セラヴィ！

「最強さいきょうのふたり」の監督かんとくコンビによる、結婚式けっこんしきを舞台ぶたいにしたシニカルなコメディ。結婚式けっこんしきはわりとお国柄くにがらが見みえる舞台ぶたいなので、それが舞台ぶたいなだけで結構けっこう面白おもしろい。

この映画えいがではフランスの、いわゆるブルジョワ階級かいきゅうの結婚式けっこんしきを描えがいている。主役しゅやくはベテランウェディングプランナー、どこかのお城しろを借かり切きって夜通よどおし式しきを行おこなうという豪華ごうかなもの。その結婚式けっこんしきのために集あつめられた連中れんちゅうがどいつこいつもクセのある奴やつばかりで、式しきがむちゃくちゃになっていくというお話はなし。

いかにも鼻持はなもちならない金持かねもち風情ふぜいな新郎しんろう、働はたらいているのは多種たしゅ多様たような人種じんしゅで移民いみんも混まじっている。テーマとして前面ぜんめんに押おし出だしてはいないが、今いまのフランス社会しゃかいがそこには垣間見かいまみえる。

監督かんとくは結婚式けっこんしきを題材だいざいにした理由りゆうを、金持かねもちも貧乏人びんぼうにんも一堂いちどうに会かいする社会しゃかいの縮図しゅくずだからと語かたっている。映画えいがが描えがく抱腹絶倒ほうふくぜっとうの笑わらいには社会しゃかいに対たいする皮肉ひにくもたっぷり込こめられている。

「最強さいきょうのふたり」「サンバ」のエリック・トレダノ＋オリビエ・ナカシュ監督かんとく（兼けん脚本きゃくほん）による3作さく目め。移民いみん問題もんだいや所得しょとく格差かくさなどさまざまな社会しゃかい問題もんだいや差別さべつを題材だいざいに風刺ふうしコメディを組くみ立たてる手腕しゅわんは健在けんざい。

ただ前ぜん2作さくは主演しゅえんオマール・シーの明あかるいキャラが魅力みりょくの一部いちぶになっていたが、本ほん作さくでジャン＝ピエール・バクリ演えんじるマックスは公私こうしでストレスを抱かかえ苦虫にがむしを噛かみ潰つぶしたような表情ひょうじょうが長ながい。スタッフの勝手かってな振ふる舞まいや雑ざつな仕事しごとでてんてこ舞まいするのには同情どうじょうするが、部下ぶかの女性じょせいと不倫ふりんしている点てんが今こん一ひとつ共感きょうかんできないのは日本人にっぽんじん的てきな倫理りんり観かんのせいか…。

シニカルなジョーク、おバカな笑わらいが散発さんぱつ的てきに続つづくが、気球ききゅうを使つかった新郎しんろうのパフォーマンスの顛末てんまつには爆笑ばくしょう。また、イスラエル出身しゅっしんのジャズベーシスト、アビシャイ・コーエンによるBGMが効果こうか的てきに響ひびき、終盤しゅうばんのセッション場面ばめんでの劇げき中ちゅう曲きょくも絶品ぜっぴん。映画えいが音楽おんがく担当たんとうは初はじめてだそうで、今後こんご引ひっ張ぱりだこになりそう。