オードリー・タン 台湾デジタル担当政策委員(photograph by Kaii Chiang, styling: Joyce Chang, co-ordinator: Amber Cheng, Lydia Lu, make up: PT Ho, hairstyle: Hyde Lin)
「
台北時間の29
日朝ならば
空いている。オフィスが
定める〈Radical Transparency(
徹底的な
透明性)〉の
原則に
準じてもらう
必要があるので、
確認してほしい」
6
月初旬にオンライン
取材を
申し
込むと、15
日、
本人から
直接メールがあった。リンク
先には、
彼女が
通常市民からオフィス
訪問を
受けるときの
原則が
書かれており、
主に
会議は
録画もしくは
録音され、
後日、
動画もしくは
文字の
書き
起こしでサイトに
公開されるというものだ。
大臣としての
公務のすべてを
市民にオープンにするためだという。
毎日早朝からの
公務が
続くも、
本人は
公職にあることを
楽しんでいるようだった。「
公職にいることは
満足してます。いま、
台湾のパブリック・サービスはとても
革新的なんです。
総統杯ハッカソンでは、
参加者の3
分の1がパブリック・セクターからです。どんどん
面白いアイデアが
出てきます」
総統杯ハッカソンとは2018
年から
毎年行われている、
社会課題解決のアイデアをプレゼンする
大会で、
受賞すれば、蔡
英文総統から
規制の
優遇や
以後12
カ月での
実装が
約束される。
例えば
昨年度は、
台湾南東沖の
周囲約40kmの
孤島、
蘭嶼での
遠隔医療のアイデアが
採用され、オンライン
診療の
規制も
緩和された。
予算もつけられ、
現在では
僻地を
含む
約100の
地域で
実現されている。
2014年春の大きな出来事
市民ハッカーであったオードリー・タンが、35
歳という
若さで
台湾のデジタル
大臣(
無任所)に
就任したのは、4
年前の16
年のことだ。しかし、
公職への
道に
進んだきっかけは、14
年の
春にさかのぼる。
14
年3
月18
日、
台北市の
立法院周辺は、
学生を
中心とした
多くの
市民で
埋め
尽くされていた。
与党国民党が
中国とのサービス
分野の
市場開放を
目指す「サービス
貿易協定」を
立法院の
内政委員会で
審議終了、
本会議送付を
強行した。これをきっかけに、
抗議する
学生が
立法院本会議場に
突入、
台湾史上初めて
市民によって
議場が
占拠された。「ひまわり
学生運動」だ。
当時の
報道によれば、
市民の
間では、
法案の
内容だけではなく、その
決定プロセスの
不透明性にも
不満がうずまいていた。
2014年3月29日、台北市の中正紀念堂前に集まり、「サービス貿易協定」の審議に抗議する大勢の人たち。当時の報道によれば、約50万の人々がデモや抗議運動に参加したタンは
当時、プログラマーとして
米シリコンバレーのチームや
企業とバーチャルで
仕事をしていたが、
議会周辺で
起こっているただ
事ではない
状況を
見て、
同僚にこう
書き
送った。「
議会に
行くので、2
週間ほど
仕事を
休まなければならない」
タンは、
市民ハッカーとして、
台湾のシビックテックの
団体g0v(ゴブゼロ)のメンバー
数百人と、
自身の
電話を
議会内外のインターネット
接続のために
提供し、
議会内で
起こっていることの
中継を
手助けした。「
私たちは、すべての
人を
公正につなぐ“コミュニケーション・エキスパート”の
役割を
担いました」
その
後約3
週間にわたって
議会は
占拠されたが、4
月10日に
占拠者は
議場を
退去、
運動は
比較的平和的に
収束した。
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