毒どく

どく

生物せいぶつの生命せいめい活動かつどうにとって不都合ふつごうを起おこす物質ぶっしつ（毒物どくぶつ）。物質ぶっしつではない電磁波でんじはや放射線ほうしゃせんのようなものを含ふくめる場合ばあいもある。

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目次もくじ [非ひ表示ひょうじ]

1 現実げんじつ世界せかいにおける毒どく

1.1 生物せいぶつ毒どく

1.2 生物せいぶつ濃縮のうしゅく

2 創作そうさくにおける毒どく

2.1 ゲームにおける状態じょうたい異常いじょうとしての毒どく

3 関連かんれんタグ

4 関連かんれん外部がいぶリンク

物質ぶっしつにはすべて毒性どくせいがあり、毒性どくせいのないものはない。量りょうが毒どくか薬くすりかを区別くべつする ―― テオフラトゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバトゥス・フォン・ホーエンハイム

現実げんじつ世界せかいにおける毒どく

上記じょうきのパラケルススの言葉ことば通どおり、ある物質ぶっしつが毒どくとなるか否ひかは量りょう次第しだいであり、食塩しょくえん（というかナトリウム）のような人体じんたいに必須ひっすな物質ぶっしつであっても大量たいりょうに摂取せっしゅすれば死しぬこともある（例たとえば醤油じょうゆを1リットルも飲のめば高こうナトリウム血ち症しょうで死しに至いたる）。アルカロイドの一種いっしゅであるカフェインなど、本来ほんらい生物せいぶつにとって毒どくである物質ぶっしつでも、その薬理やくり作用さようから人間にんげんに嗜好しこうされる場合ばあいがあり、毒どくとそうでない物質ぶっしつとの境さかいはかなりあいまいである。人間にんげんはカフェインの解毒げどく酵素こうそを持もっているため、日常にちじょう的てきに摂取せっしゅする程度ていどの量りょうではほぼ無害むがいであるが、犬いぬのような動物どうぶつがコーヒーを口くちにすると死亡しぼうすることもある。

人間にんげんは、自然しぜん界かいから毒どくを抽出ちゅうしゅつしてその生理せいり作用さようを薬物やくぶつとして利用りようすることも多おおく、アルカロイドと呼よばれる一連いちれんの化合かごう物ぶつは幅広はばひろく応用おうようされている。自然しぜん界かいに存在そんざいしない、人工じんこう的てきに合成ごうせいされた毒物どくぶつもある。

解毒げどく、検出けんしゅつの技術ぎじゅつは毒どくの発見はっけんより遥はるかに遅おくれて発展はってんしてきたので、分わかっていないだけで相当そうとう多おおくの毒どくが暗殺あんさつに用もちいられてきたと考かんがえられている。

物質ぶっしつではないがガンマ線がんません、紫外線しがいせんなども生物せいぶつにとって害がいがあるということで「毒性どくせいがある」と表現ひょうげんされることもある。

比喩ひゆとして人ひとに害がいを及およぼす/人ひとのためにならないものを指さす事ことも(毒婦どくふ、毒どく親おやなど)。

生物せいぶつ毒どく

多おおくの生物せいぶつが毒どくを持もっているが、動物どうぶつ毒どくは捕食ほしょくのために用もちいられるタイプ（サソリやムカデなど）と、天敵てんてきからの防御ぼうぎょのために用もちいられているタイプがある。一部いちぶの動物どうぶつの毒どくは捕食ほしょく用ようと防御ぼうぎょ用ようを兼かねている。変かわり種だねとして、捕食ほしょく用ようの酵素こうそ毒どくと防御ぼうぎょ用ようのステロイド配はい糖とう体からだ毒どくを別べつに持もっているヤマカガシの例れいがある。

植物しょくぶつ毒どくの多おおくは防御ぼうぎょ用ようと思おもわれるが、毒どくを競合きょうごうする植物しょくぶつを排除はいじょするのに役立やくだてている（アレロパシー）キョウチクトウなどの例れいもある。上記じょうきのカフェインや、ネギ科かネギ属ぞくの植物しょくぶつに含ふくまれる硫化りゅうかアリルは多おおくの動物どうぶつにとって毒どくであるが、人間にんげんの肝臓かんぞうはこれらを解毒げどくできるためむしろ好このんで摂取せっしゅされている。しかし、カフェインを代謝たいしゃの限度げんどを超こえて大量たいりょうに摂取せっしゅするとヒトでも中毒ちゅうどくを起おこすし、ネギ類るいも生なまで大量たいりょうに食たべるなどすると腸ちょう内ない細菌さいきんなどを殺ころしてしまうなどして胃腸いちょう障害しょうがいを引ひき起おこす危険きけん性せいがある。

菌類きんるいの毒どく（毒どくキノコ）は、遅効ちこう性せいのものや特定とくていの条件じょうけんで毒性どくせいを示しめすものも多おおく、必かならずしも捕食ほしょくを回避かいひする役割やくわりを果はたしていないため、多おおくはどうして毒どくを持もつようになったか謎なぞである。

毒どくを持もっている動植物どうしょくぶつについては、危険きけん生物せいぶつ、天然てんねん危険きけん物ぶつに一覧いちらんがある。

生物せいぶつ濃縮のうしゅく

食物しょくもつ連鎖れんさの過程かていで生物せいぶつが捕食ほしょく対象たいしょうと一緒いっしょに毒物どくぶつを摂取せっしゅし、毒物どくぶつが濃縮のうしゅくされる事ことを「生物せいぶつ濃縮のうしゅく」という。この毒物どくぶつの起源きげんは、人間にんげんの捨すてた化学かがく物質ぶっしつ、細菌さいきんなど生物せいぶつが有ゆうする毒どく、など様々さまざまである。例たとえば熱帯ねったい性せいの魚介ぎょかい類るいの食中毒しょくちゅうどくとして知しられているシガテラは、生物せいぶつ濃縮のうしゅくが原因げんいんと考かんがえられている。シガテラ毒どくを有ゆうするプランクトンが小ちいさな魚さかなに食しょくされ、その魚さかなが更さらに大おおきい魚さかなに食しょくされてを繰くり返かえし、毒素どくそが強つよくなっていくのだ。

一般いっぱんに毒どくを持もたないとされる生物せいぶつ(例たとえばバッタ)なども毒草どくそうを食たべればその毒素どくそを溜ため込こむというわけである。なので、野外やがいで生物せいぶつを捕とって食たべる際さいには十分じゅうぶんな注意ちゅういが必要ひつようである。

どぶ川かわのエビでチャーハンを作つくったyoutuberのホモサピ氏しも、池いけの魚さかなを食たべる際さいには大柄おおがらな捕食ほしょく者しゃは避さけるよう注意ちゅういを促うながしている(参考さんこう)。

フグ毒どくとして知しられるテトロドトキシンは細菌さいきん由来ゆらいであり、スベスベマンジュウガニなど他たのいくつかの生物せいぶつも同おなじ毒どくを持もっている。ヤマカガシはもともと捕食ほしょく用ようの毒どくを持もっているが、好このんで食くうヒキガエル類るいから得えた毒どくを防御ぼうぎょ用ように使つかっている。ミツバチはトリカブトなどの毒どく花はなでも蜂蜜はちみつを作つくってしまう事ことがあり、そうした植物しょくぶつが生育せいいくしている地域ちいきでは養蜂ようほうは避さけられる。

創作そうさくにおける毒どく

※キャラクターについては「毒どく属性ぞくせい」を参照さんしょう。

現在げんざいほど情報じょうほう技術ぎじゅつの発達はったつしていない時代じだいでは、存在そんざいするのは分わかっていてもどのような毒どくが存在そんざいするのかは医者いしゃ以外いがい碌ろくに分わかっていなかったので、童話どうわなどを筆頭ひっとうに魔法まほうのような扱あつかいを受うけていた。

例れいとしては白雪姫しらゆきひめの毒どくりんごで、これはもちろん魔法まほうの毒どくであるが、解毒げどくの手段しゅだんが愛あいの口くちづけであり死しには至いたらないなど現実げんじつには到底とうてい有あり得えない毒どくである。

（ちなみに原典げんてんでの解毒げどくの手段しゅだんは「毒どくを持もった物ものを物理ぶつり的てきに取とり除のぞく（ただし、これだと毒どくではなく窒息ちっそくで倒たおれていた事ことになるが…）」というものであり、近年きんねんの作品さくひんで有名ゆうめいな「愛あいの口くちづけ」という手段しゅだんは別べつの童話どうわから取とられた要素ようそである）

しかし推理すいり小説しょうせつなどで毒どくを利用りようしたトリックが登場とうじょうしてくると、ミステリーにおいては現実げんじつに存在そんざいしない毒どくを使つかってはならないと言いう掟おきてが徐々じょじょにできはじめ、創作そうさくにおいても対象たいしょう年齢ねんれいが高たかい作品さくひんでは薬くすりにより解毒げどくが可能かのうな物ものと言いう扱あつかいが出で始はじめ魔法まほうのような扱あつかいは最早もはやなされていない。