終戦75周年を迎えた2020年に発表された「太陽の子」は、NHKとELEVEN ARTS Studios(アメリカ)による日米合作作品として製作。原爆開発を背景に、時代に翻ろうされる若者たちの苦悩と青春を、事実を元に描いた感動の物語となっている。主演を柳楽優弥が務め、有村架純、7月18日に亡くなった三浦春馬さんが共演。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、映画「セカンドバージン」の黒崎博監督がメガホンをとり、音楽に「愛を読むひと」のニコ・マーリー、サウンドディレクターに「アリー スター誕生」のマット・ボウレス、声の出演で「ジョン・ウィック」のピーター・ストーメアが参加している。
戦況が激化し、最終局面を迎えた1944年。京大物理学研究室は「どの国よりも早く、原爆を作る」という依頼を受けていた。そこで研究に勤しむ実験好きの若き科学者・石村修(柳楽)と研究員たちは、託された国の未来のために情熱的に核エネルギーの研究を進め、その一方で、科学者として兵器開発をすすめるべきなのか葛藤する。そんななか、戦地から修の弟・裕之(三浦)が一時帰宅。兄弟が秘かに想いを寄せる朝倉世津(有村)も家を失い、幼なじみである修の家に住むこととなる。
入念な歴史考証を元に製作され、第2次大戦下の日本を熱く生きた若者たちの姿を丁寧に映し出す「太陽の子」。柳楽、有村、黒崎監督は、今回の発表に際して、以下のコメントを発表している。
柳楽「このお話をいただいた時、戦争というものを僕達の下の世代にも伝えなければいけないと強く感じました。私が演じた修は、研究に対する情熱を燃やしながら自分の行為に疑いを持ち、葛藤していきます。彼の問いを意識しながら、監督と毎日話し合い、自分たちの中での答えを探しながら演じさせていただきました。前回のドラマでは、断片的だった物語の続きが映画ではしっかりと描かれます。科学者の苦悩や葛藤も描かれています。当たり前だった日常や幸せを尊く思える今だからこそ、国内外多くの方にこの作品を見届けていただけたら嬉しいです」
有村「戦時中、どれだけの想いを抱えて皆様が生きておられたか、想像してもしても、計り知れません。人々が繋いできてくれた歴史に沿って、自分は生かされているんだと、私はこの作品に参加し改めて感じることができました。きっと当時も、今自分が見ている景色と同じように、太陽の光や緑豊かな木々、何もかも鮮明に映し出され感じ取っていたに違いないと思うと、生きてゆく日々が当たり前でないことを痛感しましたし、再び惨劇の場とならないよう願いたいと思います。是非、ご覧頂き、一緒に考えていけたら幸いです」
黒崎監督「若者たちは今その刹那に命を燃やして生きる。その先に何が待っているかは誰にも分かりようがなく、だからこそ命は尊い。この映画にはそんな人生の一瞬一瞬が刻まれています。日本映画界の第一線を担う俳優たちと、『科学と人間』という巨大なテーマにじっくり向き合った、ひと夏の『格闘の記録』をぜひご覧ください」
「太陽の子」には、イッセー尾形、山本晋也、國村隼、田中裕子も出演。21年に全国公開。