十じゅう二に人にんの怒おこれる男おとこ

すげぇ名作めいさくだとみんなが言いうのですげぇ名作めいさくなんだろうなあと思おもって観みた。名作めいさくだった。観みていて全まったく飽あきない。吹ふき替かえで観みたけどセリフの一ひとつ一ひとつが頭あたまにスイスイ入はいってきて、話はなしが分わからなくなるということがない。男おとこばっかり12人にん出でるけれど、どれが誰だれか混乱こんらんすることもなかった。

白黒しろくろ映画えいがは顔かおのアップが映はえるなあと思おもう。陰影いんえいがわかりやすいからかもしれない。

冒頭ぼうとう、有罪ゆうざいと無罪むざいが11対たい1になるときの挙手きょしゅが楽たのしい。やはりこういう時ときは周囲しゅういをうかがって手てを挙あげる人ひとが何人なんにんかはいる。私わたしもそのタイプなので他人事たにんごとではない。
証拠しょうこがくつがえっていく中なかで、「俺おれは無罪むざいに意見いけんを変かえる！」って言いえるのみんな偉えらいなと思おもった。私わたしなかなか言いえないと思おもう。多分たぶん広告こうこく屋やみたいな感かんじになる。

やたら威圧いあつ的てきだったり、適当てきとうだったり、重箱じゅうばこの隅すみをつついてきたり、コロコロ意見いけんを変かえたり、いつの世よも人間にんげんって色々いろいろなタイプがいて、そういうところが普遍ふへん的てきであるなと思おもえる。楽たのしい。

一人ひとりひとりの生おい立たちとかはほとんど語かたられないけど、それぞれの人ひとにそれぞれの背景はいけいがあるんだろうなあというのが言葉ことばの端々はしばしから伺うかがえて、キャラ造形ぞうけいがうまいなと思おもう。お年寄としよりを敬うやまえおじさんの人生じんせいが気きになる。
ラスト、主人公しゅじんこうと爺じいさんが名乗なのりあうシーンで、みんな互たがいの名前なまえすら知しらない関係かんけいなんだよなあってグッとくる。12人にんは今後こんご一生いっしょう再会さいかいすることもないんだろう。それが陪審ばいしん員いん制度せいど。そういえば序盤じょばんで名刺めいし渡わたそうとして受うけ取とられなかったシーンあるから、みんな本当ほんとうに一切いっさい連絡れんらく先さきを知しらない。

どの登場とうじょう人物じんぶつに対たいして思おもい入いれを感かんじるか人じんによって変かわりそう。私わたしはスラム嫌ぎらい爺じいさんが気きになった。あまりにも強烈きょうれつな偏見へんけんのせいでみんなからそっぽを向むかれた爺じいさん。でも別べつに普段ふだんは嫌いやな奴やつとかではないんだろうな。スラムへの偏見へんけんが強つよいだけで、それ以外いがいは「普通ふつう」なんだろう…多分たぶん。
実際じっさい、スラムの人間にんげんから嫌いやな目めにあわされ続つづけたら、そういう意見いけんにもなるよなと思おもう。たしか実際じっさい見みてきたって言いってた気きがするし。スラムの人間にんげん10人にんと関かかわって、10人にん全員ぜんいんが嫌いやなヤツだったら、スラムの人間にんげんってみんなクソだな！という気持きもちにはなってしまうと思おもう。たかが10人にんだけど、爺じいさんにとっては100％の確かく率りつで嫌いやな奴やつなわけだし。
だからって偏見へんけんを抱だいていい訳やくではないんだけど、そういう気持きもちになっちゃうのは仕方しかたないんだよな。もし自分じぶんだったら、そんな気持きもちにならずにフラットな意見いけんを持もち続つづけられるだろうか？難むずかしいことだ。
偏見へんけんというメガネをかけていることは自分じぶんでは気付きつけない。爺じいさんだってこれが偏見へんけんだとは思おもってなくて、実際じっさい自分じぶんは見みてきたんだから正ただしいと思おもっている（お前まえらは見みてないからそんな風ふうに言いえるんだ、と多分たぶん思おもったことだろう）。
自分じぶんも同おなじような状態じょうたいになってないか、よく振ふり返かえろうと思おもった。

結局けっきょく少年しょうねんは親父おやじを殺ころしてるのか？殺ころしてないなら誰だれが真犯人しんはんにんなのか？それは一切いっさい描えがかれない。それは問題もんだいではないのだ。「本当ほんとうにそうなのか？」と疑問ぎもんを抱いだき、話はなし合あう姿勢しせいが大切たいせつなのだ、とこの映画えいがは言いっている。深ふかいテーマなのに重苦おもくるしくなく観みられたのが本当ほんとうにすごいなと思おもった。
自分じぶんはミステリはそんなに興味きょうみないんだけど、安楽椅子あんらくいす探偵たんていは割わりと好すきなので、そういう点てんでもこの作品さくひんはフィットしたかな。

みんな判決はんけつを下くだすことの重要じゅうよう性せいを理解りかいし、逃にげずに小数しょうすう意見いけんに真摯しんしに耳みみを傾かたむける姿すがたが素晴すばらしい。アメリの懐ふところの深ふかさを見みた

三谷幸喜みたにこうきの12人にんの優やさしい日本人にっぽんじんを観みてたので、
その元もとネタと言いう事ことは知しってたのだけど、
ワンシチュエーションでしかも会話かいわ劇げきだけで見みせられるのは、脚本きゃくほん、カメラワーク、俳優はいゆう、そしてそれぞれのキャラが立たってるからだと思おもいます。

最初さいしょのたった1人ひとりの無罪むざい主張しゅちょうから議論ぎろんの末すえみんなを納得なっとくさせて行いくのは見みててワクワクしたし、
実際じっさい自分じぶんもこの場ばにいたらどうだろう？と思おもいながら
ドキドキしながら見みれました。

真実しんじつは分わからないけど、可能かのう性せいはある。
一人ひとりの少年しょうねんの命いのちがかかってるわけだから議論ぎろんのの余地よちは
あるし、時間じかんをかけなければならないよなと思おもいました。

説得せっとくもただ論破ろんぱして行いくわけではなくて、
話はなしにフリ落おちがあって、主人公しゅじんこうや陪審ばいしん員いん9番ばんのおじいちゃんの手ての中なかで踊おどらされてる感かんも気持きもち良よかった。

18歳さいの少年しょうねんが父親ちちおやを、ナイフで刺さし殺ころした容疑ようぎの裁判さいばん。
集あつまった12人にんの陪審ばいしん員いん、全員ぜんいん一致いっちで意見いけんがまとまらなければ終おわらない。
スラム街がい生うまれの少年しょうねん、他たの証言しょうげんもある。
「有罪ゆうざいじゃん、評決ひょうけつして早はやく終おわろう」が１１人にん。

残のこり1人にんの「確信かくしんがないなら、無罪むざいだ」から、話はなしが進すすむ。
少年しょうねんの生おい立たち、目撃もくげき者しゃの証言しょうげんの検証けんしょう。
じわじわーっと、そこか！な着眼ちゃくがん点てんに驚おどろかされる。

白黒しろくろ作品さくひんだけど、暑あつい室内しつないや終おわらない評決ひょうけつへの苛立いらだち。
汗あせかいているのがしっかりわかって、余計よけいシリアス。

結末けつまつも「そこかーーー」でびっくりして終おわる。
見みてよかったわあ。

⭐️今日きょうのマーカーワード⭐️
「正ただしいと思おもうことをしろ」