スコルピオンの恋こいまじない : 映画えいが評論ひょうろん・批評ひひょう

2002年ねん12月16日にち更新こうしん

2002年ねん12月21日にちより恵比寿えびすガーデンシネマほかにてロードショー

ウッディ・アレンの34作さく目めは40年代ねんだいへの目配めくばせがいっぱい

たたきあげの保険ほけん調査ちょうさ員いんに、合理ごうり化かのため会社かいしゃに乗のり込こんできたキャリア・ウーマン。腕利うでききとすご腕うで、しかし個性こせいは全まったく違ちがう二人ふたりが、恋こいと宝石ほうせきを巡めぐって演えんじるドタバタ劇げきだ。アレンが好このむ40年代ねんだいのディテールと、ハワード・ホークス、エルンスト・ルビッチ、ビリー・ワイルダーなどの監督かんとくたちの作品さくひんへの目配めくばせ、スタイルだけでなく、機関きかん銃じゅうのようなセリフの応酬おうしゅうも楽たのしい。この時代じだいの映画えいがに欠かかせない“ファム・ファタール” つまり男おとこを破滅はめつさせるタイプの女おんな（シャリーズ・セロンが最高さいこうだ）とアレンのやりとりのおかしさ。

アレンは谷口たにぐち千せん吉きち監督かんとくの東宝とうほう映画えいが「国際こくさい秘密ひみつ警察けいさつ・鍵かぎの鍵かぎ」を再さい編集へんしゅう、吹ふき替かえた「What's Up, Tiger Lily？」（浜はま美枝みえと若林わかばやし映子えいこの役名やくめいがTeriyaki、Sukiyaki）で監督かんとくデビューして以来いらい、34本ほん目めのこの作品さくひんまでほぼ年としに1本ほんの割合わりあいで監督かんとくしてきた。「アメリカン・コメディはキツイ状況じょうきょうだけどね。コメディに限かぎらず若手わかてには期待きたいしている。アレクサンダー・ペインやデビッド・O・ラッセルはいい。外国がいこくの作品さくひんでも『アモーレス・ぺロス』や『Shall We ダンス？』はとても気きに入いってるよ。できる監督かんとくたちだと思おもう」今いまも映画えいがを映画えいが館かんで見みたり、プリントを家いえに取とり寄よせてたりして、新しん勢力せいりょくをチェックするウッディ・アレンなのだった。

（大久保おおくぼ賢一けんいち）