ラインの監視かんし

解説かいせつ

この映画えいがの原作げんさくは、「小しょう狐きつねたち」「この三さん人にん」などの舞台劇ぶたいげきを書かいたアメリカの女流じょりゅう劇げき作家さっかリリアン・ヘルマンの作さくで、1941年ねんの春はるのシーズンにブロードウエイで上演じょうえんされた。ウォーナー・ブラザースのハル・Ｂ・ウォリスはこれを映画えいが化かするに当あたって、まずこの劇げきの受胎じゅたい監督かんとくに当あたったハーマン・シュムリンをブロードウエイから引ひっぱった。（シュムリンは「グランド・ホテル」「小しょう狐きつねたち」「小麦こむぎは緑みどり」などの演出えんしゅつ家かである。）更さらに舞台ぶたいで主役しゅやくを演えんじたポール・ルーカスを引ひっぱった。その他た、ファニィ・ファレリィ役やくルシイ・ロトスン、悪役あくやくブランコヴイス伯爵はくしゃくのジョージ・コーロリス、子役こやくのエリック・ロバーツまで舞台ぶたいから引ひっぱって来きて、ダシール・ハメットの脚色きゃくしょくの外そとに追加ついか台詞せりふを原作げんさくのリリアン・ヘルマンに書かかせている。だからほとんど舞台劇ぶたいげきを映画えいがに再現さいげんしたとも云いわれよう。ただし相手あいて役やくは舞台ぶたいの場合ばあいと違ちがって、ベティ・デイヴィスであるが、彼女かのじょはヘルマン女史じょしの「小しょう狐きつねたち」を映画えいが化かした時ときも主役しゅやくで出演しゅつえんした。撮影さつえいはメリット・Ｂ・ガースタッドとハル・モーアである。

1943年ねん製作せいさく／アメリカ
原題げんだいまたは英えい題だい：Watch on the Rhine
配給はいきゅう：セントラル・フィルム・エキスチェンジ
劇場げきじょう公開こうかい日び：1946年ねん3月がつ28日にち

ストーリー

ワシントンの郊外こうがいにある旧家きゅうか、ファレリィ家かでは、18年ねん振ふりで娘むすめのサラが欧州おうしゅうから帰国きこくするというので、女おんな主人しゅじんのファニィ・ファレリィはその準備じゅんびに忙殺ぼうさつされている。サラはそこへ欧州おうしゅうで結婚けっこんしたドイツ人じんと夫おっとと3人にんの子供こどもを伴ともなって帰かえって来きた。ファニィはサラ一家いっかがアメリカに永住えいじゅうできるようにとサラの夫おっとクルトのために就職しゅうしょくの心配しんぱいなどもして待まっていたのだが、クルトは半生はんせいを反はんナチ運動うんどうにささげた闘士とうしであって、南米なんべいの同志どうしから運動うんどう資金しきんを集あつめるついでに、永ながい闘争とうそうに傷きずついた体からだをしばらく休やすめようとサラの実家じっかを訪おとずれたのであった。ルーマニアの貴族きぞくブランコヴィス伯爵はくしゃくとアメリカ人じんのその妻つまとは、やはりファレリィ家かに先客せんきゃくとして滞在たいざいしていた。伯爵はくしゃくは財政ざいせい的てきに相当そうとう窮乏きゅうぼうしている模様もようで、しきりとワシントンのドイツ大使館たいしかんに出入でいりをしているが、クルトが反はんナチ運動うんどうの指導しどう者しゃであることをかぎつけると、彼かれの所在しょざいをドイツ大使館たいしかんへ売うりつけようとする。ドイツ大使館たいしかんではアメリカ国内こくないではクルトに手出てだしは出来できぬからと云ゆってこの取とり引ひきを拒絶きょぜつする。しかし突然とつぜん大切たいせつな同志どうしが本国ほんごくで捕縛ほばくされたことを知しったクルトは、伯爵はくしゃくの陰謀いんぼうを知しりつつも危険きけんなドイツへ同志どうし救出きゅうしゅつに帰かえらなければならなくなった。彼かれは目的もくてき貫徹かんてつのため伯爵はくしゃくを殺害さつがいし、再ふたたび会あうことの出来できぬであろう妻つまや子供こどもたちをファレリィ老ろう夫人ふじんの好意こういに托たくして欧州おうしゅうへ出発しゅっぱつするのであった。

受賞じゅしょう歴れき