日本海にほんかい大だい海戦かいせん 海うみゆかば

海戦かいせんの映画えいがはアクションが無ないので、結果けっかの分わかっているストーリーは退屈たいくつである。
全まったくの緊張きんちょう感かんが無ない。
だから、乗組のりくみ員いんのサブストーリーをプラスしたわけたが、1983年ねんの上映じょうえい時じにこの海戦かいせんに参加さんかした者ものは一人ひとりもいないので、全部ぜんぶフィクションとなりにけり。
さて、前半ぜんはんの東郷とうごう平八郎へいはちろうの台詞せりふに
「ここで大日本帝國だいにっぽんていこくが負まけては帝国ていこくは消滅しょうめつする」とあるが負まけていたら、どうなっただろう？
高校こうこうの時ときの日本にっぽん史しの教師きょうしは「ここで勝かってしまったから、日本にっぽんは太平洋戦争たいへいようせんそうで、愚行ぐこうを犯おかした」と言いっていた。
だがしかし、ここで勝かったからこそ、太平洋戦争たいへいようせんそうで負まけた訳わけで、負まけたからこそ大日本帝國だいにっぽんていこくは消滅しょうめつして、平和へいわ憲法けんぽうができ、80年ねん近ちかく大和やまと民族みんぞくは戦争せんそうに手てを貸かしていない。素晴すばらしい事ことだ。

従したがって、僕ぼくの人生じんせいに於おいて、戦争せんそうの悲惨ひさんさを僕ぼくは経験けいけんしていない。さて、僕ぼくはそれで良よいと思おもっている。

　東映とうえい戦争せんそう映画えいが三さん部ぶ作さく第だい3作さく。

　Huluで鑑賞かんしょう。

　日にち露ろ戦争せんそうの勝敗しょうはいを決定けっていづけた日本海にほんかい海戦かいせんを、戦艦せんかん三さん笠かさに乗艦じょうかんしていた軍楽隊ぐんがくたいの青年せいねんの視点してんで描えがいた青春せいしゅん群ぐん像ぞう劇げき。
　クレジットの先頭せんとうには三船みふね敏郎としおの名前なまえがありましたが、実質じっしつ的てきな主役しゅやくは沖田おきた浩之ひろゆき演えんじる軍楽隊ぐんがくたい員いんでした。

　同おなじ内容ないようを扱あつかった東宝とうほう特撮とくさつ映画えいが「日本海にほんかい大だい海戦かいせん」との差別さべつ化かを図はかるためか、日にち露ろ戦争せんそうの過程かていよりも、戦争せんそうに翻弄ほんろうされる若者わかものたちのドラマに重点じゅうてんを置おいた作風さくふうでした。
　若手わかてキャストが初々ういういしい演技えんぎを披露ひろうしていました。全員ぜんいんの芝居しばいに若気わかげの至いたりのような勢いきおいがあり、とても微笑ほほえましかったです。でもやはり、全体ぜんたい的てきな拙つたなさは如何いかともし難がたく…。
　東宝とうほう映画えいがの「日本海にほんかい大だい海戦かいせん」でも東郷とうごう平八郎へいはちろうを演えんじていた三船みふね敏郎としおは、殆ほとんどメインストーリーには関かかわって来きませんでしたが、大物おおもの俳優はいゆうらしくズシッと構かまえて、若わかい役者やくしゃの多おおい物語ものがたりをその存在そんざい感かんで引ひき締しめているように思おもいました。

　クライマックスの海戦かいせんシーンでは、予算よさんの関係かんけいで戦艦せんかんのミニチュアの数かずを揃そろえられなかったのか、有名ゆうめいな"東郷とうごうターン"がやや分わかりづらかったですが、"爆破ばくはの中野なかの"の異名いみょうを取とる中野なかの昭あきら慶けい特技とくぎ監督かんとくなだけあって、爆発ばくはつシーンの迫力はくりょくが凄すさまじく、本編ほんぺんと相あいまってめちゃくちゃ手しゅに汗あせ握にぎりました。

　でも、「二に百ひゃく三さん高地こうち」の出来映できばえには及およばずの感かん…。

　呉ごから出航しゅっこうする三さん笠かさの情報じょうほうを聞ききつけて東京とうきょうからわざわざ会あいに来きたせつ。これが最さい後こうとばかり、愛あいを交かわす2人ふたりであったが、呉ごから佐世保させぼへと寄港きこうすると、また逢あいにきていた。しかも金かねを作つくるためには身体しんたいを売うらねばならない娼婦しょうふ。

　ただ、もっと好戦こうせん的てきな内容ないようかと思おもっていたが、せつの言葉ことばからは反はん軍国ぐんこく主義しゅぎが伝つたわってくるのだ。三原みはらの演技えんぎに比くらべて、沖田おきたの演技えんぎはまずすぎるのだが・・・

　冗長じょうちょうすぎる個々ここのエピソードはあるものの、金貸かねかしに精せいを出だす佐藤さとう浩市こういちとか、石炭せきたんをくべるガッツ石松がっついしまつなんてのは、性格せいかくもかなり面白おもしろ。

　バルチック艦隊かんたいとの決戦けっせんが始はじまる直前ちょくぜんにおける細こまかな描写びょうしゃ。特とくに艦内かんないを掃除そうじしたり、水兵すいへい達たちが身みを清きよめたりするところは興味深きょうみぶかいところだ。さらに創作そうさくではあろうけども、決戦けっせん前夜ぜんやに軍楽隊ぐんがくたいが望のぞんで演奏えんそう会かいを催もよおすシーンが美うつくしい。死しんでしまうかもしれない身みを案あんじ、個々ここの水兵すいへいが故郷こきょうの映像えいぞうとともにドボルザークの「新しん世界せかい第だい二に章しょう家路いえじ」にき惚きほれるところだ。時代じだいを考かんがえるとありえないのだが。

　日にち露ろ戦争せんそうという勝かち戦いくさであっても犠牲ぎせい者しゃはつきもの。血肉けつにくが飛とび交かうスペクタクル映像えいぞうからは悲壮ひそう感かん漂ただよっている。もしかして三笠みかさは沈没ちんぼつしたのでは？とも思おもってしまう。どんな戦争せんそうでも不幸ふこうになる人間にんげんはいっぱいいるということだ。これを勝かち戦いくさとして歓喜かんきとともに描えがいていたら最悪さいあくの作品さくひんとなったであろう。

冒頭ぼうとうまるで明治天皇めいじてんのうが戦争せんそうを仕掛しかけたように描えがいているが、
これは朕ちんの戦争せんそうではないと宣戦せんせんの詔勅しょうちょくでハッキリ言いってるではないか。
明治天皇めいじてんのうは戦争せんそうに反対はんたいだったのである。
この精神せいしんは昭和しょうわ天皇てんのうにも受うけ継つがれ大だい東亜とうあ戦争せんそうに反対はんたいしている。
ではなぜ戦争せんそうが始はじまったのか。
立憲りっけん君主くんしゅに政治せいじの実権じっけんはない。政府せいふの決きめた事ことには逆さからえないからである。
沖田おきた浩之ひろゆきと三原みはらじゅん子このど～～～でもいい話はなしがグダグダ続つづいた後のち、
いざ決戦けっせんと思おもいきや連合れんごう艦隊かんたいがボコボコにやられる。
何なにですかこれ？
海戦かいせん史上しじょう稀まれに見みる大だい勝利しょうりでバルチック艦隊かんたいの艦艇かんていのほぼ全すべてを損失そんしつさせた戦たたかいですよ。
大だい艦隊かんたい同士どうしの艦隊かんたい決戦けっせんとしては史上しじょう稀まれに見みる一方いっぽう的てき勝利しょうりを収おさめた戦たたかいですよ。
いい加減かげんにしてもらいたいですよね。