静しずかなる男おとこ

■静しずかな生活せいかつを望のぞみ、アメリカから故郷こきょうの小村こむらインスリーへと戻もどってきた元もとボクサー・ショーン・ソーントン（ジョン・ウェイン）。
　荒あれ果はてた生家せいかを買かい戻もどして新あらたな暮くらしを始はじめたものの、同おなじく家いえを狙ねらっていた村むらの大だい地主じぬし・レッドの反感はんかんを買かってしまう。
　さらにレッドの妹いもうと・メアリー（モーリン・オハラ）と恋こいに落おちたことから騒動そうどうが勃発ぼっぱつするが。

◆感想かんそう

・アイルランドの自然しぜんを背景はいけいにした人間にんげんの善ぜん性せいに溢あふれるストーリー展開てんかいがとても良よい。
　更さらに、インスリーに住すむ人々ひとびと達たちも、最初さいしょはショーン・ソーントンを異邦いほう人じんとして警戒けいかいするが、彼かれがインスリーで生うまれ育そだった事ことを知しり、受うけ入いれていく姿すがた。
ー　徐々じょじょに明あきらかになる元もとボクサー・ショーン・ソーントンが、故郷こきょうに帰かえって来きた訳わけ。けれども、誰だれもそれを批判ひはんしない・・。－

・ショーン・ソーントンとメアリーが一目惚ひとめぼれながら、メアリーの兄あにスクワイア―の持参じさん金きんにまつわる事ことで反対はんたいされつつも、最後さいごはソーントンがスクワイアーと殴なぐり合あいをして、和解わかいする姿すがた。
ー　スクワイアーが、結婚けっこんに反対はんたいしていたのは、金きむ目当めあて出でなかった事ことが良よく分わかるシーンである。ー

■私わたしは、好すきな俳優はいゆうは多数たすう居いるが、アイルランドの出身しゅっしんの方ほうが結構けっこういる。
　ピーター・オㇳールは別格べっかくとして（彼かれのエピソードは、伊丹いたみ十三じゅうざ氏しの多数たすうあるエッセイの中なかでも「ヨーロッパ退屈たいくつ日記にっき」に詳細しょうさいに記載きさいされている。弱者じゃくしゃを愛あいする姿勢しせいや、アイルランドを愛あいする小咄こばなし満載まんさいである。）、リーアム・ニーソン父とうさん（物凄ものすごく好すき！全作ぜんさく観みている）コリン・ファレル・シアーシャ・ローニャン、キリアン・マーフィ（ムッチャ好すき。）ブレンダングリーソン&ドーナル・グリーソン親子おやこ。
　名優めいゆうばかりである。
　あとは忘わすれてはいけない世界せかいのロックバンド「U2」である。
　初期しょきから名な盤ばんを出だし続つづけ「WAR」「ヨシュア・ツリー」「焔ほのお」・・。「Sunday Boody Sundy」「New Yers'Day」など、千せん回かいは聞きいているぞ。

ー　スイマセン・・。脱線だっせんしました。－

＜私わたしが仕事しごと関係かんけいで知しっているアイルランド人じんは、最初さいしょは取とっつきにくい。だが、酒さけをパブで呑のんだりする中なかで、その関係かんけい性せいは解ほぐれていく。
　今いま作さくは、アイルランドの人達ひとたちが外部がいぶからの人間にんげんを警戒けいかいしつつ、最初さいしょは拒こばむ姿すがたと一いち度ど(殴なぐり合あったでも）心しんを通かよわせた人ひとに対たいしての温あたたかい人間にんげん性せい溢あふれる姿すがたを描えがいた逸品いっぴんなのである。
　アイルランドは、酒さけも上手うまいし、一いち度どは行いくと良よいのではないかなと思おもいます。(但ただし、酒さけに強つよい事ことが前提ぜんていね。）＞

この作品さくひんはわが敬愛けいあいするジョン・フォード監督かんとくの作品さくひんの中なかでも、最もっとも楽たのしい映画えいがだと思おもいます‼️暗くらい過去かこを背負せおった男おとこが牧歌ぼっか的てきなアイルランドの村むらに降おり立たち、そこでひとりの女性じょせいと恋こいに落おち、女性じょせいの兄あにとの確執かくしつなど、幾多いくたの困難こんなんを乗のり越こえていく‼️これは "じゃじゃ馬うまならし" 的てきなロマンチック・コメディ‼️ただジョン・フォード監督かんとくらしく、辛抱しんぼうに辛抱しんぼうを重かさねたタフなヒーローが、ついに大だい爆発ばくはつして活劇かつげきを繰くり広ひろげる様ようは、まるで西部せいぶ劇げきを思おもわせるセンチメンタル・ジャーニー‼️フォード監督かんとくが自みずからのルーツと語かたるアイルランドの美うつくしすぎる大自然だいしぜん‼️その神々こうごうしいまでの詩情しじょう‼️「わが谷たには緑みどりなりき」や「荒野あらのの決闘けっとう」に連つらなる、その作風さくふう‼️そんな大だい自然しぜんの魅力みりょくに引ひけを取とらない、ジョン・ウェインとモーリン・オハラのカップルも素晴すばらしいです‼️ジョン・ウェインの大おおきな体からだはアイルランドの大だい自然しぜんによく映はえるし、モーリン・オハラの、その燃もえるような赤毛あかげと快活かいかつなキャラは情熱じょうねつ的てきに映画えいがを彩いろどる太陽たいようですね‼️ちょっと不器用ぶきような兄あにを演えんじるビクター・マクラグレンの、人ひとがいいのにちょっと頑固がんこ、でも体格たいかくはジョン・ウェイン以上いじょう‼️そんないわゆるフォード一家かずやの愉快ゆかいな仲間なかまたちの温あたたかーいエネルギーが充満じゅうまん‼️山野さんやを駆かける競馬けいばレース、酒場さかばでの大だい合唱がっしょう、そしてあまりにも有名ゆうめいな野のを越こえ、山越やまごえ、川かわを越こえての壮絶そうぜつな殴なぐり合あい‼️こんなに楽たのしい喧嘩けんかのシーンも他たにはないでしょう‼️そんな大だい喧嘩けんかの末すえに生うまれるウェインとマクラグレンの男おとこの友情ゆうじょうと、ウェインとオハラの真実しんじつの愛あい‼️なんて気持きもちの良よい映画えいがなんでしょう‼️なんて胸むねにグッとくる映画えいがなんでしょう‼️所見しょけんから30年ねん以上いじょう経たつけど、何なん度ど見みても新鮮しんせん‼️それどころか自分じぶんにとってますます愛あいおしい映画えいがになってる気きがします‼️ありがとう、ジョン・フォード監督かんとく‼️

アイルランドの自然しぜんをカラーで捉とらえた美うつくしい映画えいがで、観みていて楽たのしい🙂
ジョン・フォード監督かんとく作さくであり、ジョン・ウェインとモーリン・オハラというお馴染なじみの二人ふたりが主演しゅえんだが、モーリン・オハラがカラー映像えいぞうに美うつくしく映はえる。

物語ものがたりは、アメリカからアイルランドに戻もどって来きたショーン・ソーントン（ジョン・ウェイン）が故郷こきょうでメアリー・ケイト・ダナハー（モーリン・オハラ）に惚ほれて、相思相愛そうしそうあいになる。しかし、アイルランドでは（この場合ばあい）兄あにの許可きょかが無ないと結婚けっこんできないのだが、ショーンと兄あには仲違なかたがいしており……という流ながれ。

アメリカでボクサーをしていたショーンは試合しあいで相手あいてを殺ころしてしまったのでボクシングを止とめて故郷こきょうに戻もどったのだが、そんな彼かれとダナハー兄けいは殴なぐり合あいして大丈夫だいじょうぶ？……などと思おもってしまった。

あと、ダナハー兄けいが周囲しゅういの知しり合あいと握手あくしゅする直前ちょくぜんに、手てのひらに唾つばをかけてから握手あくしゅするのだが、「自分じぶんだったら絶対ぜったいに握手あくしゅしたくない…」などと思おもってしまった😄笑わらい

こうした変へんな風景ふうけいもアイルランドの習慣しゅうかんなのかは知しらないが、アチコチで変かわった雰囲気ふんいきが見みられるジョン・フォードの楽たのしい映画えいがであった🙂

1952年ねん。ジョン・フォード監督かんとく。幼おさないころにアイルランドを離はなれてアメリカにいった男おとこが大人おとなになって帰かえってきた。かつて家族かぞくが住すんでいた地所じしょを買かい取とって昔むかしながらの生活せいかつをしようとする男おとこは、羊ひつじを追おう赤毛あかげの女おんなに一目いちもくぼれ。近ちかづこうとするが、その女おんなが気きの強つよい天邪鬼あまのじゃくで、しかも、女おんなの兄あには男おとこが買かい取とった地所じしょをかねて欲ほしがっていた因縁いんねんで男おとこを敵視てきしして、、、という話はなし。
強つよいけれども戦たたかわないと誓ちかった男おとこが戦たたかうまで。その過程かていで、地所じしょと結婚けっこんと宗教しゅうきょうとコミュニティなどをめぐって、アイルランド独自どくじの風俗ふうぞくが説明せつめい的てきに展開てんかいしている。特とくに、結婚けっこん持参じさん金きんについて、単たんなる金かねではなく女性じょせいの主体性しゅたいせいと関かかわる重大じゅうだいな問題もんだいとなっていて、現代げんだいのジェンダー規範きはんから見みたら問題もんだい山積さんせきではあるものの、モーリン・オハラの変かわったキャラクター造形ぞうけいもあいまって、複雑ふくざつな意味合いみあいが表現ひょうげんされている。誰だれでも気きづくように、最後さいごの山場やまばに向むけて街中まちじゅうや野原のはらを女おんなを引ひきずるように歩あるく男おとこの姿すがたは、それ以前いぜんに華麗かれいに馬うまを駆かって走はしっていた男おとこの姿すがたと重かさなって見みえるので、女おんなと馬うまが比較ひかく対象たいしょうとして脳裏のうりに浮うかんでくる。浅瀬あさせを水みずを蹴けりたてて走はしる馬うま、浅瀬あさせを水みずを蹴けりたてて走はしる女おんな。当然とうぜん、その違ちがいが面白おもしろいのだが。馬うまの映画えいがであり、女おんなの映画えいがでもある。
海うみも川かわも雨うも自然しぜんの水みずの映像えいぞうがすばらしいうえに、教会きょうかい前まえの聖水せいすいであいさつしたり、倒たおれた男おとこに何なん度ども水みずをかけたりなど人工じんこう的てきな水みずの扱あつかいもすばらしい。
この作品さくひんを見みると、蓮實はすみ重彦しげひこのいう「ジョン・フォード作品さくひんと「投なげること」」の意味いみがよくわかる。それほど、いろんものが投なげられている。