「STOP! 我流がりゅうドラポジ #1」実じつは貴方あなたのドラポジは正ただしくない

「シートにしっかりお尻しりが収おさまっていないと、止とまれたはずのところが止とまれなかった、そんなこともあるんですよ」
三浦みうらさんの言葉ことばは衝撃しょうげき的てきでした。それって、なぜなのだろう？　と思おもいませんか？　何なにを注意ちゅういすればいいのだろう。みなさんは家いえのイスに座すわるように、普通ふつうにクルマの運転うんてん席せきに座すわっていませんか？　クルマの場合ばあいには「正ただしい座すわり方かた」というのがあります。
今回こんかいは 「STOP! 正ただしいドラポジであなたの運転うんてんは劇的げきてきに進化しんかする！」の４回かいシリーズで、ドライビングポジション（ドラポジ）について検証けんしょうしてみました。検証けんしょうにはトヨタ・ヤリスクロスを使用しよう。今回こんかいは、あえてセダンではなく、人気にんきの高たかいSUVモデルを選択せんたくしました。

クルマのシートは座すわった状態じょうたいでステアリングやペダルを、時ときには力ちからを入いれて、時ときには優やさしく操作そうさする必要ひつようがあります。シートに求もとめられる機能きのうは、家いえやオフィスのイスとは違ちがいます。
正ただしいドライビングポジション（運転うんてんポジション）は次つぎの４よっつを達成たっせいすることが目的もくてきです。

１　素早すばやく最大限さいだいげんに力強ちからづよいブレーキがかけられる
２　素早すばやいステアリング操作そうさができる
３　視界しかいが良よい
４　疲つかれにくい

インストラクターの三浦みうらさんは様々さまざまなメーカーとともにユーザーにドライビングテクニックを教おしえています。各かくメーカーはそのブランドの個性こせい、スポーツ性せいの高たかさや走はしる楽たのしさ、信頼しんらい性せいの高たかさ、運転うんてんスキルなどを考慮こうりょしてスクールを行おこないます。三浦みうらさんは「どのメーカーのスクールも自分じぶんで出だした速度そくどを自分じぶんで落おとすことを重視じゅうしします。つまり究極きゅうきょくに危険きけんな状況じょうきょうを回避かいひするのはステアリング操作そうさではなくクルマを止とめることなんです。結果けっか、どんなクルマでも車速しゃそくを落おとすために適正てきせいなドラポジが重要じゅうようになるのです」と言いわれました。
また冒頭ぼうとうの、「シートにしっかりお尻しりが収おさまっていないと、止とまれたはずのところで止とまれない……とは、ブレーキを思おもいっきり踏ふんだ時ときに体からだが動うごいてしまい、最大限さいだいげんのブレーキが踏ふめないことを意味いみしています。正ただしいドライビングポジション（運転うんてんポジション）は、体からだをしっかり支ささえるため、力ちからを入いれた操作そうさ、思おもった通とおりの優やさしい操作そうさ、つまり丁寧ていねいな運転うんてんを可能かのうにします」と、わかり易やすく解説かいせつしてくれました。
「例たとえばこう考かんがえてみてください。みなさんは、お箸はしをどのように持もっているでしょうか？　お箸はしにも正ただしい持もち方かたがありますが、それは大おおきな力ちからを入いれたり、小ちいさな丸まるいものも簡単かんたんに挟はさむためですよね。正ただしい持もち方かたは、お箸はしを思おもう通とおりに使つかうためのものです。正ただしいドラポジは、クルマを思おもい通どおりに操あやつるためのものなんですよ」と三浦みうらさんは言いいます。
正ただしいドラポジでクルマを思おもい通どおりに操あやつることができるようになる。そんなことを想像そうぞうしながら、正ただしいドラポジがどんなものか考かんがえてみませんか。

ここから実際じっさいに5つのステップでドライビングポジション（運転うんてんポジション）を合あわせてみましょう。

[STEP 1]　深ふかく腰掛こしかける

緊急きんきゅう時じに力ちからいっぱいブレーキを踏ふんでも、体からだが動うごかないようにします。また、骨盤こつばんが立たつため、上体じょうたいが骨盤こつばんにしっかりと乗のり腰痛ようつうを抑制よくせいすることができ、疲つかれも低減ていげんします。

[STEP 2]　ブレーキペダルを力強ちからづよく踏ふんだ状態じょうたいで膝ひざがやや曲まがるように

シートの機構きこうを用もちいてシートポジションを調整ちょうせい。目安めやすは、座ざ面めんと太ふとももの間あいだにやや隙間すきまができる程度ていどにして、ブレーキに強つよく力ちからが入はいる運転うんてん姿勢しせいになります。また、衝突しょうとつ時じに足あしが伸のびきっていると骨折こっせつの危険きけんが高たかまりますので、予防よぼうになります。

[STEP 3]　ステアリング上部じょうぶを握にぎって肘ひじが曲まがる程度ていどに

緊急きんきゅう回避かいひなどステアリングを素早すばやく操作そうさするために、肘ひじが曲まがる程度ていどに、ステアリングのチルト＆テレスコピック機構きこう、シートバックの角度かくど調整ちょうせい機構きこうで調整ちょうせいします。肘ひじが伸のびきってしまうと力ちからが入はいらず正確せいかくな操作そうさがしづらくなります。
ステアリング操作そうさをするときに、肩かたや肩かた甲かぶと骨こつがシートから浮うかないこともポイント。周囲しゅういが見渡みわたしやすいように高たかさを調整ちょうせい、メーターパネルも見みえることも確認かくにんします。身長しんちょうによっては、周囲しゅういが見みやすいように最初さいしょに高たかさを決きめておいても結構けっこうです。それぞれの調整ちょうせい後ご、ふたたび各かく操作そうさがしやすいかを確認かくにんし、各かく調整ちょうせい機構きこうで微ほろ調整ちょうせいを行おこなってください。

[STEP 4]　ヘッドレストの高たかさを頭あたまと同おなじに

忘わすれがちですが、衝突しょうとつ時じに頭部とうぶ、首くびを保護ほごします。助手じょしゅ席せき、後こう席せきの人ひとも高たかさが合あっていない場合ばあいは、調整ちょうせいするよう声こえをかけましょう。

[STEP 5]　シートベルトをして胸部きょうぶで軽かるく引ひく

シートベルトは織物おりものでできていて、衝突しょうとつ時じに肋骨あばらぼねなどの骨ほねが折おれない程度ていどの荷重かじゅうで伸のびます。本来ほんらいの機能きのうを十分じゅうぶんに発揮はっきできるように、緩ゆるみのないように装着そうちゃく。安全あんぜんのためには、クルマに乗のったすべての人ひとに声こえがけしてください。

＜鈴木すずきさん（男性だんせい）の我流がりゅうドラポジ＞
今回こんかいは、鈴木すずき仁史ひとしさん（身長しんちょう173cm）と、城戸きどひなのさん（身長しんちょう150cm）にドラポジ検証けんしょうに参加さんかいただき、いつもの運転うんてんしやすいドライビングポジション（運転うんてんポジション）にしてもらいました。その後ご、三浦みうらさんにチェックして検証けんしょうしてもらいました。
鈴木すずきさんは、ゆったり座すわれるポジションが一番いちばん運転うんてんしやすいと考かんがえていたそうです。ご自分じぶんのドラポジを取とってもらうと、最初さいしょのステアリング位置いちを基本きほんに、シートバックを寝ねかし気味ぎみとして、手てを伸のばす運転うんてん姿勢しせいとしました。

＜鈴木すずきさんのドラポジを三浦みうらさんがチェックして修正しゅうせい＞
STEP 1

チェック：

お尻しりがしっかりとシートに強つよく押おし付つけられていない

修正しゅうせい：

深ふかく座すわり直なおします

STEP 2

チェック：

深ふかく座すわり足あしとペダルの関係かんけいが遠とおくなった

修正しゅうせい：

シートスライドを前まえに移動いどうし、ブレーキを思おもいっきり踏ふんだ時ときに膝ひざが伸のび切きらずに、座ざ面めんに隙間すきま（余裕よゆう）ができる程度ていどの距離きょりに合あわせます

STEP 3

チェック：

手てとステアリングが遠とおい

修正しゅうせい：

ステアリングの上部じょうぶを持もっても肘ひじが曲まがる程度ていどで、なおかつ背中せなかから肩かた甲かぶと骨こつまでがシートバックから離はなれないようにシートバックを起おこします

チェック：

手てとステアリングの距離きょりが不十分ふじゅうぶん

修正しゅうせい：

シートバックだけでの調整ちょうせいでは不十分ふじゅうぶんなため、ステアリングをテレスコピック機構きこうで手前てまえにし、チルト機構きこうでやや上うえに移動いどうします。（この際さいにメーターパネルが正確せいかくに見みえることも確認かくにんします）

STEP 4

チェック：

OKです

三浦みうらさん談だん
体からだが傾かたむいたときに、体からだが振ふられやすいとどうしても目線めせんがずれたり、ステアリング操作そうさが雑ざつになるなど正確せいかく性せいがなくなってしまいます。だから綺麗きれいなフォームを持もつことで、快適かいてきな運転うんてん姿勢しせいにできますし操作そうさもより正確せいかくにできるようになります」

鈴木すずきさんの自己流じこりゅうドラポジの修正しゅうせい

＜城戸きどさん（女性じょせい）の我流がりゅうドラポジ＞
城戸きどさんは、普段ふだんドラポジを意識いしきしたことはなのですが、小柄こがらなためまずペダルが届とどくことを意識いしきし、ステアリングと手ての間あいだに余裕よゆうのある自分じぶん流りゅうのドラポジに。

＜城戸きどさんのドラポジを三浦みうらさんがチェックして修正しゅうせい＞
STEP 1

チェック：

お尻しりの入いれ方かたが浅あさい

修正しゅうせい：

深ふかく座すわり直なおします

STEP 2

チェック：

OKです

STEP 3

チェック：

ステアリングが遠とおく、上部じょうぶを握にぎると肘ひじがまっすぐに

修正しゅうせい：

テレスコピック＆チルトでステアリングを近ちかくに移動いどう

チェック：

ステアリングで近ちかくに調整ちょうせいした分ぶん、ステアリングが体からだの近ちかくに

修正しゅうせい：

シートバックをやや後うしろにしました

STEP 4

チェック：

OKです

三浦みうらさん、城戸きどさん談だん
城戸きどさん「深ふかく腰こしかけたことで、視点してんが上あがり周囲しゅういが見渡みわたしやすくなりました。」
三浦みうらさん「STEP5のシートベルト装着そうちゃくの仕方しかたも重要じゅうようです。シートベルトは体からだを安全あんぜんに支ささえるために、伸のびる構造こうぞうとなっています。そのため、シートベルトの機能きのうを存分ぞんぶんに発揮はっきさせるためには、締しめたときに緩ゆるみのないように引ひき上あげることが必要ひつようです」とのこと。

城戸きどさんの自己流じこりゅうドラポジと修正しゅうせい後ご

ほとんどの人ひとのドライビングポジション（運転うんてんポジション）は自己流じこりゅうです。免許めんきょ取得しゅとく後ご、誰だれも教おしえてくれないので、明確めいかくな基準きじゅんもなく何なんとなくシートに座すわっている状態じょうたいです。しかし、クルマを安全あんぜんに手足てあしのように操あやつりたいのならば、止とめること、曲まがることを行おこなうための基本きほんであるドライビングポジションはとても重要じゅうようです。正ただしいドライビングポジションを習得しゅうとくすることで、より安全あんぜんで、疲つかれない、スムーズな運転うんてんができるようになります。
きっと同乗どうじょう者しゃも貴方あなたのスムーズな運転うんてんに驚おどろくでしょう！

次回じかいの第だい二に回かいでは、ドラポジの違ちがいが運転うんてんの違ちがいに現あらわれるのか？　をレポートしてみました。ぜひご期待きたいください！

[ガズー編集へんしゅう部ぶ]