フィンチのレビュー・感想かんそう・評価ひょうか

想像そうぞう通どおりの展開てんかい。
何なにも響ひびかない。

まあまあだったかなと思おもいます。6歳さい以上いじょうの子供こどもにもギリギリ見みせられるくらい安全あんぜんで普通ふつうで正ただしい物語ものがたり。
ロボットがもう翌日よくじつくらいからいきなりめっちゃロボットぽくない動うごきになるんですよね。
歩あるくことから覚おぼえ始はじめたほどのめちゃロボットだったのがいきなり、ああ、これ俳優はいゆうさんが顔かおにピンボールたくさんつけて演技えんぎしているのをビジュアルエフェクトでロボットを合成ごうせいしたのね、とゴリゴリ感かんじるほど、人間にんげんらしい動うごきになっちゃうところがなんか丁寧ていねいじゃねーなっつう。
一番いちばんモヤっとしたのが、トムはんがロイボットに、「生うまれてから数日すうじつしか経たっていないのはわかるんだけど、もっとはやく学習がくしゅうしろや！！怒いか」っていうシーンね。アメリカ人じんの傲慢ごうまんなところね。人ひとを使つかう側がわの人達ひとたちって感かんじだなあって。
などモヤモヤしてしまったのは、私わたしの体調たいちょうがたまたま悪わるかっただけなのかもしれません。隣となりでいっしょに見みていた夫おっとは、お涙なみだ頂戴ちょうだいsceneでクスンクスン泣ないていたんですから。

トムハンクスの作品さくひんは久ひさしぶり

荒廃こうはいした地球ちきゅう上じょうでなんとか生いきているフィンチ
大気たいきの異常いじょうと太陽たいようフレアの影響えいきょうにより昼間ひるまの外出がいしゅつは防護ぼうご服ふくを着きていないと活動かつどうできない状態じょうたい

生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんどころか食料しょくりょうも手てに入いれられないような状況じょうきょう

そんな中なか、元々もともとロボット技師ぎしのフィンチは愛犬あいけんと愛犬あいけん的てきなロボット、そして新あらたに人ひと型がたロボットの製作せいさくに取とり組くんでいた

そんななか、複数ふくすうの竜巻たつまきが迫せまってくる

このままでは今いまいるこの場所ばしょも危あぶない

フィンチは人ひと型がたロボットの製作せいさくを急いそぎ、何なにとか完成かんせいさせ
ロボット達たちと共ともに西にしのサンフランシスコを目指めざす

西にしを目指めざしていくなかで、少すこしずつフィンチの過去かこやフィンチが何故なぜ西にしを目指めざすのか
そして、人ひと型がたロボット(ジェフ)が成長せいちょうしてゆく様子ようすが描えがかれています

ストーリー的てきにはデンゼルワシントンの『ザ・ウォーカー』に通つうじるような流ながれを感かんじました
そういえば、同おなじく"西にしのサンフランシスコ"を目指めざしてたなぁ…

こういう近きん未来みらいの設定せってい・雰囲気ふんいき・ストーリー、好すきです

ジャンルで括くくればいわゆるディストピアものながら、人間にんげんと犬いぬ、そしてロボットによる疑似ぎじ家族かぞくのロードムービー。生身なまみの人間にんげんとして登場とうじょうするのは主人公しゅじんこうフィンチぐらいしかいないが、ある意味いみで人間にんげん以上いじょうに人間にんげん臭くさいのが、人ひと型がたロボットのジェフだ。知識ちしきこそ豊富ほうふだが、会話かいわの仕方しかたや歩あるき方かたは分わからない。何なん度ども失敗しっぱいを繰くり返かえし、人間にんげんのように幼児ようじから青年せいねんへと成長せいちょうしていく。
終盤しゅうばんでフィンチは、「想像そうぞう力りょくだけでなく、経験けいけんも大切たいせつだ」と語かたる。たくさん経験けいけんして学まなんだ者もの達たちが共存きょうぞんする事ことで、世界せかいは成なり立たつ。本ほん作さくを観みた数日すうじつ後ごにロシアがウクライナ侵攻しんこうをしたが、プーチンは過去かこの戦史せんしを教訓きょうくんに出来できなかったのだろうか。
それにしてもフィンチ役やくのトム・ハンクスは、これまでにも無人島むじんとうでの生活せいかつを強しいられたり（『キャスト・アウェイ』）、パスポート無効むこうによりJFK空港くうこうから出でられなくなったり（『ターミナル』）と、限定げんてい空間くうかんで孤独こどくになる男おとこばかり演えんじているイメージ。そういえば『ハドソン川がわの奇跡きせき』では、「緊急きんきゅう事態じたいの対処たいしょは、計算けいさんや確かく率りつではなく経験けいけんがモノを言いう」事ことを実践じっせんする機長きちょうを演えんじていたっけ。
他たのディストピアものよりは地味じみな出来できだけど、こういった作品さくひんもあったっていいじゃない。

※AppleTVオリジナル作品さくひん。

明日あしたを信しんじてみたくなる。

人間にんげんとAIを分わけ隔へだてる最もっとも大おおきなものは何なにだろうか。

「2001年ねん宇宙うちゅうの旅たび」を初はじめて観みた時とき、探究たんきゅう心しんに囚とらわれ周まわりが見みえなくなってしまう人間にんげんと、神かみを恐おそれ、人間にんげんの起源きげんに迫せまろうとする人々ひとびとに警鐘けいしょうを鳴ならそうとするAIコンピュータのHALの逆説ぎゃくせつ的てきな表現ひょうげんに驚おどろいたことを思おもい出だした。

そして、その逆説ぎゃくせつ的てきな表現ひょうげんの中なかで、人間にんげんとAIを隔へだてるのは想像そうぞう力りょくではないのかと考かんがえたりした。

しかし、この作品さくひんは、更さらに、人間にんげんらしくあるために、補完ほかん的てきにもう一ひとつの解かいが付つけ加くわえられている。

（以下いかネタバレ）

この作品さくひんでも、もっとも人間にんげんらしいのはAIロボットのジェフだ。

生うまれ、無邪気むじゃきに振ふる舞まい、教おしえられ、自みずからも学まなび、そして、自みずから行動こうどうもするようになる。

しかし、失敗しっぱいも多おおくあり、取とり返かえしのつかないデューイの喪失そうしつや、なかなか上手うまくいかない犬いぬのグッドイヤーとのコミュニケーションを経へて、ジェフは成長せいちょうしていく。

この「フィンチ」という作品さくひんは、太陽たいようフレアによって生命せいめいがほとんどいなくなってしまった世界せかいを舞台ぶたいとし、一義的いちぎてきに人々ひとびとに環境かんきょう問題もんだいを考かんがえさせるのだが、人間にんげんは、現在げんざいのこの世界せかいを良よい方向ほうこうに、まだ再さい構築こうちくできると伝つたえたいのではないかと思おもうのだ。

フィンチが物語ものがたりの終盤しゅうばんで、想像そうぞう力りょくだけではダメだ。経験けいけんも大切たいせつだと言いう。

AIについては、様々さまざまな議論ぎろんがなされているが、この作品さくひんは、効率こうりつ性せいだけを優先ゆうせんさせてはダメだと言いいたいのだ。

そして、人間にんげんが経験けいけんに基もとづいて培つちかってきた知恵ちえや人間にんげん性せい、自然しぜんとの共生きょうせいをもってして初はじめて、世界せかいは成なり立たつのだと…。

これは、生うまれてからフィンチが逝ゆくまでのジェフの旅たびの軌跡きせきだ。

フィンチが逝いって、ジェフが悲かなしみに暮くれる場面ばめんは、胸むねが熱あつくなる。

だが、実じつは、それで終おわりではない。

更さらに、そこから動うごき出だすのだ。

絶滅ぜつめつしていたと思おもっていた蝶ちょう。
地球ちきゅうも自みずから回復かいふくに向むかい、まだ、手遅ておくれにはなっていなかった。

そして、生存せいぞんし続つづけることだけが希望きぼうではない。
出会であいを希求ききゅうする人間にんげん性せいの回復かいふくも希望きぼうなのだ。

多層たそう的てきで良質りょうしつなSF作品さくひんだと思おもう。

ジェフが言いった‘美うつくしい橋はし‘と。
橋はしを美うつくしいと思おもい、グッドイヤーを可愛かわいく思おもい、
フィンチを偲しのぶ。
人ひとより人ひとらしい。

なんとも悲かなしいくらいつまらなかった。
ドキドキハラハラしたのは、最初さいしょの砂嵐すなあらしくらい。
犬いぬは可愛かわいい。
けれど、
フィンチにも感情かんじょう移入いにゅうできないし、
外敵がいてきがいないからハラハラはないし、
女性じょせいいないから、エロスのドキドキもないし、
友情ゆうじょうといえるものもないし、
回想かいそうには臨場りんじょう感かんじないし、
ただただ何なにもない
何なにも起おこらない
つまらない

要ようするに観客かんきゃくをよろこばす「仕掛しかけ」が無ない

トムハンクス+ロボット+犬いぬ+荒廃こうはいした世界せかいと好すきな要素ようそ満載まんさいでも何なにも起おきなければ面白おもしろくない。全体ぜんたい的てきな雰囲気ふんいきや映像えいぞう、キャラクターは好こう印象いんしょうなだけに平坦へいたんなストーリーが残念ざんねん。

特とくに何なにも無ない話はなしで何なにが起おこる訳わけでもないけど
ジェフは好すきですわ。
今いまの時代じだいだから出来できるCGを普通ふつうに使つかって
おそらく制作せいさく費ひが最小限さいしょうげんに出来できた作品さくひんと思おもわれる。

ありきたりのストーリーで新あたらしさがない。こんなのを量産りょうさんしてどうするのかしらね。