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M3GAN ミーガン : 映画評論・批評 - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2023ねん6がつ9にち

  • 予告編よこくへん

M3GAN ミーガン : 映画えいが評論ひょうろん批評ひひょう

2023ねん6がつ6にち更新こうしん

2023ねん6がつ9にちよりTOHOシネマズ日比谷ひびやほかにてロードショー

不気味ぶきみたに”をえて、狂気きょうきとブラックユーモアをまきちらすAI人形にんぎょう暴走ぼうそうげき

人形にんぎょうをモチーフにしたホラー映画えいがといえば、だれもが「チャイルド・プレイ」(1988)をおもかべるだろう。殺人鬼さつじんき怨霊おんりょう憑依ひょういした凶悪きょうあく人形にんぎょうチャッキーが絶大ぜつだい人気にんきはくしただいヒットさく。ところが2019ねんのリメイクばんでは人工じんこう知能ちのう搭載とうさい人形にんぎょう登場とうじょうし、従来じゅうらいのオカルト映画えいがから“テクノ・ホラー”へと変貌へんぼうした。その半面はんめん子供こども玩具おもちゃ人形にんぎょう残忍ざんにんあばまわるというギャップを強調きょうちょうした恐怖きょうふ描写びょうしゃはオリジナルばん踏襲とうしゅうしており、「設定せってい今風いまふうえただけ」のかんいなめなかった。

そのてん、ブラムハウス・プロダクションズとジェームズ・ワン強力きょうりょくタッグによるほんさく趣向しゅこうらしかたは、ひとあじもふたあじちがう。玩具おもちゃメーカーの開発かいはつしゃであるキャリアウーマンのジェマが、交通こうつう事故じこ両親りょうしんくしためいケイディをなぐさめるためにあてがったM3GAN(ミーガン)は、最先端さいせんたんのAIを搭載とうさいした少女しょうじょがたアンドロイド。かなしみにれるケイディのあそ相手あいてにも相談そうだん相手あいてにもなってくれるまされものだ。

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そのルックスはごらんとおり、正統せいとうのブロンド美少女びしょうじょなのだが、あまりにもリアルな風貌ふうぼうゆえに、わたしたち観客かんきゃく親近しんきんかんあいらしさよりも不安ふあん違和感いわかんおぼえる一線いっせん、すなわち“不気味ぶきみたに”をえてしまっている。そんなミーガンの特異とくいなたたずまいや神出鬼没しんしゅつきぼつぶりからしてゾッとさせられるのだが、アニマトロニクス、デジタル効果こうか特殊とくしゅメイクを総動員そうどういんしたほんさくは、ひとみまゆといったパーツの繊細せんさいうごきでAI人形にんぎょう狂気きょうきにもた“感情かんじょう”を表現ひょうげん。さらに生身なまみ子役こやく演技えんぎれ、ロボットらしさと人間にんげんっぽさが絶妙ぜつみょうじりった所作しょさ映像えいぞう実現じつげんさせた。

やがてケイディをあらゆる脅威きょういから“まもる”プログラムをまれたミーガンは、外敵がいてきへの攻撃こうげき態勢たいせいはいると、ししのような四足しそく歩行ほこうかいなダンスなど予測よそく不能ふのうのアクションを連発れんぱつ。サプライズとブラックユーモアが満載まんさいされ、これほど一挙手一投足いっきょしゅいっとうそく釘付くぎづけになるホラー・キャラクターは近年きんねんまれではあるまいか。しかも人間にんげんかいのデータを日々ひび収集しゅうしゅうしてアップグレードしていくミーガンは、つからずで罪悪ざいあくかんすらたないのだ!

クライマックスにけてミーガンの怪物かいぶつがエスカレートするストーリー展開てんかいなど、「マリグナント 凶暴きょうぼう悪夢あくむ」のアケラ・クーパーがけた脚本きゃくほんは、このジャンルの約束事やくそくごと忠実ちゅうじつ。そこに新興しんこう企業きぎょう開発かいはつ競争きょうそうや、テクノロジーに依存いぞんする現代げんだい世相せそう風刺ふうしした視点してんがタイムリーで、“テクノロジーの暴走ぼうそう”というふるくからあるテーマはもはやSFではないことを印象いんしょうづける。すでに2025ねん公開こうかい予定よてい続編ぞくへん「M3GAN 2.0」(原題げんだい)の製作せいさく発表はっぴょうみ。猛烈もうれついきおいで革新かくしんてき進化しんかげるAIが、人形にんぎょう姿すがたりて人類じんるい存亡そんぼう危機ききをもたらす、なんてはそうとおくなさそうだ。

高橋たかはしさとし

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