ハンニバル（1960）

解説かいせつ

第だい2ポエニ戦役せんえきを背景はいけいに、カルタゴの半生はんせいを描えがいたスペクタクル史劇しげき。イタリア出来できのアメリカ映画えいがである。イタリアの作家さっかオッタビオ・ポッジの原作げんさくをモーティマー・ブラウスが脚色きゃくしょくし、「カーネギーホール」などのエドガー・Ｇ・ウルマーが監督かんとくした。撮影さつえいはＲ・マシオキ。音楽おんがくは「旅路たびじはるか」のカルロ・ルスティケリが担当たんとう。出演しゅつえんは「ビッグ・サーカス」のビクター・マチュア、「大だい襲撃しゅうげき(1957)」のリタ・ガムのほか、ガブリエレ・フェルッゼティ、ミリ・ヴィターレら。製作せいさくは前記ぜんきのオッタビオ・ポッジ。

1960年ねん製作せいさく／103分ふん／アメリカ
原題げんだいまたは英えい題だい：Hannibal
配給はいきゅう：ワーナー・ブラザース
劇場げきじょう公開こうかい日び：1960年ねん9月がつ23日にち

ストーリー

紀元前きげんぜん219年ねん。26歳さいの若わかさで全ぜん軍ぐんの指揮しき官かんとなったカルタゴの将軍しょうぐんハンニバル（ヴィクター・マチュア）は、ローマ攻略こうりゃくをめざして象ぞう軍ぐんを先頭せんとうにアルプス越こえを敢行かんこうした。その進軍しんぐん中ちゅうに、彼かれはローマの元老げんろう院いんファビアス・マシマスの姪めいシルビア（リタ・ガム）を捕虜ほりょにした。しかし彼かれは強力きょうりょくな軍隊ぐんたいを見みたシルビアが、味方みかたに報告ほうこくすれば相手あいてが恐おそれるだろうと見越みこし、彼女かのじょをすぐ釈放しゃくほうした。彼かれの計算けいさんを寛大かんだいさと思おもい違ちがえたシルビアは、やがてこの勇敢ゆうかんな将軍しょうぐんを愛あいするようになった。トレビア河畔かはんの戦闘せんとうでハンニバルは勝利しょうりをえた。心しんの落おち着つきとともにハンニバルはシルビアとの再会さいかいを願ねがうようになった。そして使つかいを出だし、ローマを攻撃こうげきすることを告つげさした。しかし祖国そこくへの愛あいに負まけたシルビアは、彼女かのじょの叔父おじにすべてを打うち明あけた。叔父おじは姪めいをマシマス家かの恥はじと叱しかりつけた。叔父おじの言葉ことばが身みにしみはしたものの、やはりハンニバルを忘わすれることができなかったシルビアは彼かれが指定していした再会さいかいの場所ばしょへ出でかけた。しかしシルビアの後のちを追おったローマ軍ぐんに奇襲きしゅうされ、ハンニバルは難なんをさけたがシルビアはローマに連つれ戻もどされ、罰ばちとして寺院じいんに監禁かんきんされた。しかしハンニバルへの誤解ごかいをとくためにもと、厳きびしい監視かんしの目めをくぐってハンニバルの元もとへ走はしった。この彼女かのじょの愛あいを目めの前まえに見みたハンニバルは、ローマをすぐ攻撃こうげきしようという弟おとうとのハスドルバルに反対はんたいした。再ふたたび休戦きゅうせん状態じょうたいが破やぶれ、カンネーで大だい激戦げきせんが展開てんかいされ、カルタゴ軍ぐんも兵力へいりょくが不足ふそくした。そこでハンニバルは弟おとうとに本国ほんごくへ援軍えんぐんを呼よぶように命めいじた。その頃ころ、突然とつぜんハンニバルの妻つまがやって来きた。困惑こんわくしたシルビアはハンニバルの元もとから逃にげ出だした。彼かれはその後ごを追おったが、ローマ軍ぐんに阻はばまれた。ローマへ帰かえったシルビアは反逆はんぎゃく者しゃとして死刑しけいを宣告せんこくされた。ハンニバルは心しんの傷きず手しゅを押おさえ戦たたかった。が、ハスドルバルが率ひきいてきた援軍えんぐんはメタウルス河畔かはんで全滅ぜんめつし、弟おとうとの生首なまくびが彼かれの陣地じんちに投なげ込こまれた。ハンニバルはブルッチウムの陣地じんちをたもつのみとなり、そのローマ攻略こうりゃくの夢ゆめは終おわりを告つげた。