陰陽いんよう師し

　"陰陽いんよう師し" シリーズ第だい１作さく。

　"月曜げつようゴールデン特別とくべつ企画きかく" で３回かい目めの鑑賞かんしょう。

　原作げんさく（第だい１巻かん）は既すんで読（鑑賞かんしょう当時とうじは未読みどく）。

　野村のむら萬まん斎ときの雅みやびで捉とらえどころの無ない飄々ひょうひょうとした演技えんぎが、安倍晴明あべのせいめいの存在そんざいの神秘しんぴ的てきな感かんじを見事みごとに表現ひょうげんしていて魅了みりょうされ、私わたしの中なかでの「安倍晴明あべのせいめい像ぞう」を確立かくりつしてくれました。
　相棒あいぼうの源みなもと博雅ひろまさも、伊藤いとう英明ひであきの真面目まじめくさった感かんじが微笑ほほえましくて、愛あいさずにはいられないキャラクターだなと思おもいました。清明せいめいと友情ゆうじょうを深ふかめていく過程かていも面白おもしろかったです。

　敵役かたきやくの真田さなだ広之ひろゆきの存在そんざい感かんも出色しゅっしょく。ラスボス感かんを醸かもし出だしていて、クライマックスの清明せいめいとの呪術じゅじゅつ対決たいけつは手てに汗あせ握にぎりました。

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陰陽いんよう師しの野村のむらが武士ぶしか何なにかの伊藤いとうと知しり合あう。
陰陽いんよう師しの先輩せんぱいである真田さなだが暗躍あんやくして人ひとを操あやつり、権力けんりょくを手てに入いれようとしたが、
都との守まもり人じんは野村のむらと伊藤いとうであるとの予言よげんが出でたり(場ば)

伊藤いとうは真田さなだに殺ころされるが、不老不死ふろうふしの小しょう泉いずみに命いのちをもらって復活ふっかつ。
真田さなだに取とり付ついてたのが小泉こいずみを愛あいした王おうで、最後さいごは共ともにあの世よへ。
不老不死ふろうふしじゃないのかよ！ってのは置おいといて(場ば)

最後さいごは野村のむらと真田さなだの一騎打いっきうちになる。
ってか、刀かたなで戦たたかわんと術じゅつで戦たたかえよ(場ば)
結局けっきょく野村のむらが勝かって真田さなだは自殺じさつ。
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もっと硬派こうはな映画えいがなんかと思おもってたら、そうではなかった。
シュールさ爆発ばくはつやったけど、まあそれなりにおもろかったかな。

陰陽いんよう師し

2001年ねん公開こうかい
原作げんさくは夢枕ゆめまくら獏ばくの同名どうめい小説しょうせつ
1986年ねんにオール讀物よみものに掲載けいさいされ、1988年ねんに単行本たんこうぼんが刊行かんこう、既すでに21巻かんもでている大人気だいにんきシリーズです

陰陽いんよう道どうを取とり上あげ、式しき神しんなどの用語ようごを一般いっぱん化かさせたのは、荒あら俣宏の帝都ていと物語ものがたりが先さきです
帝都ていと物語ものがたりは1985年ねんの刊行かんこうで、1988年ねんに映画えいが化かされて大おおきなインパクトをのこしました
それから10年ねん以上いじょうたってようやく本格ほんかく的てきな伝奇でんき小説しょうせつを原作げんさくに持もつ本ほん作さくが公開こうかいされたという流ながれです
伝奇でんき小説しょうせつファンなので大変たいへん嬉うれしいことでした

全まったく安倍晴明あべのせいめい役やくの野村のむら萬まん斎ときに尽つきます
イメージ通どおりで何なにから何なにまで文句もんくのつけようがありません
黒澤くろさわ明あきら監督かんとくの「乱らん」での鶴丸つるまる役やくの時ときはまだ本名ほんみょうの野村のむら武司たけしのままでしたが、1994年ねんに萬まん斎ときの名なを襲名しゅうめいされていますので本ほん作さくでは野村のむら萬まん斎ときのクレジットとなっています
「乱らん」の時ときでも出番でばんは少すくなくとも大おおきな印象いんしょうを残のこされていました
初はつの主演しゅえんで狂言きょうげん師しとしての才能さいのう、血筋ちすじのもたらす容貌ようぼうが圧倒的あっとうてきな魅力みりょくと説得せっとく力りょくを放射ほうしゃしています

そして美術びじゅつと衣装いしょうの素晴すばらしさ！
美術びじゅつは部ぶ谷たに京子きょうこ、衣装いしょうは斉藤さいとう育子いくこ
このおふた方かたの名前なまえは記憶きおくされるべき見事みごとな仕事しごとだと思おもいます
本当ほんとうにレベルの高たかい芸術げいじゅつ性せい、資料しりょうからの再現さいげん度合どあいです
ぜひおふた方かたの仕事しごとにどんなに作品さくひんがあるのかお確たしかめ下ください
なるほど！という良よい仕事しごとの作品さくひんばかりです

奈良なら薬師寺やくしじで勅使ちょくしを迎むかえる儀式ぎしきの歴史れきし再現さいげんイベントに出でくわしたことがあります
勅使ちょくし、従者じゅうしゃ、護衛ごえいの武者むしゃの衣装いしょう、小道具こどうぐなど、本ほん作さくで見みたままの色彩しきさい、布ぬの素材そざい、ディテールでした
なにもかも本ほん作さくを参考さんこうに作つくられたのように思おもえるほど同おなじなのです
それだけ本ほん作さくの美術びじゅつと衣装いしょうはいい加減かげんなところが無ないのです

蛇足だそく
京都きょうと一条いちじょう堀川ほりかわ上あがルに晴明せいめい神社じんじゃがあります
町名ちょうめい自体じたいが晴明せいめい町まちです
バス停ばすてい「一いち条じょう戻もど橋はし・晴明せいめい神社じんじゃ前まえ」の真まん前まえにあります
鳥居とりいに五ご芒すすき星ぼしだけが画えがかれた扁額へんがくが掲かかげられています
本ほん作さくに感激かんげきしたひとなら、間違まちがいなく
「なんじゃー！こりゃー！」となります
もうテンションがMAXになり、さほど大おおきな境内けいだいでも無ないのですが写真しゃしんをとりまくって大変たいへん時間じかんを要ようしました
是非ぜひとも聖地せいち巡礼じゅんれいなさるべきです

ー　狂言きょうげん師しの野村のむら萬まん斎ときが、飄々ひょうひょうとして腹はらの底そこが読よめない安倍晴明あべのせいめいを演えんじている。正まさに的確てきかくなキャスティングである。－

■原因げんいん不明ふめいの病やまいを患わずらう幼おさなき親王しんのうを救すくうため、右みぎ近衛府このえふ中将ちゅうじょう・源みなもと博雅ひろまさ（伊藤いとう英明ひであき）は陰陽いんよう師し・安倍晴明あべのせいめい（野村のむら萬まん斎とき）に助たすけを求もとめ、彼かれの”呪のろい”を取とり除のぞく手法しゅほうによって親王しんのうは一命いちめいをとりとめる。
　しかし、都と転覆てんぷくを企たくらんで親王しんのうに呪のろいをかけた陰陽いんよう頭あたま・道みち尊みこと（真田さなだ広之ひろゆき）は、次つぎの手てを用意ようい。
　晴はれ明あきらと博雅はくがはさらなる脅威きょういに立たち向むかう。

◆感想かんそう＜・・にあまり、なってません。＞

・私わたしは京都きょうとが好すきなために、夢枕ゆめまくら獏ばくの”陰陽いんよう師し”シリーズはずっと愛読あいどくしている。但ただし、初期しょきはお金かねが無なかったために文庫ぶんこで鑑賞かんしょうを始はじめた。
　先さきほど、書架しょかから第だい一いち作さくを引ひっ張ぱりだしてきたのだが、奥付おくづけ(初版しょはん）を見みるとナント1991年ねん2月がつとある。ビックリである。

■物語ものがたりは大体だいたい同おなじパターンで、土御門つちみかど大路おおじにある安倍あべ清明きよあきの屋敷やしきを訪おとずれた源みなもと博雅ひろまさが清明せいめいと二に人にんで、清明せいめいの式しき神しんが提供ていきょうする酒さけの肴さかな(秋あきは、鮎あゆが多おおい。)を突つきながら、酒さけを”ホロホロ”と呑のんでいる。
　そして、源みなもと博雅ひろまさが抱かかえる都とで起おこっている妖の話はなしを清明せいめいにし、(逆ぎゃくパターンもあり。）二に人にんは”呪のろい”の話はなしをしながら、”ゆこう””ゆこう・・。”と言いって、そういうことになった・・。というパターンで進すすむのである。
　所謂いわゆる、起承転結きしょうてんけつが各かく短編たんぺんでキッチリと描えがかれているのである。

・今いま作さくもほぼ同様どうようで、且かつて帝みかど（岸部きしべ一徳かずのり）に寵愛ちょうあいされつつも、寵愛ちょうあいを失うしなった祐ゆう姫ひめ（夏川なつかわ結衣ゆい）が鬼おにになって、御門みかどを鬼おにとなって呪のろう。
　そしてそれを陰かげながら都と転覆てんぷくを図はかる事ことを最終さいしゅう目標もくひょうにして支援しえんする道みち尊みこと（真田さなだ広之ひろゆき）＜因ちなみに原作げんさくでは、芦屋あしや道満どうまんである。＞の姿すがたが描えがかれている。

・そこに、且かつて悲劇ひげきの王子おうじである(史実しじつである）早良親王さわらしんのう（萩原はぎはら聖人まさと)を愛あいする故ゆえに人魚にんぎょの肉にくを口くちにし、不老不死ふろうふしとなった青あお音おん（小泉こいずみ今日子きょうこ）が絡からんできて、物語ものがたりの幅はばが広ひろがるのである。

■夢枕ゆめまくら獏ばく氏しの原作げんさくが、かくも長ながきに亘わたり愛あいされているのは、そこには人心じんしんの闇やみや哀かなしみがキチンと描えがかれている事ことと、当時とうじの男尊女卑だんそんじょひ思想しそうにより(当時とうじは、帝みかどを始はじめ、多おおくの貴族きぞくは側室そくしつを多数たすう抱かかえていた。）主おもの寵愛ちょうあいを失うしなった女性じょせい達たちの哀かなしみが、怒いかりに変かわり果はては鬼おにになるというテーマを多おおく語かたっている事ことだと、個人こじん的てきには思おもっている。

＜20数すう年ねん前まえの作品さくひんでもあり、VFXシーンなどは・・であるが、安倍晴明あべのせいめいを演えんじた狂言きょうげん師し野村のむら萬まん斎ときが、正まさに嵌はまり役やくである。
　今いま作さく後ごも、野村のむら萬よろず斎ひとし氏し主演しゅえんの映画えいがは全すべて劇場げきじょうで鑑賞かんしょうしているが、一芸いちげいに通つうじた方ほうは、他たの分野ぶんやでも十じゅう二に分ふんに実力じつりょくを発揮はっきするのだな、と思おもった作品さくひんでもある。＞