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不可逆過程 - EMANの熱力学
物理ぶつり解説かいせつ
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不可ふかぎゃく過程かてい

ねつ力学りきがくだい 2 法則ほうそく
作成さくせい:2004/8/6
更新こうしん:2023/11/26

経験けいけんそく

いちめてしまったお勝手かってあつくはならない」

たりまえおもうことかもれないが,これはねつについての重要じゅうよう経験けいけんそくである.なぜねつはいつも温度おんどたかほうからひくほうながれるのだろう.いや,すまないがこの理由りゆうすこまえわたし分子ぶんしせつ使つかって説明せつめいしてしまった.しかしねつ力学りきがく範囲はんいでは経験けいけんじょうそうなるとしかいようのないことである.よってそれ以上いじょう追求ついきゅうをあきらめ,これを原理げんりとしてそのうえ理論りろんつくげることにしよう.

しかし「お勝手かってあつくはならない」というのではどうも学問がくもんてきではない.もっと正確せいかく表現ひょうげん仕方しかたがあるはずだ.出来できればそこから本質ほんしつして数式すうしきあらわしたい.それこそが「ねつ力学りきがくだい 2 法則ほうそく」とばれるべきものである.

色々いろいろひと色々いろいろ時期じき色々いろいろ表現ひょうげんでこのことをいいあらわしているのだが,結局けっきょくどれもまったおな意味いみであることが証明しょうめいできる.たとえば「クラウジウスの原理げんり」と「トムソンの原理げんり」と「オストワルドの原理げんり」が有名ゆうめいである.


クラウジウスの原理げんり

 低温ていおん熱源ねつげんから高温こうおん熱源ねつげんせいねつうつ以外いがい,なん痕跡こんせきのこさないようにすることは出来できない.

なん,このかりにくい文章ぶんしょうなぞきがきなひとにはたのしいだろうが,テストまえあせって教科書きょうかしょ調しらべている学生がくせいにとってはめをすのに十分じゅうぶん威力いりょくがある.

簡単かんたんにいいなおせば,低温ていおんがわから高温こうおんがわねつうつせば,それだけではまず,かならなんらかの影響えいきょうのこる」ということか.ぎゃく高温こうおんがわから低温ていおんがわねつうつときについてはなにっていない.この場合ばあいについては影響えいきょうのこさないように出来できるということだ.つまり,勝手かってに(ねつ移動いどう以外いがい影響えいきょうのこさずに)えるが,そのぎゃく無理むりだとっているらしい.

ある変化へんかをさせたのち,それをなんらかの方法ほうほう,外界がいかいへの影響えいきょうふくめて完全かんぜんもと状態じょうたいもどすことが出来できとき,その変化へんかを「可逆かぎゃく過程かてい」と.それが出来できないとき,不可ふかぎゃく過程かてい」とばれる.つまり,どんな方法ほうほうをもってしても外界がいかいへの影響えいきょうふくめて,完全かんぜんにはもと状態じょうたいもどせなくなるような変化へんかのことを.

つまり,この原理げんりは「高温こうおん熱源ねつげんから低温ていおん熱源ねつげんせいねつうつ過程かてい不可ふかぎゃく過程かていである」となおすこともできる.


トムソンの原理げんり

にはどんな表現ひょうげんがあるのだろう.

 ひとつの熱源ねつげんからせいねつ,これをすべ仕事しごとえる以外いがい,なん痕跡こんせきのこさないようにすることは出来できない.

さっきよりかりにくくなっている.えーっとなにだってったねつすべ仕事しごと変換へんかんすると,ねつ仕事しごと変化へんかほかにもかなら影響えいきょうのこる」といたいのか.仕事しごとすべねつえるのは不可ふかぎゃく過程かていだ」とってもいいのかな.たしかに仕事しごとすべねつえることは出来でき.摩擦まさつねつ発生はっせいしながら物体ぶったい運動うんどうめるのがいいれい.しかしそのぎゃく出来できない.

いやちょっとまてきみいまなにかへん誤解ごかいをしているかもれない.注意ちゅういしておこう.影響えいきょうのこってもいいならすべてのねつ仕事しごとえることは可能かのうなのだ.たとえばシリンダーにはいった気体きたいをシリンダーごと高温こうおん部屋へやってってねっすれば,気体きたいふくらんでピストンはもらったねつぶん仕事しごとをする.しかしそれきりだ.体積たいせき膨張ぼうちょうするという影響えいきょうのこってしまって,このままではこれ以上いじょう動作どうさ継続けいぞくすることが出来できない.

よう修正しゅうせいすべてのねつ仕事しごとえる過程かてい」としてここでげているれいまったただしくない.それはこの過程かていを2段階だんかいけてかんがえればはっきりする.まずピストンを固定こていした状態じょうたいでシリンダーを高温こうおん部屋へやっていく.するとねつあたえられて内部ないぶ圧力あつりょくたかまる.ここまでがだい1段階だんかいである.こののちでピストンの固定こていはずすと膨張ぼうちょうによって外部がいぶへと仕事しごとをすることになるが,そのさい内部ないぶえるので外部がいぶからふたたねつあたえられることになる.これがだい2段階だんかいである.このだい2段階だんかい過程かていをシリンダー内部ないぶ温度おんど一定いっていたもちながらゆっくりおこなえば,外部がいぶおこな仕事しごと,外部がいぶからもらうねつりょうひとしい.なぜなら,温度おんど変化へんかがないがゆえに内部ないぶエネルギーは一定いっていのままだからである.つまり,もらったねつまったおなじだけの仕事しごと外部がいぶたいしてったとえるのは,このだい2段階だんかい等温とうおん過程かていだけだということになる.過程かてい前後ぜんごでシリンダー内部ないぶ圧力あつりょく体積たいせき変化へんかしてしまうので,影響えいきょうのこってしまったことになる.
とはうものの,これは元々もともとんでいた圧力あつりょくエネルギーを仕事しごととして外部がいぶ解放かいほうしたついでにおなじだけのねつをもらったとったほういくらいである.これを「すべてのねつ仕事しごとえた」と表現ひょうげんしてしまうのは詭弁きべんのようなもする.

この原理げんりねつ機関きかん動作どうさ意識いしきした表現ひょうげんになっているわけだ.

ちなみにこのトムソンの原理げんりは「ケルビンの原理げんり」ともばれることがある.トムソン非常ひじょう天才てんさいてきであって,学問がくもんうえでの功績こうせきみとめられて王室おうしつより knight の称号しょうごうあたえられた.(1866) それでかれのいた大学だいがく構内こうないながれていたかわ名前なまえって,ケルビンきょうばれるようになった.のちに baron の称号しょうごうあたえられている.(1892)  敬意けいいめて「ケルビンの原理げんり」とぶべきところだが,すでに「トムソンの原理げんり」として定着ていちゃくしているようなのでこちらを使つかった.絶対温度ぜったいおんど単位たんいのケルビンはかれ記念きねんするものである.


オストワルドの原理げんり

 だいしゅ永久えいきゅう機関きかん実現じつげん不可能ふかのうである.

この表現ひょうげんはシンプルだ.しかしだいしゅ永久えいきゅう機関きかんとはなにだろう正確せいかくうならば,ひとつの熱源ねつげんからせいねつ,これをすべ仕事しごとえる以外いがい,なん痕跡こんせきのこさないような機関きかん」のことである.つまり,証明しょうめいするまでもなくトムソンの原理げんりおなごとっているのだ.

べつにトムソンの原理げんりのパクリというわけではない.この説明せつめい現代げんだいだからこそ,こうやってまとまったかたちでできるのである.

だいしゅ永久えいきゅう機関きかんについてもうすこかりやすくえば,もらったねつすべ仕事しごとえつつももと状態じょうたいもど,かえかえ,継続けいぞく運転うんてんできるような機関きかんのことである.ねつすべ仕事しごとえるのだからねつてる必要ひつようがない.てい熱源ねつげん必要ひつようとしない機関きかんである.

たとえばうみうえとき,海水かいすいねつエネルギーを動力どうりょく,えた海水かいすいしながら前進ぜんしんするようなエンジンがあったらどんなにか素晴すばらしいだろう.エネルギー保存ほぞんそくにもはんしていないので問題もんだいなさそうではないか.

しかしこの原理げんり,そんなものは経験けいけんじょう,実現じつげん不可能ふかのうだとっているのである.

たまに「永久えいきゅう機関きかん発明はつめいした」とよろこんでいるひとあらわれる.じつはそのひと発明はつめいしたのではなく,設計せっけいいて出来できるとおもんでいるだけなのだが…….そのひとかって「それはねつ力学りきがくだい 2 法則ほうそくはんするのでうごきません」と一言ひとことだけ説明せつめいしてっぱねるひともまたかける.ところがその自称じしょう発明はつめいもある程度ていど勉強べんきょうしているようで,「それは経験けいけんそくぎないではないか」「わたし発明はつめいした機関きかんこそがその反例はんれいになるだろう」と主張しゅちょうする.まぁよくある光景こうけい.

だったらうごかしてみたらどうだろう.できるものならやってみるがいい.その発明はつめいつぎ統計とうけい力学りきがくまなんだほうがいいだろう.その機関きかんうごくのは理論りろんじょうありえないことではないが,かくりつからって,よっぽどの偶然ぐうぜんかさなりつづけないかぎ,めったにうごくものではないことが理解りかいできるようになるだろう.

しかし,なにとかうらをかいて実現じつげんできそうながするのもたしかであって,そういう発明はつめい同情どうじょうしないでもない.せめてもうすこしだけでいいから勉強べんきょうしてほしいものだ.


ふたつはおなじものである

クラウジウスの原理げんりとトムソンの原理げんりおなじものであることをかる証明しょうめいしておこう.

まずクラウジウスの原理げんり間違まちがっていると仮定かていする.するとねつ低温ていおんから高温こうおんへとなに痕跡こんせきのこさずに移動いどうできる方法ほうほうがあるわけだ.普通ふつうねつ機関きかんでは高温こうおんがわからったねつ一部いちぶ仕事しごとえて,のこりのねつ低温ていおんがわてることで動作どうさかえすわけだが,その不思議ふしぎ方法ほうほう使つかっててたねつ高温こうおんがわかえしてやればだいしゅ永久えいきゅう機関きかん出来できてしまう.よってトムソンの原理げんり間違まちがっていることになる.

さて,いま「A ならば B」の対偶たいぐうである「B でなければ A ではない」を証明しょうめいしたのである.つまりこれで「トムソンの原理げんりただしければクラウジウスの原理げんりただしい」ことがえたことになる.

つぎぎゃく証明しょうめいしよう.まずトムソンの原理げんり間違まちがっていると仮定かていする.するとねつをすべて仕事しごとつづける方法ほうほうなにかあるわけだ.低温ていおんがわでこの方法ほうほう使つかって,ねつ仕事しごと変換へんかんすれば,低温ていおんがわはもっと低温ていおんになる.その方法ほうほう仕事しごと高温こうおんがわ摩擦まさつなどによってすべねつもどそう.高温こうおんがわはさらにあつくなることだろう.全体ぜんたいとしてみれば,低温ていおんがわねつ高温こうおんがわなん痕跡こんせきのこさずに移動いどうさせたことになる.よってクラウジウスの原理げんり間違まちがっていることになる.

これで「クラウジウスの原理げんりただしければトムソンの原理げんりただしい」ことがえたことになる.よって,ふたつの原理げんり同値どうちであることがえる.簡単かんたんだろ


可逆かぎゃく過程かていじゅん静的せいてき過程かてい

うえ説明せつめいで「可逆かぎゃく過程かてい」という言葉ことばてきたので,ついでに面白おもしろいことを証明しょうめいしておこう.

前回ぜんかいてきたじゅん静的せいてき過程かていについてだが,これは可逆かぎゃく過程かていであり,ぎゃく可逆かぎゃく過程かていえばじゅん静的せいてき過程かていしかありえないというものである.つまり両者りょうしゃ定義ていぎこそちがうものの,おなじものだというのである.

まず「じゅん静的せいてき過程かていならば可逆かぎゃく過程かていである」という命題めいだいから.これは簡単かんたん.じゅん静的せいてき過程かてい前回ぜんかいえがいたような「状態じょうたいのグラフ」のうえをじわじわと連続れんぞくてきすすむので,いつでも逆行ぎゃっこう可能かのうである.つまり可逆かぎゃく過程かていである.以上いじょう.

しかしそれだけでは納得なっとくできないひとがきっといるだろうからもうすこくわしくかんがえてみよう.

ぎゃくじゅん静的せいてき過程かていでない場合ばあいには本当ほんとう逆行ぎゃっこうできないのだろうかじゅん静的せいてき過程かていでないというのはつまり,状態じょうたい変化へんかする途中とちゅう平衡へいこう状態じょうたいあいだはさまるということだが,平衡へいこう状態じょうたいというのは圧力あつりょく温度おんどといった状態じょうたいりょうさだまらず,グラフのうえあらわせない状態じょうたいになってしまうということである.

しかしやがてふたたねつ平衡へいこうたっするとグラフじょうのどこかに突然とつぜん姿すがたあらわすことだろう.状態じょうたいのジャンプがこったわけだ.そこからもと状態じょうたいもどれないことがあるだろうかいや,もどれるにちがいない.

しかしおもしてもらいたい.外界がいかいとの仕事しごとねつのやりりはそのたどって道筋みちすじによってまるのだった.外界がいかいあたえた影響えいきょうまでふくめて元通もとどおりにもどさなくては可逆かぎゃくとはえないのである.状態じょうたいがジャンプしているあいだ道筋みちすじはグラフじょうではあらわせず,外界がいかいあたえた影響えいきょう状況じょうきょうによって様々さまざまである.一方いっぽう,じゅん静的せいてき過程かていおな道筋みちすじもどることで,外界がいかいとのやりりさえも元通もとどおもどせるのである.

これで逆行ぎゃっこう可能かのうであることの大切たいせつさがかってもらえただろうか

ではつぎに「可逆かぎゃく過程かていならばじゅん静的せいてき過程かていである」というはなしをしよう.うえ説明せつめいしたことですこになることがある.平衡へいこう状態じょうたいとおって状態じょうたいのジャンプをしたとき外界がいかいあたえた影響えいきょう状況じょうきょうによって様々さまざまだといたが,その影響えいきょう完全かんぜんもともどすことが出来できるような道筋みちすじがどこかにあるのではないだろうかたとえその道筋みちすじがグラフのうえになくとも,もともど方法ほうほうがあるのではないだろうか

それはない,ときっぱりこたえよう.それは証明しょうめい出来でき.

平衡へいこう状態じょうたいではおよそつぎのようなことがきている.まず,温度おんどしょうじることによるねつ伝導でんどう.これはクラウジウスの原理げんりによって不可ふかぎゃく過程かていだとすでに説明せつめいした.つぎにシリンダー内部ないぶしょうじた圧力あつりょくによる気体きたい体積たいせき変化へんか.これも不可ふかぎゃく過程かてい.もし膨張ぼうちょうした体積たいせきなん痕跡こんせきもなしにもともどせるのなら,その方法ほうほうだいしゅ永久えいきゅう機関きかん出来できてしまうだろう.には,素早すばや運動うんどうすることによる摩擦まさつねつ発生はっせい.粘性ねんせい摩擦まさつというのはゆっくりうごけばしょうじないものなのだ.これも不可ふかぎゃく過程かていだと説明せつめいした.にはおもいつかないが,もしあるならばそのときかんがえればいい.

とにかく,こんな具合ぐあい平衡へいこう状態じょうたい発生はっせいすると不可ふかぎゃく過程かていになるのだ.えーっと,つまり,じゅん静的せいてき過程かていでないと可逆かぎゃく過程かていではないということで,ほら,これで「可逆かぎゃく過程かていならじゅん静的せいてき過程かていである」がえたことになるだろう

追記ついき(2023/11):ここでのはなしはシリンダーの外界がいかいまでふくめてすべもともどせるかというはなしになってしまっている.しかしねつ力学りきがく議論ぎろんにおいて興味きょうみのあるのはシリンダーの内部ないぶ気体きたい状態じょうたいである.外界がいかいというものはシリンダー内部ないぶねつのやりりをても簡単かんたんには温度おんど変化へんかしない巨大きょだいねつよくとして登場とうじょうするのであるから,そもそも外部がいぶ変化へんかなどにする必要ひつよう.また,シリンダーの内外ないがいねつのやりりがゆるされている場合ばあい,シリンダーの内部ないぶ状態じょうたいをいつでももと状態じょうたいもど手段しゅだんはある.結果けっかてきねつ平衡へいこう状態じょうたいもどればいいのであり,途中とちゅう平衡へいこう状態じょうたいになってもまるでかまわない.よって断熱だんねつ変化へんかかんがえるのではかぎ,可逆かぎゃくかどうかということは滅多めったにする必要ひつよういのである.


注意ちゅういきなど

可逆かぎゃく過程かていじゅん静的せいてき過程かていおなじだというのをはやめにっておくとずいぶんらくである.そこらの教科書きょうかしょではこのふたつの単語たんごちがいがはっきりしないままかえてきて,あたま混乱こんらんしそうになる.しかもどこで説明せつめいされているかさえよくからない.

それにはちゃんと理由りゆうがあって,じつは「じゅん静的せいてき過程かていでありながら不可ふかぎゃく過程かてい」だという状況じょうきょう存在そんざいするのである.

じゅん静的せいてき過程かていというのは無限むげんしょう変化へんか極限きょくげんであって,じつはこの無限むげんしょうのギリギリのところを突付つきつけば不可ふかぎゃく過程かていじゅん静的せいてき過程かてい境界きょうかい曖昧あいまいになるような議論ぎろん可能かのうである.

平衡へいこうによる無限むげんしょうのジャンプのかえしは,可逆かぎゃくだろうか,可逆かぎゃくだろうか.たとえば,温度おんどちがう 2 つの物体ぶったい無限むげんしょう時間じかんだけ接触せっしょくさせてはすぐはな,たがいのねつ平衡へいこうたもちつつ,これをなんかえしたら,これはじゅん静的せいてき過程かていでありながらも不可ふかぎゃく過程かていではないだろうか.

また,真空しんくうちゅうにシリンダーをいて,ピストンに気体きたい分子ぶんしひとつもたっていない瞬間しゅんかん,無限むげんにわずかだけピストンをけば,ピストンにはちからがかかっていないので気体きたい仕事しごとをしたことにはならず,これをかえせば,じゅん静的せいてきでありながらも可逆かぎゃくではないだろうか

こんな詭弁きべんてきはなしでなくとも,もっとごく普通ふつうこりうるれいのちに「ジュール・トムソン効果こうか」のところで.えーっ,じゃあ,さっきの証明しょうめいとやらはうそつきじゃんそうそう.かりやすさのためには少々しょうしょううそはつくのだよ.

追記ついき(2023/11):このあたりの議論ぎろんいまとなってはすこしいたずらがぎたかんじもするのですこしコメントしておこう.むかし不可ふかぎゃく過程かていじゅん静的せいてき過程かてい関係かんけい,さも重要じゅうようなことのように議論ぎろんする教科書きょうかしょおおくてかなりなやまされたものである.しかし両者りょうしゃべつ概念がいねんであってあまり本質ほんしつてきでもないのであまりにしなくてもいい.たとえばp-Vグラフのような状態じょうたいうえでゆっくりゆっくりうごいていくのなら,もちろんそのコースをぎゃくきにたどることも可能かのうなので可逆かぎゃくてきだとえる.うえれいげたジュールトムソン効果こうか気体きたい状態じょうたいことなるふたつの容器ようきをつないだものなのでひとつの状態じょうたいではあらわせなくて,いまったようなことはできない.それだけである.過度かどむすびつけるようなことはしなくてかまわない.

さあ,今回こんかいねつ力学りきがくだい 2 法則ほうそく言葉ことば表現ひょうげんしたものをあつかったが,次回じかいからは言葉ことばによる表現ひょうげんではえてこない本質ほんしつ部分ぶぶん数式すうしきあらわすことにチャレンジしよう.


修正しゅうせい履歴りれき

(2021/6/28)
 「すべてのねつ仕事しごとえる過程かてい」のれい間違まちがっていたのでどう間違まちがっているのかについての説明せつめい追加ついかした.

(2023/11/26)
 じゅん静的せいてき過程かてい可逆かぎゃく過程かていについて2箇所かしょにコメントを追記ついきした.



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