質屋しちや

アメリカ映画えいが史上しじょう初はじめてホロコーストを扱あつかった作品さくひんとして国立こくりつアーカイブの永久えいきゅう保存ほぞん作品さくひんだそうです。
ルメット選手せんしゅならではのサスペンスやドラマチックを期待きたいしましたが、物語ものがたり性せいよりも主題しゅだい重視じゅうしの作品さくひんでした。
更さらに映像えいぞう的てきにも実験じっけん的てきと言いえる手法しゅほうをふんだんに採とり入いれ、前衛ぜんえい的てき、抽象ちゅうしょう的てきな印象いんしょうも感かんじます。ただ、若干じゃっかん演出えんしゅつ過剰かじょうのきらいは否いなめません。
アメリカにおけるユダヤ感かんを正面しょうめんから扱あつかっていますが、決けっして面白おもしろい作品さくひんとはいえません。

ルメットタッチの厳きびしさが全編ぜんぺんを支配しはいするシリアスなドラマ。残酷ざんこくな戦争せんそう体験たいけんで人生じんせいを狂くるわされた男おとこの内面ないめんから戦争せんそうを批判ひはんする。生いきる孤独こどくを演えんじるロッド・スタイガー渾身こんしんの演技えんぎ。

　質屋しちやのおじさんがとにかくつらそうな映画えいがだった。生いきていてもお金かねを持もっていてもあまりに過酷かこくすぎる過去かこを背負せおっている場合ばあい、何なにやってても全まったく楽たのしくない様子ようすが描えがかれていた。その上うえ、変へんにお金かねがあるせいで事件じけんに巻まき込こまれてしまうし、まったく散々さんざんだった。

　そんな何なに一ひとつ希望きぼうのないような人物じんぶつの演技えんぎがすごい迫力はくりょくだった。おじさん以外いがいにもお芝居しばいの上手じょうずな人ひとばかりで本当ほんとうにそういう人ひとにしか感かんじることができない程ほどであった。

　町山まちやまさんと柳下やぎしたさんの解説かいせつつきの放送ほうそうで見みたのだが、映画えいがではじめておっぱいが出でる映画えいがとして有名ゆうめいだったらしいのだが、それが全まったく嬉うれしくない場面ばめんとして描えがかれているとの解説かいせつだった。全まったくその通とおりだった。