名門めいもんTEAM SPOONがスーパー耐久たいきゅうに復活ふっかつ！ メカニックの成長せいちょうでより魅力みりょく的てきなスプーンブランドへの進化しんかへ

2024年ねん4月がつ20日はつか、スポーツランドSUGOで今季こんきのスーパー耐久たいきゅうが開幕かいまくした。近年きんねんFIA GT4が走行そうこうするST-Zクラスの台数だいすう増加ぞうかやメーカーの開発かいはつ車両しゃりょうが参戦さんせんできるST-Qクラスなど、注目ちゅうもくを浴あびているスーパー耐久たいきゅうだが、今季こんきの楽たのしみの一ひとつはST-2クラスだ。

昨年さくねん、ST-2クラスはHonda R&D Challengeが新型しんがたのシビックタイプR（FL5型がた）を投入とうにゅうしクラスチャンピオンに輝かがやいたが、そのシビックが新あらたに2台だい参戦さんせんを開始かいしした。そしてその1台だいは以前いぜんスーパー耐久たいきゅうにも参戦さんせんしていた名門めいもんチームの復活ふっかつとあって注目ちゅうもくを集あつめている。

「7年ねんかかりました」と感慨かんがい深ふかげに話はなしていただいたのは、ホンダ車くるま専せん門もんのアフターパーツの開発かいはつ、販売はんばいやチューニングなどを手掛てがけるスプーンの取締役とりしまりやくで、2024年ねんシーズンから復活ふっかつするTEAM SPOONの監督かんとくも務つとめる原はら剛つよし氏しだ。

スプーンは、1992年ねんからスーパー耐久たいきゅうの前身ぜんしんであるN1耐久たいきゅうから参戦さんせんを開始かいしし、シビックやS2000、NSXなどホンダ車しゃでのレースシーンを牽引けんいんしていたが、2016年ねんシーズンのS2000での参戦さんせんを最後さいごにスーパー耐久たいきゅうの参戦さんせんを中断ちゅうだんしていた。

今回こんかい、参戦さんせんを再ふたたび開始かいししたのは、FL5型がたのシビックタイプRがデビューし、そのアフターパーツを開発かいはつする中なかで今いましかないと感かんじたからだという。

もともとスプーンでは、レースに参戦さんせんすることによりメカニックが経験けいけんを積つみ技術ぎじゅつや知識ちしきをレベルアップすること、そして製品せいひん開発かいはつへのフィードバックなどを行おこなっていた。しかし、レースへの参戦さんせんを取とりやめたことで、会社かいしゃのレベルがダウンしてしまうのではないかという危惧きぐを原はら監督かんとくは感かんじていたという。

そうした中なか、FL5型がたのシビックタイプRのデモカー開発かいはつを進すすめる中なかで、このクルマの素性すじょうの良よさを感かんじたという。
「アラインメントや、車くるま高だかを変更へんこうしたり、車くるま高調こうちょう入いれたり手てをいれることでの効果こうかがこのシビックは素直すなおに出でてくれるんですよね。車体しゃたいが大おおきいので昔むかしのシビックとはちょっとイメージは違ちがうんですけど、走はしりとしてはやっぱりホンダのスポーツカーらしさをもろに受うけ継ついだクルマなんだなって感かんじました。じゃあもう復帰ふっきするならここしかないぞっていうことで、復帰ふっきすることになりました」

スプーンは2023年ねんの12月にアメリカでFL5型がたのシビックタイプRで25時じ間あいだの耐久たいきゅうレースに参戦さんせんしクラス優勝ゆうしょうを果はたしたり、その2年ねんほど前まえにもFK8型がたのシビックタイプRでも耐久たいきゅうレースに参戦さんせんして少すこしずつはレース復帰ふっきに向むけて動うごいてきていたという。
ただしスーパー耐久たいきゅうについては2016年ねんを最後さいごに中断ちゅうだんしていたことで、普段ふだんメカニックとして活動かつどうする若手わかて社員しゃいんは自発じはつ的てきなレース活動かつどうの経験けいけんがなかった。

そうしたメカニックにレースを経験けいけんすることで技術ぎじゅつ力りょくをアップしてもらうことが、今回こんかいの参戦さんせん目的もくてきの大おおきな理由りゆうの一ひとつだという。

「レースでクルマを走はしらせると、これまで考かんがえられなかったところが壊こわれたりするんですが、そういうことをどんどん経験けいけんして個人こじん個人こじんのレベルアップをしてほしいと思おもっています。それをお客様きゃくさまへのアドバイスとしてフィードバックできたらとも考かんがえています。

もちろんレースに参戦さんせんするからには勝利しょうりを目指めざすわけですが、だたレースで勝かったりシリーズチャンピオンを獲得かくとくするということではなく、彼かれらの技術ぎじゅつ力りょくをアップさせたいというのが一番いちばんの参戦さんせん理由りゆうですね」

今回こんかいのスーパー耐久たいきゅうへの復帰ふっきは、昨年さくねんの夏なつごろから動うごき始はじめ、2024年ねんに入はいり本格ほんかく的てきにマシンの準備じゅんびを進すすめて来きたという。マシンが完成かんせいしたのがこのスーパー耐久たいきゅう開幕かいまく戦せんの1か月げつ前まえで、シェイクダウンやSUGOでのプライベートテスト、さらに公式こうしきテストなどで走行そうこうし、この開幕かいまく戦せんを迎むかえているという。

そうした中なか、マシンが仕上しあがってまだ1か月げつ程度ていどではあるものの、若手わかてスタッフの成長せいちょうの早はやさに目めを見張みはるものがあるという。最初さいしょのシェイクダウンの際さいは、経験けいけんがないことで自みずから動うごくことができず指示しじ待まちになってしまっていた状況じょうきょうもあった。しかしサーキットでの走行そうこうや会社かいしゃに戻もどってのミーティングなどを重かさねることで、この開幕かいまく戦せんでは見違みちがえるように自みずから考かんがえ、動うごき、さらに整備せいびの確実かくじつ性せいも上あがっているという。

実際じっさいに、2016年ねん入社にゅうしゃの田口たぐち洋平ようへいメカニックにお話はなしを伺うかがっても、同おなじような実感じっかんがあるようだ。
「やはり最初さいしょの頃ころは経験けいけんしたことのない作業さぎょうの連続れんぞくなので、間違まちがったりいろいろと教おしえてもらいながら進すすめてきました。ただ、前回ぜんかいの公式こうしきテストでもそうですけど、徐々じょじょに確実かくじつ性せいが上あがって全すべて指示しじを仰あおがなくても自分じぶんたちから率先そっせんして次つぎの行動こうどうに起おこせるようにはなってきていると思おもいます。これからも確実かくじつに1つ1つの作業さぎょうをしっかりとこなしていきながら、指示しじを待まつのではなく自じから考かんがえて動うごける、あるいは提案ていあんしていけるようになっていきたいと思おもいます。日頃ひごろ経験けいけんできない環境かんきょうで揉もまれて、人間にんげん的てきにも成長せいちょうで来きているのではないかなと思おもいます」

こうした個々ここが成長せいちょうすることで、チーム全体ぜんたいとしても雰囲気ふんいきがだいぶ変かわってきているという。そんな現状げんじょうに原げん監督かんとくは「こうしたメカニックの成長せいちょうを見みられるのはうれしいし今後こんごが楽たのしみだなと。彼かれらも彼かれらで全然ぜんぜんやらされている感かんじではなく自分じぶんたちで楽たのしんでやってくれているというのも感かんじていて、それも本当ほんとうにうれしいですよね。こうした経験けいけんは間違まちがいなく普段ふだんの仕事しごとに生いきてくると思おもいます」と、チームの監督かんとくというより父親ちちおやに近ちかいようなまなざしでメカニックを見みつめていたのが印象いんしょう的てきだ。

スーパー耐久たいきゅうへの参戦さんせんを経へて、スプーンのより魅力みりょく的てきなアフターパーツの開発かいはつやチューニング提案ていあんが進化しんかすることは間違まちがいないと感かんじられ、これからもより一いち層そうホンダ車しゃ乗のりのハートをがっちりつかんでいきそうだ。

（文ぶん：GAZOO編集へんしゅう部ぶ 山崎やまざき 写真しゃしん：GAZOO編集へんしゅう部ぶ）