「夢幻戦士ヴァリス」でお馴染みの日本テレネットが、1992年にメガCD用ソフトとしてリリースした「魔法の少女シルキーリップ」。タイトルの通り、魔法少女を題材としたアドベンチャーゲーム。
キャラクターボイス、ムービーシーンの実装など今では当たり前だが当時としては画期的で、ディスクメディアとマシンパワーをフルで使った意欲作である。本作はTVアニメを意識した作りになっており、主題歌入りのオープニングから始まり、アイキャッチやエンディングムービーまで用意されているのだ。
メガCDだからできた主題歌入りのオープニング 各章のタイトルが入るのもTVアニメ風 ゲームの随所で差し込まれるアイキャッチ 魔導小学校に通う魔法使い見習いの「リップ」は次期女王候補に選ばれ、1年の間人間界で修業を積んで次期女王として認められるのがゲームの目的だ。本作は章仕立ての構成でトップビュータイプのRPGのような作りになっている。人間界の桜ヶ丘を舞台に小学校に通いながら次々と起こる様々な問題を解決していく。
アドベンチャーというジャンルだけあって特に難しいゲームではなく、基本は目的の場所に行くか特定の人物に話しかけるだけで物語が進んでいく。ゲーム性は至ってシンプルなのだが、恐らくメーカーが意図して狙った訳ではないところで難易度を跳ね上げているポイントがある。それは桜ヶ丘のマップが驚くほど広大な作りになっており、気を抜いて歩いていると家路すらも分からなくなることもままある。人間界に来たばかりで右も左も分からないリップに感情移入ができてしまう。
魔導覇王に人間界出向を命じられる 魔法の力で人間の記憶を改ざんし、リップを人間界の住人に 闇雲に歩くと、迷子になって詰みである イベントシーンの随所で発生する特徴的なシステムに「会話モード」が存在。会話モードでは「いかり」、「悲しみ」、「喜び」の3つの感情から選択してキャラクターとの会話を進めていく。選択した感情によって会話内容が変化し、その結果によって評価ポイントという得点が増減する。この評価ポイントこそが女王に認められるかの重要な要素になるので、的確な選択でポイントを稼いでいきたい。
感情の選択をミスしてしまうと評価が激減。慎重に選ばなけれなならない 本作の魅力は何といっても個性豊かな登場キャラクターにある。小学4年生で魔法少女のリップの可愛さは言うまでもなく、クラスメイトのハゲタンクやサルなどはどう見ても小学生には見えない濃いビジュアルが笑いを誘う。
オマケ的ではあるが時折敵との戦闘もあり、最初に戦う敵は小学4年生の女の子に“いいものを見せようとする”露出狂だったりと、ぶっ飛んだキャラが数多く登場しプレーヤーをゲームにグイグイ引き込む。
どう見てもオッサン。しかも名前に反してハゲてない 戦闘はコマンドバトル形式。魔法を使って敵と戦う ライバルとなる2人目の次期女王候補の登場アリ、水着回アリと、まさにTVアニメのお約束がふんだんに盛り込まれており、操作性やゲームの不親切さなどに目をつぶれば今遊んでも十分楽しめる内容。プレイをしていて気がつけばオープニング曲のフレーズが頭から離れなくなるほど夢中になれるハズだ。