではなく、「余計よけいのうがついていなくてやすいから」というてんもある。たんやすいだけならせいのうわるいだろうとおもってしまうが、のう自体じたい必要ひつよう不可欠ふかけつ部分ぶぶんしぼられているなら「余計よけいのうとした結果けっか」とかんがえることもできる。

指定してい価格かかく制度せいどべつのメリット

指定してい価格かかく制度せいどべつメリットんでいる部分ぶぶんもある。価格かかく固定こていすることで製品せいひん自体じたいライフサイクルびたので、「値段ねだんげるためだけの余計よけいのうをつける」ところに開発かいはつコスト必要ひつようがなくなる。この結果けっか洗濯せんたくなら洗浄せんじょうちから冷蔵庫れいぞうこなら冷却れいきゃくちからといった家電かでん本来ほんらいつよみをばすような開発かいはつや、ぎゃく世界せかいなかもとむめられているIoT対応たいおうなどの本来ほんらいやるべきであった開発かいはつけることものうとなる。

また、きゃくがわもどこでってもおなじなら、ちかくの店舗てんぽう、アフターサービスがしっかりしているところでう、など店舗てんぽえらびが価格かかく以外いがい観点かんてんになり、健全けんぜん競争きょうそうになるというはなしもある。

指定してい価格かかく制度せいど独占どくせん禁止きんしほう抵触ていしょくしないのか?

さて、メーカーがわ価格かかく固定こていすることは独占どくせん禁止きんしほう抵触ていしょくしないのかという疑問ぎもんいたものもいるだろう。通常つうじょうであればそうだ――つまり、在庫ざいこ小売こうりてんのものであるかぎは。

しかし、指定してい価格かかく制度せいど商品しょうひん基本きほんてきに、在庫ざいこリスク販売はんばいてんではなくメーカーがわうという契約けいやくであり、これによってその商品しょうひんがまったく市場いちばれなくてもメーカーがわがそれをげることで小売こうりてんサイド過剰かじょう在庫ざいこ値引ねびきもできないままくさらせるリスクがない。

このため独占どくせん禁止きんしほうさだめる「さい販売はんばい価格かかく拘束こうそく」にはたらないことになる。

指定してい価格かかく制度せいど導入どうにゅうしたメーカー

メーカーがわ導入どうにゅうしたことをおおやけあらわしている場合ばあいのみ記載きさいしている。

メーカー 導入どうにゅう時期じき あるじ導入どうにゅうひん
パナソニック 2020ねん
2021ねん正式せいしき開始かいし
(参考さんこうexit)
日立ひたちGLS 2023ねん
(参考さんこうexit)
アイロボット 2024ねん
(参考さんこうexit)

コラム:過去かこ事例じれい――ダイエー・松下まつした戦争せんそう

ここからはちょっとしたコラムである。じつパナソニック――というより当時とうじ松下電器産業まつしたでんきさんぎょうだが、過去かこにもたような事例じれいがあった。『ダイエー松下まつした戦争せんそう』である。

ダイエー (現在げんざいイオンかさした) は流通りゅうつう革命かくめい価格かかく破壊はかいをかかげ、あらゆる商品しょうひんをとことんやす消費しょうひしゃ提供ていきょうすることをてきとしていた。創業そうぎょうしゃ中内なかうち常々つねづね価格かかく店頭てんとうまるべき』『価格かかく決定けっていけんメーカーから消費しょうひしゃかえす』とべており、

だいメーカーは、おきゃくさんにたいしてよりやす値段ねだんで、品質ひんしつのよりいいぶつ供給きょうきゅうするという義務ぎむたなくてはいけない。大量たいりょう生産せいさんによるメリットを、もっと消費しょうひしゃ還元かんげんすべきだとおもう。いまのように管理かんり価格かかくをつくっている理由りゆうが、われわれからるとまったからないわけです。

(中略ちゅうりゃく)

わたしはかねてから消費しょうひしゃ商品しょうひんもとむめる価値かち、すなわち価格かかくというものは、店頭てんとうまるべきだとあるじちょうしてきた。

カラーテレビれいにとれば、メーカーのほうで原価げんかがいくらかかったとか、いくらでりたいとかいうことは意味いみがないのです。消費しょうひしゃとしては、8まん5000えんであればカラーテレビいたいとおもっている。それならば8まん5000えんるように研究けんきゅうしなければいけない。


ダイエー中内なかうちいさお松下電器まつしたでんきへの挑戦ちょうせんじょう幸之助こうのすけいち時代じだいまえ天才てんさい」 | The Legend Interview不朽ふきゅう | ダイヤモンド・オンラインexit

あるじちょうしてきた。中内なかうちには戦争せんそうのなかで覚悟かくごしたときに、家族かぞくはだか電球でんきゅうのしたですきかこんでべている風景ふうけいがなぜかかび、そこから「もう一度いちどすきはらいっぱいべたい」とおもったことをきっかけに、復員ふくいん消費しょうひしゃ生活せいかつゆたかにしようと「価格かかく破壊はかい」をかかげたのであった。

そんなダイエーは、1964ねん松下電器産業まつしたでんきさんぎょう (現在げんざいパナソニック) の商品しょうひん当時とうじメーカー小売こうり希望きぼう価格かかくからの値引ねび許容きょよう範囲はんいであった15よりもさら上回うわまわる20きで販売はんばいしようとした。

さて、中内なかうちつよ信念しんねんゆうしていたわけだが、その相手あいてである松下まつした / パナソニック創業そうぎょうしゃ松下まつした幸之助こうのすけもまた、消費しょうひしゃ生活せいかつゆたかにしようという信念しんねんおなじではあったが、その方法ほうほうろんことなっていた。松下まつした販売はんばい会社かいしゃ販売はんばい代理だいりてん1964ねんきむとおる政策せいさくかげひびき赤字あかじ経営けいえいおちいっていることから、ちょんくに販売はんばい会社かいしゃ販売はんばい代理だいりてん社長しゃちょう熱海あたみあつめて、打開だかいさく協議きょうぎした。これはのちに『熱海あたみ会談かいだん』とばれている。

そのなかで、松下まつしたは「定価ていか販売はんばい小売こうり希望きぼう価格かかく)でメーカー小売こうり適正てきせい利潤りじゅんをあげることが社会しゃかい繁栄はんえいにつながる」という信念しんねんから、共存きょうぞん共栄きょうえいかかげていた。このため、大手おおて販売はんばい代理だいりてんであるダイエー価格かかく破壊はかいのぞましいものとは到底とうていえなかった。松下電器産業まつしたでんきさんぎょうダイエーへの商品しょうひん出荷しゅっか停止ていし措置そちる。これにたいしてダイエー独占どくせん禁止きんしほう松下電器産業まつしたでんきさんぎょう提訴ていそし、泥沼どろぬまの30ねん戦争せんそう勃発ぼっぱつした。

1971ねん消費しょうひしゃ団体だんたいによる不買ふばい運動うんどうがあったこともあり、松下電器産業まつしたでんきさんぎょうサイド一部いちぶれたところもあるが、一方いっぽうダイエープライベートブランド製品せいひんちかられて当時とうじとしては破格はかくカラーテレビ販売はんばいったため、両者りょうしゃ関係かんけい悪化あっかするばかりであった。両者りょうしゃ和解わかいしたのは松下まつした幸之助こうのすけぼつ1994ねんであり、このとしダイエー忠実屋ちゅうじつや買収ばいしゅうしたさいにこの取引とりひき継承けいしょうするかたちった。

当時とうじとしては中内なかうちかんがかた松下まつしたよりもつよ支持しじされていたといえよう――というより、当時とうじ消費しょうひしゃ団体だんたいによる松下まつした不買ふばい運動うんどうからかんがえても松下まつしたかんがえが理解りかいされていたとはがたい。しかし、ダイエー松下まつした戦争せんそう終結しゅうけつしたころにはバブル崩壊ほうかい (1991ねん) し、そこからうしなわれた30ねんがはじまっていた。

消費しょうひしゃが「よりやすく」商品しょうひんもとむめるために、メーカー人件じんけんやす海外かいがい拠点きょてん工場こうじょうつくるようになり、日本にっぽんこくうち雇用こよう悪化あっか。そのためにくにみん収入しゅうにゅうがらず、さら値下ねさあつちからがかかる……というデフレスパイラル長年ながねんつづいた。少子化しょうしかすすなか販売はんばいてんオーバーストア状態じょうたいになり、競争きょうそうげきによる価格かかく競争きょうそう大手おおて小売こうりぎょうによる寡占かせんこし、メーカー適正てきせい利潤りじゅんげるためだけのモデルチェンジにより疲弊ひへいするようになった。これがメーカー競争きょうそうちからいでしまったというゆびつまもあるほどである。

また、小売こうりサイド本来ほんらいであれば対価たいかてやるべきサービスを、価格かかく競争きょうそうかげひびきから無料むりょうでやらざるをなくなったりすることにより、顧客こきゃく販売はんばいいんパワーバランスゆがカスタマーハラスメント横行おうこうする事態じたいにまでおちいった。

パナソニック指定してい価格かかく制度せいどったのはこうした背景はいけいから、もう一度いちどメーカー小売こうり適正てきせい利潤りじゅんをあげることが社会しゃかい繁栄はんえいにつながる」という、松下まつした幸之助こうのすけ信念しんねんかえった結果けっかなのかもしれない。

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