待まち伏ぶせ

オールスター映画えいが。
豪華ごうかな面々めんめんがそろっていて、その画面がめんだけでも
価値かちがある。

とはいえ、ネタは面白おもしろそうなのに
途中とちゅうわかりにくく混こん乱らんしがち。
オールスターものにありがちだけれど
みんなに見みせ場ばを作つくろうとしちゃうために
主題しゅだいがなんだったか錯綜さくそうしてしまう。

もう少すこし整理せいりされていればもっとすっきりと
まとまってよかっただろうに
勿体もったいないところがある。

面白おもしろくなかったというのが見み終おわっての印象いんしょうだった。初はつ見みは今いまから50年ねん前まえだった。三船みふねプロも石原いしはらプロもいい映画えいがを提供ていきょうしていたが、この映画えいがは失敗しっぱい作さくだった。スターを揃そろえたのはよいが、映画えいがは脚本きゃくほんで決きまるというセオリーを無視むししては面白おもしろい作品さくひんにはならない。4人にんも脚本きゃくほん家かが雁首がんくび揃そろえているが、役割やくわり分担ぶんたんはどのようになっていたのかそっちのほうが興味深きょうみぶかい。「用心棒ようじんぼう」、「椿つばき三十郎さんじゅうろう」のキャラクターを、東宝とうほうか黒澤くろさわプロの了解りょうかいを得えたのかどうかは知しらないが、流用りゅうようしたのは明あきらかだ。浅丘あさおかルリ子るりこに「忘わすれてしまった」と名なを名乗なのらないのは同どう一人物いちじんぶつであることを示しめしている。用心棒ようじんぼうのキャラクターに頼たよらざるを得えなかった三船みふねプロのつらさが感かんじられて痛いたい。黒澤くろさわ明あきらと三船みふね敏郎としお、仲なかたがいしたのは双方そうほうにとって実じつにもったいないことであったと思おもう。この二人ふたりが仲なかたがいせずに協力きょうりょくし合あっていたらもっと素晴すばらしい映画えいががあと数すう本ほんはできたはずなのだ。プライドの高たかすぎる男おとこと酒癖さけぐせの悪わるい男おとことではうまくいかなかったのであろうか。さて、なぜ面白おもしろくないのかは、勝かつ新太郎しんたろうを殺ころすために、御ご用金ようきん強奪ごうだつという犯罪はんざいをでっち上あげ、三船みふね敏郎としおに殺ころさせるというわけのわからない設定せっていにしたからだ。そのメインのストーリーが判明はんめいするまでに、暴力ぼうりょく夫おっとの土屋つちや嘉男よしおにいたぶられる浅丘あさおかルリ子るりこの話はなし、禁制きんせいの薬くすりを作つくっている勝かつ新太郎しんたろうを匿かくまっている有島ありしま一いち郎ろうの話はなし、太鼓たいこ集団しゅうだんの絡からみ、中村なかむら錦之助きんのすけの絡がらみなど、勿体もったい付つけるだけで本筋ほんすじとは関係かんけいのない話はなしが多おおすぎストーリーが散漫さんまんになってしまったからである。市川いちかわ中車ちゅうしゃも勝かつ新太郎しんたろうを殺ころしたいのであれば、その一いち点てんに絞しぼって、殺人さつじん部隊ぶたいと勝かつ新太郎しんたろう一味いちみとの壮絶そうぜつな戦たたかい、例たとえば「十兵衛じゅうべえ殺人さつじん剣けん」のような合戦かっせんをストレートに描えがいたほうがおもしろかったと思おもう。「御ご用金ようきん」という五ご社しゃ英雄えいゆうの映画えいがが前年ぜんねんに作つくられたが、この両りょう作品さくひん共々ともども面白おもしろい話はなしではなかった。御ご用金ようきんは鬼門きもんということか。

峠とうげの茶屋ちゃやに集あつまった男おとこたち、用心棒ようじんぼう（三船みふね敏郎としお）、闇やみ医者いしゃ（勝かつ新太郎しんたろう）、渡世人とせいにん（石原いしはら裕次郎ゆうじろう）、木こっ端ぱ役人やくにん（萬屋よろずや錦之助きんのすけ）に美女びじょが一人ひとり（浅丘あさおかルリ子るりこ）。
用心棒ようじんぼうはカネに目めがくらんで、面白おもしろ半分はんぶんでやって来きたみたい。
チャンバラは最後さいごに用意よういされているので、ご安心あんしんを。

三船みふね敏郎としお扮ふんする用心棒ようじんぼうは、小判こばん100枚まいである指示しじを受うけた。途中とちゅう、浅丘あさおかルリ子るりこ扮ふんするおくにを助たすけて連つれ出だした。峠とうげの茶屋ちゃやでおくにが働はたらく事ことになったところへ石原いしはら裕次郎ゆうじろう扮ふんする弥太郎やたろうが現あらわれた。そこへ勝かつ新太郎しんたろう扮ふんする納屋なやに住すんでいる医者いしゃくずれの
玄げん哲あきらが来きた。中村なかむら錦之助きんのすけ扮ふんする役人やくにんも紛まぎれ込こんで来きた。三さん州しゅう峠とうげに何なにかが起おこる。主役しゅやく級きゅうが5人にんも集あつまって贅沢ぜいたくな映画えいがだな。