2024.09.12 09:15

ワインづくりに変化へんかの波なみ　「再生さいせい型がた農業のうぎょう」の成功せいこうの鍵かぎとは

世界せかい経済けいざいフォーラム | Official Columnist 世界せかいをより良よくする官民かんみん連携れんけいのための国際こくさい機関きかん

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（shutterstock）

世界せかいのワイン産業さんぎょうは3000億おくドル以上いじょうの規模きぼを誇ほこり、消費しょうひ者しゃに対たいして絶大ぜつだいな影響えいきょう力りょくを持もちます。

ワイン業界ぎょうかいは、サステナビリティに関かんする成功せいこう例れいを紹介しょうかいすることで、再生さいせい可能かのうなブドウ栽培さいばいに向むけ、消費しょうひ者しゃと生産せいさん者しゃに影響えいきょうを与あたえることができます。

ワインメーカーはすでに、再生さいせい可能かのうな農業のうぎょうをさらに推進すいしんするためのコアリションを結成けっせいしています。

再生さいせい農業のうぎょうという言葉ことばが生うまれたのは1980年代ねんだいのこと。今日きょう、再生さいせい可能かのうなブドウ栽培さいばいは、ネイチャーポジティブな栽培さいばい戦略せんりゃくとして急速きゅうそくに勢いきおいを増ましています。

再生さいせい可能かのうなブドウ栽培さいばいは、持続じぞく可能かのう性せいに関連かんれんし、オーガニックやビオディナミの実践じっせんが基礎きそになっている一方いっぽうで、その定義ていぎはひとつではありません。実際じっさい、2020年ねんに229本ほんの記事きじと再生さいせい型がた農業のうぎょうを実践じっせんする人々ひとびとのウェブサイトをレビューしたところ、「再生さいせい可能かのうな農業のうぎょう」を定義ていぎする主おもな方法ほうほうは、許可きょかする項目こうもくなどに焦点しょうてんを当あてたルールベースではないことがわかりました。土壌どじょう有機物ゆうきぶつを含ふくむ土壌どじょうの健康けんこうを改善かいぜんした結果けっかなどを重視じゅうしする、アウトカムベースだったのです。

このアウトカムベースのアプローチによると、再生さいせい可能かのうなブドウ栽培さいばいの主おもな目的もくてきは、土壌どじょうの健全けんぜん性せいの回復かいふく、過去かこ数すう十じゅう年ねんにわたる工業こうぎょう化かのダメージの取とり消けし、気候きこう変動へんどうへの適応てきおうとその影響えいきょう緩和かんわを率ひきいることだと言いえます。

気候きこうと従来じゅうらいの農業のうぎょう

合成ごうせい肥料ひりょうがハーバー・ボッシュ法ほうにより大だい規模きぼな窒素ちっそ固定こていを可能かのうにし、農業のうぎょうに革命かくめいをもたらしたのは、数すう十じゅう年ねん前まえのことです。その一方いっぽうで、合成ごうせい肥料ひりょうは土壌どじょうの劣化れっかと温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつを助長じょちょうしています。窒素ちっそが水路すいろに流出りゅうしゅつして土壌どじょう構造こうぞうや微生物びせいぶつ群ぐんを破壊はかいし、浸食しんしょくを引ひき起おこすだけでなく、世界せかい的てきなエネルギー使用しよう量りょうの1～2％に関連かんれんする温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつにもつながっているからです。土壌どじょうを3cm生成せいせいするためには1000年ねんかかるとされており、現在げんざいの劣化れっか傾向けいこうを踏ふまえると、残のこっている土壌どじょうは60年ねん分ぶんのみであると2014年ねんに実施じっしされた調査ちょうさは指摘してきしています。

さらに、ブドウ栽培さいばいの工業こうぎょう化かは、生物せいぶつ多様たよう性せいの急激きゅうげきな喪失そうしつと作物さくもつの単一たんいつ栽培さいばいにもつながっています。数かず十じゅう年ねん前まえまでブドウ畑はたけに存在そんざいした多様たような動植物どうしょくぶつを再現さいげんするために、多おおくのワイナリーが植樹しょくじゅや生垣いけがきを植うえているのが現状げんじょうです。

また最もっとも重要じゅうようなのは、気候きこう変動へんどうにより、スペイン、イタリア、ギリシャ、カリフォルニアの沿岸えんがん部ぶ及および低地ていちにあるワイン産地さんちの90%が、干かんばつや猛暑もうしょによる存続そんぞくの危機ききにさらされていることです。

地球ちきゅうのために土壌どじょうの健全けんぜん性せいを優先ゆうせんする

土壌どじょうには、ブドウの木きとその根ね、地中ちちゅうの微生物びせいぶつとの相互そうご作用さようを含ふくむ複雑ふくざつな生態せいたい系けいが存在そんざいしています。根ねは、地下ちかで起おこっていることと地上ちじょうのブドウの木きをつなぐ大使たいしのような役割やくわりを果はたし、栄養素えいようその交換こうかんから毒素どくそのシグナル伝達でんたつ、免疫めんえき防御ぼうぎょ、炭素たんそ固定こていに至いたるまで、多おおくの重要じゅうような活動かつどうを可能かのうにしているのです。

さらに、土どの中なかには菌きん根ねネットワークと呼よばれる菌類きんるいの小ちいさな糸いとが張はり巡めぐらされており、個々ここの植物しょくぶつをつなぎ、水みず、窒素ちっそ、炭素たんそ、その他たのミネラルを移動いどうさせています。

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文ぶん＝Natalya Guseva Head, Financial Markets and Resilience Initiatives, World Economic Forum

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