ぼくの伯父おじさん

小粋こいきな映画えいがだった。

私わたしは、こちらには、粋いきなセンスと風刺ふうしを感かんじた。

甥おいはおじさんと遊あそぶのが好すきだった。
そしてそんなユロは町まちの人達ひとたちにも愛あいされ上手うまくやっていた。

子こどものように、無邪気むじゃきに、素朴そぼくに…
そういう指向しこう、そういうテーマはこの映画えいがに一貫いっかんして流ながれていると思おもう。
それは、また主おもに最初さいしょと最後さいごに登場とうじょうするワンちゃんたちの群むれ方かたや無邪気むじゃきな動うごきに象徴しょうちょうされていると思おもう。

ユロの暮くらす下町したまちと妹いもうと夫婦ふうふが暮くらす環境かんきょうとがかなり対比的たいひてきに描えがかれていて、その構図こうずそのものと、それから、役立やくだたずと見みなされ田舎いなかに追おいやられるという結果けっかそのものが、なかなかキョーレツで、社会しゃかい批判ひはん的てきだと思おもう。

下町したまちの人ひとたちの間あいだ抜ぬけさを描えがきながらもその眼差まなざしは暖あたたかく、妹いもうと夫婦ふうふを取とり巻まく人ひとたちの優雅ゆうがさや洗練せんれんを描えがきながらも、彼かれらは陳腐ちんぷにも描えがかれている。

エッシャーの
騙だまし絵え見みたいなアパート。
とずっと思おもっていた。
近年きんねんの印象いんしょうでは、京成けいせい線せんの立石たていし駅えき見みたいな建物たてものだ。
ギャグはチャップリンの『モダンタイムス』をリスペクトしていると思おもうが、ボク個人こじんはあまり好すきになれない。そして、それはオジキの影響えいきょう。
僕ぼくのオジキは、ジャック・タチが嫌きらいだった。
『見みている方ほうが恥はずかしくなる』って良よく言いっていた。チャップリンは好すきだって言いっていた。その他たでオジキの嫌きらいなのは『モンティ・パイソン』と『ミスター・ビーン』だったので、新あたらしいギャグが嫌きらいなのだと思おもう。まぁ、こう言いった機械きかい仕掛しかけのギャグって、日本にっぽんの６チャンネルの土曜日どようびにやってたね。僕ぼくはほとんど見みた事ことが無ない。
今いまは亡なきぼくのオジキは、ウッドベースでこのテーマ曲きょくを披露ひろうしてくれたので、映画えいがよりも音楽おんがくと『アパートの作つくり』で僕ぼくの印象いんしょうが残のこった。

『エッシャーの騙だまし絵え』は僕ぼくが小学生しょうがくせいか中学生ちゅうがくせいの時ときに、漫画まんが雑誌ざっしに特集とくしゅうが組くまれていたように記憶きおくする。

フランスの街まちを風情ふぜいを味あじわいたいのなら『素晴すばらしい風船ふうせん旅行りょこう』とか『赤あかい風船ふうせん』だと思おもう。笑わらえないけどね。
でも、何なんでテレビとかラジオがないのだろうと思おもった。

何なん年ねんか前まえに開催かいさいされたジャック・タチ映画えいが祭さいで鑑賞かんしょうした。
ヨレヨレのステンカラーコートとパイプがトレードマークのユロ氏しの起おこす騒動そうどう記き。背筋せすじを伸のばした姿すがたは、何事なにごとにも動どうじなさそうな雰囲気ふんいきを漂ただよわせる。自身じしんはボロいアパート住ずまいのユロにとって、やや上流じょうりゅう階級かいきゅうの妹いもうと夫婦ふうふの住すむオートマチック仕様しようのモダンな家いえは馴染なじまないが甥おいっ子こにの為ためなら何なんでもやっちゃう。何なにをやっても上手うまくいかないユロは、、、。

妹いもうと夫婦ふうふの家いえの魚さかなのオブジェが面白おもしろい。
甥おいとの交流こうりゅうが微笑ほほえましい。
見みているだけで安心あんしんするユロ伯父おじさん。
存在そんざいするホッとする映画えいがのひとつ。

脚本きゃくほん・監督かんとく・主演しゅえんはジャック・タチ
アカデミー外国がいこく語ご映画えいが賞しょう受賞じゅしょう
カンヌ審査しんさ員いん特別とくべつ賞しょうのコメディ映画えいが。

※

■ユロ伯父おじ（ジャック・タチ）さんは変かわり者ものの独ひとり者もの。
　気きままでのんきなユロ氏しは下町したまち暮くらし。
　甥おいっ子このジェラールは、そんな伯父おじさんのことが大好だいすきだった。
　何なにとか一いち人前にんまえの男おとこにしようと画策かくさくする姉あね婿むこのアルペル氏しは、ユロ伯父おじさんに仕事しごとや女性じょせいを紹介しょうかいしようとするが…。

◆感想かんそう

・トーンとしては、チャップリンの映画えいがを彷彿ほうふつとさせる。

・悪人あくにんはおらず、ユロ伯父おじを演えんじるジャック・タチの可笑おかしさが全面ぜんめんに出でている。

＜色いろ鮮あざやかな色彩しきさい感覚かんかく、不惑ふわく以上いじょうであれば、何処どこかで聞きいたことのある懐なつかしい音楽おんがく。
　効果こうか音おんを巧たくみに使つかった音響おんきょうの妙みょう、アパートの不思議ふしぎなデザインなど、唯一ゆいいつ無二むにの世界せかいを作つくり上あげている作品さくひんである。＞