精霊流しょうりょうながし

解説かいせつ

ミュージシャン・さだまさしの自伝じでん的てき小説しょうせつを映画えいが化かした作品さくひんで、ふたりの母ははと息子むすこ、そして彼かれらを巡めぐる家族かぞくの愛あいを描えがいたドラマ。監督かんとくは、「化粧けしょう師し　KEWAISHI」の田中たなか光敏みつとし。脚色きゃくしょくは「旅たびの途中とちゅうで　FARDA」の横田よこた与志よし。撮影さつえいを「OUT」の柴崎しばざき幸三こうぞうが担当たんとうしている。主演しゅえんは、「死者ししゃの学園がくえん祭さい」の内田うちだ朝陽あさひと「さゞなみ」の松坂まつさか慶子けいこ。第だい46回かいブルーリボン賞しょう助演じょえん男優だんゆう賞しょう（山本やまもと太郎たろう）受賞じゅしょう作品さくひん

2003年ねん製作せいさく／109分ふん／日本にっぽん
配給はいきゅう：日活にっかつ＝東北新社とうほくしんしゃ
劇場げきじょう公開こうかい日び：2003年ねん12月13日にち

ストーリー

幼おさなくして長崎ながさきの親元おやもとを離はなれ、母はは・喜代子きよこの夢ゆめでもあるヴァイオリニストになる為ために、鎌倉かまくらに暮くらす母ははの妹いもうと・節子せつこの家いえから東京とうきょうの学校がっこうに通かようことを選択せんたくした雅彦まさひこ。しかしそれから十じゅう数すう年ねん後ご、大学生だいがくせいになった彼かれは車くるまの修理しゅうり工場こうじょうのアルバイトに精せいを出だすばかりで、既すでに亡なくなった母ははの想おもいがこもったヴァイオリンは部屋へやの隅すみに置おき去ざりにされていた。ある日ひ、節子せつこが離婚りこんして故郷こきょう・長崎ながさきに帰かえってしまった。突然とつぜんのことに戸惑とまどいを隠かくせない先妻せんさいの息子むすこ・春はる人じん。節子せつこを本当ほんとうの母ははのように慕したう彼かれの気持きもちをおもんばかり、雅彦まさひこは叔母おばの勝手かってな振ふる舞まいに憤いきどおるのだが、一方いっぽうで彼かれは幼おさななじみの徳恵とくえからの愛あいの告白こくはくを受うけ止とめられずにいた、そんな半端はんぱな自分じぶんに悩なやむ雅彦まさひこに、更さらなる衝撃しょうげきが襲おそう。それは、節子せつこを追おって長崎ながさきに行いった春はる人じんの自殺じさつと、徳恵とくえが春はる人じんの子供こどもを宿やどしていたこと、そして自身じしんの出生しゅっしょうの秘密ひみつだった。実じつは、雅彦まさひこの生うみの母ははは節子せつこであり、しかも彼女かのじょは被爆ひばくが原因げんいんで血液けつえきの癌がんに冒おかされ余命よめい幾いくばくもなかったのである。そのことを父ちち・雅みやび人じんから聞きかされた雅彦まさひこは一旦いったんは愕然がくぜんとするも、やがて節子せつこと喜代子きよこのふたりの母ははの愛情あいじょうの深ふかさを理解りかいし、再ふたたび音楽おんがくの道みちを歩あゆむことを決意けついする。節子せつこが他界たかいした。彼女かのじょの遺志いし通どおり立派りっぱな精霊船しょうりょうぶねを造つくった雅彦まさひこは、精霊流しょうりょうながしの晩ばん、節子せつこと春はる人じんの御霊みたまをそれに乗のせて海うみの彼方かなたへ送おくり出だす。