和歌山わかやま県けん本宮もとみや温泉おんせんの成因せいいん解明かいめいのため，その湧出ゆうしゅつを規制きせいしている石英せきえい斑むら岩がん貫入かんにゅう岩がん体たいのK-Ar年代ねんだいや化学かがく分析ぶんせき値ち等とうを検討けんとうした．本宮ほんぐう温泉おんせんの熱源ねつげんは四国しこく海かい盆ぼん拡大かくだい軸じくの沈しずみ込こみによる高たかい熱ねつ流量りゅうりょうに求もとめられる．K-Ar年代ねんだい測定そくていの結果けっかは高山たかやま岩いわ株かぶが14.6 Ma，川かわ湯ゆ岩床がんしょうが14.4 Maを示しめす．化学かがく成分せいぶんのQ-Or-Ab系けい相しょう図ずから，高山たかやま岩いわ株かぶや川かわ湯ゆ岩床がんしょうは深度しんど約やく 20 km付近ふきんで発生はっせいしたと推定すいていされる．高山たかやま岩いわ株かぶや川かわ湯ゆ岩床がんしょうの主成分しゅせいぶんや微量びりょう成分せいぶんは典型てんけい的てきなSタイプ花崗岩かこうがんで，音無おとなし川がわ層そう群ぐんの砂岩さがんに類似るいじし，アナテクシスの融解ゆうかい度どが限定げんていされた条件じょうけんで，フリッシュ堆積たいせき物ぶつのうち，砂岩さがんが選択せんたく的てきに融解ゆうかいした可能かのう性せいを示しめす．本宮ほんぐう温泉おんせんの熱ねつ水すい貯留ちょりゅう層そうは周辺しゅうへんのフリッシュ堆積たいせき物ぶつに比くらべて，冷却れいきゃく節理せつりに富とみ浸透しんとう率りつの高たかい石英せきえい斑むら岩がん岩床がんしょうや岩いわ脈みゃくに求もとめられる．地殻ちかく熱ねつ流量りゅうりょうの高たかい地域ちいきに，深度しんど20 km程度ていどから地上ちじょうまで透水とうすい体たいが存在そんざいすれば，広範こうはんな熱ねつ水すい対流たいりゅうが起おこる．これが本宮ほんぐう温泉おんせんの成因せいいんといえよう．