鬼おにが笑わらう

タイトルについて考かんがえさせられる。
おそらく鬼おにとは主人公しゅじんこう石川いしかわカズマの母ははのことだと思おもう。
すべてをカズマが悪わるいからだと決きめ込こみ、その自分じぶんに憑りついた邪悪じゃあくを取とり払はらうためにカルトに入信にゅうしんした。最後さいごにカズマがアパートを訪おとずれると、3人にんで仲良なかよく肉にくじゃがを食たべていた。
その時ときの母ははの笑顔えがおが実じつに印象いんしょう的てきだ。
石川いしかわ一家かずやの元凶げんきょうは父ちちだ。
パチンコ狂ぐるいのDV　現状げんじょうの悪わるいことすべてを妻つまの所為しょいにしている。
当時とうじ母ははは必死ひっしで子供こどもたちを庇かばっていた。是ぜが非ひでも夫おっとが子供こどもたちに暴力ぼうりょくを振ふるうことは許ゆるさなかった。
妹いもうとのまどかは父ちちのDVに堪こたえられなくなり母ははを助すけようとするが、一蹴いっしゅうされてしまい家いえを出でるとちょうど兄あにが帰宅きたくしたことで兄あにに助たすけを求もとめた。
カズマもすでに我慢がまんの限界げんかいに達たっしていた。
金属きんぞくバットで父ちちの頭あたまを何なん度ども殴なぐって死亡しぼうさせた。
さて、
カズマはなぜ母ははからあんなにも疎うとまれなければならないのだろう？
仕事しごとから帰かえり、作つくった肉にくじゃがの皿さらをひっくり返かえす行為こういは、恵方えほう巻まきを家族かぞくで食たべていた時ときの父ちちの行為こういと同おなじだ。
「私わたしがこんなに苦くるしいのは全部ぜんぶアンタの所為しょい」
この言葉ことばも父ちちと同おなじ。
カルトの入信にゅうしん者しゃ営業えいぎょうをやめさせようとするカズマに「鬼子おにご」と痛烈つうれつな言葉ことばを浴あびせかける。
この瞬間しゅんかん、タイトルの鬼おにとは母ははのことを指さしているのがわかる。
事件じけんが起おき、世間体せけんていや嫌いやがらせを想像そうぞうすることはできる。
でも引ひっ越こしもせずその毎日まいにちの嫌いやがらせに応おうじていたのはなぜだろう？
妹いもうとは良縁りょうえんに恵めぐまれ幸しあわせな家庭かていを築きずいた。
しかし彼女かのじょもまた「私わたしの人生じんせいに関かかわらないで」と兄あにを退しりぞけた。
「全部ぜんぶあなたのエゴなの　なんで私わたしを巻まき込こむの？　どんな思おもいで今いままで生いきてきたかわかる？　誰だれの所為しょい？　もう辛つらいのは嫌いや　あんな思おもいは嫌いや」
妹いもうとは少すこし兄けいに対たいする思おもいやりを残のこしているものの、許ゆるせない気持きもちの方ほうが強つよい。
まどかにとって「いい人じん」が現あらわれた時とき、事情じじょうをすべて打うち明あけたのだろう。
同時どうじに廃人はいじんの様ようになっている母ははを見捨みすてたのだ。
もちろん結婚式けっこんしきにも呼よんでない。
兄あにには連絡れんらくをしたのだろう。
まどかは石川いしかわ家かを捨すてた身分みぶんだ。
さて、
カズマは家族かぞくを守まもりたかった。
でも失うしなわれた絆きずなはもうどうにもならない。それをまどかによって痛烈つうれつに教おしえられた。
リュウは誤あやまって社長しゃちょうの首くびを何なにかで切きり死亡しぼうさせた。
彼かれの祖国そこくの話はなしを何なん度ども聞きいていたカズマは、彼かれの「殺ころしてくれ」という依頼いらいにこたえる。
この時ときカズマは2度目どめの鬼おにになったと、自分じぶん自身じしん思おもったに違ちがいない。
社長しゃちょうの葬儀そうぎをめちゃくちゃにして、その足あしで母ははのアパートに行いった。
最後さいごにもう一度いちど母ははの目めを覚さまさせたいと思おもった。
しかしそこにはカルト二に人にんと一緒いっしょに楽たのしそうに笑わらいながら肉にくじゃがを食たべている母ははを見みた。
一瞬いっしゅん、殺気さっきが走はしる。
しかしそのままいつか家族かぞく3人にんで海水浴かいすいよくに出掛でかけた浜辺はまべに行いく。
カズマは職場しょくばで「殺人鬼さつじんきちゃん」と呼よばれていたこと、母ははの言いった「鬼子おにご」という言葉ことば　まどかにまで「私わたしの人生じんせいにもう関かかわらないで」といわれたことなどが頭あたまに浮うかんでいたのだろう。
自分じぶん自身じしんの忌々いまいましい人生じんせいにケリをつけるため割腹かっぷくした。
しかし、
この作品さくひんは何なにだろう？
どうしてもカズマがしてしまったこととその後ごの石川いしかわ家かに対たいするバッシングがあったにせよ、二人ふたりともすべてをカズマの所為しょいにした理由りゆうがまったく理解りかいできないし共感きょうかんできない。
この部分ぶぶんが描えがき切きれてない。通常つうじょう絶対ぜったいそうはならない。ならない理由りゆうを描えがいてほしかった。
また、高校生こうこうせいのカズマが取とった窮地きゅうちから脱出だっしゅつする最後さいごの方法ほうほうがどれだけ間違まちがっていたとしても、刑罰けいばつを受うけ世間せけんから疎うとまれながらも社会しゃかい復帰ふっきし、家族かぞくの絆きずなを取とり戻もどそうとするのはそんなに間違まちがったことなのだろうか？
カズマが心しんのよりどころにしてきた母ははとまどか　二人ふたりの思おもいはどこまで行いっても交まじわることのないほど開ひらき切きってしまっている。
それに加くわえて仕事しごと上じょうの問題もんだいと仲間なかまの苦悩くのう。
最後さいごはどうしようもなくなってしまう。
この作品さくひんを撮とるのであれば、「セヴン」のように、カズマに考かんがえる余裕よゆうを与あたえないようなスピード感かんが欲ほしい。
考かんがえさせると視聴しちょう者しゃも一緒いっしょに考かんがえることで違和感いわかんが払拭ふっしょくできなくなるのだろう。
また、どこまでさかのぼっても「悪魔あくまの法則ほうそく」のように、いつの時点じてんでの選択せんたくだったのかを考かんがえさせるようでなければ面白おもしろくないと思おもう。
作つくり手しゅの方々かたがた申もうし訳わけございません。完全かんぜんに私わたしの主観しゅかんです。

2回かいに分わけてみてしまいました。
父親ちちおやの狂くるった暴言ぼうげんと暴力ぼうりょくがひどすぎて、一度いちど休憩きゅうけいはさみ、翌日よくじつ続つづきを観みました。

悲かなしい末路まつろでした。
母親ははおやが父親ちちおやから逃にげてたらこんなことにならなかったとしかいいようがない家族かぞくの崩壊ほうかい。

崩壊ほうかいしてもいいけど、逃にげようよ、誰だれか「逃にげる」ことを教おしえてあげてほしかった。

更生こうせい施設しせつの職員しょくいん、あの腐くさった態度たいど、現実げんじつですか？

私わたしが殺意さつい湧わきました。

妹いもうとからボロクソに吐はかれ、妹いもうとは泣なきながら謝あやまる、しかし、離はなれてくれと、そこは、理由りゆうはどうであれ、殺人さつじん者しゃの家族かぞくがいわれもしない酷ひどい年数ねんすうあゆむしかなかったのは、理解りかいできます。

人殺ひとごろし、人殺ひとごろしと、言いわれても無抵抗むていこうで、そうなるしかないのか。

あまりに、あまりな、短みじかい人生じんせいで、ラストは母親ははおやを殺あやめるかとおもいきや、自分じぶんに刃はをむけた。

母親ははおやが父親ちちおやから子供こどもを連つれて逃にげたらこんなことにはならなかったのに。

岡田おかだの演技えんぎはうまかった。

半田はんだ周平しゅうへい、今後こんごの活躍かつやくに期待きたいです。

家族かぞくを守まもり殺人さつじんを犯おかした者もの、それによって人生じんせいが一変いっぺんした家族かぞく、外国がいこく人じん労働ろうどう者しゃとその雇用こよう者しゃ、更生こうせい施設しせつの職員しょくいん、新興しんこう宗教しゅうきょう信者しんじゃなど、実じつにさまざまな立場たちばの人間にんげんが描えがかれており、見みる角度かくどによってほぼ全員ぜんいんの中なかに正義せいぎもあり悪あくもあるようになっています。
今いまの日本にっぽんでは正義せいぎがあり、ルールがあり、悪者わるものがいて、処罰しょばつされる、という図式ずしきがあまりに単純たんじゅん化かされているというか、社会しゃかいが単純たんじゅん化かを目指めざし過すぎていると思おもうのですが、そんな中なかにあって、それぞれに少すこしずつ正義せいぎも悪あくもあるし、そもそもどちらも無ないのかもしれない、というような作品さくひんはとても貴重きちょうだと思おもいます。
普段ふだんからネットやテレビのわかりやすい断罪だんざいに慣なれ親したしんでいる人ひとにこそ、是非ぜひ「これは〇〇が悪わるい」と断罪だんざいせずに見みてほしいです。

2022年ねん劇場げきじょう鑑賞かんしょう46本ほん目め　佳作かさく　57点てん

当とうサイトにてポスターと予告よこくを拝見はいけんし鑑賞かんしょうしたミニシアター映画えいが。

雰囲気ふんいきは頑張がんばっていたけど、、、って感かんじでした。

もっと絶望ぜつぼう感かんが伝つたわる演出えんしゅつや脚本きゃくほんがあった方ほうが終おわり方かたといい、より締しまった作品さくひんになったのにどこか終始しゅうしふわふわしていた印象いんしょうでした。

登場とうじょう人物じんぶつ各々おのおの厳きびしい状況じょうきょうにいて、その中なかで希望きぼうを見出みいだして生いきている様ようには失望しつぼう感かんが苛さいなまれました。

次回じかい作さくに期待きたいです。